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今期もありがとうございました。

皆さま

2008年前期の「夕学五十講」は全て終了いたしました。
今期は、延べ6000人を越える皆さまにご受講いただきました。
改めて御礼を申し上げます。

多くの方に来ていただいたということは、それだけ満席になる講演も多かったということで、今期は10講演以上も満席マークが灯りました。
ご希望の回をお聞きできなかった方も多数いらっしゃったのではないかと思います。
こちらもあわせてお詫びいたします。

もう少し大きな会場が丸の内にあるといいのですが...


来期の予定も全て決まっておりますが、今期と同様に素晴らしい方々にお越しいただけることになっております。 乞うご期待!!
申込開始は9/3からになりますので、いましばらくお待ちください。

このブログも9月までしばしお休みをいただきます。
皆さまオリンピックで盛り上がりましょう!! 

それでは。


冨田先生の夕学 <追記>

7日(月曜日)の冨田勝先生の夕学で、藻から軽油をつくる研究について紹介がありました。
講演後の控室で、「実用化のメドはどんなものなんでしょうか」とお聞きしたところ、「5年~10年は無理、夢を追う話です」とおっしゃっていましたが、きょうの朝日新聞のは、デンソーが量産に向けた本格研究に着手すると発表したという記事が載りました。

「藻から軽油を量産へ デンソー、年80トン計画」
http://www.asahi.com/eco/NGY200807080010.html

記事によれば13年までには量産化体制をつくる計画とのこと。

「夢を形にする」というのはこういうことなんですね。

世界でもっとも影響力のある100人

5/16の夕学に登壇いただく山中伸弥先生(京大iPS細胞研究センター長)が、米誌タイムによる「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたそうです。
日本からは、村上隆さんと二人だけとのこと。

既に満席になっていますが、新聞社からの取材依頼なども来ており注目が集まっています。

第25回(7/30) 冷泉貴実子さん

最終25回(7/30)の講師は、冷泉時雨亭文庫 常務理事の冷泉貴実子さんです。

冷泉家は、藤原定家を祖に持ち、「うたの道」を800年以上守り続けてきたお公家さんです。
京都今出川通り、同志社大学の近く、京都御所前にある冷泉家は、現存する唯一の公家住宅だそうです。
冷泉家は、明治の遷都以降、在京の公家が天皇とともに、上京し、それゆえに衰退してしまった公家の年中行事や生活文化を、いまもしっかりと守り続けています。

その直系である冷泉貴実子さんは、大学教授であるお婿さんを当主に迎え、その生活を支える一方で、公家文化や和歌の魅力を多くの人々に語り伝えるお仕事をされてきました。

「見わたせば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮れ」

定家が残したこの和歌を、松岡正剛さんは激賞しています。

見渡しても何もない秋の風景を表現しているに過ぎないのに、日本海沿いの寂しい苫屋の情景がありありと目に浮かんでくる。しかも800年後の日本人にも、その心象風景を共有できる。
見えないものを見る、聞こえない音を聞く。
これぞ、侘びさびに繋がる日本独特の感性です。

今回の講演では、江戸時代まで使われていた太陰暦に着目し、和歌に詠まれた月の季節感や年中行事が、日本の文化に多大な影響を及ぼしたことを解説していただけるそうです。


第24回(7/24) 亀山郁夫さん

第24回(7/24)の講師は、ロシア文学者で東京外語大学長の 亀山郁夫先生です。

昨年光文社が復刊したドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」は、ちょっとした古典新訳ブームを巻き起こしました。
全5巻累計で30万部を超えるベストセラーになったと聞いております。
難解なことで名をはせたロシア文学の古典が、新訳で生まれ変わったことで、格段に読みやすくなり、ブームに繋がったとのこと。

その新訳を担ったのが亀山先生です。

いま、なぜドストエフスキーなのか。 たっぷりとお聞きしたいと思います。

第23回(7/23) 松岡正剛さん

第23回(7/23)の講師は、編集工学研究所所長の松岡正剛さんです。
「知の巨人」「博覧強記」という言葉で思いつくのは、西洋ではレオナルド・ダヴィンチ、日本なら南方熊楠でしょうか。
いま、生きている人でという注釈がつくと、私は真っ先に松岡正剛さんの名前が思い浮かびます。
若くして、伝説的な総合雑誌『遊』を創刊、編集者として培った情報編集の方法論を「編集工学」としてまとめあげ、世に問うてきました。
一貫して在野にあって、歴史・哲学から科学・情報技術まで幅広い領域に精通し、驚異的な読書量と深い思索は、多くの知識人から賞賛を得ています。
なかでも、書評サイト「千夜千冊」は、その質と量において、他を圧倒する超人的な書評として有名です。

