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庄司 克宏「欧州統合は「脱EU」と「奪EU」に勝てるか?―ブレグジットとポピュリズム」

ブレグジットとポピュリズム―ポピュリズムはなぜ生まれて、どうしたら解消できるのか―

庄司 克宏慶應義塾大学大学院法務研究科の庄司克宏教授が、EUにおけるポピュリズム台頭やブレグジットが起こった要因の一つとなった、EUの政治的統治構造について、詳しく丁寧に解説してくださった。欧州におけるポピュリストの不満は、EU域内において、人が自由に行き来できる原則を持っていること、またその原則構造に対し、各国が独立して別の選択をする余地があまりない点にある。庄司先生は、EUから離脱をして、自国の民主主義に基づく政策を推進しようとする英国を「脱EU」派と呼び、EU域内に加盟国としてとどまりながら、ポピュリズムの影響力を拡大しようとする勢力のことを「奪EU」派と呼んだ。後者には、ポーランド・ハンガリーなどのポピュリスト政党が含まれる。

欧州統合の父とも呼ばれるフランスの政治家ジャン・モネは、EUの成立契機を、横暴なナショナリズムが主導した第二次世界大戦に対する反省、と表現している。つまり、そもそも狂犬な国の力を抑え込み、公正無私なテクノクラート(EUコミッション=欧州委員会)に立法発議の主権移譲をすることがEU設立の目的だった。そして、EUでは、域内を単一の市場とみなして、原則として、域内の人・物・サービス・資本は自由に移動できること、となった。国境管理、難民問題、環境政策、単一通貨、対外政策がEUの対象政策分野となる。

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渋澤 健「渋沢栄一の発創力」

渋澤 健

売れる商品やサービスとサステナビリティの統合

渋沢栄一は『論語と算盤』で、「その経営者がいかに大富豪となっても、そのために社会の多数が貧困におちいるようなことでは、その幸福は継続されない」と説いた。すなわちそれは、サステナビリティ(=論語)が経営や金儲け(=算盤)に統合されていなくてはその企業は長続きしないということである。どちらかが欠けてしまっても合理的経営は成立しない。渋澤健氏はこの一見関係性のない論語と算盤を結びつけることを"「と」の力"と称した。

渋沢栄一は、明治6年に日本における資本主義の原点である銀行を設立した。また、600社近くの法人や現在のNPOにあたる組織、病院などの設立に携わった人物としても知られている。銀行の設立にあたり、日本における資本主義は、共感・共助・共創の精神が整った合本主義に基づき、銀行に集まった多くの人々からの預金を循環させ、今日よりよい明日の創出に使うことだと示した。ここでも銀行の役割について、共生と資本の両立である「と」の考え方が用いられている。

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佐宗 邦威「想いを形に変える方法論」

佐宗邦威

あなたの中にある不確かな未来はいつも明るい


将来の理想的な生活を、あなたはどれだけ具体的に描いていますか。自分や自分の大切な人が幸せで、仲良く、こころが沸き立つような将来のイメージを持ちながら生活していますか。夢見た世界が実現するかどうかはわからないけれど、夢を見なければその世界が訪れることはありません。

株式会社BIOTOPEの佐宗邦威さんは、テクノロジーがもたらす日々の変化の速度が人間の一般的な予測をはるかに超えることから、人が今後もよりよい社会を実現していくには、予想だにしない将来としてのビジョンを描く必要性があるといいます。例えば、ドラえもんの道具のように、「こんなものがあったらいいな」という夢を描くことです。また、イーロン・マスクのように「2035年までに火星に行くんだ」と明るく宣言することです。

どうやってやったらよいのかというと、佐宗さんがいうには、こうです。

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海外の真実をとらえ、日本の針路を決める 堤 未果さん

堤未果「ジャーナリズムは、人々に真実を伝えることで、巨大な権力の悪行を暴くことだけでなく、誇るべき状況を共有できるようにしなくてはいけない。」堤未果さんが、同じくジャーナリストのお父さんから受け継いだ言葉である。堤さんは、医療・農業・水産業等の日本の安全保障や人の命にかかわる重要な産業は、常に平等に且つ安価に人々へ配分されるよう、適切な運営と行政による管理が必要であることを、多くの国や地域の失敗事例から導き出してくれた。まさに、海外で起きている真実を伝えることで、多くの権力がもたらす悪行を教えてくれた。また同様に、日本が誇るべきシステムや社会の在り方を認識させてくれた。

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日本発データガバナンスを通じた多様性への目覚め 山本龍彦さん

山本龍彦日本は、G20の議長国となる2019年というタイミングで、AIやビックデータの活用によって、ビジネスにおける国際競争をリードしようとするのみならず、人々の日常の暮らしへ大いにAIを活用しようとしている。

データやAIの活用により、新たなビジネスが生まれ、企業の国際化が推進されることを高く期待している。しかし、慶應義塾大学法科大学院教授で慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュートの副所長でもある山本龍彦氏から、AIのプロファイリングがプライバシーを侵害する可能性があること、人々をAIが検出するアルゴリズムに基づく恣意的なカテゴリーで分類する危険性を持ち合わせていることを説明いただいた。山本教授はその上で、データを活用した新たなビジネスのチャンスを法的枠組みによって適切に管理する必要性を訴えた。

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日本経済の機会とリスク 竹中平蔵先生

タケナカphoto_instructor_991.jpg慶應義塾大学名誉教授であり、東洋大学教授でもある竹中平蔵先生は、開口一番に「日本人は平成の時代に起きてきた海外の出来事について検証を行っていない」と警鐘を鳴らした。令和の時代がしなやかで強い時代であるために、捉えておくべき世界の事象とは何か。グローバルにコネクトされた社会を生き抜くために求められることは何か、考える時間となった。

我々の生きるこの世界では、戦後の世界的復興と同レベルのエネルギーを注いで、World Architectureを再構築することが求められている

スイスで行われている世界経済フォーラムのダボス会議では、各国の経済リーダーが集い、世界の安定的な成長に向けた様々なテーマを討議する。2019年は、ドイツのメルケル首相が提唱した「戦後構築したLiberal World Orderはうまく機能しておらず、我々の生きるこの世界は、戦後の世界的復興と同レベルのエネルギーを注いで、World Architectureを再構築することが求められている」というメッセージが観衆の注目を浴びた。ポピュリズムの台頭や米中対立の最中にある、現在の世界情勢を表すのにふさわしい言葉である。

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