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2015前期が始まります。講師・講演紹介を始めます。

夕学ヨコシャドウあり.gif皆さん、こんにちは。慶應MCCの湯川です。
昨日2月25日(水)より、2015年前期の『夕学五十講』、申込・予約の受付を開始しました。
早々に満席講演が出たり、"楽しみにしていますよ""いついつ参加しますよ" のお声が届いたり。今期も、たくさんの方にご関心をお寄せいただき、とてもうれしいです。今期も皆さんのお越しをお待ちしています。

本日より、恒例の講師・講演のご紹介をしていきたいと思います。
いつもはレビュアーがリレーで講演をレポートしている「夕学リフレクション」ですが、講演が始まるまでの間、私たち司会を担当します、湯川・保谷・城取がリレーでご紹介していきます。

ブログをリニューアルします!

日頃は、「夕学楽屋Blog」をご愛読いただき誠にありがとうございます。

さて、2005年4月から10年間現在の形式で続けて参りましたが、本日(10/2)から始まる2014年後期の夕学五十講から、ブログの名称と形式をリニューアルすることに致しました。

新名称は「夕学リフレクション」とさせていただきます。
夕学五十講の講義を振り返り、感想・気づき・意味づけ等を皆さんと共有化することを狙いとします。
まあ、このコンセプトは従来とそれほど大きき変わりませんが(笑)、書き手が変わります。

これまでは、講演の司会を担当する城取一成と湯川真理が書いてきましたが、これからは、新たに5人のライターの方にリレー式に書いていただくことにしました。
いずれの方もプロのライターさんではありませんが、慶應MCCのagora講座で開催してきた文章表現ワークショップを優秀な成績で修了された方です。
5人とも、素晴らしい着眼点、文章力をお持ちで、自分の書いた文章を多くの方と共有化することに意欲を持っていらっしゃいますのでおおいに期待をしております。
私城取も少しだけですが書かせていただくことにしましたので、引き続きよろしくお願いします。

今後は、原則として講演日の翌々営業日中にはアップをするつもりでがんばりますが、お仕事もお持ちの方々ですので、万が一の時にはお許しください。

それではこれからもよろしくお願い致します。

(慶應MCC 城取一成)

最終回 1/28(水) 中村和彦さん

最終回の1/28(水)にご登壇いただくのは、南山大学教授の中村和彦先生です。
photo_instructor_751.jpg
中村先生は、組織開発や人間関係トレーニング(ラボラトリー方式の体験学習)に関するアクションリサーチ研究をご専門にされています。

企業の方から「組織開発」という言葉を伺うことが増えてきました。
日本の企業人事が、90年代以降取り組んできた「ハードな変革」(組織構造の変革や制度の変更、戦略の立案)に加えて、個人のモチベーション、部署内でのコミュニケーションや関係性、組織の風土などの「ソフトな変革」が大きなテーマになっているということの証左ではないかと思います。

「組織開発」はorganization developmentの日本語訳で、略してODとも言われます。
けっして新しい概念ではなく、1960年代から、人と組織の問題に関わる研究領域として多年の研究や実践が蓄積されてきた概念です。
中村先生は、日本における第一人者の研究者です。

コーチング、ファシリテーション、プロセスコンサルテーション、ホールセールアプローチ等々、個人のモチベーション、部署内でのコミュニケーションや関係性構築を狙いとした各論的な手法は数多くあって、夕学でも取り上げてきましたが、「組織開発」というのは、もう一歩上位のレイヤーで、それらの手法や理論を包括する"箱"のようなものだと思っていただければと思います。
(これは中村先生の受け売りですが)

冒頭で、「組織開発」への関心が高まっていると書きましたが、その一方で、魅力的ではあるけれど、つかみどころがない、と言われることも多いようです。

●●●●と何が違うのか、□□□□と似ていないか、という声がその代表です。

「組織開発」がわかりにくいということは、私達が各論的な手法に慣れすぎて(こだわり過ぎて)しまい、大きな目的のために手法を使いこなすという柔軟性を失っていることの裏返しでもあります。

うちの会社はもうひとつ元気がない。
みんなの知恵やアイデアを出し合って組織の問題に向き合いたい。
職場や職位を越えた活発な意見交換や議論の場をつくりたい。

そんな課題を抱えていらっしゃる経営者の方、人事部門の方、現場マネジャーの方に、中村先生の講義を通して、「組織開発」というスケールの大きな、そして戦略的な取り組みがあることを知っていただければと思います。

第24回 1/27(火) 長井鞠子さん

mariko_nagai.jpg第24回には、会議通訳者で、サイマル・インターナショナル顧問の長井鞠子さんをお迎えします。

長井さんは、日本における会議通訳者の草分け的存在として、先進国首脳会議(サミット)をはじめとする、数々の国際会議やシンポジウムの同時通訳を担当してこられました。
サイマル・インターナショナルといえば日本初の同時通訳エージェント。日本の経済成長、国際舞台での活躍をまさに担ってきた存在です。長井さんは創設間もないころの同社に入社して通訳者となられ、現在はその顧問として、後進通訳者の育成にも、携われていらっしゃいます。

「同時通訳は格闘技。
瞬間の真剣勝負。」

長井さんはそうおっしゃっています。さらにその瞬間の真剣勝負が続いていく戦いです。NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』で
ご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。50年近くにわたり数々の緊迫した真剣勝負に臨み、戦い続けてこられた長井さんならではの、力強い表現です。と同時に、厳しさや覚悟も伝わってきます。

そんな長井さんが、たくさんの真剣勝負を戦ってこられたからこその"秘伝"を伝授くださるのが、今回の『夕学五十講』です。著書『伝える極意』の内容を中心に、通訳現場でのエピソードやご経験談を交えながら、たっぷりお話くださることと思います。

ところで、社会人になりたてのころ、短い期間ですが私は英語にかかわる仕事をしていました。同時通訳者の方々やその仕事に、直接・間接的に触れることがあり、プロフェッショナルのなかのプロフェッショナルさ、に圧倒されました。実力やセンスのみならず、たいへんな覚悟とたいへんな努力が求められ、それに応えていらっしゃいました。さすがに自分が通訳になりたい、なれると思ったことはありませんが、かっこいい専門職の仕事に憧れていた当時の私は、そんな憧れより自分は、どんな仕事であっても仕事に対する覚悟やプロ意識をもつことからだ、と気づかされたのでした。

長井さんにご登壇いただくことが決まり、ふと思い出しました。ご著書『伝える極意』は、きびしい戦いの現場のイメージとは相反して、やわらかでぬくもりのある口調で、わかりやすく語ってくださっていました。"あの長井さん"のお話を直接お伺いできる。期待が高まり、ぴりりと緊張しつつ、とても楽しみです。

・長井鞠子さん
・株式会社サイマル・インターナショナル 顧問・会議通訳者
・演題:「伝える極意 ―言葉を超えて世界をつなぐ、をめざして」
講師プロフィールはこちらです。

第23回 1/23(金) 内田和成さん

kazunari_uchida.jpg 今期の講師紹介も終盤となってきました。開講も間もなくです。今週の木曜日10/2に始まります。皆さま、お越しをお待ちしております。

さて、第23回 1/23(金)は、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成さんにご登壇いただきます。

内田さんは早稲田大学ビジネススクールを代表する教授のお一人であり、ボストンコンサルティンググループの日本代表も務められた先生でいらっしゃいます。ご存じの皆さま、著書を読まれたことのある皆さまも多いかと思います。

これまで『夕学五十講』にも3度、ご登壇いただきました。ご専門である競争戦略と、プロフェショナルな思考法、両テーマでご講演いただいています。

今回のテーマは、「既存事業の防衛戦略」です。すぱっと言い切るこのタイトルからもメッセージが伝わってきます。

前回の2010年前期のご講演で、「昨日まで取引先や補完関係にあった友軍が、突如敵軍に転じる時代が到来した」、とおっしゃっていました。前回からの間に内田さんのおっしゃっていた通り、ますます競争のはげしいビジネス環境となりました。さらに、変化のスピードが加速し、多様になっています。これまでとは違う思いもよらない相手が、思いもよらない戦略で、思いもよらないときに戦いの相手となることさえありえます。そんな現代における経営戦略のひとつが「既存企業の防衛戦略」です。

企業は、自分たちの既存事業を、"守る"戦略も描けなければならない、と内田さんはおっしゃいます。企業が生き残り、成長し続けるためには、どうしたらよいのか。新たな時代の競争戦略をお伺いいたします。

仮説思考』『論点思考』など、ご著書を読まれている方も多いのではないでしょうか。ご講演もさすがのプレゼンテーションです。ぜひ、たくさんの方に内田さんの"生"の講義も受講いただけたらと思います。

・内田和成さん
・早稲田大学ビジネススクール教授
・演題:「既存事業の防衛戦略 ―新たな挑戦者にどう対応すべきか―」
講師プロフィールはこちらです。

第22回 1/15(木) 西澤直子さん

第22回 1/15(木) に登壇されるのは、慶應義塾福澤研究センター教授の西澤直子先生です。

photo_instructor_754.jpg福澤研究センターというのは、福澤諭吉やその門下生等の事績について幅広く資料収集・調査研究を行い、彼らの視野を通して広く近代日本の研究を行う組織です。

<慶應義塾福沢研究センター>
http://www.fmc.keio.ac.jp/

西澤先生は、大学卒業と同時にセンターの立ち上げに関わり、以来さまざまな立場で研究センターの活動に尽力をされてきました。
現在は、研究センターの中心メンバーであり、2008年の慶應義塾創立150年記念事業でもご活躍をされました。

私は、慶應の卒業生ではありませんが、慶應に来て改めて福澤諭吉の著作を読んでみると、彼の抱いた問題意識がいまもそのままあてはまることに驚かされます。
それだけ普遍性があったということかと思います。

今回、西澤先生がお話される『「一身独立」して「一国独立」す』という言葉は、福澤が生涯をかけて説き続けてきたもっとも大切な教えだとされています。

いまの言い方になおせば、「個の自律なくして、国家の自律なし」といったところでしょうか。
四半世紀を福澤研究と啓蒙に費やしてきた西澤先生から、じっくりとお聴きしたいと思います。

第21回1/9(金) 苅宿 俊文さん

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新年を迎えての夕学五十講は1/9(金)からです。第21回は、青山学院大学 社会情報学部教授、苅宿 俊文さんにご登壇いただきます。

苅宿さんのご専門は、学習コミュニティデザイン論、学習環境デザイン論、教育工学。そしてワークショップ研究と実践の第一人者でいらっしゃいます。

ワークショップ。すっかり身近な言葉となりました。子ども大人問わず、分野問わずいろいろなワークショップが開催されるようになり、企業内研修や人材育成の場でも多々取り入れられています。苅宿さんは、このワークショップを研究・実践し、中心となってワークショップを全国的に広める取り組みをされてこられた方です。

苅宿さんは18年間、小学校教諭をつとめた経歴をお持ちです。ワークショップがコミュニケーション教育として取り入れられている小学校を事例に、こう問いかけられている文章をお見かけしました。

子どもは遊んでいるだけではだめなのか。子どもたちが楽しんでいるのにワークショップをやる意味があるか。

目に見える形の学習が感じられないために、ワークショップは学習なのか、という問いが常につきまとうそうです。苅宿さんは、ワークショップは、「コミュニケーションの場」であり、「他者理解と合意形成を向上させるエクササイズ」であるとおっしゃっています。だからこそ、ワークショップを効果的に企画・運営する専門家が必要であると、専門家教育にも取り組まれています。
そして、このワークショップの本質と可能性に、今回の講演主題であるコミュニケーション力、が込められているのではないでしょうか。苅宿さんの講義を聞き、いま、求められるコミュニケーション力について、皆さんとじっくり考えてみたいと思います。

・苅宿 俊文
・青山学院大学社会情報学部 教授
・演題:「多元共生社会のコミュニケーション力」
講師プロフィールはこちら

第20回 12/18(木) 森田真生さん

masao_morita.jpg 第20回 12/18(木) にご登壇いただきますのは、森田真生さんです。

森田さんは、1985年、東京生まれ。東京大学理学部数学科をご卒業後、独立。現在も研究活動を続けながら、数学の感動を伝えるべく、演奏会や講演会、ワークショップなどの活動をされていらっしゃいます。

数学で演奏会?数学でライヴ?これは斬新です。大学や研究所に所属せず独立して活動されているのも研究者としては新しいかたち。若干29歳。森田さんが新しい時代の研究者でいらっしゃること、そして、想いがあって活動されていらっしゃるだろうこと、プロフィールからも伝わってきます。そんなわくわく感にお応えくださるような、今回の講演タイトルです。

「数学で心と身体を整える」

数学が心と身体を整えるものだ、とは私は考えたことも聞いたこともありませんでした。皆さんのなかには共感されている方や、数学や哲学などがご専門の方もいらっしゃると思いますが、多くの方は、数学がちょっと自分の生活とは別なところこにある存在であったり、もしかしたら苦手意識や挫折感があったりされるのではないかなと思います。私はこれもそうでした。でもだからこそ、「なんだろう。面白そう。」とわくわくして、新しい世界の入口に立てている、のかもしれません。

数学という営みの起源にまで遡れば、極めて「身体的な」行為であることがわかります。
数学という営みの歴史を概観しながら、数学的思考の身体化された側面を、様々な愉快なエピソードとともに、描き出してみたいと思っています。

森田さんはこう、講演への思いを語ってくださっています。そしてあるインタビューでは、こうおっしゃっていました。

「数学は現実の人生と関係しているどころか、この人生をよりよく生きていこうとする探究そのものなんです。」

数学を人間の根本的な営みととらえられるということ、なのでしょうか。未知の神秘的な世界ととらえるより、情緒や感性で意外にもすっとつかめる、新しい出会いになるかもしれないな、と私は予感しています。さて、いかがでしょうか。心と身体を整える森田さんの数学のライヴ授業を皆さんと楽しみたいと思います。

・森田真生さん
・独立研究者
・演題:「数学で心と身体を整える」

講師紹介ページはこちらです。

第19回12/11(木) 安藤俊介さん

syunsuke_ando.jpg 第19回12/11(木)、安藤俊介さんにご登壇いただきます。

安藤さんは、日本アンガーマネジメント協会 代表理事で、日本人初のアンガーマネジメントファシリテーターです。アメリカで始まったアンガーマネジメントを日本に紹介し、普及をされています。

アンガーマネジメントとは何でしょうか。

アンガー、イライラや怒りの感情と、上手に付き合うための心理教育です。1970年代にアメリカで始まり、ビジネスエグゼクティブ、弁護士、政治家、スポーツ選手などを中心に広まったのが始まりだそうです。

アンガー、怒りといわれると大げさに聞こえますが、「イライラ、怒りの感情」と言いかえるととても身近で、どなたもが身に覚えのあるもの、に感じると思います。人間のもつ本質的な感情であることは明らかです。

アメリカ人は、日本人に比べると感情表現が豊かで、ストレートだとよく言われます。映画やドラマ、ニュースなどを見ていると言い争いやケンカ、怒りの場面が多く感じて、素直でいいなと思うこともあれば、驚きや違和感を感じることもあります。けれどもビジネス環境や生活習慣が変化し、多様化もし、ストレスフルな社会になっていて、私たち日本人観のなかでも感情の表現やつきあい方は間違いなく変わってきているともいえるのではないでしょうか。

ところで、今回これを書いていて、私自身、気づいたことがありました。

アンガーにもつはっきりとしたネガティブ感情です。
イライラしていると自分でも心地よくありませんし、イライラしている人のそばは悲しくなります。怒られるのも怒るのもエネルギーがいり疲れますし、怒られるかもしれない不安や、怒ってしまった後悔なども不快です。こうしたマイナスイメージが伴うことで、アンガーは「抑えよう、消そう、なくさなければ」と思います。でも本来、感情とは、素直で正直な現象(人間としての持ち物といえるのかもしれません)であって、抑えたり消そうとしたりできないし、しようとすれば無理がくるはず。目指すのは、上手につきあっていくこと、これに尽きるはずです。

気づいてみれば当たり前ですが、教わることも学ぶこともしないのが、イライラや怒りの感情とつきあい方、です。そしてどなたもが身につけたい、知っておきたいスキルに違いありません。

どうしたらよいのでしょう。安藤さんが真正面からアンガーとのつきあい方、ご紹介くださいます。ヒントをしっかりいただけるようにしっかりお伺いしたいと思います。

・安藤俊介さん
・(一社)日本アンガーマネジメント協会 代表理事
・演題:「怒りをコントロールする技術」
講師紹介ページはこちらです。

第18回 12/9(火) 駒形哲哉さん

第18回 12/9(火)にご登壇いただくのは、慶應大学経済学部教授の駒形哲哉先生です。
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駒形先生は、現代中国経済研究を専門にされています。
10年以上に渡って「中国マクロ経済分析」を継続し、データに基づいた中国経済の客観的分析を続けています。

中国といえば、「社会主義市場経済」という独特の経済体制をとってきました。1992年、鄧小平の南巡講話からはじまったこの経済システムは、社会主義の実現と市場経済という、相反する理念の両立を目指すという中国独特の体制です。
こんなアクロバチックな経済体制が上手くいくはずがない、という西側の見方を裏切るように、中国経済は20年以上も驚異的な高度成長を続けてきました。
GDP世界一の座も、目の前に届くまでになりました。

日本にとって、中国は脅威と羨望と侮蔑の感情が入り交じる、気になる存在です。切っても切り離せない重要な隣国でありながら、心穏やかに見ることができない国です。
中でも、ビジネスに関わる人々にとって、関心が高いのは「社会主義市場経済」の永続性ではないでしょうか。
数年前の反日暴動以降、日本からの経済投資が減少し続けているという事実は、中国経済の頭上に黒雲が湧き起こっているのを感じ取っているからだとも言えます。

危機意識を持っているのは中国も同じこと、今年盛んに喧伝されているのが「新常態(ニューノーマル)」というキーワードではないでしょうか。
7~8%程度の成長率を維持しつつ、格差是正や腐敗防止といった負の側面を同時に実現する経済体制を構築しようという意味のようです。いわば、「社会主義市場経済」第2ステージといったところかもしれません。

果たして中国の「社会主義市場経済」は続くのか?
専門家である駒形先生の講義を通じて、この特異な経済体制が続いてきた仕組みと限界の有無について考えてみたいと思います。

阿刀田高さん「朗読21の会」

小説家 阿刀田高さんが主催されている「朗読21の会」公演のご案内です。

阿刀田さん、前期の『夕学五十講』最終回にご登壇いただき、会場では速報版をお配りしました。ご案内チラシができまして受付もはじまりました。
今回のテーマは「短編小説」。藤沢周平と阿刀田作品が朗読されます。
阿刀田さんによる講演、「短編小説の魅力」もあります。

皆様ぜひ、お出かけください。

朗読21の会公演
短編小説はすばらしい ~藤沢周平と阿刀田高の世界~

会場:内幸町ホール 全席自由 4,000円
日時:10月21日(火)14:30開演
    10月22日(水)18:30開演
    10月23日(木)14:30開演

info_14_panf1.png  小説の朗読を、私は4年前、この会ではじめて聞きました。引き込まれました。人間の声と、呼吸、間合い、ぬくもりによって、言葉が命をもつものなのだなあと感じました。

朗読ははじめてという方、小説がお好きな方、阿刀田ファンの方、朗読に特別関心をもったことがなかったけれど面白そうなことが好きという方、ぜひおすすめです。

第17回12/3(水) 水野学さん

manabu_mizuno.jpg 第17回12/3(水)は、クリエイティブディレクターの水野学さん、お迎えします。

クリエイティブディレクター。

水野さんのプロフィールによると、「ブランドづくりの根本から、ロゴ、商品企画、パッケージ、インテリアデザイン、コンサルティングまで、トータルにディレクションを行う」プロフェッショナル、です。新しくて、おしゃれで、躍動的な、現代的なプロフェッショナルのひとつですね。

皆さんはきっと水野さんがディレクションされたお仕事にあちらこちらで出会われていると思います。いちばんインパクトがあって、どなたもがご存じなのはやはり、くまモン、でしょう。

ゆるキャラのグランプリ。優れたキャラクターデザイン。熊本らしい。キャラクター使用料を無料にした戦略と、すごい商品売上高(2013年はなんと449億円といわれます)。ソーシャルメディアを使ったPR。キャンペーンの連動がうまい。などなど、さまざま、話題になってきました。

誕生秘話もたびたび語られています。はじめはキャンペーンのロゴをデザインする依頼だったそうですが、おまけでつくったキャラクターが採用されてくまモンの大ヒットにつながりました。ロゴではなくキャラクターを誕生させ、デザインだけではなくコンセプトを打ち出し、キャンペーンにとどまらずもっとトータルにプロデュースした、水野さん。ここにクリエイティブディレクター水野学の仕事が、作品が表れています。

そんな水野さんのコンセプトは

「圧倒的なデザインへのこだわり」

だそうです。水野さんは、「どれほど素晴らしいコンセプトをもってしても、最終的なデザインやアウトプットのクオリティ無くして辿り着くことが困難な聖域があります。」とおっしゃっています。圧倒的なこだわりの意味がここからも伝わってきます。

くまモン大ヒットの秘訣は、キャラクターデザインだけでもアイデアだけでもなく、最終的なクオリティの高さとそのトータルプロデュースだったととらえると、経営に必要なブランディングとデザイン、今回の講演タイトルにもすっとつながります。とっておきの、おしゃれで新しい戦略論がお伺いできそうで、楽しみです。

・水野学さん
・クリエイティブディレクター 慶應義塾大学招聘准教授
・演題:「いま経営に必要なブランディングとデザイン」
講師紹介ページはこちらです。

第16回 12/2(火) 谷口智彦さん

photo_instructor_750.jpg第16回 12/2(火)に登壇いただくのは、慶應SDM教授で内閣官房参与の谷口智彦さんです。

谷口先生は、日経ビジネスの経済記者から外務副報道官に転身し、いまは安倍政権の対外発信に関わる戦略的なアドバイスを行う方です。
いただいたプロフィールによれば、「何か日本の(芳しくない)話題が出る度BBCやCNN、Al Jazeera Englishなどに生出演する」とのことですので、安倍政権というより日本全体にとって、海外メディアとのコンタクトパーソンということかもしれません。
今春慶應SDM教授にご就任されるまで、第二次安倍政権の内閣審議官として官邸内で働いていらっしゃいました。4月、慶應正教授にご就任後も「なんとか両立しようと」されている由です。

日本は外交下手、というよりも情報発信下手と言われています。
特に、尖閣問題、慰安婦問題など東アジアの外交政治状況に緊張感が高まっていますが、中国、韓国の積極的な外交広報戦略に対して、日本はいつも後手に廻ってきたという印象は否めません。

ではどうすればよいか。まだ間に合うのか。
ジャーナリストとして世界を取材し、またスポークスマンやPR担当者として政府広報の一翼を担った谷口さんにお聞きしたいと思います。


第15回 11/28(金) 斎籐環さん

第15回 11/28(金)にご登壇いただくのは、精神科医で筑波大学教授の斎籐環先生です。
photo_instructor_742.jpg「ひきこもり」治療など思春期・青年期の精神病理の専門家であり、執筆や講演など文化評論活動でも知られる斎籐先生。ご専門のひきこもりやうつに関する著作はもちろんですが、近年はサブカルチャーや社会評論などでも活躍していらっしゃいます。

なかでも「日本人ヤンキー化論」はメディアでも話題になりました。
斎籐先生のいう「ヤンキー」というのは、見た目は派手で暴力的かつ好戦的、それでいて家族愛や義理人情には厚く、物事を論理的に考えることは苦手(というよりも価値を置かない)だけれども、気合い・根性など精神力は重視する思考・行動特性を持つ人々とでも言えるでしょうか。

昔から一定のボリュームで確かに存在し、独自のスタイルと文化を継承してきたヤンキーですが、斎籐先生によれば、いまは日本社会全体がヤンキー化しているように思えるとのこと。

確かに、ネットの言説の中には、異なる立場の相手との対話拒否を前提として、激しい批判や中傷をぶつけ合う人々が増えました。
また、昨今のブラック企業問題も、雇用者側の問題はもちろんではありますが、あそこまで理不尽な環境でもがんばり続けようという行き過ぎた労働倫理観のようなものが、若者達にあるような気がしてなりません。

ヤンキーには、人間的に「いい奴」が少なくありません。友達にすると、いざという時に助けてくれる愛すべき存在でもあります。
しかしながら、ヤンキー化した社会は、ファナティックな時勢に流されやすいという致命的な欠点があります。ナチスの台頭を許したドイツも、戦前の日本も、ヤンキー的な社会でありました。

若者の精神病理を数多く見てきた斎籐先生が敷衍する「ヤンキー化日本人論」。
楽しみな講演です。


第14回11/20(木) 岸見一郎さん

ichiro_kishimi.jpg 第14回11/20(木)、哲学者の岸見一郎さんにご登壇いただきます。

「あなたが変われば世界は変わる ~アドラーに学ぶ~」

オーストリアの精神科医、アルフレッド・アドラー(Alfred Adler)。
彼が提唱した心理学「アドラー心理学」、その正式名称 個人心理学。学術的名称には馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんが、アドラーが注目した、"個人"という考え、個人次第で世界が変わるという考え方は、多様で複雑な人間関係の社会で生きる現代の私たちにも、身近でヒントの多いテーマといえましょう。それだけにいま、とても注目されています。

アドラー心理学は、人間が人間らしく生きるための方法を教える心理学です。

岸見さんは、アドラー心理学とはどんな心理学かとの問いにこう答えられています。岸見さんの著書、『嫌われる勇気』や『アドラー 人生を生き抜く心理学』のタイトルもまた、その特徴を示していると思います。