この10年は、特に日本文化論に注力を傾け、日本を「方法の国」として捉える独自の日本論を提唱しています。
古くは中国伝来の「漢字」を「万葉仮名」という独自の文字体系に編集し、掌中のものしてきたことからはじまり、文化、宗教、政治・経済の仕組み等々、日本には、外来の「知」を、その良さを活かしつつ、日本流の意味や機能を付加して、多義的、立体的な「知」に作りかえてきた、「方法の国」としての強みがある、と松岡さんは主張します。

圧倒的な知識、大胆な視点転回、はっとするような鋭い解釈等々。
知の巨人、松岡正剛に。快く浸る2時間になるでしょう。

第22回(7/16) 猪瀬直樹さん

第22回(7/16)の講師は、作家で東京都副知事の猪瀬直樹さんです。

夕学には4年振りの登壇となる猪瀬直樹さん。
思えば、前回は小泉内閣のもとで、猪瀬さんが執念深く取り組んだ道路公団改革が、一応の決着をみたばかりの頃でした。
「よくやった」という声と「骨抜きにされた」という賛否両論に評価が割れた一連の取り組みでしたが、高速道路パーキングに次々と大手ファーストフードチェーンや小売り・サービス業が進出し、民営化が目に見える形で進んでいるのを思うと、間違いなく、改革が進んだと言えるのではないでしょうか。

猪瀬さんが、「日本国の研究」で道路施設協会なる公団傘下の天下り組織の問題を指摘して10年以上立ちます。
道路建設による膨大な赤字の一方で、独占企業体として大きな富を蓄積していた協会が、公団職員の天下り機関として守られている実態を暴き、その後、道路公団改革の当事者として白羽の矢を立てられるきっかけになりました。
改革の途上でみせた、猪瀬さんの、執拗なまでの真実追究の姿勢は見事なものでした。外から言いたいことだけを言うのではなく、当事者として問題に切れ込んでいくエネルギーは、大きな仕組みの改革者に求められれるモデルを示してくれたものと思います。

さて、現在は東京都副知事として、国際都市東京の改革に取り組んでいます。
東京が抱える問題は、日本の問題の縮図でもあります。
格差社会の解消と国際競争力の強化という、ともすれば二項対立に陥りがちな、難問を同時に解決するためには、どうすればよいか。
猪瀬さんの取り組みをお聞きしたいと思います。

第21回(7/15) 横山禎徳さん

第21回(7/15)の講師は、社会システムデザイナーの横山禎徳さんです。

横山さんは、マッキンゼーのトップコンサルタントとして30年近く活躍をされてきた方です。
マッキンゼーを定年まで勤め上げるというのも凄いキャリアですが、退任後は関心領域を更に大きく広げ、「社会システムデザイン」というコンセプトを掲げ、みずから社会システムデザイナーとして活躍されています。

「社会システム」を「生活者・消費者への価値提供の仕組み」と定義し、それをデザインすることで社会の問題を解決していこうというアプローチとのこと。
今回は、特に現在の日本が直面する「超高齢化社会」という問題に対峙し、「社会システムデザイン」を使って、新たな展望を提案してくれるそうです。

ちなみに、横山さんは、高橋俊介さんがマッキンゼーでコンサルタントの道を歩みはじめた時の上司だそうです。
今回は、高橋さんの推薦&仲介もいただいてご登壇いただくことになりました。

第20回(7/15) 長瀬勝彦さん

第20回(7/10)の講師は、首都大学東京 大学院教授の長瀬勝彦先生です。

「意思決定」というと、何か重要で特別のことを決めることのように思えますが、実は、私達の日常の生活や仕事は意思決定の連続です。
・朝出かける時に傘を持って出ようか、よそうか。
・きょうは、どの仕事からまず片付けようか。
・昼飯は何にしようか。
・こんどの会議での上司への報告はどんな言い方をしようか
・新しい携帯はどの機種にしようか etc

誰もが経験しているこれらの日常的な意思決定と、企業買収の価格決定などの戦略的な意思決定は、実は、まったく同じメカニズムで行われており、またどんなに冷静に、論理的に考えようとしたところで、ある一定に認知的な歪みにとらわれてしまう点でも同じです。

