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030ファカルティズ・コラムファカルティズ・コラム ] 2005年09月13日
“質疑応答”、噛みあってますか?

こんにちは。桑畑@慶應MCCです。

会議の最中やプレゼンテーション後の“質疑応答”。皆さんもその当事者、あるいは傍観者の立場で経験されたことがあると思います。
そして傍観者の立場の時、こう思われた経験も一度ならずあるはずです。

「それ、全然質問に答えてないよ」
「なんか噛みあってないなあ」

では、なぜこのような状況が起こってしまうのでしょうか?
私は、その原因は二つに大別できると考えています。

(1)質問の内容(コンテンツ)が正しく伝わっていない
(2)質問の背景(コンテクスト)が正しく伝わっていない

(1)についてはここでは簡単に述べますが、質問者の言語表現がわかりにくかったり、回答者が質問を誤解した場合などです。要はロジカルなコミュニケーションが成立していないのです。
この問題については、質問者は一度内容を整理(できれば書いて)してから質問する、また回答者は質問内容を簡潔に言い換えて質問者に確認する、といったことを励行すれば、かなり解消することができます。

ただ、時には回答者が「意図的に質問からずれた回答をする」場合もあるので、注意が必要です。これはたとえば痛いところを質問でつかれたため、強引に自分の土俵に引き戻して同じ主張を繰り返したり、のらりくらりと逃げて時間切れか質問者の根負けを狙う、というのが代表的なケースです。国会答弁でもおなじみですね(笑)

さて、今回フォーカスしたいのは原因の(2)です。

「質問の背景が伝わっていない」という状況は、実はほとんどの質疑応答において起こっています。あたりまえの話ですが、質問者はわざわざ背景を説明してくれないからです。(ごくまれに「なぜ私がこんな質問をするかというと~」と説明してくれる親切な人もいますが)

ですから質問の背景は、回答者が「推察する」しかありません。もちろん質問者の頭の中にある(時には本人も気づいていない)それを、完璧に把握することなどできませんし、推察して正解を出すことも目的ではありません。

「この人はなぜこんな質問をするのだろう?」と思いを巡らせること、それ自体に意味があるのです。

傍観者の立場で「質問と回答が噛みあっていない」と感じるのは、状況を客観的に見ているからです。ところが我々はひとたび回答者の立場に立つと、これができなくなるのです。「ちゃんと質問に答えられないとマズイ」という気持ちが強くなり、質問の内容(コンテンツ)にしか頭が回らなくなるのですね。

“岡目八目”とは「端で見ている方がよくわかる」いう意味のことわざですが、囲碁では対局の当事者よりも、脇で冷静に見ている人の方が八手先まで読める、ということから生まれました。
質疑応答でも、まさにこの“岡目八目”が存在するわけです。

質問の回答者の時にも、この“岡目八目”を意識してみましょう。傍観者の時にできているのですから、当事者でもできないはずはありません。質問の内容を頭の中で整理しながら、「この人はなぜこんな質問をするのだろう?」と、ちょっと冷静に考えてみる。コンテンツの把握がおろそかにならないように、キーワードをメモすると良いでしょう。

そしてこの時にもうひとつコツがあります。「なぜこんな~」と推察する前に、「この人は本当に質問がしたいのだろうか?」を考えてみるのです。
たとえばプレゼン後の質疑応答で自分が質問者だった時のことを思い出してみてください。別にプレゼンの中身に不明点があり、それを訊きたかったわけではなく、納得できない点に反論したい、あるいは自分の主張を述べたかった。でも直接的な反論や主張は少しはばかられるので、質問という形態をとって婉曲的に主張しようとした・・・こんな経験はありませんか?

こうした「質問の顔をした主張」、質疑応答のシーンではしばしば見受けられます。ある意味、非常に日本的なコミュニケーションの取り方と言えるでしょう。

そして我々は、自分がそうした「質問の顔をした主張」を行った経験があるにもかかわらず、回答者の時にはそれを忘れ、「訊かれたことに答えなきゃ」と思ってしまうのです。その結果質問者が期待していないことを説明し、噛みあわない質疑応答が繰り返されることになります。

質疑応答を意味のあるものにするには、質問の内容(コンテンツ)だけでなく、質問の背景(コンテクスト)をも把握すること、少なくともコンテクストを把握「しようとする」ことが重要です。これはさして難しいことではありません。今日の会議、来週のプレゼンテーションから実践できるはずです。

「この人はなぜこんな質問をするのだろう?」
「そもそも本当に質問がしたいのだろうか?主張したいことがあるのでは?」

これらに少し思いを巡らせるだけでいいのですから。


読者から質問をいただきました。→

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