誰だって、人に嫌われたくありません。人とうまくやっていきたいと思います。人をがっかりさせたり、傷つけたり、したくありませんし、進んで傷つきたくなんてありません。だからこそ人と関わることが、ときに怖くなります。私もそうです。けれども私たちは、社会のなか、対人関係のなかで生きている、生きる喜びもそこにこそあります。

アドラーは、「自分に価値があると思えるか」なのだと語っています。

人と関わっていく勇気は、社会で生きていく方法論、といえるかもしれません。自分が変われば、世界は変わる。さてそれはどういうことなのでしょうか。アドラーに学ぶ生き方論。講演を聞いてじっくり考えてみたいと思います。

・岸見一郎さん
・哲学者
・演題:「あなたが変われば世界は変わる ~アドラーに学ぶ~」
講師紹介ページはこちらです。

第13回 11/18(火) 中室牧子さん

makiko_nakamuro.jpg 第13回11/18(火)は、慶應義塾大学総合政策学部 准教授 中室 牧子さんにご登壇いただきます。

中室さんのご専門は「教育経済学」です。

皆さん、聞きなれない学問分野ではないでしょうか。そもそも、教育と経済学という言葉が、結びついていること自体が斬新で違和感を感じるかもしれません。私もそうでした。

それはなぜかな、と考えると、教育というと考え方、方針、価値観といった抽象的で感性的な言葉で、いつも話題にしたり議論したりしているからだと気づきました。教育は経済価値(だけ)では測定しえないもの、してはならないもの、という雰囲気さえもあります。

教育経済学とは、教育政策の費用対効果を統計的に分析・評価する学問です。統計データなどの科学的根拠に基づいて判断することを「エビデンスベースト」(evidence based)といいますが、教育の政策についても、エビデンスベーストで検討、意思決定すべきである、ということです。

中室さんの講演紹介やインタビュー記事などを拝見してみると、私たち日本人にあるこの感覚の違和感にこそ、中室さんは問題提議を投げかけられているのだなとわかります。

「教育にエビデンスのある政策を。」

と同時に、中室さんのご専門・研究は、馴染みがない違和感があるなんて言ってはいられない、とても身近でとても大事なテーマなんだとも、気づきました。

「私には子供がいませんが、私には、子育て中のお父さん・お母さんたちに決してわからないことがわかる時があります。」

それは

「どういう教育投資の投資対効果が高いのか。」

お父さん・お母さんに限らず、また、子育てや教育にかかわっている方に限らず、どなたもが知りたい、学びたい話なのです。家庭や教育の現場だけでなく、政策においても、戦略や新事業・商品開発などビジネスにおいても、学ぶに値する新しい分野ではないでしょうか。なぜ、教育にエビデンスなのか。中室さんの講義でしっかり学びたいと思います。

・中室牧子さん
・慶應義塾大学総合政策学部 准教授
・演題:「なぜ教育に科学的根拠が必要か」
講師紹介ページはこちらです。

第12回 11/13(木) 安冨歩さん

第12回 11/13(木)にお話しいただくのは、東大の東洋文化研究所教授の安冨歩先生です。

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安冨先生をご紹介するにあたってこのサイトをよく確認してみると、その研究遍歴の広さに驚かされました。
経済学、人類学、東アジア史、生物学、物理学etc。
ご本人の弁によれば、いまは「社会生態学」と呼ぶ新たな学問の創設を目指しているとのことです。
(そういえば、ドラッカーも社会生態学者を自称していましたね)

安冨先生は、震災後に「東大話法」という概念を使って、ご自身が所属する東大の権威性を鋭く批判して話題になりました。(「東大話法」についてはこちらを

そんな安冨先生が、今年『ドラッカーと論語』という本を出されました。
安冨先生の言葉を借りれば、ドラッカーと論語は、世のビジネスマンの二大聖典だそうです。
確かに書店に行けば、「◇◇◇で学ぶ論語」「ドラッカーに学ぶ◇◇◇」といった類の本が山積しています。
なぜ、日本人はかくもドラッカーと論語に心惹かれるのでしょうか。

これまた安冨先生によれば、彼らの思想は統一的に理解することが出来ると言います。
2500年前の孔子の言行禄とマジメントの発明者の言説にどういう共通点があるのか、どんな補助線を引くことで、彼らの思想に通底する思想基盤が見えてくるのか。
実に興味深い講演です。

第11回 11/11(火) 桜井博志さん

第11回 11/11(火)にご登壇いたくのは、旭酒造株式会社桜井博志社長です。
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旭酒造と聞いてピンと来ない方も「獺祭」というお酒の名前はお聞きになったことがあろうかと思います。 こちらです。↓
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滅多に手に入らない幻の日本酒として有名です。
私は4~5年前、ブームのほんのちょっと前に山口湯田温泉の居酒屋で口にすることが出来ました。甘くフルーティーな味わいに驚いた記憶があります。
獺祭ブランドの金看板と言われている「獺祭 磨き二割三分」は、山田錦を磨きに磨いて、芯部分のわずか23%だけを使うという純米大吟醸です。
大吟醸というのは、23%といかないまでも精米比率が50%を越えるまで磨き上げるために手間がかかり、それゆえ高価です。獺祭は、その大吟醸しか造らないことが特長だと言います。

日本酒の製造は伝統的に杜氏という職人集団が担ってきました。各酒蔵には仕込みの季節になると通い慣れた杜氏さんがやってきて、徒弟的な伝承システムを守りながら酒造りを行いました。杜氏は社員ではなく、言わば請負型の外部専門家のようなものですが、酒造りにおける権限は絶対で、蔵元でさえ口を挟めないといわれています。

実家の酒蔵を継いだ桜井社長は、純米大吟醸に絞り込んだマーケティング戦略を立てましたが、製造に手間がかかり過ぎることや経営への不安から杜氏が酒造りを拒否してしまったといいます。

桜井社長は、「それならば自分達で納得のいく酒を造ろう」とはじめて出来上がったのが「獺祭」だったと言います。
講演タイトルの通り、ピンチをチャンスに変えることで生まれ得たお酒ということでしょうか。

お酒の好きな人はもちろんですが、成熟産業にあって新しい動きを起こそうと努力していらっしゃる多くの方にヒントを与えてくれる講演になると思います。

第10回11/7(金) 中原淳さんと山口孝夫さん

第10回11/7(金)の講演は、東京大学 大学総合教育研究センター准教授 中原淳さんと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山口孝夫さんとの対談です。

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中原さんは、「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織の人々の成長や育成、コミュニケーションやリーダーシップを研究されていらっしゃいます。

山口さんは、JAXAの有人宇宙ミッション本部 宇宙環境利用センターにて、宇宙飛行士の採用や育成に携わっていらっしゃいます。

人材育成のプロフェッショナルとして、異なるご所属と領域で、しかしともに最先端の世界で、研究と実務を積んでいらっしゃるお2人の、はじめての対談です。テーマはリーダーシップ。今回は、JAXAの宇宙飛行士の選抜・育成を事例にしながら、

リーダーシップとは何でしょうか。
リーダーシップは測れるのでしょうか?
リーダーシップとは育てられるのでしょうか?

そんなリーダーシップとその育成をテーマにお2人とご一緒に考えていきたいと思います。

中原さんといえば、何かわくわくするような、最先端の大人の学びをプロデュースされていて、面白そうなことが大好きな先生。研修、講義、OJTといった固定イメージのあったこれまでのビジネスパーソンの学びとは違う、「大人の学び」のあり方ややり方、場のつくり方を考えている方とも表現することができるのではないかと思います。
山口さんは、宇宙飛行士の採用・育成のほか、宇宙環境を利用したさまざまな実験や、宇宙服の開発などにも、取り組まれていらっしゃいます。
こんな中原さんと山口さんの対談です。とても、何か面白いことが起こりそうな、何か思いもよらない議論の展開がありそうな予感がします。

対談
・中原淳さん
 東京大学 大学総合教育研究センター准教授
・山口孝夫さん
 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 有人宇宙ミッション本部
 宇宙環境利用センター 計画マネジャー
・演題:「リーダーシップは測れるのか?育てられるのか?
 ~宇宙飛行士の選抜・育成システムから考える~」
・講師紹介ページはこちら、中原さん山口さん、です。

第9回 11/4(火) 松山大耕さん

第9回 11/4(火)に登壇いただくのは、妙心寺退蔵院の松山大耕副住職です。
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妙心寺は、京都右京区花園にある大寺院で臨済宗妙心寺派の総本山です。京都を代表する禅寺のひとつではないでしょうか。退蔵院は妙心寺の塔頭の一院で、日本最古の水墨画である瓢鮎図を所有するお寺としても有名です。
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松山氏は、京大大学院で生命科学を修了したという理系出身の禅僧です。
弱冠36歳の若き副住職でいらっしゃいますが、進取の精神旺盛に、革新的な取り組みに挑戦してきたことで知られています。

外国人観光客向けに英語で禅の教えを説き、座禅体験が出来るツアーを企画したり、三年間修業付の住み込みを条件にして、無名の若手アーティストに退蔵院の襖絵を描いてもらう「退蔵院方丈襖絵ブロジェクト」を行うなどユニークな活動をされてきました。

なかでも「禅とグローバリゼーション」は松山師が力を入れて取り組んでいるテーマです。
日本の禅宗を代表し前ローマ教皇に謁見したのをはじめとして、世界のさまざまな宗教家・リーダーと交流されてきました。今年はダボス会議に出席して世界のリーダーに向けて情報発信をされました。

MCCでは、この春夏にかけて、臨済宗妙心寺派と共催で『古川周賢老大師に問う【禅の智慧】』を開催しました。

私もこの講座に参加して少し禅を勉強しましたが、つくづく思ったことは、禅の考え方は、いまという時代を生きる私達が抱える問題に重要な指針を与えてくれる、極めて現代的な思想である、ということです。

禅には、「知解分別を捨てる」という教えがあるそうです。
知識・理論・常識・社会的価値観といったフレームを取り去って、自由に現象に向き合えという意味です。
グローバリゼーションの進展によってもたらされた多くの問題や障害は、それぞれの「知解分別」を乗り越えることがいかに重要か、そしていかに難しいことなのかを示唆しているのではないでしょうか。
だからこそ、日本の禅の思想を、世界に発信する意義があると思います。

松山師には、そんなお話を伺えたら嬉しく思います。

第8回10/30(木) 鴻上尚史さん

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第8回10/30(木)は、作家で演出家の、鴻上尚史さんにご登壇いただきます。
今回のタイトルはずばり、「表現とコミュニケイションのレッスン」。

鴻上さんのお名前、お顔、ご活躍は皆さん、メディアや舞台でよくご存じかと思います。『夕学五十講』にも、2005年にご登壇いただいたことがあります。

前回ご登壇いただいたときのタイトルは、「自己演出のすすめ ~あなたの魅力を演出するヒント」。そのときの鴻上さんのお話で

感情を豊かにすれば表情が豊かになるというけれども、その逆もある。新しい表現を身につけることで、新しい感情ももてるはず。」

というメッセージはとても印象的で私もよく覚えています。思い出しても改めて新鮮にさえ響くメッセージです。

前回のご登壇からの9年で、演劇的手法を、表現力やコミュニケーション力のワークショップに用いるというアイデアは、とても身近になったと感じています。大学の授業や研修でもとりいれられはじめています。鴻上さんや、同じく夕学やagoraにもご登壇いただいている平田オリザさんなど、皆さんが積極的にそしてこつこつと取り組んでこられてこそでしょう。

そして、表現力とは、役者さんや特別な方だけの才能ではなくて、私たち誰もが、磨いたり、身につけたり、練習したりできるものだと、私たち多くが共感し実感している証拠だとも思います。けれども、では、どれだけ自分自身が上手になってきただろうかというとドキリ。まだまだです。先ほど、新鮮に響く、と書いたのは私自身の正直なところで、それだけに変わらない本質であり、まだまだであることだなと思います。

さて、今回の講演タイトルは、ずばり、「表現とコミュニケイションのレッスン」。
鴻上さんのことです、楽しく、明るく、やってみたくなるように、たくさん語ってたくさんヒントをくださることでしょう。しっかり学ぼう。楽しみです。

前回のご講演の「夕学レポート」はこちらです。ぜひお読みください。

・鴻上尚史さん
・作家・演劇家
・演題:「表現とコミュニケイションのレッスン」
講師紹介ページはこちらです。

第7回10/28(火) 山本晶さん

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第7回10/28(火)ご登壇いただきますのは、慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授の山本晶さんです。

山本晶さんのご専門は、マーケティングサイエンス。なかでも、インターネットマーケティング、ソーシャルマーケティング、クチコミマーケティングなどと呼ばれる最先端の領域です。なかでも近著のタイトルでもある最新のテーマが、今回の「キーパーソン・マーケティング」です。

メディアも、IT技術の進化も、情報の活動も、そして流行も、人々の意識も、とても変化が速いのが現代社会です。それゆえに予測がむずかしく、戦略立案がむずかしいのですが、なにをすればうまくいくのか、なぜうまくいくのか、紐解くことがまたさらに輪をかけて、むずかしいことが挙げられます。このネットやソーシャルメディアを使ったマーケティングの実践のむずかしさと、ソーシャルメディアの台頭から、山本さんが紐解きのカギとしているのが、「キーパーソン」です。

キーパーソン・マーケティングでは、特別な影響力を持つキーパーソンをどうつかまえるか、思わず発信したくなるのはどういう内容だろうか、という視点から考えるそうです。キーパーソンさえつかまえられれば、コストをかけずに、大ヒットを生むことも夢ではなく、実際にいくつもの事例がでています。しかし、では、と思います。

「どうしたらよいのでしょう。」

山本さんも実際ビジネスの現場の方々からよく「どうしたらよいのか」という質問をされるそうです。広告の予算がとれないのでクチコミで売りたい。流行のソーシャルメディアで何か仕掛けたい。オンライン・コミュニティを開設したもののユーザーの参加が進まない等々。つまり「どうしたらよいのでしょう。」

そうした問いに対する山本さんなりの答えをまとめられたのが、本著であり今回の講演でもあります。どうしたらよいか、という漠然とした問いに正解などありませんが、たくさんの具体的なヒントがあることと思います。あらゆるジャンルのビジネスパーソンの皆さんにとってヒントになるのではとも予感しています。私もとても期待しています。

・山本晶さん
・慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授
・演題:「キーパーソン・マーケティング」
講師紹介ページはこちらです。

第6回 10/21(火) 武田双雲さん

第6回、10/21(火)は、書道家 武田双雲さんにご登壇いただきます。

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武田双雲さんには、「夢の力」と題して、2011年度前期の『夕学五十講』にご登壇いただいたことがあります。再登壇のリクエストをたくさんいただいていましたし、私自身も楽しみにしていました。

ご講演を聞きながら、なんてポジティブで、明るくて、さわやかな方なんだろう!と感想をもち、元気をいただいたのを覚えています。

そのことをよく表しているのが、双雲さんの「夢」。講演の最後に、「私の夢」を語ってくださり、そして、「」の字を伸び伸びと書いてくださいました。その回の楽屋ブログがこちらです。「夢」の字もご紹介していますので、ぜひご覧ください。

双雲さんの「私の夢」は、「世界感謝の日」を創設すること、だそうです。世界中の人々が、この日だけは、絶対の他者を非難せず、感謝をする、というのが「世界感謝の日」です。とても素敵で、ポジティブで、双雲さんらしい夢だなあと思いました。

ですから、双雲さんが今回の講演タイトルでもある『ポジティブの教科書』を著されたときには、ぴったり!と思いました。書店で見かけ、その場で手にとり、一気に読みました。

ご自身とてもポジティブな双雲さんでさえも、「生きていると様々な問題がやってきます。小雨もあれば嵐もある」とおっしゃいます。いいときばかり、晴ればかりではない。だからポジティブでいるための心構えが必要です。
では、どうすればよいかというと、ただ前向きになろうとする無理やりなポジティブでは、勝てないそうです。必要なのは、クリエイティブで、良質なポジティブ。ポジティブに質があるとは!

双雲さんのポジティブはきっと、とびきり良質で強力です。そんな双雲さんに学ぶポジティブの方法論。とても楽しみです。

・武田双雲さん
・書道家
・演題:「ポジティブの教科書」
講師紹介ページはこちらです。

第5回 10/15(水) 松崎一葉さん

第5回、10/15(水)、筑波大学医学医療系教授の松崎一葉さんにご登壇いただきます。

ichiyo_matsuzaki.jpg ストレス、メンタル、ストレスマネジメント、こうした言葉もずいぶん身近になりました。それだけに、ストレスやメンタルが、私たちのすぐそばに、日常に、あってそう認識されている、ともいえます。

今回はとてもユニークな切り口で、究極のプロフェッショナルから、メンタルマネジメントを学びます。宇宙飛行士。

松崎先生のご専門は、産業精神保健学、宇宙航空精神医学です。宇宙飛行士の採用、トレーニング・育成、メンタル・健康管理をされていらっしゃいます。

『アポロ13』という映画がありました。

トム・ハンクス主演で、ロン・ハワード監督による迫力と緊張感あふれる作品でした。はじめて見たのは20年近く前ですのに、よく覚えています。トム・ハンクス扮する宇宙飛行士が、あれほどまでに希望を持ち続けることのできる、"強さ"にとても感動しました。

宇宙飛行士といえば、選ばれた方のなかの選ばれた方だけがなれる、英雄的なプロフェッショナル。けれども生命の危険さえも伴う想定しえない危機が連続する、極限のストレスフルな、非常に厳しいプロフェッショナルでもあります。

そんな宇宙飛行士には、論理的で合理的な問題解決能力に加えて、「情緒的な内界の豊かさ」と「意思の力」が求められる、と松崎先生はおっしゃっています。トム・ハンクス扮する宇宙飛行士の姿に重なります。

一方で、現代人は、誰もが非常にストレスフルな日常に生きている、とも松崎先生はおっしゃっています。
これは宇宙飛行士たちに通じるものです。彼らが直面する極限のストレスと、その究極のメンタルマネジメントには、私たち現代のビジネスパーソンにとっても、ヒントやアイデアがあるはず。そんな思いから、松崎先生は今回『夕学五十講』にご登壇くださることと思います。

宇宙飛行士に学ぶ、「知・情・意」のメンタルマネジメント。大いに学びたいと思います。

・松崎一葉
・筑波大学医学医療系 産業精神医学・宇宙医学グループ 教授
・演題:「知・情・意のメンタルマネジメント」

講師紹介ページはこちらです。


経営センスとは、抽象と具体の往復運動である。 楠木建さん

photo_instructor_682.jpg「歌って、踊れる唯一の経営学者」を自認する楠木建先生の夕学講演。
まずは3年前のブログを読んでもらいたい。
ビジネス書として画期的な売れ行きを記録した『ストーリーとしての競争戦略』にちなんだ講演を聴いてまとめたものだ。

「イケてるストーリーが人を動かす」
2010年10月 6日

「競争戦略の本質はこの二つに尽きる」と、楠木先生は言う。

「違いをつくること」と「つなげること」である。

戦略をストーリーとして語れるかどうかは、「つなげること」にかかっている。
多くの場合、戦略は「違いをつくること」に止まる。つまり静止画でしかない。動き、流れをもった動画として「つなげること」で、戦略はストーリーになる。

ではなぜ、静止画で止まってしまうのか。
それが今回の講演の主題である。

担当者と経営者の本質的な違いを理解していないからだ。
楠木先生は、そう喝破する。
経営者とは、商売全体丸ごとを動かし成果を出す人。
これに対して担当者は、ある一つの機能を部分として担い、方法論を駆使して答えを出す人といえる。

経営者に必要なのは「センス」であり、担当者に求められるのは「スキル」である。

「センス」とは、
定義や記述があいまいで、良し悪しを計る物差しがなく、千差万別。努力したかといって上手くいくわけではないし、育てることができない。よって代替もきかない。

「スキル」は
標準的な定義が社会に共有されており、物差しで多寡を測ることができる。努力すればある程度は獲得できるので、育てることが出来る。だから代替が利く。

経営者の「センス」と担当者の「スキル」を組み合わせることで理想的な経営となるはずが、両者の混同が」散見される。
代表取締役担当者のような人が、「スキル」で戦略を立てようとするから、静止画どまりの戦略に陥る、というわけだ。

続きを読む "経営センスとは、抽象と具体の往復運動である。 楠木建さん"

第25回 1/31(金) 篠田謙一さん

最終回の第25回 1/31(金)に登壇いただくのは国立科学博物館で人類史を研究する篠田謙一先生です。
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太古の昔、アフリカの大地で誕生した私たちの祖先=ホモ・サピエンス(現生人類)が20万年という途方もない年月をかけて世界中に散らばり、人類の歴史を紡いできた「グレートジャーニー」と評される旅路は、壮大なロマンを感じさせてくれるテーマであります。

人間のDNA分析を考察することで、人類の旅路の行程が急速に解明されてきたのはつい最近のことだと聞きます。篠田先生は、その専門家です。
私たち日本人は、いつ頃、どういう経路を辿って、どんな人々と交じり合いながら、この列島に辿り着いたのか。
いわば「日本人の起源」がDNA研究から読み取れるようになったということです。

篠田先生によれば、その結論は、「単一民で同質性が高く、閉鎖的な社会を形成してきた」というステレオタイプの日本人論を覆すものだったといいいます。

「日本人らしさ」を言う前に、そもそも日本人とは何なのか、欧米やアジアの他民族とは何が、どうして違うのかを、DNA研究の知見から考えてみたいと思います。

第24回 1/28(火) 国領二郎さん

第24回 1/28(火)は慶應SFCの国領二郎先生の登壇です。
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90年代のIT黎明期から、ITの進化が企業経営をどう変えていくのかを研究してきた国領先生。あまりにも有名な「オープンネットワーク」概念の提唱をはじめとして、この世界をリードしてきた経営学者です。
現在は、慶應義塾の常任理事として学校経営を担う、慶應の大黒柱のお一人でもあります。

夕学には、2001年の第1回シリーズから何度か登場していただいてきましたが、今回は今春出版された『ソーシャルな資本主義』(日本経済新聞出版社)にちなんだ講演をお願いしました。

ITの本質は、「従来見えなかったものが見えるようになること」や「従来は切れていた関係がつながるようになること」だと、国領先生はいいます。
見えないものが見えること、遠く離れていた存在とつながるようになることで、経済や社会はどう変わるのか、それは新しい資本主義のかたちとも呼べるものなのか。

「いいですか、ここが大事なとこですよ。聞き逃さないでよ!」

そんなオーラを発散しながら、ささやくように語る国領節に耳を傾けながら、新たな経済社会と経営の姿を考えてみたいと思います。

第23回 1/21(火) 山崎亮さん

第23回 1/21(火)に登壇いただくのは株式会社studio-L代表で、京都造形芸術大学教授の山崎亮さんです。
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山崎さんは「コミュニティデザイン」の専門家であり、啓蒙者です。

「現代社会における問題は複雑化しており、多くの人のアイデアを組み合わせながら解決策を検討する必要がある。また、解決策が提示されるだけでは解決に結びつかず、実際にその解決策に取り組む人の力が重要になる」
という山崎さんの言葉にあるように、21世紀は「熟議・衆議の方法論」が必要とされる時代となりました。

組織経営の世界では、「ホールシステムアプローチ」という手法が注目されています。クリエイティブに携わる人達には「ワークショップ」メソッドが広まっています。
山崎さんの「コミュニティデザイン」も、そんな熟議・衆議の方法論と言えるのではないでしょうか。

山崎さんは、地域開発や街づくりのプロジェクトで、住民参画型のソリューションとして「コミュニティデザイン」の方法論を確立してきたと言います。

多様な価値観を持つ人々とどのように合意形成をすればよいのか。
受身ではなく、当事者として問題に関わってもらう主体性をどのように醸成すればよいのか。

多くの現場に関わってきた山崎さんのお話を通して考えてみたいと思います。

第22回 1/16(木) 安田菜津紀さん

第22回 1/16(木)はフォトジャーナリストの安田菜津紀さんが登壇します。
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写真をご覧いただけばおわかりのように、26歳の美人ジャーナリストの安田さんですが、カンボジアを中心にアジア・アフリカの紛争頻発地域で貧困にさらされている子供達の姿を伝えることを使命とする硬派です。

安田さんが寄稿している「シノドス」というジャーナルサイトの記事によれば、彼女が貧困問題と向き合うきっかけは、学生時代の体験にあるといいます。
母子家庭の家計を支えてきたお母様が癌を患い、生活保護の申請を考えた際に直面したのは、対貧困政策が貧困の連鎖を招きかねないというパラドクスだったといいます。

ギリギリの生活ゆえにまさかの事態に備える余裕をもてない。備えがないゆえにちょっとしたことで貧困に陥る。
貧しいゆえに教育を受けることができない。教育がないからいつまでたっても貧しさから抜け出せない。
貧困の連鎖は、世界の至るところにあります。

そんな現実を自分が撮った一枚の写真を通して、世界に伝えることで世界を変えるきっかけにしたい。

それが、安田さんがジャーナリストを目指した原点だそうです。
東日本大震災以降は縁を頂いた陸前高田市に通い、海と共に生きる人々を追い続けているという安田さんの話を通して、世界と日本の貧困を考えます。

第21回 1/14(火) 川上真史さん×塚越慎子さん×田幸知有紗さん

第21回 1/14(火)は、人事コンサルタントの">川上真史さん、マリンバ奏者の塚越慎子さん、フリーアナウンサーの田幸知有紗さんのお三方による鼎談で、「グローバルビジネスパーソンの教養」について語り合っていただきます。

川上さんは、日本におけるコンピテンシー導入&普及の第一人者。
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塚越さんは、現在最も注目を集めるマリンバ奏者の一人。
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田幸さんは、映画、経済番組のMCやリポーター、ライターとして活躍するフリーアナウンサー。
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一見なんのつながりも見えない関係のようですが、三人に共通するのが「音楽」なんです。
川上さんは、京大オーケストラでフルートを演奏していたという本格派、田幸さんも国立音大声楽科の出身です。

お二人がマリンバ奏者の塚越さんをゲスト&プレイヤーとして間に挟んで、教養としての音楽を語り合います。

川上さんによれば、教養には二種類あるとのこと。
グローバルに働く人間として「これは知らないとまずい」という必須知識としての教養がそのひとつ。
もうひとつは、持っていることで世界が広がり、関係が深まることにつながる教養。

前者が守りの教養とすれば、後者は攻めの教養。音楽とは攻めの教養に他なりません。
川上さんも、田幸さんも、教養としての音楽があったことで、新しい世界を拓き、多くの人と知り合うことが出来たといいます。
そして、この三者のアンサンブルこそが、教養としての音楽が可能にした新しい関係性でもあります。

第20回 1/9(木) 出雲充さん

第20回 1/9(木)は株式会社ユーグレナの出雲充社長の登壇です。
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ユーグレナ(euglena)というのは「ミドリムシ」の学名なんだそうです。あの単細胞微生物のミドリムシです。
なんとユーグレナ社は、ミドリムシの食用化を事業とする会社、しかもマザーズに上場しているいま注目のベンチャー企業なんです。

東大農学部出身の出雲社長は、学生時代から「世界の食糧問題を解決したい」という大きな夢を持っていました。
その夢を実現する手段がミドリムシだったということなんです。

ユーグレナ社のwebサイトにある代表挨拶には次のようなメッセージが綴られています。

ミドリムシは水と光と二酸化炭素があれば育つことができ、 その生産効率は稲の80倍とも言われています。 また、人間が必要とする栄養素を豊富に備えているため、 食生活が乱れた現代人にも良いものです。 いずれはこのミドリムシを栄養事情が悪い国で生産することで、 食料問題、そして国家間の紛争などの問題解決に 一歩近づくことができると私たちは考えているのです。

下等生物?であるミドリムシが夢のような可能性を秘めていることに驚きませんか?

