小さな白い襟のシャツにネイビーのニットというさりげない装いで、あの個性的なボブカットの安藤氏が登場した。その瞬間、アーティストのオーラが漂う。
 しかし、「こんばんは」と話を始めたその口調は、何というか、とてもざっくばらんで気さくで、世界的な建築家という近寄りがたさを全く感じさせない。まるで以前から知り合いであったかと思うような自然な語り口で講演は始まった。

 日本と日本人の本来の素晴らしさを深く理解しているからこそ、現代の日本と日本人の状態に危機感を抱いている安藤氏からは、厳しい警鐘が多く発せられた。
 本質を突いた言葉が次々、心に突き刺さる。時には過激に響くような表現もあったりもする。しかし、同時にたくさんのユーモアも仕込まれていて、はっとして心が引き締しまった次の瞬間、笑いの渦に巻き込まれる。そんな刺激に満ちた2時間だった。

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