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コンビニの24時間営業問題の本当の原因とは何か 丸谷智保さん

丸谷智保コンビニエンスストアは私たちの生活の一部である。飲料やお弁当、お菓子が買えるだけでなく、公共料金等も支払えるのでとても便利な存在だ。そんなコンビニ業界に衝撃が走った。2019年2月、セブンイレブンのある店舗のオーナーが、自身の判断で営業時間を24時間から19時間に短縮した。その後、本部からは勝手に営業時間を変更したことが、フランチャイズ(FC)契約違反であると、1,700万円の賠償請求とFC解約を求められた。この事件を発端に、人手不足による「コンビニ24時間営業問題」とそれに伴うオーナーたちの悲惨な実態が明らかになってきた。現在は経済産業省主導で営業時間の短縮等の改善が行われている。しかし、株式会社セコマ代表取締役社長の丸谷智保さんによると、問題の本質は24時間営業ではないという。講演では様々なお話をお聞かせ頂いたが、コンビニ24時間営業問題が一番印象に残ったので、ここではその話を中心にしていく。

株式会社セコマが展開するセイコーマートは、北海道を中心に展開する地元の人々に愛されるコンビニエンスストアである。私は今回の講演ではじめて聞いたが、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートを抜いて顧客満足度一位のコンビニエンスストアだそうだ。東京都のコンビニエンスストアの多くが24時間営業だが、セイコーマートは7時から23時までの営業時間の店舗がほとんどだ。北海道だから、24時間営業する必要がないのではと考えてしまいそうだが、24時間営業が問題の本質ではないと丸谷さんが指摘するのは、そこ以外に「FC制度の破綻」が存在しているからだという。

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青柳 直樹「キャッシュレス社会とメルペイの戦略」

青柳 直樹

メルペイが創る「なめらかな社会」

現在はキャッシュレス戦国時代である。paypayにLINE Pay、SEVENpayなどなど、キャッシュレス決済の数は30にものぼり、どの「ペイ」が勝ち抜くのか気になるところだ。

私はメルカリが大好きである。大好きというか、メルカリで売ったり買ったりすることが日常的になってしまった。しかし、メルペイには懐疑的であった。その理由は単純に自分がメルペイを使う機会がなく、メルカリの売り上げもすべて現金化していたことと、割引クーポンが使える場所がファーストフード店やコンビニなど自分はあまり使わないところのものであったからだ。さらに、今年8月発表の決算では、メルカリの経常利益がかなりマイナスになっていたので、個人投資家ではないがメルカリ愛好家である私は、メルペイにまで事業を広げることが心配であった。

しかし、今回のメルペイ代表取締役の青柳直樹さんの講演とNewsPicks佐々木紀彦さんとの対談は、メルペイが可能とする「なめらかな社会」の実現を見据えておられ、希望に満ちあふれ、聴いていてとても幸せな気分になる内容であった。

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高木聡一郎「デフレーミング概念で読み解くデジタル・トランスフォーメーション(DX)の本質」

高木聡一郎デフレーミングとは、高木聡一郎先生の造語である。そして、その定義は「伝統的なサービスや組織の『枠組み』を越えて、内部要素を組み合わせたり、カスタマイズすることで、ユーザーのニーズに応えるサービスを提供すること」であるという。私にとっては初見の概念であったが、とても興味深く、今書いている高等教育系の論文へのヒントがかなり頂けてラッキーであった。

現代のようにデジタル情報技術が普及する以前は、商品やサービスは画一性に基づいたものであった。たとえば、テレビ番組の『8時だョ!全員集合』は土曜の夜8時にやっていて、その時間にしか観ることができなかったので、みんな家に帰って、家族揃ってテレビの前にいた。『東京ラブストーリー』は月曜の夜9時に放映されていたので、その時間には「街からOLが消える!」(表現古!)なんて言われていた。自動車もスニーカーも同じものを大量に生産することで、一つあたりの固定費用を抑えて商売をしてきた。このように、様々な商品やサービスが多くの人が満足できるようにパッケージ化されて販売されていた。

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お金の流れと子どもたちの未来 村上 絢さん

村上 絢「ねえお兄ちゃん、さっきテレビで言ってたんだけど『しきんじゅんかん』てなに?」

「資金循環?お金が流れることだよ」

「お金って流れてるの?まさか、私が夜寝てる間に起き出して動き出すとか!?」

「そういうことじゃないんだよな。いいか。身近な話だと、うちのおばあちゃんはタンスの金庫にお金をしまっているだろ。そうすると、お金はしまったまま使われないで、流れていかないんだ」

「それ、テレビでやってた!!世間では詐欺師みたいに言われてるけど、自分たちが息子のふりしてお年寄りたちの預金をもらって、そのお金でキャバクラに行って、キャバ嬢が儲かれば洋服や靴を買うから、自分たちは滞った経済に流れを作っているんだって、くもりガラス越しでおじさんが喋ってた!!」

「・・・。それオレオレ詐欺だから。流れてるけどそもそも犯罪だし持続性もないから。それよりも日本企業が儲けたお金を使わないで溜め込んでいることが日本経済にマイナスの影響を与えているから、お金をまわす=資金が循環していくようにしていかないといけないんだ」

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本当に健康になれるかつ仕事のパフォーマンスも上がる食事 津川友介さん

津川友介"You are what you eat."とは、「どのようなものを食べたかで、その人の身体は決まる」という意味であるが、多くの人は健康に気をつけたり、気をつけなかったりする日々を繰り返すわけで、日々一貫して食べ物に気をつけている人は少ないだろう。気を付けていたとしても、それが本当に健康に良いのかははっきりとはわかっていないのかもしれない。かくいう私も、大学がラーメンやとんかつの聖地である高田馬場に近いので、ついつい小麦粉系や赤肉系など食べてしまう。津川友介先生の提唱する「科学的エビデンスに基づいた本当に健康になれる食事」からはほど遠い食生活を送っている。