ユーグレナ社が実際に食用化した商品群には
ユーグレナサプリメント、ユーグレナ青汁など、「まあ、そうだろうな」と想像がつきやすい商品はもちろんのこと、クッキーやラーメン、米、塩まであって、もう一度驚かされます。

「ミドリムシで世界を救う」
出雲社長の途方もなく、そして夢が一杯のお話を聞いてみたいと思います。

第19回 12/11(水) 東浩紀さん

第19回 12/11(水)は、思想家で作家の東浩紀さんが登壇します。
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在野の若手思想家として論壇で活躍する東さんは、テレビに出るようなタイプの方ではありませんが、知る人ぞ知る行動派知識人です。

株式会社ゲンロンの代表として、webベースの情報発信やイベントと連動した会員制のゲンロンコミュニティを運営していらっしゃいます。
社会時評や政治思想の世界には、戦前から総合論壇誌というジャンルがあって日本のオピニオン形成に大きな役割を果たしてきましたが、朝日の『論座』、講談社の『現代』、文藝春秋の『諸君』と廃刊が相次ぎ、論壇の危機と言われる状態にあります。

一方で、WEBベースの新しいメディアも登場し、新たな論壇の場も形成されつつあります。先般、夕学にも登壇いただいた津田大介さんや東さんは、その担い手といってもよい存在ではないでしょうか。

今回の夕学では、数年前に話題になった東さんの著書『一般意志2.0』をベースにして、ネット社会に登場が予見されている「新しい民主主義のかたち」についてお話いただく予定です。

「一般意志」は、ご存じの方も多いかと思いますが、250年前にルソーが唱えた民主主義のキーコンセプトです。

すべての共同体の主権者である人民は「一般意志」の行使という形で主権を行使する。
「人々が十分な情報をもって議論を尽くし、たがいに前もって根回ししなければ、わずかな意見の違いが多く集まって、そこに"一般意志"が立ち現れてくるはずだ」

ルソーは、人民主権の原理をそう定義しました。

想像上のフィクションに過ぎないと批判されることも多かった「一般意志」の概念ですが、ネットという社会テクノロジーは、ひょっとすると、かつてルソーが描いた理想的な民主主義の姿を可能にするかもしれない、と東さんは言います。

ネットが可能にする「もうひとつの民主主義」
それを考えてみたいと思います。


第18回 12/10(火) 平松博利さん

第18回 12/10(火)に登壇いただくのは、高級レストラン「ひらまつ」を展開する(株)ひらまつの平松博利社長です。
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(株)ひらまつは、「ひらまつ」を中心に、フランス料理、イタリア教理の高級レストラン24店舗を経営する東証一部上場企業です。
高級レストラン群を多店舗展開するレストラン企業というのは、世界でも類を見ないことだそうです。
売上高は110億円、経常利益19億円(経常利益率17%強)の超優良企業。しかも毎年増収増益を続けています。
飲食業で経営的に注目されるのは、低価格路線のチューン店と相場が決まっていましたが、高級ブランドと高収益経営を両立するひらまつの成功は、業界の通念に棹さす稀有な例といえるでしょう。

さらに平松社長の推薦図書が渋沢栄一の『論語と算盤』と知って、正直しびれました。
著者の渋沢栄一は、論語の説く社会観念と日本の商人道が尊んできた商道徳には通底する共通点があることを喝破しました。

平松社長の歩いてきた料理人としての道と経営者としての人生にも、きっと同じ共通項があるのかもしれません。

第17回 12/6(金) 菊池桃子さん

第17回 12/6(金)はタレントの菊池桃子さんの登壇です。
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なぜ菊池桃子さんを夕学にお呼びするのか、しかも「大人の学び」について話していただくのか、ということを意外なことと思われた方も多いかと思いますが、その理由は、菊池桃子さんが「大人の学び」の実践的研究者であり、啓蒙的教育者でもあるからです。

タレント活動の傍ら法政大学大学院政策創造研究科で雇用政策を学び、修士の学位をお取りになりました。
現在は、母校の戸板女子短期大学にてキャリア教育に従事し、NPO法人キャリア権推進ネットワークの理事も務めていらっしゃいます。

今回は、法政大学院で同門(諏訪康雄ゼミ)の鈴木美伸さんに仲介していただきました。鈴木さんありがとうございました。

15歳で芸能界に入り、結婚、出産、病気、離婚とさまざまな経験を重ねながらも、デビュー当時の清潔感と聡明さを失わずに、着実に自らのポジションを確立してきたように見える菊池さんが、39才でなぜ、大学院で女性のキャリアを学ぼうと思ったのか、仕事と研究をどう両立させたのか、そしていま「大人の学び」に何を思っているのか、お聞きしたいことはたくさんありそうです。

第16回 12/5(木) 小幡績さん

第16回 12/5(木)に登壇いただくのは慶應ビジネススクールの小幡績先生です。
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夕学は3度目の登壇になる小幡先生。東大卒、元大蔵官僚、ハーバード大Ph.D.という華やかなキャリアと、童顔でPerfumeファン、競馬ファンというアンマッチイメージが何とも魅力的な先生です。

アベノミクスに対しては、当初からはやや批判的な論陣を張っていました。株高、円安が進んで反アベノミクスの論客がおとなしくなっても、堂々と対論の場に立ち、たったひとりで闘っている感があったのも小幡さんらしい姿勢で好感が持てました。

思えば小幡さんの主張は、リーマンショック直後に刊行した『すべての経済はバブルに通じる』以来首尾一貫しています。

21世紀は、資本が余る時代である。
フローの蓄積で産み出された資本は、次の投資先を見失いつつある。いち早く投資先を見つけ出す「目利き」ができる者だけが儲かる。
「目利き」が出来ない者の資本は、どこかに集まり、バブルを引き起こす。
その文脈で読めば、現段階でのアベノミクスは、ミニバブルの予兆のようなものに過ぎない、ということかと思います。

そしてまた、アベノミクスの目先の成否を問うよりも重要なことは、移行期を迎えている資本主義社会にあって、日本と日本の企業はどういう道を歩むのかという根本的な議論だということではないでしょうか。

力と度胸に依存する市場は、中国や韓国に委ねよう。
成熟社会の歴史的経験を蓄積しないと出来ないことに特化した、日本ならではの経済社会を築く必要がある。
そんな小幡先生の持論をお聞きしたいと思います。

第15回 11/27(水) 池内了さん

第15回 11/27(水)は、総合研究大学院大学教授で科学者の池内了先生です。
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宇宙論を専門に研究されてきた池内先生ですが、近年は科学・技術・社会の交差領域に関わる時事評論やエッセイなど科学啓蒙的な活動にも取り組んでいらっしゃいます。

3.11以降「科学の限界」「科学技術への不信」などの言葉が飛び交うようになりました。科学の専門家によれば、科学と科学技術は似て非なるもので、その混同を改めることから始めねばならないということかもしれません。

純粋な理論の世界である「科学」と、科学の知見を活用しているものの現実の社会への関わりを重視する「技術」とは、自ずと異なる理解の仕方が必要です。
技術の使い方を間違えたり、発展途上の技術が失敗を招くことはありますが、それが科学そのものが間違えていること、制御不能に陥っていることではありません。何があろうとも科学の有用性は揺るがないもののはずです。

と、思っていたところ池内先生の講演内容紹介文を読むと、「現代科学はさまざまな限界にぶち当たっている」とあります。現代の純粋科学は収穫逓減期にさしかかっており、科学は終焉に向かっているという論がある、とのこと。

科学に精通し、科学と社会の接点を深く考えている池内先生が語る「科学の限界論」です。

第14回 11/26(火) 宮崎辰さん

第14回 11/26(火)に登壇いただくのは、東京恵比寿の3つ星フレンチ「ジョエル・ロブション」プルミエメートル ドテルの宮崎辰さんです。
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メートル ドテルというのは、レストランにおけるサービスのプロフェッショナルです。シェフと並んでお店の価値を形成する極めて重要な役割だと言われています。

顧客満足(CS)の理論では、顧客満足の提供には、商品の性能・品質といった「機能的価値」に加えて、サービスやブランド、スピリッツといった「意味的価値」を積み重ねなければならない、と言われています。
メートル ドテルというのは、この「意味的価値」の提供を担う現場の責任者という役割ではないでしょうか。

お父さんが愛読していた『Danchu』の影響で料理に興味をもち、料理人の世界を志した宮崎さんは、理由あって、シェフからメートル ドテルに路線を変更したといいます。
以来、サーヴィスマンとして腕を磨き、ついに昨年「クープ・ジョルジュ・バティスト」サーヴィス世界コンクール東京大会で優勝の栄冠に輝きました。
世界の一流レストラン、ホテルから集まった300名のライバルに打ち勝っての優勝だそうです。
ご著書の『世界一のおもてなし』(中経出版)もベストセラーとなり、日本中が注目するサービスのプロといえるでしょう。

東京オリンピック招致で活躍した滝川クリステルさんが、得意のフランス語でIOC委員を前に力説したのも、日本人の「おもてなし」の精神でした。

宮崎さんの話を通して、日本が世界に誇り、認められた「おもてなし」について考えてみたいと思います。


第13回 11/21(木) 駒崎弘樹さん

第13回 11/21(木)に登壇いただくのは、社会起業家の駒崎弘樹さんです。
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駒崎さんのお名前を初めて聞いたのは7年も前のことになります。慶應SFCの金子郁容先生の講演でお聞きしたのが最初です。「ソーシャルアントレプレナー」という言葉もこの時に初めて知りました。

駒崎さんが創設し、いまも代表理事を務めるNPO法人フローレンスは、日本のソーシャルアントレプレナーの草分けであり、もっとも成功している組織のひとつです。

1. 社会をより良くしようというミッション性が明確にある。
2. 経済的リターン(利潤)と社会的リターンの両立ができること。
3. 継続的な事業として社会の問題を解決していくこと。
4. イノベーションを実践していること

金子先生によれば、これがソーシャルアントレプレナーの定義になりますが、フローレンスは、その全てにあてはまる組織です。

病児保育、待機児童問題、ひとり親支援といった、働く母親にとって避けられない社会問題に正面から取り組み、しかも継続的な成長と着実な利益を実現しています。
成熟社会の新しい公共のあり方として、成功例を提示してくれる存在といえるかと思います。

最近は政府の審議委員なども積極的に引き受けて、社会起業の啓蒙活動にも取り組む駒崎さんは、いまや日本を代表する若手有識者のひとりになりました。

社会を変えること、継続的な事業体として自立すること、これまで相反するといわれてきたアプローチの本質をお聞きします。

第12回 11/19(火) 長谷部葉子さん

第12回 11/19(火)は慶應SFC准教授の長谷部葉子先生が登壇されます。
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異言語・異文化コミュ ニケーションを基軸にした教授法・カリキュラムデザインを専門にする長谷部先生。別名「慶應SFCのビッグママ」と呼ばれる人間味溢れるユニークな先生です。

長谷部先生を推薦してくださったのは、新進気鋭の行動派社会学者として活躍している古市憲寿さんです。この春に夕学に登壇された際に、「長谷部先生は素晴らしいですよ」と推薦いただきました。古市さんは長谷部先生の教え子のおひとりです。

長谷部先生は、大学教員としては異色のキャリアを歩んできました。
若い頃は、不登校、いじめ、病気、高校・大学受験失敗など、ありとあらゆる挫折を経験してきたといいます。
そこからの問題意識で、20代半ばから寺子屋(私塾)を立ち上げ「子どもたちを死なせない、活き活きと活かす教育」に取り組み続け、35歳で大学入学、40代で大学院修了後、現職につかれました。ゼミは発足してすぐに学生達のこころを掴み、SFCきっての人気ゼミになったと聞いています。

今回、長谷部先生にお願いしたのは「人生論」のお話です。
波乱の人生を歩んでいらした長谷部先生と一緒に、「しあわせ」「生きるということ」「希望」などを語り合う時間になればよいかと思います。

第11回 11/15(金) 髙階秀爾さん

第11回 11/15(金)に登壇いただくのは大原美術館館長の髙階秀爾先生です。
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ルネッサンス以後の西洋美術を専門とする髙階先生ですが、日本美術にも造詣が深くその方面の著作も多数あります。美術史家としてはもちろんのこと、美術の素晴らしさを世に伝える啓蒙者としても大活躍をしていらっしゃいます。

髙階先生にいただいた講演内容によりますと、今回の講演のテーマは、「言葉とイメージの競演」だそうです。

詩を読むこと、うたを詠むことは言葉で絵画を描くことに通じ、絵を描くという行為は声にならない詩・うたを創ることでもある。
髙階先生は、そうおっしゃいます。

古今の芸術作品を紐解きながら、芸術様式の違いの裏側に通底する美意識の同一性についてお話いただけるものと思います。

第10回 11/12(火) 安藤忠雄さん

第10回 11/12(火)は、建築家の安藤忠雄さんが6年振りに登壇されます。
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いやー、安藤さんの人気はスゴイですね。
8/29 午前10時に申込・予約を開始して、午後に入るとすぐに満席マークが灯ってしまいました。恐れ入ります。

安藤さんには、何度も夕学でお話していただいてきましたが、いつもその時代に向き合いながら建築を考えている方だという印象を持っています。

最初に来ていただいたのは12年前でしたが、ニューヨークの9.11テロ跡地ビルのコンペに参加した作品を紹介していただきました。
前回(2007年)には、ドバイの海洋博物館のお話がありました。
今回は、どんなお話を聴けるのでしょうか。

思えばこの6年間は、世界も日本も未曾有の事態・災害にさらされつづけてきました。
経済・自然環境、国際関係図と日本の位置取りが大きく変化する中で、これからの日本、建築そして私達に必要な力について、安藤さんにお考えをお聴きできればと思います。

第9回 11/7(木) 三浦雄一郎さん

第9回 11/7(木)に登壇いただくのは、今春80歳にしてエベレスト登頂に成功したプロスキーヤーの三浦雄一郎さんです。
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前回の登壇は2008年、75歳で二度目のエベレスト登頂に成功した年のことになります。トレーニングのために日常も履いているという鉛入りの靴をゴツゴツと響かせながら会場に来てくれたことをよく憶えています。

三浦さんの話によれば、エベレスト山頂付近の酸素濃度は6%、通常の三分の一程度の薄さとのこと。普通なら、人間が酸素濃度6%という環境にいきなり放り込まれると、3分で卒倒し、5分で死に至るのだそうです。
恐るべき過酷な環境です。

「年を取ったら無理をするな」というけれど、私にとっては、それは間違い。
「年を取っても無理をする」でないと冒険は出来ない。
夢中にさえなれれば道理も引っ込む
三浦さんは、そう言ってのけました。

5年前の約束を果たし、見事三度目の登頂に成功した三浦さんが、いま描いている夢は何なのか、道理を越えたビッグビジョンをお聞きしたいと思います。

第8回 10/31(木) 橋爪大三郎さん

第8回 10/31(木)の夕学には、社会学者の橋爪大三郎さんが登壇します。
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『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』とベストセラーを連発している橋爪先生。
慶應MCCでは、agoraシリーズで「橋爪大三郎さんのセミナー【宗教で読み解く世界】」という講座を二年続けてお願いしてきました。

その講義内容をもとにして出来上がったのが『世界は宗教で動いている』という本です。6月にでましたが、すぐに増刷がかかり5万部を越えるベストセラーになっていますので、書店でご覧になった方も多いかと思います。
裏話を言うと、橋爪先生はこの本のタイトルがあまりお気に召していないようです。本当に付けたかった題名は、「ビジネスパーソンよ、宗教を学べ」
そう、ズバリ今回の講演タイトルなんです。
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本を買うのはビジネスパーソンだけではないから、という出版社の意向に従って、本の題名から取り下げることに承諾はされましたが、橋爪先生が、agora講座で、そしてこの本で一番言いたいことは、グローバル社会に生きるビジネスパーソンこそが、宗教について知らなければならない、というメッセージだと思います。

私たち日本人には想像がつきにくいものですが、世界では先進国、新興国を問わず、政治・経済・法律を含めて社会全体丸ごとが宗教の影響を色濃く受けていると橋爪先生は言います。

だとすれば、グローバル人材を育てようと思うなら、英語と同じ位、いやひょっとしたらそれ以上に宗教を勉強することが不可欠なのかもしれません。
私も2年続けて橋爪先生の講座を聴講して、少しだけ宗教を勉強しましたが、宗教というのは見知らぬ他者を理解するフレームワークとして有意義だということを実感しています。
エジプトやシリアの問題、TPP交渉、尖閣問題etc、世界で起きている多くの政治・経済問題を宗教というフレームを使って考えてみると、新聞・TVの報道とは違った理解の仕方ができるかもしれません。

「ビジネスパーソンよ、宗教を学べ」

宗教を宗教として知るのではなく、世界を理解する知的教養として知る。そんな講演になると思います。

第7回 10/29(火) 澤上篤人さん

第7回 10/29(火)の講師は、さわかみ投信会長の澤上篤人さんです。
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日本人の個人金融資産は約1400兆円と言われています。しかもその約半分(700~800兆円)は預貯金マネーとのこと。低金利のもと、国家予算の9倍ものお金が事実上のタンス預金として静かに眠っていることになります。

これをなんとかリスクマネーへの投資(債権、株式)に回すことが出来ないか、それがこの20年の日本の大きな財政課題でもありました。
最近金融機関のCMで見かける「NISA(少額投資非課税制度)」も、こういう背景から生まれた制度です。

この問題に民間の立場から取り組み、日本における長期運用のパイオニアとして知られているのが「さわかみ投信」です。

長期投資という志を共有できる顧客に対象を絞り混んで、「さわかみファンド」というたった一本のファンドを運用することで実績を上げてきました。

前回(2006年)に登壇いただいた時の日経平均は17,000円。その後日本の経済環境はファンドにとっては逆風の連続でありましたが、さわかみ投信のwebサイトをみると、当時と比較して、純資産額、顧客数とも大きく伸びていることがわかります。

個人金融資産の6割を占める高齢者が安定した預貯金を崩さないのは無理もないこと。むしろ残り4割を持つ現役層が、無理のない範囲で長期投資に挑戦し、長い目で見た資産運用、企業の成長支援、そして日本経済の活性化に貢献して欲しいと思います。

久し振りに、澤上さんの元気が出る話を伺いたいと思います。

第6回 10/21(月) 高橋伸夫さん

第6回 10/21(月)に登壇いただくのは東大大学院教授の高橋伸夫先生です。
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高橋先生が『虚妄の成果主義』を世に問い、反成果主義の論を真っ正面から展開し、大反響を呼んでから10年近くになります。
その後も、成果主義の批判と日本型年功制の再評価に関して精力的な研究と啓蒙に取り組んで来られました。
この春に刊行された『殻 脱ジリ貧の経営』もその発展的線上に位置づけられる本だと思います。


さて、マックス・ウェーバーの『プロテスタントと資本主義の精神』(プロ倫)は、皆さんんよくご存じの古典的名著です。
ウェーバーはこの本で、西欧の近代資本主義の勃興・発展を可能にした勤勉・禁欲といった労働意識(精神)の根底にあるプロテスタンティズムの存在を指摘しました。

更に、彼はこの本の最後で「鉄の檻」という有名なメタファーを使って、資本主義が行く着く先にある世界をシニカルに予測しました。

神と直接繋がりたいという崇高な精神がもたらす勤勉・禁欲的な労働意識によって発展した資本主義は、やがて精神性を失い、金儲けが目的化するだろう。
そこでは、人々は組織と制度に縛られ、「鉄の檻」の如くに硬直下した官僚制組織に隷属していくことになるだろう、という予言です。

『殻 脱ジリ貧の経営』執筆の端緒は、-ウェーバーの「鉄の檻」は誤訳で、本来「殻」と訳すべきだった-という啓示にあったと、高橋先生は言います。

組織が誕生し、発展する過程では、外的から身を守る楯のようの役割を果たしてきた「殻」のようなものが、成熟期になると硬直化し、柔軟な変化や動きを抑制するマイナス効果をもたらす。それが高橋先生の言う「組織ジリ貧メカニズム」です。

今回の夕学では、多くの企業事例を紐解きながら、組織の発展と衰退のダイナミズムを論じていただきます。

第5回 10/16(水)千住真理子さん

第5回 10/16(水)はヴァイオリニストの千住真理子さんの登壇です。
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皆さんもよくご存じのことと思いますが、慶應が誇る千住三兄妹のおひとりでいらっしゃいます。
夕学では、長兄の千住博さん(日本画家)、次兄の千住明さん(作曲家)とともに、真理子さんにも素晴らしお話をしていただいてきました。

千住兄妹に共通するのは、芸術は「わかる人だけがわかる」ものではあってはならない、という強い思いではないでしょうか。
自分の絵が、音楽が、演奏が、市井の普通の人々のこころにどれだけ届くだろうか。三人ともそのことを常に意識しながら活動していらっしゃることは間違いありません。

真理子さんも、コンサート、ラジオのパーソナリティ、ボランティアなどさまざまな活動に意欲的に取り組みながら、人々との出会いと交流を大切にしていらっしゃいます。

前回(2007年)に登壇いただいた際には、慶應理工学部の教授であった故千住鎮雄先生の教え子だという方が、講演を聴きにいらっしゃいました。

今回も素敵な出会いがあることを期待したいと思います。

第4回 10/15(火)細谷功さん

第4回 10/15(火)に登壇いただくのは、ビジネスコンサルタントの細谷功さんです。
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かつて「地頭力」というワードを流布させた細谷さん。5年前に登壇いただいた際には、"「結論から」「全体から」「単純に」考える力・思考する力"を地頭力を定義し、わかりやすいお話をしていただきました。

今回の夕学は「組織」がテーマになります。
どんな人間でも年を重ねれば、シワが増え、体力が落ち、活動量が衰えていきます。人間に限らず全ての生物は経年による老化現象から逃れることはできません。

「老化」というメタファーを組織にも使うことがあります。
無駄な会議が増えてくる。なぜやっているのかわからない仕事がある。慣例や実績にこだわる人が多い。縄張り意識や部門間対立が常態化する等々。
歴史が長い組織には、「老化」という言葉を使うことがしっくりとくる現象があるものです。

細谷さんによれば、「組織の老化」も人間と同じで避けられない宿命であるようです。
だとしたら、その発生メカニズムを明らかにし、少しでも老化を遅らせるアンチエイジング対策を知っておくことが必要です。

今回の夕学では、組織の不条理と闘っている皆さんと一緒に、会社のアンチエイジングについて考えてみます。

第3回 10/11(金) 枡野俊明さん

第3回 10/11(金)は、禅僧で庭園デザイナーの枡野俊明住職です。

大学卒業後、曹洞宗の総本山総持寺で修業する傍ら、大学で専攻した造園設計の会社を興したという枡野さん。
造園デザイナーとしていくつもの賞を受賞される一方で、多摩美術大学環境デザイン学科教授、横浜市鶴見にある建功寺住職も兼務されています。

近年では、禅に関する啓蒙書、一般書も数多く出されておりますのでお読みになった方も多いかと思います。

「禅とデザイン」の関係は一瞬異質な取り合わせに感じますが、考えてみれば、日本人なら誰もが訪れたことのある禅寺の庭園竜安寺の石庭は、禅の精神世界を庭園という表現形態に造形したデザインそのものであること合点がいきます。

