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030ファカルティズ・コラムファカルティズ・コラム ] 2005年11月08日
あなたは“演繹派”?、それとも“帰納派”?

こんにちは。桑畑@慶應MCCです。

講師という職業をやっていると、実に様々なタイプの方とお会いします。そしてロジカルシンキングの講師としては、どうしてもその方々の「思考の癖」に目がいってしまいます。
そうした観察を通して、最近感じていることがあります。
それは、『人は“演繹派”と“帰納派”に大別できるのでは?』ということです。

この分類法のベースになっている“演繹法”“帰納法”については、皆さんも耳にしたこと(中学校の授業で?)はあるでしょう。とは言え、お忘れの方も多いと思いますので、簡単におさらいをしておきます。
“演繹法”“帰納法”とは、論理展開の基本です。人がなんらかの情報(これを観察事項と言います)から結論を出す場合には、このどちらかの方法を無意識に使っています。

【演繹法】
これは、観察事項(情報)をなんらかのルール(前提条件)に照らし合わせて結論を出す論理展開です。たとえば「彼の血液型はA型だ」という情報から「彼はきっと几帳面な人だ」という結論を出すのは、そこに「A型の人は几帳面」という前提条件があるからです。
当然の事ながら、演繹法で出された結論が正しいとは限りません。この血液型診断のように、前提条件が非科学的な一般論や個人の思いこみである場合には、おかしな結論を出してしまうことも多くなります。
(「血液型診断なんかするべきじゃない」なんて堅っ苦しいことを言いたいわけではありませんので念のため(笑))

【帰納法】
これは、複数の観察事項からなんらかの接点や共通性を見いだし、結論を出す論理展開です。たとえば、「『リング』が米国でリメイクされた」「『呪怨』が米国でリメイクされた」「『Shall we ダンス?』が米国でリメイクされた」という情報から、「日本映画のレベルは上がっている」という結論を出すような論理展開です。
帰納法の特長として、出した結論は必ず「推論」となります。上記の結論も、厳密には「これらのことから『日本映画のレベルは上がっている』と言えるんじゃないかな?」という推測レベルのはずです。
また、接点や共通性はひとつとは限りませんから、同じ情報群から何通りもの推論が可能になります。上記の例でも、「ハリウッドはネタ切れだ」や「今後日本の映像作家の海外流出が懸念される」といった推論も可能です。

では、ここでご自身を振り返ってみてください。
我々はこの両方の論理展開を使って思考しているわけですが、あえて言うとしたら、どちらの論理展開を多く使っているような気がしますか?
「前提条件に照らし合わせて結論を導き出す」演繹法ですか?【演繹派】
「複数の情報の接点・共通性から推論を導き出す」帰納法ですか?【帰納派】

私の人間観察から帰納的に(笑)推察するに、両派にはそれぞれ以下のような特性があるようです。

【演繹派】
◇前提条件を大切にするため、原理原則を重視する。
◇よってルールや決まり事にうるさく、ちょっと堅いというイメージがある。
◇ただし堅実派で、大きな失敗は少ない。

【帰納派】
◇あまり常識にとらわれず、独自性や創造性を重視する。
◇よって発想が豊かで、かなりのアイデアマンというイメージがある。
◇しかし早合点や軽率な判断による、いくつもの失敗談がある。

いかがでしょうか。少なからず思い当たるところがありませんか?
自分のタイプが自覚できたら、次にどうすべきかを考えてみてください。

あなたが“演繹派”であれば、意識的に帰納的論理展開を行うことで、創造的な思考力を磨くことができるはずです。
たとえば複数の新聞の見出しから、「これらから何が言えるのか?」と帰納的推論を何通りも組み立ててみてはいかがでしょう。そんなに時間が掛かるわけでもありませんから、手軽な帰納的論理展開のトレーニングになるはずです。
また演繹的に結論を出す場合でも、「使おうとしている前提条件は、この場合適切か?」と、自分に問いかけられるようになれば、あなたのカタブツのイメージは徐々に払拭できるのではないでしょうか。

そしてあなたが“帰納派”であれば、意識的に演繹的論理展開を行うことで、ミスや失敗を未然に防ぐことができるはずです。
たとえば新聞のコラムから、「筆者がこういう主張にたどり着いた前提条件は何か?」を考えてみてください。これも手軽にできるトレーニングです。
また帰納的に推論を導き出す場合でも、「これだけの情報量から本当にそう言えるのか?」と、ちょっと立ち止まって考えられるようになれば、早合点や軽率な判断は徐々に減らせるのではないでしょうか。

まず自分の「思考の癖」を認識し、伸ばすべき点と克服すべき点(つまり課題)を明確にすることが重要です。課題が明確になれば、あとはどうやってそれを達成するかを考えればいいのです。
その意味では、実は“演繹派/帰納派”などというカテゴライズそのものには、大した意味などありません。
「バランスの良い思考力を身につける」ための、ひとつのきっかけにしていただければ幸いです。

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