「戦略とキャリアのシフト論」 石倉洋子先生

「きょう、このタイミングで、この話題に触れないわけにはいきませんね」
石倉洋子先生は、まずスティーブ・ジョブスの話から始めた。
彼の人生年表を見て、誰もが気づくことは、ジョブスの56年の生涯は「戦略とキャリアをシフトする」人生であったということだろう。
アップルを創設し、内紛で放逸され、再び復帰した。
PC、携帯音楽プレイヤー、携帯電話、タブロイド端末...いずれもそれまでの概念を大きく変える商品を作り出した。
ジョブスが創造した商品とともに、アップルという会社の戦略も変わってきた。
石倉先生の「戦略とキャリアのシフト論」のイメージを伝えるに相応しい人物だったのかもしれない。
さて、本題。
石倉先生のグローバル時代認識は、「不安定」「不確定」な世界であるということである。中心なき世界では、権力の逆転や秩序の大転換があっという間に起きる。人もお金も情報もオープンに世界を動き回る。
人類の歴史を振り返れば、混乱の時代、乱世は何度かあった。
しかし、混乱はやがて安定し、乱世は統一に向かうのが歴史の必然でもあった。
ところが、今回はそれがあてはまらないようだ。「不安定」「不確定」は当分の間続く、それが多くの人の一致した見解であるという。
「何が起きるか、先はどうなるのかは誰も分からない」
この認識が当たり前になることを受け入れなければならない。
先の見えない混迷な時代に、明日に向かって生きる希望はあるのだろうか。
石倉先生は、「毎日が戦いの場である」と言った。
茂木健一郎氏の言葉を借りれば「不確実性を楽しむ」、鷲田清一先生に言わせれば「わからんことに囲まれていても、なんとか切り抜けていく」ことと同じ意味として理解させていただいた。
つまりは、考えようによっては、可能性がいくらでも開かれている、面白い時代が到来したということである。



