禅のこころをデザインするということは、世の中の「真理」「道理」を突きつめていくことである、と語る枡野さん。
どんなお話をしていただけるのか楽しみです。

第2回 10/8(火) 楠木建さん

第2回 10/8(火)に登壇いただくのは、一橋大学大学院国際企業戦略科教授の楠木建先生です。

楠木先生は、夕学4度目の登壇になります。もはや伊丹先生(東京理科大大学院)金井先生(神戸大大学院)と並んで「夕学レジェンド」のおひとりですね。

『ストーリーとしての競争戦略』の大ヒットで、実務家を唸らせる経営学者の地位を確立した楠木先生ですが、この数年は、ご自身のやりたいことをやりたい方法で自由気ままに楽しんでいらっしゃるようです。
近著の『戦略 読書日記』は、そんな楠木先生の魅力満載の面白い本です。

さて、今回の夕学は、そのひとつ前の著書『経営センスの論理』をモチーフにした講演になります。

「経営者と担当者は異なる。担当者の仕事であればスキルがあれば何とかなるが、経営はスキルではどうにもならない。センスが必要である」
と喝破する楠木先生。

簡潔にして明瞭、具体的かつ論理的なお話が聴けること請け合いです。

「夕学五十講2013年度後期の申込受付・予約は明日(8/29)10時から

みなさまお待たせしております。
「夕学五十講」2013年度後期の申込受付・予約は明日(8/29)10時から開始になります。

<来期の講演予定>
https://www.sekigaku.net/Sekigaku/Upload/attacned_news_546.pdf

おなじみさんはご存じかと思いますが、受付開始と同時に凄い勢いで申込・予約が入り、全受講券の7割~8割が初日に売れてしまいます。
申込をお考えの方は、準備万端整えて、10時の受付開始に備えてください。

ということで、本日から恒例の今期の講師紹介を始めていきます。
10/2(水)のトップバッターは、作家で外交評論家の佐藤優さんです。

外交・安全保障問題、インテリジェンスの専門家としてあまりに有名な佐藤さんですが、近年では、その古典教養の悪魔的な知識量から、現代の「知の巨人」のひとりとして指折り数えられる存在になりました。

夕学には2010年以来、3年振りの登壇となります。
日本の総理が毎年変わってしまうのは恒例になりつつありますが、この3年で、我が国の外交・安全保障において重要な対象国となる東アジア近隣の指導者がすっかり入れ替わりました。
ロシアはメドベーチェフからプーチンの再登板へ
北朝鮮は金正日・正恩の親子継承へ
中国は胡錦濤から習近平へ
韓国は李明博から朴槿惠へ
それぞれ指導者交代がありました。

最悪の状態が続く東アジア情勢、二島返還論が復活する可能性が指摘される北方領土問題、山場を迎えるTPP交渉等々、我が国が抱える外交問題は緊張の度合いを高めています。
長期政権の芽が出てきた安倍首相は、果たしてどんな外交手腕を発揮するのか。ラスプーチン佐藤に眼光鋭く語っていただきましょう。

第25回 7/30(火) 延岡健太郎さん

第25回 7/30(火)今期最後の登壇は一橋大学イノベーション研究センター長・教授の延岡健太郎先生です。
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延岡先生の夕学登壇は2004年以来(当時は神戸大)二度目になります。
80年代末、当時飛ぶ鳥落とす勢いであった日本の自動車産業を研究しようと、アメリカ経営学界は日本の若手経営者を次々と招聘していました。
この頃、ハーバードに藤本隆弘先生(東大ものづくり経営研究センター長)、MITスローンに延岡先生、武石彰先生(京都大学大学院教授)など、そうそうたるメンバーがボストンで研究をしていました。

いずれの方も現在は、日本のものづくり経営、イノベーション研究の第一人者として大活躍をしていらっしゃいます。

延岡先生が提唱されているのは、「価値づくり経営」です。
ものづくりの目的は、よいモノをつくることではなく、価値づくりにある、と喝破する延岡先生は「顧客が真に喜び、主観的に意味付ける意味的価値」が鍵を握ると言います。
この原理は、アップルのような消費財についても、3Mのような生産財についてもまったく変わることはないと。

最終回の講義は、意味的価値の創出とコア技術戦略を中心に、価値づくり経営について語っていただきます。

第23回 7/24(水) 坂井直樹さん

第23回 7/24(水)に登壇いただくのは、WATER DESIGN取締役でコンセプターの坂井直樹さんです。

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若くして渡米し、サンフランシスコでTattoo Companyを設立。TattooT-shirt (刺青プリントTシャツ)を売り、大ヒットさせたという坂井さん。根っからのプロダクトコンセプターと言えるかもしれません。

80年代には、日産で「Be1」「PAO」という未来型レトロカーブームを起こしたのをはじめ、カメラ、時計、美術館など、さまざまなプロダクト、サービスのコンセプト開発に関わっていらっしゃいました。

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2008年からは慶應SFCの教授に就任し、デザインと通信技術やUIを研究されました。この春、慶應を退官され、再び自由な立場で活躍されることとなった坂井さんが近年力を入れているのが「ダイバーシティーデザイン」です。

国籍、民族、文化、社会習慣を越えて価値を共有化するデザインとはどうあるべきか。坂井さんに力強く語っていただければと思います。

第24回 7/26(金) 大木聖子さん

第24回 7/26(金)にご登壇いただくのは、4月から慶應義塾大学環境情報学部准教授に就任された大木聖子先生です。
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先月までは、東大地震研究所に在籍していらしたので、案内もそうなっていましたが、4月からは慶應のお仲間に加わっていただきました。
慶應SFCという新しいフィールドで、益々の活躍が期待出来るのではないでしょうか。

高校1年生の時に阪神淡路大震災に遭遇したことをきっかけに地震学者を志した大木先生が、いちやく有名になったのは、先の東北大震災の後でした。
東大地震研で、災害情報、防災教育、災害科学コミュニケーションの研究と実践に関わっていた大木さんは、研究所の広報のような立場で防災教育を語る機会が増えました。
分かりやすい解説に華麗な容姿が加わって、美人地震学者として、一気に注目度が高まりました。

地球表面の1%も領土領海を持たない日本で、世界の地震の10%が起きているそうです。にもかかわらず、抱えるリスクにふさわしいだけのリテラシーを、私たち日本人が身に付けているかというと実に心許ないものがあります。

地震大国に生きる人間として、何度にも地震の被害に遭い、多くの同胞を失ってきた人間として、大木先生の「教養としての地震学」に耳を傾けたいと思います。

第22回 7/18(木) 中島尚正さん

第22回 7/18(木)にご登壇いただくのは、海陽学園 海陽中等教育学校 校長中島尚正先生です。
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世界に通じるリーダーの育成を旗頭に掲げ、英国イートン校に倣い、全寮制の中高一貫校として海陽学園が開校したのは、平成17年のことでした。
トヨタ、中部電力、JR東海といった中部地域の財界が全面支援した新時代の学校として大きな注目を集めました。
男子のみ120名の学生は、「マンガ・ゲーム禁止」「週末の外出は引率者の同行が条件」という環境の中で生活します。支援企業から送り込まれた若手社員が寮で寝起きを共にし、人生の先輩として、さまざまなアドバイスをすることも大きな特徴です。

昨年一期生が卒業し、東大をはじめとした有名大学に多数合格したこともあって、再び話題になりました。

とはいえ、東大合格者数を競い合うだけなら、これまでの中高一貫私学となんら変わらないことになります。むしろ、卒業して10年、20年経った時に、世界のエリートと渡り合えるリーダーとして、日本の各界を背負う人材をどれだけ育てたのかが問われるべきでしょう。
その意味では、海陽学園の評価は、もっと長い時間軸で捉えるべき壮大な実験といえるのかもしれません。

中島先生は、長らく東大工学部の教授を務められたのちに、創設時から学園に関わられ、4年前からは校長を務めてきました。
中島先生に寄せていただいた講演のメッセージを拝読すると、海陽学園の教育は「自分で考え、行動できる人間を育てること」にあるようです。
まさに先の見えない時代の生き方として求められることでもあります。

第21回 7/16(火) 萱野稔人さん

第21回 7/16(火)のご登壇は、津田塾大学学芸学部准教授で哲学者の萱野稔人先生です。
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国家、カネと暴力、権力、ナショナリズムなどなど骨太なテーマを一般の人々の目線で語ろうとされている若き論客の一人です。
近年は、サンデーモーニングのコメンテーターなど、テレビでお顔を拝見する機会も増えたので皆さんもよくご存じかと思います。

萱野さんの本やコラムを拝見していると、現代日本が文明の転換点にあるということを強く意識していらっしゃるように感じます。成長・発展・拡大の時代から停滞・退廃・縮小の時代へと、文明のありようが変わりつつあるということです。
拡大再生産を本質とする資本主義社会にとって、縮小社会という現実はとても大きな困難を突きつけていると、萱野さんは言います。

縮小の時代とはどのような時代なのか、日本が縮小社会を乗り切るために取り組むべき課題は何なのか、文明史的な大きな物語を語っていただければと思います。


第20回 7/12(金) 小田嶋隆さん

第20回 7/12(金)に登壇いただくのは、コラムニストの小田嶋隆さんです。

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軽妙かつ辛口のコラムで定評のある小田嶋さん。「新潮45」「サイゾー」「サッカー批評」「WEBスポルティーバ」「日経ビジネスオンライン」などにコラムを持つ人気コラムニストのお一人です。

「ひきこもり系コラムニスト」という自称も、なんとも意味深な感じがしますね。

ビジネスパーソンには、日経ビジネスオンラインのコラム「ア・ピースof 警句」がおなじみかと思います。
ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)という英語にちなんで付けられたコラム名で「ケーキの一片」のように、たやすく取るに足らない出来事の中から気になる言葉を拾い上げてひと言モノ申す、というスタンスをウリにした人気コラムです。
ちなみに最新号では、警視庁はツイッター上で「振り込め詐欺」の新名称を募集しているという事象から話題を展開しはじめて、電話の社会的意味の変容、そこから推察できる家族の液状化まで論を展開しています。

今回の夕学では、コラムニストという「限定された位置」から世界を見渡す際の視点の置き方と、「コラム」という「定められた枠組み」の中に主題を落とし込んでいくための技巧についてお話しするつもりです、とのこと。

ある制約を受け入れつつも、制約内という位置取りから如何にモノの見方・考え方に独自性を見つけていくか、そして独自性を保ちつつ、如何にして制約の中に主張を収斂させていくか。
コラムニストの仕事というのは、私たち組織人の生き方を凝縮しているようなものなのかもしれません。

皆さま乞うご期待!!

第19回 7/10(水) 安藤美冬さん

第19回 7/10(水)に登壇いただくのは株式会社スプリー代表の安藤美冬さんです。
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集英社でファッション誌の営業・広告担当として活躍した安藤さんは、2011年一念発起、独立をします。

ソーシャルメディアでの発信を駆使して、一切の営業活動をすることなく、多種多様な仕事を手がける独自のノマドワークスタイルを実践する女性として注目されています。
企業や組織に埋もれるのではなく、"個"の魅力や強みを最大限に活かして、「自分で仕事をつくる」いわば新しい生き方、ワークスタイルを自らの姿を通して提案されています。

セルフブランディングの学校を運営したり、企業と組んで新世代向けの商品・サービス開発を手掛けたり、スマホ向け放送局「NOTTV」でのレギュラーMCや連載の執筆、講演、広告出演など、企業や業種の垣根を越えて大活躍をしていらっしゃいます。

実は、安藤美冬さんのことは、講談社編集者の舟橋美和子さんに教えていただきました。
舟橋さんは、夕学の講演録を素材にして編集した書籍『考える力をつくるノート』 を企画・編集した方です。「講演本は売れない」というジンクスをものともせずに、5万部を越えていまも売れ続けています。

そんな舟橋さんが注目していて、「いま本を作る企画している」人として教えてくださったのが安藤さんでした。

厚生労働省が労働政策の柱を「雇用の維持」から「人材流動化の促進」へと切り替へ、ダニエル・ピンクの『フリーエージェント社会の到来』が話題になってからはや10年以上。日本にも明確な意思と戦略をもって、新しい働き方を創りあげていく人達が出てきたのだな、と心強く思います。

第18回 7/5(金) 宮本亜門さん

第18回 7/5(金)には演出家の宮本亜門さんに、8年ぶりにご登壇いただきます。
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「あれから8年も経つんだ」というのが率直な感想ですが、数多くの夕学講演に司会をしてきた私も、2005年秋の宮本亜門さんの夕学は、とりわけ印象深いものでした。

「僕は親父と仲が良いもので」といって、慶應ボーイのお父様を嬉しそうに紹介していただきました。
照れとか気恥ずかしさを超越した次元にあるピュアな表現と行動には、幼子のようなストレートな愛情が込められていて、周囲を一気に明るい素直な雰囲気にさせる力をもった人でした。
そんな亜門さんが、少年時代は引きこもりで慶應病院でカウンセリングを受けていたという過去をお話されたこともよく憶えています。

その後も国内外で大活躍を続けている宮本さんですが、昨春に出演した NHK「仕事学のすすめ」が反響を呼び、大幅に加筆した『引きだす力~奉仕型リーダーが才能を伸ばす』という本が昨秋に出版されました。
今回の夕学では、この本をモチーフにお話いただく予定です。

前回の夕学でも「演出とは相手の才能を引き出すことだ」という持論を強調されていましたが、この本も同じ流れにあるものだと思います。
もと引きこもりで他人と上手くコミュニケーション出来ない人の苦しみを知っている亜門さんだからできる、ソフトで温かいリーダーシップ論をたっぷりと語っていただきたいと思います。

第17回 7/2(火) 金子啓明さん

第17回 7/2(火)にご登壇いただくのは、興福寺国宝館館長の金子啓明さんです。
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金子先生は、長年に渡って東京国立博物館で仏像彫刻の研究をされてきました。
空前の阿修羅ブームを巻き起こし、百万人近い入場客を動員したという東博の「国宝 阿修羅展」やその前年に開催され、これまた大きな話題になった「国宝 薬師寺展」は、いずれも当時副館長であった金子先生が手掛けた企画です。
ちなみに、現在館長をお務めになっている興福寺国宝館は、皆さまご承知の如く阿修羅像が常設されている博物館ですね。

慶應MCCにおいては、2009年にagora講座【アート深耕! 仏像―祈りの造形―】を担当していただきました。

薬師寺、興福寺に代表される白鳳・天平前期は、日本の古代仏教芸術が頂点を極めた時代でした。律令制が整い、中央集権国家体制が完成する過程で、国家の威信と権力の粋を集めた大寺院や数多くの仏像が制作されました。

今回の夕学では、古代の仏像を代表する薬師寺金堂薬師三尊像や東院堂聖観音像などに的を絞りながら、古代人が仏像に込めた思惟を解説していただきます。


第16回 6/27(木)三宅秀道さん

第16回 6/27(木)にご登壇いただくのは、東海大学専任講師の三宅秀道先生です。

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昨年の秋、東洋経済社の方が夕学にお越しになって、「この先生を検討してもらえませんか」とおっしゃって、三宅先生の『新しい市場のつくりかた』という本を献本いただきました。


ど真ん中の直球のようなタイトルと、"「余談」の多い経営学""B級グルメを狙う" という副題や帯文のアンマッチ具合に惹かれるものを感じつつも、その頃忙しかったこともあって、目を通せずに傍らに置いたままにしておりました。
しばらくして、facebbokで、信頼する何人かの方が「これは面白い」という評価をされることが続き、読んでみるとこれが面白い。
フランス料理や日本懐石ではありませんが、旨いカレーやラーメンのような味わいがあります。
夕学にご登壇いただけることになったこの機会に、東洋経済社の佐藤さんにも改めて御礼申し上げます。

三宅先生は、関西ローカルのシンクタンクや品川区の産業振興課などで働いた経歴もあるようで、大所高所からの戦略論というよりは、現場起点の経営学者を標榜していらっしゃるようにお見受けしました。

恩師のお一人でもある東大ものづくり経営研究センターの藤本隆弘先生のいう「地上5メートルからみた戦略論」の系譜を継いでいるのかもしれません。

今回の夕学では、この本をモチーフにして、技術偏重の経営戦略ではなく、新しい文化の開発こそが新しい市場を創造するという見方で、日本の産業の可能性について論じていただく予定です。

第15回 6/20(木) 古市憲寿さん

第15回 6/20(木)にご登壇いただくのは東京大学博士課程に在籍中の新進気鋭の社会学者で、ベンチャー企業ゼント社執行役員の古市憲寿さんです。
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若者による若者論として、斬新な切り口が話題になった『絶望の国の幸福な若者達』の著者であり、注目のライジングスターです。

1月に夕学に来ていただいた津田大介さんに、「同世代以下の人で、いま注目している方は誰ですか」とお聞きしたところ、間髪入れずに戻されたのが「それは古市君でしょう」という返事でした。

実は、古市さんは、次ぎ夕学の候補として秘かに温めていたので、我が意を得たりという思いがしました。

『絶望の国の幸福な若者達』では、ステレオタイプの若者論をクールに否定した点が斬新でした。
いまの若者は可哀想、若者はもっと怒れ、若者は反抗するべきだ云々といった、上から目線の全共闘的若者論をサラリとかわしてくれました。

今回の夕学では、新著の『僕たちの前途』をモチーフに講演をお願いしました。
この本は、社会学者からみた起業家論です。とはいえ古市さん自身がベンチャー企業の経営に関わる起業家の一員なわけなので、同時代人による当事者論という立ち位置は前書と同じです。

日本人は安定志向が強く、起業率が低いと言われますが、サラリーマンが日本人の生き方の主流になったのは、つい最近のことで、ほとんどの時代を通して、私たちは自らの責任で生きる自営業者だったという事実から解きほぐす、新しい起業家論です。

どんなお話が聞けるのか楽しみです。

第14回 6/18(火) 阿川佐和子さん

第14回 6/18(火)のゲストは、作家でエッセイストの阿川佐和子さんです。
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阿川さんの本『聞く力』は2012年年間ベストセラー第一位(発行部数100万部)に輝いたそうです。いまも書店で平置きされていますから、ずっと売れ続けているのでしょう。
この本は、阿川さんが20年近く続けてきた週刊文春の対談連載の経験をもとにして書いたと聞いています。

「私は、話し好きで聞き下手。だからこの本が書けた」

新聞取材に対して、阿川さんはこのような主旨の発言をされていました。

「聞くためのコツ、ノウハウを知っているわけではないけれど、今までインタビューしたなかで、うまくいったり、落ち込んだり、失敗から学んで次はこうしようと思い至ったことなど、人との具体的なエピソードをたくさん積み重ねていくことならできるかもしれない」

豊富な具体事例への共感が、多くの人に読まれた理由なのかもしれません。

今回の夕学では、ご本人にとっても想定外の僥倖であった『聞く力』の大ヒットをめぐる前後の変化や、そこから気づいたことをお話いただけるそうです。
数々のエッセイで見せたウィットが効いたユーモアとテレビで垣間見えるズバリ本質に切り込む歯切れのよさを、生で拝見できるのがいまから楽しみですね。

第13回 6/11(火) 国分良成さん

第13回 6/11(火)の講師は、防衛大学学校長の国分良成先生です。
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国分先生は、現代中国研究における文字通りの第一人者ではないでしょうか。
故石川忠雄先生(元慶應義塾長)の愛弟子として、現代中国研究をリードしてきた慶應の中国研究人脈の系譜を継ぐ先生です。

国分先生が、法学部長退任と同時に防衛大学校長に就任されたというのは、日中の緊張関係を反映しているともいえるのかもしれません。

夕学には、2002年の春、2008年の秋、そして2013年春と、5年置きのペースでご登壇いただいてきました。
5年に一度というのは、中国の国家最高意思決定機関と言える「全国人民代表大会」が開かれるタイミングと期を一にしています。

5年に一度、中国の権力構造と国家意思が変わりうタイミングで、第一人者の国分先生に解説をしていただこうという狙いです。

2008年の夕学ブログをみると、中国のこれからを次のように予見されていました。

資本主義と社会主義という 相反する道を同時に歩もうとすることで噴出する多くの矛盾・問題(格差、不正、腐敗)は益々ひどくなるだろう。 権力側は、強固な政治体制のもとで、矛盾・問題を強権的に押さえつける状況が続くだろう。 対外的には協調関係が促進されていくだろう。

前半は、その通りになっています。
対外関係に関しては、民主党政権の迷走あって、対日的には深刻な緊張状態が続いています。

個人的な感想では、昨年来中国内部の権力抗争が、以前と比べて随分と表沙汰になっているのではないかという思いがあります。
国家主席となった習近平氏や、前首相の温家宝氏の、いずれも親族を巡る蓄財疑惑など、最高権力者にかかわるマイナス情報が、ここまで詳細に表に出たことはなかったのではないでしょうか。
社会主義型資本主義の矛盾が臨界点に近づき、強権的な政治権力で抑えつけることの無理が、ゆがんだ形で表出化しているように思えてなりません。
巷間言われているような、太子党vs共青団vs上海閥などという単純な権力抗争では説明できいように思えます。

習近平体制の中国は、この移行期をどう乗り切ろうとするのか、国分先生の解説が待ち望まれます。

第12回 6/4(火) 三島邦弘さん

第12回 6/4(火)に登壇いただくのは、ミシマ社代表の三島邦弘さんです。
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ミシマ社は単行本の編集者であった三島さんが、「一冊の力」を信じることを理念に、2006年に起ち上げたユニークな出版社です。

幼い頃、偉人の伝記を読んで、その生き方に感動したように
青年期に、こころに残る言葉に出会えて、人生の進路を決めたように
大人になって、本を通して新たな知識・情報を得たように
たった一冊の本が、新しい世界を開いてくれることがあります。
そんな力のある本を、こころを込めて作っていこうというのが、「一冊の力」を信じるということかと思います。

現在の出版業界は、かなり"いびつな構造"だと言われています。
こころを込めて本をつくる、というよりはひたすら多くの本を出して、出版社・卸・書店間を激しく移動させることでお金を動かす。業界ぐるみの自転車操業状態に陥っています。

これに対して、ミシマ社は、新刊本はごくわずか、良書を選らんで世に出し、安易に絶版にせず大切に売って、少しずつ増版を積み重ねていくという方法です。
そんな中から、内田樹さんの「街場のシリーズ」などのヒット作も生まれてきました。
それでいて、けっして肩に力が入ることなく、明るく、楽しそうに、ワイワイと本をつくっている。ミシマ社はそんな出版社のようです。
(このあたりは、三島さんご自身の起業体験記でもある『計画と無計画のあいだ』をお読みいただくとよくわかります)

今回の夕学では、7年目を「ほがらかに」走りつづけている三島社の日々をご紹介いただきながら、経済成長一辺倒でもない、かといってその真逆の超天然生活でもない、これからの新しい社会と経済のあり方を一緒に考えてみたいとおっしゃっています。

第11回 5/31(金) 蓮池薫さん

第11回5/31(金)に登壇いただくのは、拉致被害者のお一人で、新潟産業大学専任講師の蓮池薫さんです。
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蓮池薫・祐木子夫妻、地村保志・富貴恵夫妻、曽我ひとみさんの5人が北朝鮮から帰国してから、もう10年余りが経過しました。
飛行機のタラップを降りる蓮池さんらの笑顔、待ち受けた家族の皆さんの涙を、つい昨日のことのように思い出すことができます。

しかし、残念ながら、5人のご家族が帰国して以降、拉致問題はなんら進展することなく現在に至りました。帰国を待ちわびる他被害者家族の皆さんの心中を考えると胸が潰れる思いがいたします。

蓮池薫さんは、韓国語の講師や翻訳家として活動される一方で、文筆家として類まれなな才能を発揮されています。
昨年出版された『拉致と決断』という本では、北朝鮮での四半世紀の苦難の暮らしぶりを詳しく描写されています。
極限状況に追い込まれ、自由を束縛される生活の中で、蓮池さんは何を考え、どういう精神状態で、どんなことを心の拠り所にして生き抜いてきたのか。
それを、冷静に淡々とした文体で綴っていらっしゃいます。

この本を読んだとき、私は「ニーバーの祈り」と名付けられた下記の一節を思い出しました。

神よ 変えることのできるものについて、 それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、

変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。

蓮池さんが「ニーバーの祈り」をご存じだったのかどうかはわかりませんが、勇気と冷静さと知恵をもって四半世紀を生き延びた蓮池さんのお話に耳を傾けたいと思います。

第10回 5/30(木) 高島宏平さん

第10回 5/30(木)はオイシックス株式会社の高島宏平社長の登壇です。
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オイシックス社は一昨日(3/13)に東証マザーズに上場をされました。
報道によれば、初日は買い気配のまま根がつかず、2日目になって公開価格 1,200円の約3.1倍となる3,700円で初値をつけたそうです。

おめでとうございます。心から祝福申し上げます。
どんピシャのタイミングでの上場でしたね。

東大大学院で情報工学を修め、マッキンゼー社で経営とビジネスを実践学習した高島さんは、2000年、26歳の時にオイシックス社を起ち上げました。

いま考えると90年代後半から2000年は、空前のITブームで、渋谷がビットバレーという別名で呼ばれた時代でした。ITなら無条件に出資するというベンチャーキャピタルがいくらでもあったと言われましたが、当時起業したITベンチャーで、いまも生き残っているのはほんのわずかです。

あの当時のなにか浮かれた感じを思い出してみると「食べる人と生産する人を、ITで繋げる」というオイシックス社のコンセプトが、実に時代にマッチしたものだったと関心せざるを得ません。

食の安全・安心を大切にしたいと考える消費者意識は着実に高まっていますし、丹精込めて育てたこだわりの農作物を、価値をわかってもらえる人に届けたいと考える生産者も増えています。
両者をマッチングすることに成功したオイシック社の成功はなるべくしてなったといえるのかもしれません。

今回の夕学では、21世紀型のマッチングビジネスの成功モデルとしてオイシックスの戦略を解説していただくとともに、起業のエピソードやこれまでのチャレンジをご紹介していただく予定です。

第9回 5/24(金) 笹岡隆甫さん

第9回 5/24(金)にご登壇いただくのは、華道未生流笹岡家元の笹岡隆甫さんです。

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華道「未生流笹岡」というのは、江戸時代に成立した未生流の高弟であった初代笹岡竹甫氏が、明治になって創設した流派だと言います。

明治になって、海外との交流が増えるとともに、外来植物が続々と渡来してきました。これらの外来植物をどのようにして生け花に取り込んでいくべきか、試行錯誤を重ねた初代が、環境適応型のイノベーションとして創設流派したのが「未生流笹岡」だと言います。

笹岡隆甫さんは、その三代目家元にあたり、二代目の祖父から3歳の頃から手ずから指導を受けてきました。
一方で、京大工学部で建築を学び、博士課程まで進んだといいますから、建築家の道も考えていたのかもしれません。

イノベーションの気風溢れる流派の精神を継ぎ、建築学で培った科学的思考とアートセンスを持った、新進気鋭の華道家といえるかと思います。

舞台芸術では、歌舞伎役者・中村福助氏らとのコラボに挑戦し、カルティエのイベントやレクサスオープニングイベントを手掛けるなど、伝統的世界の枠を越えた活躍もしています。

また、池坊由紀氏(池坊次期家元)、千宗員(表千家若宗匠)、千宗屋(武者小路千家家元後嗣)、藪内紹由(藪内流宗家若宗匠)各氏ら、伝統の若き継承者たちと「DO YOU KYOTO? ネットワーク」を立ち上げ、環境破壊防止を呼びかけているなど、日本文化に根ざした社会活動にも携わっていらっしゃいます。

今回の夕学では、いけばなという切り口で、日本を読み解いていただきます。
若き家元が語る「いけばなで語る日本」に乞うご期待!!

