磯崎憲一郎氏の小説の書き方は、いささか変わっている。

最初の一文を決める。何日もかけて一文をひねりだす。
書き出しの時点で決まっているのはただこれだけ。設計図もなければアウトラインもない。プロットもモチーフもない。あるのは最初の一文のみだ。

まあ、ここまではいい。
こういう話はどこかで聞いたことがある。「最初の一文を書けば、あとは勝手にストーリーが展開されるんですよ...」的な小説家の話を、過去のどこかで目に、または耳にしたことがある。

しかし、磯崎氏が変わっているのはここからだ。

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