長瀬先生は、この意思決定の実際を、経営学のフィールドで研究している数少ない研究者です。
岩手は遠野のご出身で、派手ではないけれど、誠実で粘り強く、相手に信頼感を与えてくれる穏和な雰囲気の先生です。

「この講演では、最新の心理学や脳科学の知見を引きながら、働く人の意思決定について考えていきます」とのこと。

人間は間違いを犯すものだという前提に立って、その間違いを出来るだけなくすためにはどうすればよいかを考えていただければと思います。

第19回(7/7) 冨田勝さん

第19回(7/7)の講師は、慶應SFC教授の冨田勝先生です。
冨田先生は、慶應が山形県鶴岡市の協力を得て開設した先端生命科学研究所の所長を務めていらっしゃいます。
この研究所は、最先端のバイオテクノロジーと ITを駆使した新しい生命科学のパイオニア的研究拠点として、2001年に設立されました。
この研究分野を学術的には「バイオインフォマティックス」と呼ぶそうです。
例えば、ある細胞のメカニズムを全てコンピュータ言語で記述すれば、コンピュータ上に疑似細胞を再現することができます。その疑似細胞に、あるウイルスを投与し、細胞がどのような時間経過で、どう変化していくのかをシミュレーションすることで、新薬の開発や治療法の開発に貢献できるわけです。

もともとは、情報科学の研究者として海外でPhdまで修得した冨田先生ですが、その後バイオインフォマティックスを専門分野に定め、SFCで教鞭を取りながら、医学博士を修得してしまったという恐るべき先生です。

山中伸弥先生のiPS細胞の研究が、皮膚から他の器官を作製するのに対して、人間を人間たらしめているDNA情報を、ITを使ってコンピュータ上で再現しようというのがバイオインフォマティックス研究になります。

現在は、がんやアルツハイマーの早期発見技術や、光合成で大気中の二酸化炭素を軽油に変換してくれる究極のエコ微生物「オイル生産藻」など、現実の人間社会の問題を解決するために実用研究に積極的に取り組んでおり、その最新情報もお話いただけるとのこと。
是非、山中先生や福岡先生の講演とセットで聞き比べて欲しい講演です。

第18回(7/4) 瀬名秀明さん

第18回(7/4)の講師は、東北大学特任教授で作家の瀬名秀明先生です。

1995年,27歳の時にSFホラー小説「パラサイト・イブ」を書いた瀬名先生。本はもちろんのこと、映画やゲームにもなって、生命科学ホラーの新境地を開拓しました。

実は、その時は東北大大学院の博士課程に在籍中で、まもなく薬学博士号を修得し、作家と研究者の二足の草鞋で活躍されてきました。

2006年からは東北大の機械系の教授に就任し、現在はロボット研究に携わっています。
鉄腕アトムが生まれて50年。ホンダのアッシモやトヨタのパートナーロボットに代表されるように、アンドロイド型ロボットの実用研究は大きな進歩を遂げてきました。

ロボットに出来ること、ロボットだからこそやれること、ロボットと人間の役割分担等々、ロボットの未来には大きな夢が広がります。

作家として、科学を題材に空想の世界を創造してきた瀬名先生が、ロボットを通して、リアルな世の中にどのような創造力を植え付けようとしているのか、興味が尽きません。

第17回(7/1) 本田由紀さん

第17回(7/1)の講師は、東大大学院准教授の本田由紀先生です。

ニートに代表される若者の就業問題に対して、教育社会学の立場から、切れ味鋭い論評を発表してきた本田先生。
いまの若者には意欲がない、夢がない、辛抱が出来ない等々、大人にとって都合のよい指摘が蔓延している中で、「何が彼らをそうさせたのか」を、あくまでも客観的なデータに基づいて発言してきました。

本田先生は、ニート問題の背景に、日本が「ハイパーメリトクラシー」社会に入ったことをあげています。
学歴や知能指数といった測定可能な実績をもとに構成された実力主義を「メリトクラシー」といいますが、それに「ハイパー」という言葉が付く所以は、従来の実力主義に加えて、人間力、やる気、生きる力といった抽象的で、測定不能な能力が重視される傾向のことです。
これを「ハイパーメリトクラシー」と本田先生は呼んでいます。

重要だと叫ぶ側の人間でさえ、わかりやすく説明することができない、これらの曖昧な能力概念。
その存在が評価される側の若者を苦しめ、不安にさせ、あきらめや無気力を増長しているというわけです。

実務家の立場からは、「ひと言いたい!」と思われる方も多いと予想されるこの見解。
本田先生と建設的な議論ができればと思います。