第7回 5/17(金) 長沼毅さん

第7回 5/17(金)は広島大学大学院生物科学研究科准教授の長沼毅先生です。
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長沼先生の専門テーマは「辺境に住む生き物の生態を研究する」こと。深海、地底、南極・北極、砂漠、火山等々、いわゆる極限環境が研究フィールドになります。ここ数年は、テレビの情報番組や教養バラエティでお顔を拝見する機会も増えてきました。

地球に生命が誕生して37億年、長沼先生の本を読むと、「おいおい、まさかこんなところにまで」というような場所にも、なんらかの生命が息づいていることに驚かされます。

彼らはなぜ、そんな過酷な環境に生きているのか、あるいは適応してきたのか。
辺境で生き抜く生命の実態を知ることは、地球生命体の頂点に君臨する人類にとっても多くの示唆を与えてくれるものだと考えます。

実は、「長沼先生を夕学に呼ぶべきだ」という声は、地元の広島大学の関係者から何年も前からお聞きしていました。
MCCでは、夕学をネットで配信をする「夕学サテライト」というサービスを提供していますが、広島商工会議所と広島大学の連合体が、広島県でのサテライトの受け手になっていただいていることもあって、熱い推薦をいただいてきました。

ようやくご要望にお応えできたことをお詫びとともにご報告したいと思います。

第6回 5/14(火) 栄和人さん

第6回 5/14(火)にご登壇いただくのは、至学館大学レスリング部 栄和人監督です。
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ご承知のように、日本は、世界最強の女子レスリング王国です。
その隆盛を指導者として支えてきた最大の功労者といえるのが、栄和人監督であることは衆目の一致するところでしょう。
五輪3連覇の偉業を成し遂げた吉田沙保里、伊調馨両選手をはじめ、伊調千春さん(アテネ銀、北京銀)、小原日登美選手(ロンドン金)など、世界女王10人を育て上げたことで知られます。

アテネでは吉田選手に肩車されて大咆哮し、ロンドンでは験担ぎで投げ飛ばされてみせたり、その風貌とともに、選手よりも目立つ喜び方がなんとも愉快で楽しい気持ちにさせていただきました。
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女子レスリングの選手が見せる日常の天真爛漫さと本番での集中力の凄さは、栄監督の指導スタイルと人間性を反映しているのではないでしょうか。

比較するのはおかしいですが、女子柔道界が陥った混迷状況と対比すると違いは一層はっきりとします。
やはり、スポーツは明るいのが一番ですね。

講演では、栄冠までの道のりの裏にある、汗と涙が積み重なった日々や、それらの経験や指導を通して学び、感じた事をお話いただく予定です。

4/24(水) 第5回 橘玲さん

4/24(水)第5回に登壇いただくのは作家の橘玲さんです。久し振りの似顔絵バージョンですね。
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橘さんは、10年程前に『マネーロンダリング』で作家デビュー。同年に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』という本がベストセラーになりました。
「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとりということで、ご自身も橘玲×ZAi ONLINE「海外投資の歩き方」というサイトを主宰していらっしゃいます。
私も興味深く拝読している読者のひとりです。

日本の債務が1000兆円を越えて、ギリシャやスペインのように財政破綻をする可能性をセンセーショナルに喧伝する声が根強くあります。
その是非は別として、国民の預貯金が国の債務を保証しているという実態は変わることはないわけで、リスクマネジメントの観点に立てば、個人で自分の資産を守ること、万が一日本が財政破綻しても影響を最小限に止めるためにオプションを持っておくことは必要なことかと思います。

橘さんは、その必要性にいち早く気づき、自分の財産を自分で守るためのムーブメントを起こそうとしているように思えます。

今回の講演では、「アベノミクスが引き起こす将来シナリオを検討し、とりわけ財政破綻という最悪の予想が現実のものとなったときに、いかにして資産を守るのかを、標準的な資産運用理論に基づき、具体的な金融商品に即して考えてみたい」
とのこと。
先が見えない時代の生き方として、これほど大切なことはないかと思います。


4/19(金) 第4回 森川亮さん

4/19(金)第4回にご登壇いただくのはNHNーJapan株式会社の森川亮社長です。
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NHNーJapanがサービス展開をする無料通話・無料メールスマートフォンアプリ「LINE」は、日本発のアプリとしては画期的なグローバルな広がりを見せています。全世界のユーザーが1億人を突破するまでに要した期間がわずか19ヶ月。このスピードはtwitterやfacebookの倍以上という凄まじい勢いです。

テレビ局でネット時代を見据えた新事業プロジェクトに関わり、ソニーでコンテンツビジネスの事業責任者を務め、ハンゲームジャパン(現NHN Japan)でゲーム事業を育て上げてきた森川さんの、ネット・モバイルビジネスの豊富なビジネス経験が生きたのではないでしょうか。

「ガラケー」という言葉に象徴されるように、日本人の製品開発はクローズドな狭い領域でオタク的な深耕進化をとげることに特徴があるとされてきました。
アイデアや技術は画期的なのに、それをグローバルビジネスに発展させていくための構想力や事業展開力に欠けるという欠点を指摘されることがままありました。

「LINE」の成功は、日本発のネットサービスがグローバル展開出来ることを証明してくれた点で、大きな意味があったと思います。

先日発表されたNHN Japan社のプレスリリースによれば、「LINE」事業の海外展開を加速するために、ゲーム事業と分社化を行い、LINE株式会社(仮称)として基軸を明確にした事業展開を行っていくとのこと。

変化の激しいネット・モバイルビジネスの世界で、「LINE」はどこまで成長できるのか、ネクストステージとして何を見据えているのか、興味深いところです。

4/18(木) 第3回 藤井純一さん

4/18(木)第3回の講演者は、前日本ハムファイターズ球団社長で、近畿大学教授の藤井純一先生です。
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藤井さんは、セレッソ大阪と日本ハムファイターズの両方で球団社長をお務めになりました。Jリーグとプロ野球という二大スポーチビジネスのトップを経験した方は、藤井さんただお一人とのこと。

Bクラスが定位置になっていた時代もある日本ハムファイターズですが、この7年間で4回のリーグ優勝を誇る強豪チームとなりました。
日ハムの好成績は、ホームを北海道に移転した時期と重なります。親会社の広告塔として甘んじることなく、自らが収益を上げ、自立していくことを目指した球団経営改革が成功した好事例と言えるのではないでしょうか。

1950年代の西鉄ライオンズ、60年代~70年代の阪急ブレーブス、80年代の西武、90年代のダイエーと、パリーグの覇者チームは変遷してきましたが、いずれのチームも一人ないし二人の名監督に率いられたこと、チームの中心選手が固定していたことという共通点がありました。これは9連覇の巨人にも言えることで、常勝チームを作り上げる定石とも言えるでしょう。

日本ハムの場合は、監督が3人代わり、3人とも優勝しています(ヒルマン、梨田、栗山の各監督)。選手はといえば、小笠原、新庄、森本、ダルビッシュと有力選手が毎年のように移籍してしまいます。かといって、大金をはたいてFA選手を獲得することもありません。にもかかわらず好成績を維持し続けています。

監督の采配やひと握りのスター選手に依存しなくても勝てるチームづくり、将来を見据えた補強、選手が育つ育成方法など、スポーツ新聞からはみえてこない球団経営部分に強さがあるに違いありません。

藤井さんにこのあたりをじっくりとお聞きできればと思います。

4/16(火) 第2回 山崎元さん

4/16(火)の第2回の講師は楽天証券経済研究所 客員研究員の山崎元さんです。
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わかりやすい解説と歯切れのよいコメントが魅力で、経済誌からテレビまで幅広く活躍をする山崎さん。アベノミクスに対しても、折にふれニュートラルで是々非々の意見を発信していらっしゃいます。

安倍首相が「三本の矢」と称するように、アベノミクスと呼ばれる経済政策には、大きく三つの側面があります。
ひとつは、インフレ目標2%までは大胆な金融緩和の実施を明言することで期待を形成させることに成功しつつある金融政策。
ふたつめは、「国土強靱化」を掲げた緊急経済対策として大型の補正予算を組んで景気のテコ入れを図ろうとする財政政策。
三つめが、産業競争力会議を中心に、構造改革や競争力強化を図ろうという成長戦略。

金融政策は、株高、円安が進み、金融緩和に前向きな日銀の新総裁が決まったことで安倍さんの思惑通りに一幕目を終えつつあるかと思います。

財政政策について、またぞろバラマキ公共事業の復活かという危惧が高まっており、同時並行的に進む来年度の予算編成に関しては、どこまで制御できるか正念場がこれから始まります。

産業競争力に関しては、元気のよい民間議員が参集しているものの、骨抜きを狙う官僚集団とのせめぎ合いが本格化するのはこれからで、安倍さんがどこまでリーダシップを発揮できるのかによって、色彩はかなり変わると思われます。竹中さんら民間メンバーも安倍政権の本気度には、疑心暗鬼を脱い切れていないというのが正直なところかと思います。

さすがに二度目とあって、近年の総理としては出色の好スタートをきった安倍政権ですが、参議院選挙への深謀遠慮もあって、アベノミクスの二幕目はまだ行方が読みづらいようです。
世界経済は不確定要素をいくつも抱えており、これから山崎さんの講演日(4/16)までの一ヶ月半で、情勢が大きく変わる可能性だってあります。

アベノミクス第二幕をどう読むか。興味深いお話が聞けるものと思います。

2013年度前期 第1回 手嶋龍一さん

昨日から2013年度前期の「夕学五十講」の申込・受付を開始致しました。
早速、満席になる講演もあり、引き続き多くの皆さんに関心をお寄せいただいていることに心から感謝申し上げます。

本日から、いつものように今期25講演について、順番にご紹介をしていきます。

4月9日(火)の 第1回は慶應大大学院SDM研究科教授で、外交ジャーナリストの手嶋龍一先生です。
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手嶋さんは夕学2度目のご登壇となります。前回話していただいたのは2007年の春になります。
思えば、あの時も安倍さんが総理大臣に就任して間もない頃のことだったかと思います。
手嶋さんが、講演内容に記していらっしゃるように、その前年(2006年)に出た佐藤優さんとの対論本『インテリジェンス 武器なき戦争』(幻冬舎)という本は、 日本でインテリジェンスという言葉が一般書のタイトルに登場した初めてのケースでした。

あれから6年が経過し、インテリジェンスという言葉が市民権を持つようになったことは間違いありません。それは、この6年間の日本の対外関係、特に中国、朝鮮半島を中心とする東アジア外交が緊張感を高めてきたことの裏返しでもあります。

中国との関係でいえば、長らく続いてきた「政冷経熱」の微妙な調和関係は、昨年の反日暴動でターニングポイントを迎え、今後日本の対中投資は減り続けるのではないかという意見もあります。
また、先の核実験の強行実施にかかわる報道でわかるように、北朝鮮との軍事衝突の可能性がここまで現実感をもって語られたことも初めてではないでしょうか。

インテリジェンスの80%は、公開情報を丹念に拾い集めることで収拾できるものだそうです。いまいちど、手嶋さんに教えを請うことでインテリジェンス感覚を磨き上げる機会にしたいと思います。

お申込はこちらのサイトからどうぞ。
https://www.sekigaku.net/Sekigaku/Default/Normal/SekigakuTop.aspx

お知らせ:「ダライ・ラマ法王と科学者との対話」

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科学は、哲学から始まったと言われています。

自然のメカニズムを「理性」を使って解明できるとするデカルト的な世界観が、近代科学を産み出しました。

哲学は、神学とその源を同じくすると言われます。

デカルトは、「理性」を使って、神の意思=世界の本質を読み解こうを試みました。

神学者が、聖書に向き合うことで、神の意思に近づこうとしたように、科学者は、自然と向き合うことで、世界の本質や原理を探ろうとしました。

確かなものへの強い欲求をエネルギーにして、壮大なる対象に真摯に向かうという点において、宗教家と科学者は共通点があるように思います。

そんな両者の接点を掘り下げるシンポジウムが開催されます。

「ダライ・ラマ法王と科学者との対話 ~日本からの発信~」
2012年 11月6日(火)・7日(水)
会場:ホテルオークラ東京 平安の間 [本館1階]


夕学五十講にも登壇いただき、昨年はagora講座で
【科学と向き合う人間力】という講座を主宰していただいた筑波大学名誉教授の村上和雄先生が中心になって企画したイベントです。

『遺伝子・科学/技術と仏教』
『生命科学・医学と仏教』
『物理科学・宇宙と仏教』
といった興味深いテーマで、それぞれに日本を代表する科学者が登場し、ダライ・ラマ法王と対話を行うとのこと。

興味のある方は下記にお問い合わせください。

「ダライ・ラマ法王と科学者との対話」実行委員会
事務局:ダライ・ラマ法王日本代表部事務所 URL http://www.tibethouse.jp/
〒160-0022東京都新宿区新宿5-11-30 第五葉山ビル5階
TEL:03-3353-4094 / FAX:03-3225-8013

山中伸弥先生 ノーベル医学賞受賞の報に寄せて

山中伸弥京都大学教授(50歳)が、ノーベル医学賞を受賞されることになりました。心から祝福申し上げます。

夕学五十講には、2008年7月18日にご登壇いただきました。
山中先生の研究は、4年前の当時から、ノーベル賞間違いなしと評価されていた画期的なものですが、その頃は、ここまで早い受賞になるとは思いませんでした。

記者会見での誠実なお人柄そのままに、講演でも丁寧に、わかりやすくiPS細胞の研究意義についてご紹介をいただきました。

お祝いの言葉とともに、4年前のブログを再掲させていただきます。

「iPS細胞が拓く医学」
http://www.keiomcc.net/sekigaku-blog/2008/07/ips.html

山中先生、本当におめでとうございます。

第25回 1/29(火) 角田光代さん&おちまさと さん

第25回 1/29(火)最終回を飾っていただくのは、角田光代さん(小説家)&おちまさとさん(プロデューサー)の対談です。

直木賞作家で、映画化されて話題になったベストセラー『八日目の蟬』など、ヒット作を次々と放つ角田さん。

今回は、「どなたかとの対談ならお引き受けします」という角田さんからの返事を受けて、角田ファンを公言するおちさんにインタビュアーをお願いしました。

前期の夕学では講師として登壇したおちさんですが、『相手に9割しゃべらせる質問術』というベストセラーを書いた、インタビューのプロでもあります。

おちさんは、小説論を中心に、いじめ問題など社会的トピックも話題にして、角田さんの考えを聞いてみたいとのこと。

最終回に相応しい、にぎやかで楽しい夜になればと思います。

第24回 1/25(金) 與那覇潤さん

第24回 1/25(金)は愛知県立大学准教授の與那覇潤先生です。

與那覇先生は、日本近代史を専門とする若き歴史学者で、『中国化する日本』という本でスケールの大きな歴史観を展開され、話題になりました。

明治維新以降、日本は西洋流の近代化(富国強兵と殖産興業)を積極的に押し進めた。急ぐあまりに制御不能に陥り、軍国主義の台頭を許し、昭和日本の破滅を招いてしまった。戦後は形を変えた近代化(民主主義、自由経済)に邁進し、大きな飛躍を遂げたが、いつしかグローバル化に追いつけなくなり、その繁栄は終わりつつある...。

というのがステレオタイプの近代日本のイメージだとすれば、與那覇先生の歴史観は、まったく異なるものです。

明治日本が歩んだ道は、西洋流の近代化ではなく、千年前の宋朝中国が確立した「中国化」の道であった。
いま、世界で進行しつつグローバル化とは、実は「中国化」そのものである。

という歴史観です。

與那覇先生のいう「中国化」とは、
「経済や社会を徹底して自由化する一方で、政治の秩序は一極支配によって強権的に維持支配する」という社会のしくみのことです。

この中国化というフレームワークを日本と世界の近現代史にあてはめてみると、近代化の優等生といわれていたはずの日本の衰退・停滞と現代中国の台頭が説明できる、と與那覇先生は言います。

與那覇先生の講義を通して、「アジア独自の近代化」がどのような可能性と罠を持つのか考えてみたいと思います。

第23回 1/22(火) 谷田大輔さん

第23回 1/22(火)に登壇いただくのは、タニタ総研所長の谷田大輔さんです。

谷田さんは、1965年に、家業のタニタに入社し、開発部長、社長、会長を歴任。半世紀近くかけて、タニタをヘルスメーター売上世界No1企業へと成長させました。
タニタ飛躍の要因は、なんといっても世界で初めて家庭用体脂肪計・体組成計を開発・販売したことにあります。
我が家にもタニタのヘルスメーターがあり、毎日測定結果に一喜一憂しています。

2009年に出版された「体脂肪計タニタの社員食堂」は420万部という驚異的な販売部数を記録し、今年丸の内にできた「丸の内タニタ食堂」には長蛇の列が出来ました。
私も、何度か行ってみましたが、あまりの行列に並ぶのを断念することが続いております。

タニタがここまでのムーブメントを起こしえた理由は何か。
現在は、タニタ総研の所長として、タニタ経営論の普及に邁進する谷田さんにお聞きします。

第22回 1/16(水) 山根節さん

第22回 1/16(水)に登壇いただくのは、慶應義塾大学院教授の山根節先生です。

ビジネススクールで会計管理とマネジメントコントロールを教える山根先生。会計士出身というキャリアも含めて考えると、経営を数字とお金で捉える専門家という印象を持たれるかもしれません。

山根先生の持論は、その逆、つまり、数字とお金から経営の実像を逆照射すること、数字とお金を通して、その会社の戦略や強みを探ることにあります。
更にいえば、儲かっている会社の会計情報を丹念にみることで、時代の流れまで読み解くことができるといいます。

前回の夕学登壇は2006年。
当時の「儲かる企業」の代表として、新日鉄、アコム、トヨタなどの会計情報を読み解いて、儲かる理由を解説していただきました。
6年という年月は、経営環境を大きく変えるもので、これからの企業は、すでに「儲かる企業」の代表とはいえなくなりました。

そこで、今回は、「会計情報から経営を読み解く」という同じコンセプトで、2013年版「儲かる企業」ランキングの中から、いくつかの企業を選び出し、儲かる理由の読み解くをやっていただきます。


第21回 1/15(火) 佐々木毅さん

第21回 1/15(火)に登壇されるのは、学習院大学教授の佐々木毅先生です。

日本を代表する政治学者で、東大総長も務められた佐々木先生が、『学ぶとはどういうことか』という本を出されたのは今春のことでした。
働く大人の学びを生業としていることもあり、たいへん興味深く拝読させていただきました。

佐々木先生は、福澤諭吉の『学問のすすめ』を、社会全体が学び、学びなおさなければならなかった時代の記念碑であると評価しています。

『学問のすすめ』は、海賊版を含めれば三百万部以上発行されたのではないかと言われています。
当時の人口(約三千万人)の一割が読んだ計算になります。現代で換算すれば、1千万部を越える超ド級のベストセラー。当時の経済状況や識字率を考慮すると、その社会的インパクトの大きさは相当なものだったと推察できます。

文明の転換期には、社会全体が学び、学びなおさなければならないことを、当時の日本人は、直観的に認識していたのかもしれません。

現代という時代も、成長、発展、開発の文明から成熟、維持、共生の文明へと曲がり角にさしかかっているといわれています。

佐々木先生には、「大人の」という限定の条件をひとつ加えさせていただいて、「学ぶということ」について論じていただきます。

第20回 1/9(水) 津田大介さん

年明けの第一弾、第20回 1/9(水)に登壇いただくのは、ジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介さんです。

審議会やシンポジウムの会場で、発言者のコメントをtwitterでリアル発信をするという、新しい実況スタイルを確立した津田さん。
東日本大震災の取材では、ソーシャルメディアの力をまざまざと見せつけてくれたことで、ニュータイプのジャーナリストとして注目度が高まりました。

いまも、毎週金曜日になると、twitterの呼び掛けに応える形で、総理官邸前に数千人規模の市民が集まり、抗議デモを行っています。
ピークの6月には、数万人規模だと言われました。

中国の反日デモも、アラブの春を可能にしたのも、ソーシャルメディアの力だと言われています。

ソーシャルメディアを活用した取材・報道を開拓してきた津田さんから、書き手と受け手が相互連環するソーシャルメディア時代の情報のあり方、向き合い方を解説していただきます。

第19回 12/20(木) 樹木希林さん

第19回 12/20(木)に登壇いただくのは、女優の樹木希林さんです。

私たちの世代が樹木希林さんを語る時は、『時間ですよ』の浜ちゃん、『寺内貫太郎一家』の婆ちゃん役(当時は悠木千帆さん)が思い浮かびます。(古い話題ですみません)
いずれの番組も、その存在感は強烈でありました。

翻って、近年では、時折ワイドショーに登場する際に垣間見える「場の支配力」にも圧倒されます。

内田裕也さんが事件を起こした時の、堂々たる会見振り。
オセロ中島騒動の際の的確なコメント。

クセ者揃いのレポーターにほとんど口を挟ませず、それでいて視聴者が喜びそうな映像だけはしっかりと撮らせる。

「はいはい、あんたたち、これで十分でしょ」
「さあ、これでおしまいね」

そんな感じで取材を仕切ってしまったのではないでしょうか(想像ですが)

今回の依頼で分かったのですが、希林さんはマネジャーを持っていないので、こういう取材の仕切りも全部ご自身でやっていると思います。

映画プロデューサーの李鳳宇さんは、
「底意地の悪い人の"演技"をしていると、ほんとうに底意地が悪い人に思えてくる(笑)」
と希林さんの演技力を評したことがあります。

地と役柄の境目がどこにあるのかわからないところが存在感の理由なのかもしれません。

そんな希林さん、最近は老人役、特に痴呆老人の役を引き受けることが多いそうです。
映画『わが母の記』の老母役、や第一三共の認知症薬CMなど。

痴呆役というのは、二の足を踏む役者さんが多いそうですが、樹木希林さんの場合、一切の躊躇はなかったとか。

「老いの重荷は神の賜物」
という演題は、樹木希林さんの役者魂そのものかと思います。

第18回 12/13(木) 船橋洋一さん

第18回 12/13(木)に登壇いただくのは、元朝日新聞主筆で、(財)日本再建イニシアティブの船橋洋一さんです。

船橋さんは、朝日新聞では、安全保障・経済などの外交問題を専門領域とする国際派記者として活躍、2007年から2010年までは主筆として、朝日の社論を代表する役割を務められました。

日本再建イニシアティブでは、『福島原発事故独立検証委員会』のプログラムディレクターをつとめ、2012年2月、政府・国会の事故調に先だち、民間事故調報告書を発表しました。

MCCには、今春開催した『複合連鎖危機とニッポンの改革』にゲスト講師として登壇いただきました。
民間事故調の結果を踏まえて、戦後初めて直面した国家的危機を振り返り、求められるべき「人間の安全保障」について、問題提起していただきました。

折しも、尖閣諸島を巡り日中関係の緊張感が一気に高まってきました。臨界状態に陥る前に、なんとかして制御しなくてはなりません。

また、今年は世界のリーダー交代期でもありました。年末にかけて、中国の全国人民代表大会、米国の大統領本選挙が行われます。

太平洋を挟んだ両大国のリーダー交代が視野に入るこの時期に、日・中・韓関係が、最も冷え切っており、日本の政権交代も確実視されるという最悪のタイミングを迎えているといえるでしょう。