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ビズリーチからはじまる生産性革命 南壮一郎さん

南壮一郎「どれどれ?経歴も申し分ない」
「へー、そんな経験が!」
「即戦力じゃないか!」
「ぜひ欲しい!」
「おい君、彼はいったいどこで!?」

この後に続くのはもちろん「ビズリーーーチ!」である。ビズリーチのテレビコマーシャルは登場人物が少なく、ほぼセリフだけで物語が進んでいくため、映像の派手さもない。しかし何故かインパクトがある。

株式会社ビズリーチは、代表取締役社長である南壮一郎氏が自身の経験からはじめた求職者課金型の転職サイトである。南氏が楽天イーグルス退職後に転職活動をはじめた際、いくつかの転職エージェントに登録して27社を紹介された。しかしそこに同じ企業はなく、求職者と採用者のマッチングプロセスが不透明であり、違和感をもったのがはじまりであった。

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CtoC × デジタルが変える消費行動 小泉文明さん・山本晶さん

小泉文明山本晶メルカリは楽しい。はじめた頃は家にある不要品が売れて、部屋がすっきりすれば満足だったが、やればやるほどはまってしまった。時間があればメルカリを開いて、安くて可愛い洋服が出品されていないか覗いてしまう。メルカリの小泉文明社長兼COOによると、このような行為を「探索」という。「検索」ではなく「探索」。「何かいいものないかなー」とメルカリ内をスクロールするのはまるで「宝探し」のような買い物であり、メルカリが成功した理由でもある。

かつての不要品は捨てるか、友達にあげるか、リサイクルショップに買い取ってもらうぐらいしかできなかった。だけど、捨てるのはもったいないし、リサイクルショップで買い叩かれたうえ、高く販売されるのは嫌であった。しかし、フリマアプリの登場で見知らぬ人とも個人間で取引ができるようになり、不要品の呪縛から解放されるだけでなく社会の経済的厚生が高まった。見知らぬ同士でやりとりするからには、不良品が届くとか、代金が支払われないとかいったような様々なリスクが伴う。そこをメルカリは手数料をとってリスクヘッジしている。匿名配送やユーザー同士の相互評価、商品を受け取るまで代金が支払われないシステムは安心・安全さを与えて、メルカリユーザーを増やした。

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戦略的意思決定とは、見えない機会損失について考えることである 清水勝彦先生

katsuhiko_shimizu.jpg私たちは何かの機会(opportunity)を得る代わりに、何かの機会を失っている。それは他でもなく、時間やお金、身体等の資源が限られているからだ。その限られた資源を効率的に配分(投入)できる企業や個人が高い利益を生み出すことができる。

寓話『アリとキリギリス』で、アリが成功したのは勤勉で「遊び」という誘惑に打ち勝つ強い心があったからではない。限られた資源(時間、労働力)を効率的に配分(夏の間、遊びではなく食料の備蓄)したからだ。よって、目の前の快楽に気を取られ、まだ見ぬ冬のことまで注意を払えなかったキリギリスも「怠け者」という一言では片づけられず、夏の間に「食料の備蓄」という努力を投入するところを、全ての時間を遊びに投入してしまったというように資源投入に誤ったのである。キリギリスが夏中に遊んで人生を謳歌しないで、冬に備えて働いていれば、生活するに困らない食料を得ることができただろう。

この得られたはずの食料が機会損失、言い換えれば夏のレジャーのコストである。清水勝彦先生によれば、機会損失の問題はこのように「見える」ところばかりに気を取られ、「見えない」ことに注意を払わないから起こるという。

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希少性で自分の価値を上げる 藤原和博さん

2003年に発売されたSMAPの大ヒット曲『世界に一つだけの花』の歌い出しにいつも違和感があった。

No.1にならなくてもいい
もともと特別なOnly one

いや、待てよ。「Only oneの人こそが、No.1になるんじゃないか?」と引っかかっていたのだ。
藤原和博例えば、フィギュアスケートの羽生結弦選手は類い稀な運動神経と努力によって磨かれた豊かな表現力でオンリーワンかつナンバーワンの選手である。また安い値段で高品質の商品を提供できるユニクロを展開するファストリテイリングは、オンリーワンかつナンバーワンの企業であり、柳井正氏が世界長者番付で上位に名を連ねていても、まあ当然かなと思う。なので、正しくは「もともとかどうかは別として、特別なOnly oneはNo.1を兼ねている」と夢も語呂もない歌詞を考えてしまうのだが、藤原和博先生の提唱する「キャリアの大三角形」は、まさに「Only one の人材がだいたいNo.1の人材になる」ということなのだ。

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超AI時代における落合陽一さんの考え方

photo_instructor_922.jpg心ってそんなに大事だろうか?

身体よりも心が大事であると、私たちは子どもの頃からそういう教育を受けて育った。
AI(人工知能)の話となれば、人間との大きな違い――心や感情の有無ばかりが取り沙汰される。

「心ってそんなに大事ですか?」

講演のために用意されていたどの言葉よりも、質疑応答で出た何気ないこの一言が、落合陽一さんの考えをよく表している気がした。演題は「超AI時代の生き方・働き方・考え方」。AIについての講演は、他の夕学講演でも何回か聴く機会があったが、今回はこれまでとは違ったメディアアーティストの視点と切り口であり、AIやテクノロジーがどうのこうのという話よりも、落合さん自身の考え方に脳が刺激された感じであった。ここでも、「落合陽一さんの考え方」という視点から、今回の講演について書いてみる。

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