国際経済と政治、安全保障に精通した立場から、「世界はどう変わるのか」を論じていただきたいと思います。

第17回 12/11(火)坂野潤治さん

第17回 12/11(火)に登壇いただくのは、東大名誉教授で歴史家の坂野潤治先生です。

坂野先生の『日本近代史』(ちくま新書)は、新書ながらも400ページを越える大作で、そのまま立てることができるほどの分厚さです。
しかしながら、その分厚さを忘れてしまうほどに「読ませる力」のある本です。
「こんな通史を待っていた」という感想をもった歴史ファンも多いのではないでしょうか。

個人的な予想としては、今年の新書大書の最有力候補です(何の根拠もありませんが...)
新聞各紙の書評にも取り上げられてきました。

毎日新聞
http://mainichi.jp/feature/news/20120611dde018040020000c.html

読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20120501-OYT8T00398.htm

日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO40252680X00C12A4MZC001/

朝日新聞
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201109300244.html

この本で、坂野先生は、1857年(安政四年)~1937年(昭和12年)までの、幕末~昭和の80年間を7つの時代区分に分けて論じています。

改革・革命・建設・運用・再編・危機・崩壊の7区分です。

徳川幕府が、制度疲労と外部環境変化に対応するために「改革」を試すも思うようにいかず、維新という「革命」が起き、明治という新たな国家が「建設」され、諸問題を巧みな「運用」で乗り越え、民主化へと「再編」を図るも、軍部台頭という「危機」を迎え、戦争にのめり込んで「崩壊」していく。

そんな日本の近代80年の興隆と衰退を振り返ることができます。
そして、それは、現代の日本が抱えるいくつかの病巣が形成された宿命や理由を確認することでもあります。


今回の夕学では、この本を概観しつつ、坂野先生が現在研究中の1825年~1867年の幕末政治史を中心にお話いただきます。

第15回 11/30(金) 南直哉さん

第15回 11/30(金)に登壇されるのは、恐山院代の南直哉住職です。

南住職は、その舌鋒の鋭さ、迫力ある姿から、「恐山の論争」とも「永平寺のダースベイダー」とも称されてきたと聞きます。

180センチを越える長身、キリッと切れ上がった目、よく通る声etc。
確かに威圧感と迫力は十分です。
それでありながら、前回の夕学でのお話は、終始笑いに満ちていました。エンタテナーとしても最高レベルにある方です。

前回は、永平寺での修業時代を振り返りながら、なぜご自分が仏教の道を選んだのかというお話をしていただきました。
今回は、新著の『恐山 死者のいる場所』にちなんだお話をお願いしました。

本の題名にあるように、恐山は「死者と出会える場所」です。
正確にいえば、死者に対して「なんらかの想い」を残したままの人が、内なる想いを確かめる場でもあります。
どんな人にとっても、親しい人の死を受け入れることは、難しいことです。
それが突然で、思いも寄らない理由であればなおさらのこと。

恐山を訪れる参拝者の方々は、伝統的に東北地方の方が多いそうです。南住職も、この一年半多くの震災被災者や遺族の方々と対話する機会をもったと言います。
「震災後」を生きる人間の生と死の問題をお話いただきたいと思います。

第14回 11/28(水) 為末大さん

第14回 11/28(水)に登壇いただくのは、侍ハードラー、元プロ陸上選手の為末大さんです。

ロンドン五輪出場をかけて臨んだ6月の日本陸上選手権。
為末さんの挑戦は、1台目のハードルで失敗し転倒するという、ある意味で、劇的な幕切れとなりました。

170センチの小さな身体で、400メートルハードルという過酷な種目に挑み、世界大会で2度メダルに輝くなど日本を代表する陸上選手と言えるでしょう。
実績もさることながら、存在感のある「記憶に残る」選手でした。

丸の内では、「東京ストリート陸上」というユニークな企画を自らプロデュース。
丸の内仲通りに設営された特性コースで、見事なハードリングを披露されました。いまでも、時折あの時の勇姿が丸の内ビジョンで流れることがあります。
既成のスポーツ選手の枠に収まろうとしない挑戦心・革新性も、為末さんの魅力です。

いまの目標は、陸上選手であったことを忘れられることだというコメントをどこかの雑誌で読んだことがあります。
それほどまでに、新しいことをやりたいという意欲に溢れているということかと思います。
最後のレースの転倒は、新しいスタートの号砲だったのかもしれません。

今回の講演のテーマは「ゾーン」
スポーツや芸術の世界で語られるようになった言葉です。
何かに集中、没頭しているときに、他の雑音が一切聞こえなくなり、眼前の一事に冷静に向き合うことができる精神状態を表すようです。
心理学者のチクセントミハイは、この状態を「フロー」と呼び、人間が生きる喜びの到達点だと喝破しました。。

為末さんはどんな「ゾーン」を味わってきたのか、また味わおうとしているのか。
侍ハードラーの第二幕をお聞きしたいと思います。

第13回 11/27(火) 井上達彦さん

第13回 11/27(火)の講師は、早稲田大学商学学術院教授の井上達彦先生。演題は「模倣というイノベーション」です。

「模倣」というと、パクリ、コピーといった言葉が連想され、必ずしもイメージはよくありません。
確かに、どこかの国の海賊版のような猿真似は論外ですが、井上先生によれば「模倣」とは、立派な経営戦略とのこと。

およそすべての創造は、なんらかのインスピレーションとなる原型があるはずで、その意味で、なんらかの模倣を伴っていると言えるかもしれません。
日本人は、有史このかた「模倣」を得意にしてきた民族でした。

「ユーラシア大陸の東端に位置する島国」
という地理的な環境は、さまざまな文化や技術が、最後に辿り着き、そこで熟成し洗練されるという日本文化の特性を醸成しました。

例えば日本人は、中国で生まれた漢字をベースに、万葉仮名を生みだし、さらにはカタカナ・ひらがなを加えることで、現在の荘厳かつ雅な文体を作りだしました。

漢字は、習得に時間がかかることから庶民層に広がりにくいという欠点をもっています。ベトナムや朝鮮半島といったかつての漢字文化圏が漢字を捨てた理由もここにありました。

日本での、ひらがなやカタカナの創造は、表意文字として漢字の素晴らしさを活かしつつ、庶民層への広がりに必須な簡便化と効率化を可能にしました。
このように、模倣から始まり、極めることでオリジナルを越えるまでに洗練させてしまうというのが日本の伝統的な模倣戦略です。

井上先生によれば、「模倣」にはふたつのタイプがあるとのこと。
ひとつは、「遠い他者から学ぶ」こと。
これは、第一回の山田英夫先生が説く「ビジネスモデルのイノベーション」と同じ主旨かと思います。

もうひとつは、「悪い例から良いところを学ぶこと」
賢者は赤子からも学ぶことが出来るといいますが、模倣とは奥深いものかもしれません。

この講演では、
模倣の達人の心得から倣い合う場作りまで、模倣の原理と方法論を解説していただきます。

第12回 11/21(水) 磯﨑憲一郎さん

第12回 11/21(水)に登壇いただくのは、小説家の磯﨑憲一郎さんです。

磯﨑さんは、2009年『終の住処』で芥川賞を受賞されました。
三十を過ぎて結婚した男女の人生をユーモラスに描いたこの作品は16万部のベストセラーになったと聞いています。

本離れ、特に純文学離れが喧伝される昨今ですが、今回の夕学では、真っ正面から小説の魅力について語っていただきます。

そもそも小説とは何なのか?いつ発明されたのか?小説にしか出来ない事とは?それらの問いを考えながら、小説と、私たちが生きる世界との関係をどう捉えられるのか?

小説の作り手が語る小説の魅力を堪能できればと思います。

第11回 11/20(火) 前野隆司さん

第11回 11/20(火)は、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授の前野隆司先生に登壇いただきます。

前野先生が研究科委員長を務める慶應SDMは、4年前に開設された慶應の新しい大学院です。
「システムデザインマネジメント」という言葉は聞き慣れない方も多いかと思いますが、同大学院のHPによれば、
「大規模・複雑で不確定要素の多いあらゆるシステムを創造的にデザインし、確実にマネジメントするための学問体系およびその実践を表します」
とあります。

例えば、宇宙開発のような大型プロジェクトや新しい社会システムの構築提言などの政策立案プロジェクトなどの高度で複雑なプロジェクトを担うリーダーを育成することを社会的使命として生まれた大学院と言えるかと思います。

前野先生は、ヒューマンインタフェースのデザインから、ロボットのデザイン、教育のデザイン、地域社会のデザイン、ビジネスのデザイン、価値のデザイン、幸福な人生のデザインまで、様々なシステムデザイン・マネジメント研究を行なっているそうです。

詳細はヒューマンラボのHP http://lab.sdm.keio.ac.jp/maenolab/

今回の夕学は、前野先生の研究を支える知的基盤能力とも言える「思考」の方法論についてお話いただくことにしました。
題して「思考脳力とイノベーションのデザイン」

世界の諸問題を整理理解するための「思考」の型とイノベーションの関係を解きほぐし、どう考えればよいのか、幸福になれるのかをワークショップを交えながらお話いただければと思います。

第10回 11/14(水) 池上英洋さん

第10回 11/14(水)は國學院大学准教授で西洋美術史家の池上英洋先生です。

この3年間、agora講座でキリスト教、ギリシャ・ローマの文化について勉強してきました。
西洋社会の文化的・精神的な基層を形成するものとして知られながら、日本人は、その理解が著しく乏しいといわれる両者について、少しでも知見を深めたいと思ったからです。

キリスト教とギリシャ・ローマの文化について、僅かながら囓ってみると、その必然として、ルネサンスという時代への興味が湧いてきます。
1000年間におよぶ中世を経て、両者が再びイタリア半島の地で出会い、あらゆる分野で化学反応を起こしたのがルネサンスという時代だと言われています。

人間の可能性を再発見した時代、
人間と神の関係を再構築した時代、
表現活動を通して人間を再認識した時代
それが、ルネサンスという時代です。

ルネサンスとは、なにを意味し、どのように広がり、どうやって終焉したのか。
それを知りたいと思った時に、どんぴしゃりの本に出会うことができました。
池上先生の『ルネサンス 歴史と芸術の物語』です。

今回の夕学では、絵画・彫刻や芸術家の名前だけで語られることが多いルネサンスという時代を、社会がどう変わったのかという視点からも整理していただきたいと思います。

第9回 11/13(火) 西川善文さん

第9回 11/13(火)に登壇いただくのは、三井住友銀行名誉顧問の西川善文さんです。

西川さんは、三井住友フィナンシャルグループの総帥として、銀行業界の激動の時代に、三井住友の舵取りを担った方です。
「顔の見える最後の頭取」と言われ、ラストバンカーと称された名経営者です。

小泉政権時代に、三顧の礼で、日本郵政の社長に迎えられ、郵政民営化に向けた経営改革の指揮を執りました。
その一環で行った、東京駅前の中央郵便局(MCCの入っているビルの目の前にあります)の建て替え工事の真っ最中に、鳩山邦夫総務大臣(当時)の横やりを受けて、建築計画の大幅変更を余儀なくされるなど、随分とご苦労をされたのではないかと推察致します。

日経新聞「私の履歴書」連載をもとに上梓した『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』は、たいへん面白い本でした。
安宅産業崩壊、平和相銀・イトマン事件、「住銀の天皇」磯田追放、銀行大合併、郵政民営化等々、
昭和から平成にかけて起きた大事件、騒動、改革に当事者として関わってこられた西川さんの半生は、住友のみならず、日本の金融業界の歴史でもあったわけです。

今回の夕学では、「リーダーとは前のめりで戦うものである」と喝破する西川さんのリーダーシップ論をお聞きします。

第8回 11/6(火) 金原亭馬生師匠

第8回 11/6(火)に登壇いただくのは、落語家の十一代目金原亭馬生師匠です。

馬生師匠は、1969年に十代目馬生に弟子入りをされました。十代目馬生は、昭和の大名人と謳われた五代目古今亭志ん生の息子さんで、女優の池波志乃さんのお父さんにあたる方です。
従って、古今亭・金原亭は兄弟一門ということになります。

馬生師匠には、今春MCCのagoraで【落語ワークショップ】の講師を務めていただきました。
その際に垣間見た博識ぶりに感服して夕学登壇をお願いした次第です。

お恥ずかしい話ですが、私は、馬生師匠の講釈で「丑三つ」「暮れ六つ」といった江戸の時間尺度の由来を初めて知りました。

馬生師匠によれば、落語界では「人気の柳家、実力の古今亭・金原亭、わけがわからない◆◆」という標語があるとかないとか。その自信のほどがわかります。

歌舞伎座界隈で生まれ育った生粋の江戸っ子噺家が語る「江戸の粋」
落語ファンはもちろん、生の落語は初めてという方にも是非おすすめです。

第7回 10/26(金) 井上慎一さん

第7回 10/26(金)に登壇いただくのは、Peach Aviationの代表取締役CEO 井上慎一さんです。

全日空が日本初の本格的LCC((Low Cost Carrier)として発足させたPeach Aviationは、成熟産業の業界リーダーが挑む新事業として話題性に富んだものでした。
関空が拠点ですので、関東にはややなじみが薄いものの、今年3月には国内線が、5月には国際線が就航し、順調な滑り出しだと言われています。

経営再建がなったJALもLCCに参入し、7月からジェットスタージャパンが国内就航を開始しました。こちらは成田が拠点空港とのこと。一方で、マレーシアのAir Asia社をはじめとしたアジアのLCCが日本に進出をはじめています。

「ジャパンクオリティー」で他社との差別化を図るというPeach社のビジネスモデルとは如何なるものか、日本におけるLCCビジネスの将来性など幅広いお話をしていただく予定です。

第6回 10/24(水) 北川智子さん

第6回 10/24(水)はケンブリッジ ニーダム研究所客員研究員の北川智子さんです。

北川さんは、昨年までハーバード大レクチャラーとして、ハーバードの学生に日本史を教えていました。
理系出身の北川さんが、どういう経緯でハーバードで日本史を教えることになったのか、授業にどんな工夫を凝らしたのか、どんな授業内容だったのか、を振り返ってまとめたのが『ハーバード白熱教室』という本です。

日本人の感覚では、不思議に思うことも多いかもしれませんが、私は「これもAamerican dreamのひとつかな」と興味深く拝見しました。

世界中から優秀な学生が集まるハーバードとはいえ、わざわざ日本史を学ぼうという若者がどれほどいるのかと思います。案の定、初年度の履修者はわずか16名だったそうです。
それを創意工夫を凝らした授業で、3年で251名へと大幅に増やし、学生が選ぶ約50名の「思い出に残る教授」に選出されるまでになったというのが北川さんのサクセスストーリーです。

ハーバードの学生も魅了したという北川さんの白熱講義を、丸の内で再現していただきます。

第5回 10/18(木) 高橋俊介さん

第5回 10/18(木)は慶應SFC大学院特任教授の高橋俊介さんです。

高橋先生が、"自由と自己責任のマネジメント"というメッセージを掲げて、人材マネジメントの世界に颯爽と登場してから17年になります。
以来、日本のキャリア論、人材マネジメント論の潮流をつくってきた「Management Guru」のお一人かと思います。

高橋先生が見通している21世紀のキャリア形成の環境は、「想定外変化と専門性の細分化深化が同時に進行する」ことだと言います。

何が起きるのかまったく想定できない環境の中で、他者と圧倒的な差別化が可能な高度な専門性を深掘りすることが出来るかどうかということでしょうか。

そこには、長期のビジョンを描き、計画を目標に落とし込み、着実に階段を昇っていくというゴールデンロードが存在しません。

ダイナミックな環境変化適応能力と揺るぎない哲学的基軸、そし生涯を通して打ち込める何かを持つことが必要です。

高橋先生が所属する慶應SFCキャリアラボで行った6000人のアンケート調査や100人以上のインタビュー調査の結果も交えて、そのような環境で自ら満足度の高いキャリアを切り開く方法論や、企業の人材育成のあり方語っていただきます。

第4回 10/16(火) 出口治明さん

第4回 10/16(火)に登壇いただくのは、ライフネット生命保険の出口治明社長です。

日本の生命保険会社のビジネスモデルは、敗戦によって生じた多数の戦争未亡人の就労対策も兼ねた、いわば国策事業としてはじまったと言われています。
いわゆる「生保レディー」と呼ばれる方々が保険の販売を担う特異なモデルです。

その総本山というべき日本生命の幹部社員であった出口さんが、半世紀以上続いた既存ビジネスモデルに疑問を抱いたことから、ライフネット生命保険は誕生したと聞いています。

経営パートナーとして選んだのは、ハーバードでMBAを修得し、帰国したばかりの若き起業家岩瀬大輔氏(現ライフネット生命副社長)でした。

生命保険の裏も表も知り抜いた出口さんと経営学の知見と行動力&発進力を備えた岩瀬さんのコンビは、設立から6年で、ライフネット生命を東証マザーズに上場するまでに育て上げました。

今回、出口さんがお話されるタイトルは、「道場破りを受け入れる気概を持て!」です。
30年以上も過ごしてきた業界と会社に対して、50代半ばにして、堂々と戦いを挑んだ出口さん。その心意気やよし。

出口さんとライフネットの挑戦をお聞きしたいと思います。

第3回 10/9(火) 勝間和代さん

第3回 10/9(火)は経済評論家の勝間和代さんの登壇です。

前回、勝間さんに夕学に来ていただいたのは2008年5月。すでに、いくつかベストセラーの著書はありましたが、テレビに登場するようになる少し前ではなかったでしょうか。
「カツマー」という言葉もまだなかったように記憶しています。
まさに「有名人になる」直前、というタイミングだったのかもしれません。

勝間さんがこの春に出された『有名人になること』という著書は、なぜ、有名人になる必要があったのか、カツマーブームをどのようにして起こしたのか、その渦中に何があったのか、そして今何を考えているのか、を実に冷静に分析してみせたユニークな本です。

カツマーのみならず、勝間さんのことは知っていても本を読んだことはない、という方にもグサリと刺さるコンセプトかと思います。

どうすれば成長できるか、自分は社会に何で貢献できるのかを、考え続けている勝間さんらしいポジティブなお話を聞きたいと思います。

第2回 10/5(金) 猪瀬直樹さん

第2回 10/5(金)に登壇いただくのは、作家で東京都副知事の猪瀬直樹さんです。
受付開始初日に、早くも満席マークが灯りました。

日本を代表するノンフィクション作家であった猪瀬さんが『日本国の研究』で道路公団の闇を暴いたことをきっかけに、政治改革の当事者に転じてから10年以上が経ちます。

小泉純一郎、石原慎太郎という個性豊かなリーダーの下、彼らのカリスマを上手に活用しながら、官僚機構、行政システムの厚い壁に挑んできた、その情報発信力と突破力には敬服します。

副知事に就任して5年。現在は、東京メトロと都営地下鉄の統合、エネルギー問題、危機管理システム等について鋭い問題提起や行動力を発揮されています。

「この国のゆくえ」をどのように見ているのか、興味深いところです。

第1回 10/2(火) 山田英夫さん

きょうから、恒例の講師紹介を始めていきます。

今期のトップバッターは、早稲田大学ビジネススクール教授の山田英夫先生です。
90年代に「ディファクトスタンダード」という用語を世に知らしめた山田先生。『逆転の競争戦略』は、戦略論のビジネス書としては不朽の名著ですね(既に第三版が出ています)。
MCCでも、「経営戦略」のプログラムを担当していただいています。

さて、5年振りの夕学登壇となる今回は、新著の『なぜ、あの会社は儲かるのか?:ビジネスモデル編』にちなんだ講演になります。

アップルやグーグルのような飛び抜けて革新的な企業はなくとも、日本企業の中には、不動産、バス、タイヤ、旅館、地銀など成熟業界と言われている産業に、画期的なビジネスモデルが生まれているそうです。
それらの成功の秘訣は、異業種にあるモデルを取り込んだものが多いとのこと。

愚直に、製品の差別化に取り組んでも、すぐに競合に模倣され、最後はコスト競争に巻き込まれて疲弊する。そんな不毛な戦いから抜け出すには、少し視点ずらし、他者が見ない世界に目を向けてみることが必要です。

きょうから後期の申込受付がはじまりました。

本日のAM10:00から始まった『夕学五十講 2012年後期。おかげさまで今期も多くの皆さんに関心を持っていただいたようで、早くも満席講演も出ました。

後期は10月2日(火)から年明け1/29(火)まで、全25講演で開催します。
皆さんよろしくお願いします。

「感想レポートコンテスト」優秀賞の発表

そろそろ暑さにも飽きてきましたね。
会社帰り、最寄り駅から道すがら大きな公園の横を通ります。
毎年、夜遅くに通る際に、鈴虫の声が聞こえはじめるとホッとするのですが、今年はいつ頃聞くことが出来るのか。
しばらく忍耐の日々が続きそうです。

さて、恒例の「感想レポートコンテスト」優秀賞の発表です。
今期もたくさんの方にご応募いただきましたが、その中から「なおき様(テレビ局勤務)」が、藤原和博さんの講演(4/11)についてお書きになった「坂の上の坂に気付く」に決定いたしました。

藤原さんが、300人の聴衆を相手にワークショップを交えて仕切った動きのある講演を、ルポ風にまとめていただきました。
とても分かりやすいレポートであることが一番の選定理由です。

発表を兼ねて、改めてこのブログでもご紹介をさせていただきます。

なお、「感想レポートコンテスト」は2012年前期をもって終了とさせていただき、来期以降は趣向を変えて、受講者の声をお届けできる企画を準備中です。

続きを読む "「感想レポートコンテスト」優秀賞の発表"

第26回 7/26(木) 槇文彦さん

第26回 7/26(木)に大トリを飾っていただくのは、建築家の槇文彦さんです。

槇先生は、日本を代表する建築家として世界で活躍するお一人です。
表参道のスパイラル(1985年)、幕張メッセ(1989年)を始めとする数多くの作品があります。1990年に開講した慶應の湘南藤沢キャンパス(慶應SFC)も槇先生の設計です。

今回の夕学では、「グローバリゼーションの中での建築デザインを考える」をテーマに掲げていただき、北・南米、東南アジア、インド、レバノン、ヨーロッパに於いて進行している約15のプロジェクトを紹介いただきながら、グローバリゼーションの中で質の高い建築を実現するために、建築家に要求される知識、経験等をお話いただく予定です。

第25回 7/24(火) 松波晴人さん

第25回 7/24(火)に登壇いただくのは、大阪ガス行動観察研究所 所長の松波晴人さんです。

松波さんのプロフィールを拝見すると、大阪ガス入社後は、一貫して研究所に所属され、生理心理学、人間工学関係の基礎研究に従事されたとのこと。
推察するに、ガス器具ユーザーの心理や行動を分析し、商品開発やサービス設計に役立てる研究をされていたのではないかと思います。

そこで蓄積した成果とノウハウをもって、大阪ガス行動観察研究所を設立し、人間の行動の観察から深層心理を抽出して、マーケティングやサービスの革新に役立てようという、企業内ベンチャーとして活動されているようです。

今回の夕学では、ワーキングマザーの生活調査、書店の店舗デザイン、営業ノウハウの抽出、オフィスの生産性向上、工場のモチベーションアップなど、興味深い事例を紹介いただきながら、行動観察の効用をお話いただけるとのことです。

第24回 7/20(金) 妹尾大さん

第24回 7/20(金)は、東京工大大学院准教授の妹尾大先生です。

妹尾先生は、野中郁次郎氏のもとで「知識創造理論」の研究をされてきた若手の経営学者です。

具体的に研究しているのは、「知識創造支援ワークスタイルとワークプレイス」とのこと。
ひらたく言えば、クリエイティブを産み出すための働き方・仕事の進め方・職場環境の研究ということでしょうか。

縦方向のコミュニケーション(上から下への指示命令、下から上への報連相)を重視するピラミッド型の組織構造や業務システムは、効率的ではありますが、「知の創出」という観点からいえば、適合的ではありません。

なぜなら「知の創出」=イノベーションとは、既存の「知」同士の新しい組み合わせに他ならないからです。縦方向に仕切られた組織には、それが起きにくい宿命があります。

妹尾先生が取り組んでいる、「知識創造支援ワークスタイルとワークプレイス」は、「空間に誘導されて目的意識に気づき、働き方を変えたワーカーが、より高い生産性を達成するため自ら新たな空間を設計して実現する」という自律的なシステムのようです。

今回の夕学では、「知をつなぐデザインとリーダシップ」という演題で、研究成果をご紹介いただきます。

第23回 7/12(木) 吉原由香里さん

第23回 7/12(木)に登壇いただくのは、棋士の吉原由香里さんです。

吉原由香里さんは、旧姓梅沢由香里さん。慶應SFC卒の美人女流棋士として話題になってから、もう15年以上になります。

女流棋聖タイトルの奪取・防衛に成功するなど、棋士として着実に階段を昇る一方で、大人気マンガ『ヒカルの碁』の監修や、テレビの囲碁教室の出演など、囲碁文化の啓蒙活動にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。

結婚された後は、棋士・囲碁啓蒙者という役割に、妻、母という女性ならではの役割をのっけて、プロフェッショナルに働く女性として、新しい時代のモデルにもなっていらっしゃいます。

最近は、「山ガール」ならぬ「囲碁ガール」という言葉が生まれるほどの囲碁ブームだそうですが、そんな変化にも大きく貢献されているのかもしれません。

今回の夕学では、囲碁の一体何がそこまで人を夢中にさせるのか。その歴史から現代
囲碁事情、そして実際の囲碁体験まで行っていただく予定です。

第22回 7/6(金) 本郷和人さん

第22回 7/6(金)に登壇いただくのは、東大資料編纂所教授の本郷和人先生です。

本郷先生は、日本中世史を専門にされており、特に中世の統治システムの研究から、天皇制の実相を明らかにされてきました。

女性宮家創設問題、皇位継承論議は、これから数年のホッとな政治イシューになることは間違いありません。しかしながら、多くの人にとって、天皇制は、知っているようで知らない問題でもあります。

選挙の争点になるようなことはないでしょうが、主権者としては、いまのうちに歴史的に正確な知識を確認する必要があるかと思います。

「世界に類を見ない万世一系の伝統」という一般的な知識レベルからもう一歩、二歩突っ込んで、「日本の歴史にとって、天皇とはどんな存在であったのか」について、冷静に、かつ共感をもって認識を深め、天皇の未来に向けてのありようを議論してみたいと思います。

ちなみに、本郷先生は、現在放映中のNHK大河ドラマ「平清盛」の時代考証を担当されているそうですので、こちらのお話も合わせて伺えるものと思います。

第21回 6/29(金) 大平貴之さん

第21回 6/29(金)に登壇いただくのは、プラネタリウム・クリエイターの大平貴之さんです。

小学生の頃からプラネタリウムの自作をしていたという大平さんは、ソニー入社後も開発を続け、それまでのプラネタリウムの100倍以上にあたる150万個の星を投影できる「MEGASTAR(メガスター)」を製作し、業界をあっと驚かせたそうです。

しかも、最新鋭機の「Super MEGASTAR-II」は、なんと2200万個の星数投影ができるといいます。
私のようなオジさん世代がプラネタリウムを見ていたウン十年前に比べると、驚異的な進化をとげているということでしょうか。
おそらくは、かなり視力のよい人が、富士山頂やアラスカなどの限られた場所で、しかも年に数回の好条件でしか味わうことができない宇宙体験を、誰もが実現できる画期的なイノベーションと言えるのではないでしょうか。

一方で、大平さんは、ソーシャルベンチャーの起業家的でもあります。
大平技研という会社で、大規模プラネタリウム用の「Super MEGASTAR-II」から、家庭の浴室で宇宙が体験できるホームスタータイプまで、幅広い製品を開発・販売していらっしゃいます。

今回の夕学では、「星空を作るという仕事~MEGASTAR開発ストーリー~」と題して、「MEGASTAR」を開発するまでの軌跡を振り返っていただきます。
加えて、星空を作るという仕事の社会的意義や今後の方向性などについても語っていただく予定です。

第20回 6/21(木) 加護野忠男さん・大森信さん

第20回 6/21(木)には、加護野忠男(甲南大学特別客員教授)大森信(日大准教授)の師弟コンビにお越しいただきます。

日本を代表する経営学者の一人として活躍されてきた加護野先生は、神戸大時代の門下生の中から多くの研究者を育成されています。

灘の酒蔵と丹波杜氏の関係から、伝統産業の技能継承システムを見いだし、東大阪の中小製造業に、自己調整型の競争原理システムを発見するという、ユニークな研究観察眼を持つ加護野先生だけあって、ご門下生の方も、「おっとそうきたか!」というような目を惹くテーマを掲げて研究をされているようです。

夕学にも登壇いただいた西尾久美子さんの『京都花街の経営学』、神戸洋菓子店を研究した森元伸枝さんの『洋菓子の経営学』などがあります。

大森信先生もそんなお一人。
昨年『トイレ掃除の経営学』という本を出されました。しかも、白桃書房というバリバリの学術系出版社から。

イエローハットの鍵山秀三郎氏を代表に、トイレ掃除を日課にするという経営者の話はたまに伺いますが、それが実証的な研究テーマになりうるとは思いませんでした。
「トイレ掃除で生産性があがるわけがない、そういう精神論が長時間労働の元凶である」という表層的な批判はよく聞くところですが、実践している経営者は、そんなことは先刻承知しており、それでもなおやり続けるだけの目的や意義があるはずです。そこには、日本企業が抱えている問題を解決する手がかりが隠されているのかもしれません。

先端的ビジネスコンセプトを根づかせるためのヒントの多くは、日本の伝統システムの中に織り込まれているという加護野先生のかねてからの主張と合わせて、トイレ掃除の意義を考えてみたいと思います。


そこで、今回の夕学では、お二人に来ていただいて、たっぷりとお話いただくことにしました。

第19回 6/18(月) 石川勝美さん

第19回 6/18(月)に登壇いただくのは、石川遼選手のパパ、石川勝美さんです。

埼玉縣信用金庫に勤務しながら、石川選手のコーチ、マネジメントをこなす石川パパ。
石川選手が小学生時代、「夢はマスターズ優勝」と掲げたことをきっかけに、息子の夢を叶えるため、1年360日、練習にラウンド、試合の付き添いをしながら石川選手をトッププロに育て上げたとのことです。

ここまでなら、イチロー選手のお父さん(チチロー)や、福原愛選手のご両親など、親子鷹で子供を一流スポーツ選手に育てた先達はいらっしゃいます。

今回、石川パパを夕学にお呼びした理由は、ゴルファー石川遼をどう育てたのか、と同時に、人間石川遼をどう育てたのか、をお聞きしたかったからです。

私にも大学生と高校生の子供がいるので余計にそう思うのかもしれませんが、10代の頃から石川選手の話し方、言葉遣い、精神状態の保ち方には目をみはるものがありました。

早熟の天才というのは、世間の注目から自身を制御するだけの精神的バッファがないせいか、傲慢不遜な態度によって、外部と距離を置くことで、精神バランスを保っているようなところがあります。
イチローもそうですし、中田英寿も、貴乃花もそういうところがありました。

石川選手の場合、それが皆無です。
苛烈な取材競争にさらされながら、あれだけ優等生的な対応をしていて、フラットな精神状態を保てる人間力は、いったいどこから生まれたのか。
それをお聞きできればと思います。

第18回 6/14(木) 金井壽宏さん

第18回 6/14(木)に登壇いただくのは、神戸大学大学院教授の金井壽宏先生、夕学には、通算五回目、最多の登場回数となります。

城取が金井先生とのお近づきを得てもう10年以上になります。
慶應MCCが開設初期に開催した『キャリアアーキテクチャー論』という11会合の連続講座のコーディネイターをやっていただいた時がはじまりでした。

このプログラムの受講生の皆さんとは、いまだに勉強会等の定期的な交流が続いており、「10年目のリフレクション」という名で、その様子をメルマガ「てらこや」に掲載してきました。
このコミュニティも、金井先生というシンボルがあってこそ続いてきたと思っています。
いまでも、ML上に気軽に登場され、各自に心温まるメッセージを寄せてくれます。

今回の夕学で、金井先生にお願いしたテーマは「組織開発」です。
現在、企業のみならず、NPOや地域コミュニティなど世界のあらゆる組織で行われている、個を出発点とした組織開発の試みについて、語っていただく予定です。

第17回 6/12(火) ちきりんさん

第17回 6/12(火)に登壇いただくのは、ライターで、人気ブログ「Chikirinの日記」運営者の、ちきりんさんです。

3万人/一日を越えるユニークユーザーを持つという「Chikirinの日記」。社会派のブログとしては、驚異的なアクセスを集めています。「さまざまな社会問題を独自の視点で分析する」ことにこだわって、マスコミの論調や識者の理論的解説とは、異なったユニークな意見であることが特徴です。

昨年出版された二冊の本(『自分のアタマで考えよう 知識にだまされない思考の技術』、『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』)もベストセラーとなっています。

「大量の知識を蓄えた"博識な人"に替わり、自分のアタマで考える"ゼロベース思考の人"が求められる時代が到来しつつある」という時代認識をベースに、その実践者であり、成功者としてのちきりんさんの思考法をお聞きできればと思います。

第16回 6/8(金) 成毛眞さん

第16回 6/8(金)の講師は、HONZ代表で、(株)インスパイア取締役ファウンダーの成毛眞さんです。

成毛さんは、夕学には、実に11年振りの登壇(2001年以来)になります。
あの時は、「正直言って飽きました」という印象的な言葉を残して、マイクロソフト日本法人のトップを退任されたばかりの頃でした。

新たな課題が提示されたり、問題が発生したとしても、「ここをこうして、ああすれば、きっとこうなる」という読みが、その通りにいくことが重なると、ご自身のモチベーションの源泉である好奇心が湧いてこない、ということが退任の理由だったかと記憶しています。

その後の成毛さんの生き方を見ていると、その時に大事にしようとしたご自身の価値観に忠実にいきようとしていらっしゃるのではないかと思えます。

退任とともに設立したインスパイア社のビジネスモデルは、2001年の日本では革新的なものでした。
ベンチャーファンドではなく、単なる投資会社でもない。かといってコンサルティングでもない。
強いていえば、後の産業再生機構や、現在の産業革新機構といった、企業再生支援事業に近いモデルですが、それを純粋に民の立場で、従って、企業再生というよりは、潜在的価値への投資というスタンスで、いち早くビジネス化に成功したということでしょうか。

現在の成毛さんは、HONZという「おすすめ本紹介サイト」の代表を務めています。
こちらのサイトも、なんとも説明しづらいコンセプトです。本の感想ブログでもなく、書評サイトでもない。「指名された読み手が、何冊もの本を読み、​そのなかから1冊を選び出して紹介するサイト」とのこと。

設立時のインスパイア社もそうですが、人に説明しづらい、というのは、それだけ、新奇性が高いということでもあります。見たことがないものを説明することほど難しいことはありませんから。
だからこそ、それを形にしていくことに、成毛さんの知的好奇心が沸き上がるということなのかもしれません。


今回の夕学でお話いただく演題は「現代の常識を疑う」。
英語社内公用語化批判や、就活での日経不要論といった脱常識の視点を掲げる成毛さんならではの、時代の見方、生き方を語っていただければと思います。

第15回 6/6(水) おちまさと さん

第15回 6/6(水)は、プロデューサーのおちまさとさんに、夕学二度目の登壇をしていただきます。

10才の時、映画『ジョーズ』を観て、将来の仕事は、スクリーンの向こう側(制作者側)に立つことだと決断したという早熟の天才企画マンおちまさとさん。
「天才たけしの元気が出るテレビ」で世に出てから既に四半世紀。テレビだけでなく企画・プロデュースを企業やファッションなどに領域を広め、いまではウェブサイトやSNSゲーム、ファッションへと縦横無尽に活躍をしていらっしゃいます。

昨年出された『「気づく」技術』『相手に9割しゃべらせる質問術』は、いずれもベストセラーとなり、ビジネス書の著者としても、類まれな才能をみせてくれます。

おちさんによれば、あらゆる領域においても、企画の原点になるのは「気づき」だそうです。そして「気づき」とは、幼い頃からの経験を通じて蓄積された記憶の複合体であるとのこと。

今回は、ジャンルを飛び越えたプロデュースを生業にするおちさんに「どうやったら気づけるのか」という『「気づく」技術』を講義していただきます。

第14回 6/1(金) 古賀茂明さん

第14回 6/1(金)にお話いただくのは、元経産省官僚で大阪府市統合本部特別顧問の 古賀茂明さんです。

古賀さんは、改革派官僚として鳴らし、自民党政権時代の末期に、公務員制度改革の推進役として活躍をされました。
民主党政権になってから、一転閑職に追いやられ、紆余曲折を経て、野に下る道を選ばれました。

その経緯と闘う姿勢は、ベストセラー『官僚の責任』に記述されています。

一時は、橋下さんの後任として大阪府知事選への出馬も取りざたされましたが、現在は大阪府市統合本部特別顧問として、大阪の改革に尽力をしていらっしゃいます。

昨夜の「報道ステーション」では、関西電力が準備する大飯原発再稼働の妥当性を、大株主である大阪市が確認する作業の一環として、古賀さんをはじめとして橋下ブレーンの面々が、現地調査&ヒアリングに入った様子が報道されていました。

あれこれと理由を付けて、報道陣の撮影を出来るだけ制御しようとする関電側に対して、「あなた方(関電)が災害対策として努力してきた成果を多くの人に知っていただけるせっかくのチャンスを無駄にするんですか。報道陣への公開は、あなた達のためにもなるんですよ」と鋭く迫る古賀さんの姿が印象的でした。

霞ヶ関の改革に内側から挑戦し、その岩盤の強固さを肌で知る古賀さんが語るニッポンの改革課題。何を、どういう順で、どう改革していけばよいのかを考えたいと思います。

第13回 5/31(木) 土居丈朗さん

第13回 5/31(木)にお話いただくのは、慶應経済学部教授の土居丈朗先生です。
土居先生は、弱冠42歳、財政学のライジングスターとして注目されている研究者です。

2012年3月現在、野田政権は、「社会保障と税の一体改革」の旗を掲げて、消費増税に向けて、党内外の反対意見の中を突き進もうとしています。

マスコミの報道は政局がらみの生臭い話として語られがちですが、政府債務がとてつもない規模に膨れあがっていること、高齢化に伴う社会保障の増大が避けられないことは、誰がどうみたって変えられない事実です。

政権党がどこであろうが、総理大臣が誰であろうが、私たち国民は、日本財政をどうするかという問題を「わが事」として認識し、政策判断の基軸を持つことが求められています。

ある程度の増税は避けられないとしても、はたしてどこまでの増税を覚悟するのが妥当なのか、経済成長を追求すれば増税せずにすむのか、増税の前に歳出削減を求める声が多いがどうすればよいか等々、私たちが有権者として、責任をもった判断を求められる問題がいくつかあるのではないでしょうか。

大阪府市特別顧問にも就任した土居先生に、財政運営の諸問題を解説していただきます。

第12回 5/25(金) 中野剛志さん

第12回 5/25(金)に登壇いただくのは、経産省の官僚で、現在は京都大学大学院工学研究科准教授の中野剛志先生です。

中野先生は、反TPPの急先鋒として、テレビやネットで強烈な反対意見を述べている方です。昨年お書きになった『TPP亡国論』という本は、20万部を売り、新書大賞2012の第三位にあげられました。

今回の夕学では、反TPPの背景理論とでもいいましょうか、中野先生が専門とする「経済ナショナリズム」という政治思想についてお話いただきます。

「経済ナショナリズム」は、現代経済学の主流をなす経済自由主義思想の真逆に位置する考え方で、反グローバリズム、保護貿易主義などとセットで語られることが多い思想です。
従って、「異端の思想」と呼ばれているそうです。

中野先生は、その捉え方は、「経済ナショナリズム」のある一面を表現してはいても、本質を射てはいないと主張しています。

「経済ナショナリズム」は、あくまでも国民(ネイション)に対する忠誠のイデオロギーである。国民が豊かな経済社会を取り戻すために必要な理論と政策とはどうあるべきかを方向付けるものである、と...。

私は、「経済ナショナリズム」について一般向けに書かれた『国力とは何か』という本を読みましたが、「なるほど」という共感と「なんだこれは」という違和感が交互に沸き起こりました。実に不思議な本でした。

共感と違和感が共存するところが、「異端の思想」たる所以なのでしょうが、世界のパラダイムが変わろうとしている時に、新しい道を指し示してくれる光源は、異端や辺境から生まれるというのも事実です。

そんなことも期待しながら、「異端の思想」をじっくりと勉強してみたいと思います。

第11回 5/22(火) 二宮清純さん

第11回 5/22(火)に登壇いただくのは、スポーツジャーナリストの二宮清純さんです。

夕学への登壇は、講演者として一度、対談者のホストとして三度(石毛宏典さん犬飼基昭さん島田亨さん)。ずいぶんとお世話になってきました。
講演者として久し振りにご登壇(7年振り)いただくことにした理由は、間近に迫るロンドン五輪の見方についてお話いただきたかったからです。

二宮さんの特徴は、あらゆるジャンルのスポーツに精通していることはもちろんのこと、スポーツ選手を育成するシステム、スポーツを振興するための政策、スポーツ団体・組織の経営にいたるまで幅広い領域をカバーできる、数少ない(というよりも、恐らく日本で唯一の)スポーツジャーナリストです。

五輪で勝つためには、選手の才能や努力、監督・コーチの指導法や采配だけでは不十分です。選手の発掘、育成、生活、将来設計に至るまで、トータルな戦略とシステムが不可欠です。
私たちがテレビで垣間見る試合やレースが、氷山の頂点だとすれば、水面下にあって、それを支える見えない全体像があるはずです。

そんなことも含めて、オリンピックを楽しむための多面的な見方を伺えることが出来ればと思います。

第10回 5/17(木) 原研哉さん

第10回 5/17(木)に登壇いただくのは、デザイナーで武蔵野美術大学教授の原研哉さんです。

商業デザインはもちろんのこと、長野オリンピックの開・閉会式プログラムや、 2005年愛知万博の公式ポスターを制作するなど日本の文化に深く根ざした仕事も多い原さん。近年は、日本産業の潜在力をデザインによって可視化し、世界へ発信するという課題に注力しているそうです。

原さんの考える、日本の産業の次なるヴィジョンは「家」だそうです。
それは、住宅産業がどうこうという意味ではなく、これからの人類が直面するあらゆる社会的な問題の集約点であり、その問題を解決しようとして試みられているさまざまな産業アクティビティの交差点として、「家」があるという視点に拠っています。

考えてみれば、これからの「家」を考えることは、環境、高齢化、エネルギー、医療、通信、IT等、あらゆる社会的問題を考えることと同じことかもしれません。
また、産業ビジョンとして「家」は、ひとつのパッケージに多機能と多義性を凝縮することを得意とする日本の強みが活かせることなのかもしれません。

「家」を基軸にした新しい日本、新しい生活、新しい産業の方向性を考えてみたいと思います。

第9回 5/14(月) 釈徹宗さん

第9回 5/14(月)にお話いただくのは、浄土真宗僧侶で宗教学者の釈徹宗さんです。

夕学では、これまでに何人かの僧侶の方にお話をお聞きしてきました。玄侑宗久さん、南直哉さん、多川俊英さん等々。
立場や考え方は異なれども、いずれの方も長く記憶に残る印象的なお話をしていただきました。

今回の釈徹宗さんは、私たちの日本人の生活の中に溶け込む仏教性、宗教性について造詣の深い方です。

釈さんによれば、私たちの暮らしの中には、いたるところに、仏教の精神性は練り込まれているそうです。つぶさに身の周りを点検してみれば、音楽や踊り、建築や生活様式、伝統芸能からサブカルチャーにいたるまで、仏教の根があり、花が開いているとのこと。それを私たちが仏教と認識していないだけのことなのかもしれません。

では、微細構成要素として、遺伝子のごとく、人間のモノの見方・考え方、価値観、生活習俗に溶け込んだ日本の仏教精神にどのような宗教的な意味があるのか。
釈さんのお話を通して、日本人の盲点とも言われる宗教精神について考えてみたいと思います。

第8回 5/11(金) 武田隆さん

第8回 5/11(金)に登壇いただくのは、株式会社エイベック研究所代表取締役の武田隆さんです。

武田さんは、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「企業コミュニティ」の専門家であり、インターネット黎明期に学生ベンチャーとして立ち上げた会社を、WEBの進化に適応しながら変化&発展させてきた起業家でもあります。

ソーシャルメディアが登場するずっと前から、ソーシャルメディア的な「場」を使ったコミュティの可能性に着目し、それを如何に作るか、メンテナンスするか、ビジネスとして成り立たせるかを試行錯誤しながら追究してきた、こだわりを持った人かと思います。

武田さんが昨年お書きになった『ソーシャルメディア進化論』は、そんな16年の苦闘の歴史と、そこから紡ぎ出した実感のはりついた知識とノウハウが詰まった良書です。

ソーシャルメディアのマーケティング活用は、言うまでもなく、twitterを使うこと、facebookを開設することに意義があるわけではありません。
あるいは「こんな失敗事例も増えている」といった安直な反ソーシャルメディア論もいかがなものかと思います。

企業が顧客との心あたたまる関係を築き、それを収益化するためにはどうすればよいのかを考え続け、16年300社のマーケティング支援に取り組んできた経験に基づいたお話しが聞けるものと期待しています。

第7回 5/10(木) 川村真司さん

第7回 5/10(木)に登場されるのは、新進気鋭のクリエイティブディレクター川村真司さんです。

川村さんは、大手広告代理店を経て、クリエイティブラボ「PARTY」を設立し、現在は東京とニューヨークを拠点に活躍をされています。
TOYOTAやGoogleといったブランドのグローバルキャンペーンを手がける一方で、これまで誰も試みたことがなかった実験的な広告表現の開発をしていらっしゃいます。

例えば、
「Rainbow in your hand」ペラペラとページを括ることで掌中に虹を描き出す小冊子です。

あるいは、WEBカメラやストロボを使ったミュージックビデオ
SOUR「日々の音色」 androp「Bright Siren」等々

その斬新な表現手法は、カンヌ国際広告祭をはじめとした多く広告賞を受賞されていますし、2011年Creativity誌によって「世界のクリエイター50人」に選ばれました。

弱冠33歳、若さと創造力に溢れる表現のプロから、グローバルに通用するクリエイティブマインドを感じ取りたいと思います。

第6回 4/26(木) 西村佳哲さん

第6回 4/26(木)に登壇いただくのは、働き方研究家でリビングワールド代表の西村佳哲さんです。

「働き方研究家」というのは、いまの時代を捉えた、実に秀逸なネーミングですね。
西村さんは美大を卒業された後、建築分野を経て、ウェブサイトやミュージアム展示物、公共空間のメディアづくりなど、各種デザインプロジェクトの企画・制作ディレクションをされてきました。
その一方で、ワークショップやファシリテーション、あるいはインタビューなどを通して、人間が他者とかかわり合うありさまを見つめてきたと言います。

他者とかかわり合うことで学び、成長し、喜びをえていくという人間の本質に焦点を絞りこんでいったのかもしれません。

経済的な成長、金銭的な豊かさという大きな潮流に、日本全体が乗っかることができた時代を終えて、ひとり一人の人間が、どう生きるか、何のための生きるのかを考えることが求められる時代になりました。

だからこそ、「他者とかかわる」という根源的な欲求を真っ正面から見つめ直して、そのための原理作法を考えてみることは重要なことかと思います。

第5回 4/24(火) 浅野温子さん

第5回 4/24(火)にお話いただくのは、女優の浅野温子さんです。
トレンディー女優の代表と言われた時代から、性格俳優としても確固たる地位を築いている現在まで、映画・TVドラマの第一線で活躍を続けている浅野温子さん。

実は、この10年ほど、古事記に代表される日本の神話に関心を寄せ、独自のアレンジを加えた「よみ語り」という活動を続けてこられました。
浅野温子よみ語り公式サイト
http://www.ikushimakikaku.co.jp/asano_atsuko_yomigatari/index.html

浅野さんの「よみ語り」は、いわゆる朗読劇ではなく、浅野さんが一人で様々な登場人物を演じる"一人語り舞台"だそうです。
恋愛ドラマから歴史物まで、コメディからシリアスまで、芸域の広さを誇る浅野さんならではの表現形態かもしれません。

古代にあって、記紀にまとめられる以前の歴史や旧辞を伝承したのは、語り部と呼ばれる人達でした。
また、わが国における役者の原型は、神の御前で踊り語った「わざおぎ」と呼ばれる人々であったと言われています。

語り部もわざおぎも、恐らくは神意を憑依させる神懸かりしながら、全身全霊を使って、物語を語っていたのでしょう。


人々は、そんな演技や語りを通して、人間の真理や不条理、生きることの喜びと哀しみを学んでいったと思います。

稀代の美人女優がよみ語る日本の神話。いまから楽しみです。

第4回 4/18(水) 日比野克彦さん

第4回 4/18(水)に登壇いただくのは、アーティストの日比野克彦さんです。

芸大在学中にダンボールや、わら半紙を再利用した芸術作品を製作して注目を浴び、その後、舞台美術やパブリックアートなど、幅広領域で活動してきた日比野さん。

日本を代表するコンテンポラリーアーティストである日比野さんが、今回の夕学で取り上げるのは「ひとはなぜ絵を描くのか」というシンプルかつ深淵なテーマです。

人類最古の絵画とされる洞窟壁画が描かれたのは4万年前だと言われています。文字を使い出すはるか以前から、ひとは絵を描いてきたことになります。

今回の夕学では、日比野さんが世界中を旅して絵を描いてきた経験を振り返りながら、絵を描きたいと思った衝動は何か、何が筆を取らせたのか、その時の作品を解説いただきながら、顧みていただきます。

第3回 4/17(火) 内田樹さん

第3回 4/17(火)神戸女学院大学名誉教授の内田樹先生です。

日本を代表するブロガーでもある内田先生。私も「内田樹の研究室」をいつも楽しみに拝読しています。
専門はフランス現代思想ではありますが、国際関係から、教育問題、メディア、政治、武道、マンガまで、驚異的に広い守備範囲をもち、独創的かつ論理的な言論を展開されています。

事前にいただいた講演内容によれば、2012年は「スーパーイヤー」とのこと。EUもアラブも、西アフリカも、北朝鮮も混迷の度を深めている渦中にあるにもかかわらず、世界の主要国で大統領選挙や首脳陣の交代が予定されており、国際政治醸成が大きく動く可能性があることがその所以のようです。当然ながら、渾沌下にあるのは日本も例外ではありません。

先の見えない、渾沌とした時代にあって、私たちは不透明な先行きにどう向き合い、考えていけばよいのか、ウチダ節に酔うだけでなく、深く考えてみたいと思います。

第2回 4/12(木) 原田泳幸さん

第2回 4/12(木)に登壇いただくのは、日本マクドナルドホールディングスCEOの 原田泳幸さんです。

日本マクドナルドの2011年12月の決算は、上場以来の最高益を更新したそうです。
牛丼業界に代表されるように、他のファストフード会社の多くが、かつてマクドナルドが先鞭をつけた価格戦略の罠に足を絡め取られ、不毛の競争を繰り広げたうえで消耗していることを考えると、原田さんが先頭に立って進めたマクドナルドの経営改革が、いかに時宜を得たものであったのかがよくわかります。

夕学では、2年越しの依頼がようやく叶い、登壇実現となりました。

日本では数少ないプロフェッショナル経営者として、異業種の経営改革に成功した原田社長の迫力と肉声を感じ取れる貴重な機会になると思います。

ちなみに、昨日の予約受付開始から1時間半で「満席」マークが灯るほどの大人気となっております。予約キャンセルが入ることも多いので、こま目にチェックしていただければと思います。
申しわけございませんが、キャンセル待ちは受け付けておりませんので、ごめんなさい。

第1回 4/11(水) 藤原和博さん

けさの10時から夕学の申込受付が始まりました。
わずか1時間半で、満席マークが灯ってしまう超人気講演も出ていますので、ご関心のある方はお早めにチェックをお願いします。

さて、恒例の講師紹介もスタートさせていただきます。毎日一人ずつご紹介をしていきます。
きょうは、その1回目。


今期の夕学トップを飾るのは、藤原和博さんです。
どの肩書きをご紹介するのがよいか迷いましたが、藤原さんは、肩書きでご紹介する人ではないと思い直し、ここではあえてお名前だけとします。

リクルートで最初のフェロー社員、杉並区立和田中学校長としての学校改革、橋下さんの元での大阪府特別顧問etc。そのキャリアの軌跡が藤原さんを物語ってくれます。

3年振りの夕学登壇となる今回は、近著『坂の上の坂』にちなんだお話をお願いします。
演題は「坂の上の坂をどう生きるのか」

司馬さんの代表作タイトルをモチーフに借り、坂の上の雲を目指して生き抜いた先に訪れる数十年の長い時間。それは惰性で生きるには余りにも長く、むしろ「もうひとつの坂」と呼ぶにふさわしい人生の課題である、というのがこの本の問い掛けになります。

藤原さんらしい、独創的で実践的なモノの見方・考え方を、「もうひとつの坂」に立ち向かうために使うとどうなるか。

ワークショップを交えた、有意義な時間となること間違いなしです。

2012年の新書大賞は『ふしぎなキリスト教』

61F-Zo8o5yL.jpgのサムネール画像のサムネール画像2012年の新書大賞は『ふしぎなキリスト教』橋爪大三郎・大澤真幸著(講談社現代新書)に決定したそうである。

1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。第1回は福岡伸一著『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、第2回は堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書)、第3回は内田樹著『日本辺境論』(新潮新書)、第4回は村山斉著『宇宙は何でできているのか』(幻冬舎新書)を大賞に選出し、読書界に大きな反響を呼びました。  第5回にあたる「新書大賞2012」では、2011年に刊行された1500点以上の新書を対象に、全国有力書店の新書に造詣の深い書店員、各社新書の編集長ら67人が投票した...

とのことである。
『生物と無生物のあいだ』も、『日本辺境論』も、『宇宙は何でできているのか』も、むちゃくちゃ面白く読んだ。個人的には、自分の感覚とのフィット感が一番高い出版文化賞だという感想を持っている。

『ふしぎなキリスト教』も面白かった。
2010年の秋に、agora講座で、『阿刀田高さんと読み解く【旧約・新約聖書とキリスト教】』というのを開催したが、そのOBでアミカルという勉強会を開催している。(仏語のamicaleには[友好的な、友の会]といった意味があるそうな)

私もメンバーの一員に加わらせてもらって、聖書とキリスト教にかかわる書籍の読書会や映画鑑賞を楽しんでいるが、昨年の10月は私の発表の番だったので、『ふしぎなキリスト教』を取り上げた。

「キリスト教を通して、「西洋」、「近代社会」を考える」
それが、この本のコンセプトである。
著者の橋爪大三郎氏と大澤真幸氏は、故小室直樹門下生で、同門の先輩後輩にあたるそうだが、意気もピッタリで、このコンセプトに沿って、実に面白い問答を繰り広げている。

「私(大澤)が挑発的な質問者となって、ときに冒涜ともとられかねない問いをあえて発し、橋爪大三郎さんに、それに答えながら、キリスト教というものが何であるか、キリスト教が社会の総体にどのようにかかわってきたかを説明していただいた」

と「まえがき」にあるが、読書会の発表にあたって、シコシコと数えてみたら、大小合わせて46問の問い掛けがあった。

  • なぜ神はたくさんいて(多神教)はいけないのか?
  • いったいイエスは人なのか神なのか?
  • なぜキリスト教社会が近代世界の主導権を握れたのか?
  • 全智全能の神が作ったはずの世界の中に、なぜ悪(戦争や飢餓)が蔓延るのか?
Etc...

いずれも日本人ならではの、素朴な疑問である。
その素朴の疑問の、ひとつひとつに答えることが、「西洋」と「近代社会」に、キリスト教(ないしはユダヤ教やイスラム教)という思考の補助線を引くこととなり、四方八方に理解のシナプスがつながって、「なるほど!」という納得感を導き出してくれる。
多くの本のプロフェッショナル達も同じ感想を持ったのであろう。

この本を読んで、「宗教を通して世界を知る」というコンセプトのagora講座を出来ないかと思い立ち、早速、橋爪先生にお願いして企画したのが、この講座である。

橋爪大三郎さんのセミナー【宗教で読み解く世界】
http://www.sekigaku-agora.net/course/hashidume_daisaburo.html
よろしければ、是非ご検討ください。

感想レポートコンテスト 優秀賞

先月(1/31)に終了した2011年後期の「夕学五十講」の感想レポートコンテスト 優秀賞が決まりましたので、この場を借りてお知らせ致します。

大手消費財メーカーにお勤めの、榎本高志さん(29歳)「マッチングビジネスとしてのマーケティング」です。(1/17 池尾恭一先生の講演)

メーカ主導の囲い込み型マーケティングからオープン型マーケティングへの変遷と、その延長線上で位置づけられるデジタルマーケティングのホットイシューを、ご自身の会社のマーケティング戦略と関連づけながら整理していただきました。

実践と理論を結びつけるという、大人の学びの王道を、きちんと歩いていらっしゃる方だと推察致します。
これからも益々のご活躍を期待しております。


2011年後期の感想レポートコンテストは、21名の方に応募をいただきました。この場をお借りして、改めて御礼を申し上げます。
夕学五十講感想レポートコンテスト アーカイブ

感想レポートコンテストは、来期も実施する予定です。
応募頂いた方には、もれなく、夕学の招待券1枚(満席講演は除く)を差し上げます。また各期1名の優秀賞に選ばれた方には、翌期の夕学パスポートを贈呈致します。

来期も多くの皆さまの応募をお待ちしております。

来期(2012年前期)の夕学のラインナップが全て決まりました

来期(2012年前期)の夕学のラインナップが全て決まりました。
昨日からWEBでお知らせをしております。

2012年度前期『夕学五十講』全26講演予定
https://www.sekigaku.net/Sekigaku/Upload/attacned_news_481.pdf

来期は4月11日(水)の藤原和博さんの講演から始まって、1回多く26回になります。夕学パスポートの料金は同額ですので、ちょっとお得になりますね。

ご覧になった方の反応は、上々ですので、今回も多くの皆さんにお越しいただけることを期待しております。

申込・予約の受付は3月1日(木)10:00からになりますので、しばしお待ちください。

第25回 1/31(火) 武石彰さん

第25回 1/31(火)の講師は、京都大学大学院経済学研究科教授の武石彰先生です。

武石先生は、日本を代表するイノベーション研究者のお一人です。一橋大大学院にいらっしゃる頃から夕学にお呼びしようと思っていましたが、ようやく実現することができました。

かつてのベンチャーブームの際にも、MOTが騒がれた時も、新産業育成が国家的課題だとされる現在も、いつもその中心には「イノベーション」の必要性が謳われていました。

さらにいえば、シュンペーターが「イノベーションは新しい結合である」と喝破してから100年。「イノベーション」は企業経営にとっても、経済政策においても、常にド真ん中のテーマでありました。

「イノベーションとは、単なる技術革新のことではない。それは経済成果をもたらす革新のことであり、革新を通じて経済社会を変革することである。イノベーションを実現するには、優れた技術を創造するだけではなく、経済社会に対する主体的、創造的な働きかけが必要である」

武石先生は、今回の講演にあたって、このように述べています。

どうすれば「イノベーション」が起こせるのかというHow toよりも、なぜ「イノベーション」が必要なのかというWhyをじっくりと考えてみたい講演です。

第24回 1/25(水) 宗次德二さん

第24回 1/25(水)に登壇いただくのは、株式会社壱番屋創業者特別顧問の宗次德二さんです。

宗次さんが、夫婦で始めた喫茶店の看板メニュー「カレー」を武器にして、カレーハウスCoCo壱番屋を名古屋に創業したのは、1978年のことだったそうです。以来33年、CoCo壱番屋は国内外に1300近い店を構える一大カレー店チューンに成長しました。
「ココイチ」の愛称で親しまれるその味、ライス、辛さ、トッピングまで細かいスペックで独自に選択できる注文システムは、差し詰めマーケティング理論でいうところの、「マスカスタマイゼーション」の成功例かと思います。

宗次さんは、10年程前に経営の一線を退き、クラシック音楽の普及などの社会貢献活動に注力をされています。

今回の演題は「夢を持つな!目標を持て!」
ゼロから事業を立ち上げた、筋金入りの創業経営者らしい芯のあるお話が伺えそうです。

第22回 1/20(金) 川田順造さん

第22回 1/20(金)に登壇いただくのは、神奈川大学特別招聘教授で文化人類学者の川田順造先生です。

川田先生は、主としてアフリカを対象とする民俗学的調査を行い、数多くの著作を著してきました。またクロード・レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』の翻訳でも知られています。

今回の夕学でお話いただくテーマは「人類学から日本を問い直す」です。
昨年お書きになった『日本を問い直す―人類学者の視座』をもとにした講演になるかと思います。

近代化の150年で我々は何を得、何を失ったのか?
日本列島の歴史と文化を最新の人類学で読み解き、明治日本を問い直し、アジア・アフリカ諸国と高度成長期までの日本を対比することで今後の我が国の在り方に一石を投じる。
そんな講演になることを期待しております。

第21回 1/17(火) 池尾恭一さん

第21回 1/17(火)の講師は、慶應ビジネススクール教授の池尾恭一先生です。

池尾先生は日本を代表するマーケティング研究者のお一人ですが、ITの黎明期から、新しいマーケティングのあり方を、ITを活用した「マッチング」にあると喝破していました。

一方で、消費者のピンポイントのニーズを正確に把握し、もう一方では、ユニバーサルなソリューション・サービスを探索し、両者をITを使ってマッチングする、「インフォメディアリー」という概念を池尾先生からお聞きしたのは、もう10年以上前になると記憶しています。

「プロダクトアウト」から「マーケットイン」へとシフトしたマーケティングが、いまや「マッチングビジネス」へと進化する潮流が、この10年ではっきりと見て取れるようになりました。

夕学は、実に10年振りの登壇になる池尾先生に、思う存分語っていただきたいと思います。

第20回 1/12(木) 夏野剛さん

第20回 年明け1/12(木)に来ていただくのは、慶應SFC特別招聘教授の夏野剛さんです。

テレビのコメンテーターとして拝顔する機会が増えた夏野さん。言わずと知れた日本のケータイビジネスの先駆者のお一人です。

iモードの立ち上げのためにドコモに転身し、マルチメディア戦略の総責任者として、iモードからおサイフケータイなど多くのサービスを世に送り出しました。
現在は、SFCの教壇に立ちながら、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、SBIホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、GREEとったITベンチャーの取締役も務めていらっしゃいます。

先週、iPohnがauでも販売されるというニュースが話題になりました。昨日の日経によれば、ドコモでも秋から従来型の高機能ガラケーを廃止し、主力をスマートフォンに絞り込むとか。

つい数年前まで「ガラパゴス」の象徴とまで言われた日本のケータイ産業も、オープンネットワークに向けて、大きく舵取りを変えようとしています。

ガラケーからスマートフォンへ、ケータイからPC・タブロイド端末との融合機器へと変わることで、私たちの暮らし、ビジネス、コミュニケーションがどう変わるのか。
興味深いところです。

第19回 12/20(火) 宮脇昭さん

第19回 12/20(火)に登壇していただくのは、横浜国立大学名誉教授で、国際生態学センター長の宮脇昭先生です。

宮脇先生は、独自の方法で世界に3千万本以上植樹してきました。
その方法は、対象となる土地の地味というか、相性のようなものを重視し、その土地に最もあった樹木を中心にしつつ、多数の種類の樹種を混ぜて植樹する「混植・密植型植樹」というものです。
いわば、太古の自然に近い森や林を再現しようというものです。

これまで日本の植樹活動の多くは、単一樹種を植生する画一的なものでした。このことが台風等の自然災害に対する耐性の弱さに繋がっていると宮脇先生は言います。

その土地本来の植生は、「鎮守の森」を見ればわかるとのこと。そこにはシイ、タブノキ、カシ類の木々が生い茂る「いのちの森」があると言います。

さて、いま宮脇先生は、「不幸な東日本大震災の危機をチャンスに、瓦礫を地球資源として、土と混ぜて三陸海岸沿いにエコロジーの知見にしたがって、防潮などの多彩な機能を発揮する丘をつくり、今すぐ木を植え、地域経済と共生し、次の氷河期がくるまで9000年続く、いのちの森をつくろう」と説いています。

被災地を覆う瓦礫でさえ、何万年かのスパンでみれば豊かな森に欠かせない地球資源に変わりうるとするならば、私たち人間の営みは、大自然の長大な循環システムの中に位置づけられることになります。

「生きがいとは未来に向かって今すぐできることを行うこと」と喝破する83歳の宮脇先生の言葉に耳を傾けたいと思います。

第18回 12/15(木) 永田和宏さん

第18回 12/15(木)にお越しいただくのは、細胞生物学者で歌人の永田和宏先生です。

科学者として、長らく京大や京都産業大の教壇に立ってきた永田先生。もうひとつの顔は「塔」短歌会を主宰され、朝日歌壇の選者も務める歌人の顔です。
しかも家族全員が歌人(亡河野裕子さん、永田淳さん、永田紅さん、)というお家柄です。

40年以上に渡って、科学と文学の二足のわらじをはいてきた永田先生。
研究と創作という二つの仕事が、一人の人間の中でどのような意味を持っているのか、妻であり歌人であった河野裕子の歌人としての生涯をも語りながら、話をしてくださいます。


PS.
永田和宏さんの娘さんの名前は永田紅さんではないかというご指摘を受けました。謹んでお詫び申し上げるとともに訂正をさせていただきました。

第17回 12/13(火) 竹田青嗣さん

第17回 12/13(火)に登壇いただくのは、早稲田大学教授で哲学者の竹田青嗣先生です。

在日韓国人二世として大阪で生まれた竹田先生は、在日作家論から始まり、文芸評論、思想評論とともに、実存論的な人間論を中心として哲学活動を続けていらっしゃいます。

今回の夕学で、竹田先生が提示してくださった演題は「哲学の遠望鏡で現代を見る」です。
哲学の思考の遠近法は、100年単位のスパンで人間の社会と時代を考えるとのこと。100年前といえば、日韓併合がなされた年です。日露戦争に勝ってしまった日本が、周回遅れの帝国主義ランナーとして、東アジアに進出し「大きな間違い」をはじめた頃です。
欧州では第一次世界大戦が勃発し、やがてソビエト革命が起きます。
米国では、フォードシステムが生まれ、本格的な工業化社会が到来していました。

世界史の教科書に記述されている時代と現代を一つのスパンで捉えて、人間の社会と時代を考えると何が見えてくるのでしょうか。
哲学という巨視的な遠望鏡でみた人間の営みについて、じっくりと考えてみたいと思います。

第16回 12/9(金) 長谷川英祐さん

第16回 12/9(金)の講師は、北海道大学大学院准教授で進化生物学者の長谷川英祐さんです。

長谷川先生がお書きになった「働かないアリに意義がある」は20万部を越える大ベストセラーになっています。
絶妙のネーミングの効果もさることながら、アリの社会に見られる一見非効率な行動が、実は組織の長期的存続システムを担っていることを解き明かし、短期的な効率性を追い求めがちな人間社会に警鐘をならした長谷川先生の筆致は一読の価値があります。

組織には「2-6-2の法則」が働くということはよく聞くところです。
短絡的な発想からすれば、下の2割をどうするかということに目が向きがちですが、長谷川先生のアリ社会の研究によれば、働かない2割がいることによって、組織は永続的に維持できるとのこと。

もちろん、アリと人間は違うわけですが、かつてダイエーの会長だった頃の中内功さんが、「組織は、いざというときに削減できるように、ある程度のムダを抱え込んでおいた方がよい」という言葉を聞いたこともあります。

長谷川先生のアリ社会の講義を通して、組織の効率と存続について考えたいと思います。

第15回 12/8(木) 本田直之さん

第15回 12/8(木)の講義は、レバレッジコンサルティング代表取締役社長の本田直之さんです。

「如何に少ない労力で大きなリターンを得るかという経営の仕組みを構築する」

本田さんが提唱するレバレッジコンサルティングのコンセプトは実に魅力的な響きを持っています。
海外でMBAを取得し、外資系金融を経て参画したベンチャー企業ではジャスダック上場に貢献。いまは、コンサルティングの傍ら多くのベストセラー著作を発表し、それでいて、一年の半分をハワイで過ごすデュアルライフを実践するという本田さんの生き方も、誰もが理想とする人生と言えるでしょう。

誠心誠意、汗をかく、無駄を承知で...
日本人には「とにかく一生懸命がんばることで道を拓ける」という価値観が色濃く残っています。
その一生懸命さを、レバレッジのための知恵の開発向けることで、違った光景が見えてくるのかもしれない。本田さんの成功は、それを物語っているのかもしれません。


講演のテーマは「7つの制約にしばられない生き方」

◇ なぜ、毎朝決められた時間に会社に行かなければならないのか?
◇ なぜ、社会人になったらスーツにネクタイなのか?
◇ なぜ、満員電車に乗らなければならないのか?

時間・場所・働き方・人・服装・思考・お金等々、私たちを縛る常識を抜け出すことで、レバレッジの効いた自由な生き方が実現できると説く本田さんの講演を是非、お聞きください。

第14回 11/30(水) 佐山展生さん

第14回 11/30(水)に登壇いただくのはGCAサヴィアングループ取締役、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の佐山展生さんです。

日本におけるM&Aの実務と研究の第一人者として活躍する佐山先生。
慶應MCCの『実践M&A講座』では、開講以来、必ず第一回の基調講義をお願いしています。

佐山先生は、M&Aに関わること以外にも、仕事に取り組む姿勢、人生の処し方など幅広い教戒を語ってくれますが、私には印象的な言葉があります。

「知らないうちに富士山に登った人はいない」

「目の前に仕事をコツコツやってきたら大きな成果につながる」
「一生懸命にやっていたら周りの人が助けてくれた」

こういう言い方をよく耳にしますが、佐山先生の考え方はその正反対でしょう。
「大志なくして、大事は成し遂げられない」それがこの言葉の意味です。

1980年代、まだM&Aという言葉を誰も知らなかった時代から、今日の来る日を確信し、さまざまな障害や中傷を乗り越えて、今の地位を築いた佐山さんの人生を考えると、実に説得力のある言葉だと思います。

さて、夕学は6年振りの登壇になる今回、お話いただくテーマは「危機の時代のリーダー像」です。

リーダーシップとは「変化に対応することだ」と高名な経営学者は言いましたが、リーダーの役割と存在感は、平時ではなく、危機にあってこそ際立ちます。

一橋大大学院の授業で、多くの経営者を招いた連続講義を通して、佐山さんが抽出したリーダー像をお伺いできればと思います。

第13回 11/29(火) 飯田哲也さん

第13回 11/29(火)に登壇いただくのは、環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さんです。

国内での自然エネルギー政策の第一人者として知られ、先進的かつ現実的な政策提言と積極的な活動を展開していきました。
ことに、3.11以降は、自然エネルギーを中核にした新しいエネルギー政策を巡る議論に大きな影響力を発揮されています。

これまでのように原子力発電を推進する政策はすでに破綻しています。かといって、すぐに自然エネルギーへの切り替えができほど単純な問題でもありません。
安全、環境、コスト、経済への影響、地域開発、持続可能性等々さまざまな変数を組み合わせた複雑な連立方程式を解いていかねばなりません。

環境エネルギー政策研究所は「社会変革プラットホーム」を目指すと謳っています。
「たんなる机上の研究に留まらず、現実的な政策を創発してその実現を図るとともに、新しい社会の方向に志を持った社会的起業や社会的金融を拡げてゆく実践をする」とのこと。

複雑な方程式を解くのは、政府でも電力会社でもなく、志をもって、ステークホルダーを繋ぎ、アイデアだしと実践活動を行う、第三の存在なのかもしれません。

第12回 11/25(金) 豊竹咲大夫さん

第12回 11/25(金)にお越しいただくのは。人形浄瑠璃文楽太夫の豊竹咲大夫さんです。

咲大夫師匠が、父(八世竹本綱大夫)の師匠でもあった豊竹山城少掾に入門したのは9歳の時だったといいますから、すでに芸歴は50年以上。日本を代表する名人のお一人です。

文楽の歴史は歌舞伎より古く、平安末期・鎌倉期にさかのぼると言われています。大阪では、武家のたしなみである能に対して、文楽は商人・町人のたしなみとして広く普及し、近松門左衛門、竹本義太夫という大スターの登場により、大阪文化の華と呼ばれました。

「じょーるりでも聴きに行きまひょか?」

それが大阪商家の粋な旦那さんの合い言葉だったそうです。

文楽は、義太夫を語る大夫、三味線で伴奏する三味線弾き、人形を操る人形遣いの「三業」で成り立っています。しかも文楽の人形は、3人で一体の人形を操ると言います。いかにも日本的な「摺り合わせ」的芸能文化と言えるのではないでしょうか。

文楽太夫でいま一番脂が乗っているといわれる豊竹咲大夫師匠に、日本の誇るべき伝統芸能文楽の魅力、大夫としての生き方、感性について語っていただきたいと思います。

第11回 11/21(月) 村上陽一郎さん

第11回 11/21(月)に登壇いただくのは、東洋英和女学院大学学長の村上陽一郎先生です。

村上先生は、東大や国際基督教大学で長らく教鞭をとられたのちに現職に就任されています。科学史、科学技術と社会との関連領域がご専門とのこと。
従って、今回のテーマ「安全とリスク」は村上先生の専門のひとつになります。

例えば原発の是非をめぐる問題に対して、私たちはよく次のような言葉を口にします。

「原発は本当に安全なのか、私たちは安心して暮らせるのか」

村上先生によれば、「安全」と「安心」はよく似た言葉でありながら、位相の異なる概念になります。
「安全」の対概念が「リスク」であり、これは科学技術の力で制御できる可能性を論じる際に使われる言葉。
「安心」の対概念は「不安」であり、これは主観的な心理の問題になります。

「安全」と「安心」の混同、「リスク」の「不安」の混同が思わぬ混乱を引き起こすことになります。

科学に100%はないので「100%安全」「リスクゼロ」はあり得ないはずなのに、ここに「安心」「不安」の概念が混入すると、わずかなリスクにも「不安」を煽られる事態が発生します。

本来、ここのところのもつれた人を解きほぐす努力をするのが、専門家や知識人・メディアの役割であるはずなのに、その努力を放棄して、もつれた糸のままに前に進めようとしてきたのが、これまでの原発問題ではなかったでしょうか。

「原発は絶対に安全である」
確率論的には明かな間違いであることを承知しながら、そう言い続けてきた政府や東電の責任は免れません。

「誰もが安心できる基準を明示せよ」
何をもって安心できるのかが主観に委ねられる以上、一部マスコミが主張するこの主張にも論理矛盾があります。


長々と書いてしまいましたが、そんなことを考えることができる講演になることを期待しております。

第10回 11/16(水) ピーター・バラカンさん

第10回 11/16(水)にお越しいただくのは、ブロードキャスターのピーター・バラカンさんです。

ユダヤ系ポーランド人の父と、英国人とミャンマー人のハーフである母を持ち、ロンドンで生まれ育ったという生粋の国際人であるバラカンさん。日本在住37年。硬派のTVキャスター、ラジオDJ、著述と多岐な分野で活躍をされていますが、一貫して、仕事と生活の中心にあるのは、音楽だと言います。

思えば、バラカンさんの来日時は、日本のポピュラー音楽の黎明期であり、YMO、坂本龍一、大滝詠一など、バラカンさんが接点をもったアーティストとともに、ポピュラー音楽の発展の一翼を担ってきたのかもしれません。

イギリスでの青春時代、日本での暮らしを振り返りながら音楽と共に生きてきた人生を語っていただきます。
演題は「ロンドンそしてトーキョー、音楽漬けの60年」です。

第9回 11/15(火) 村山斉さん

第9回 11/15(火)の講師は、東大数物連携宇宙研究機構機構長で物理学者の村山斉先生です。

数物連携宇宙研究機構というのは、読んで字のごとく、数学と物理の連携による宇宙研究を目的に、2007年に設立されたばかりの新しい宇宙研究専門機関です。
長らく米国で活躍されていた村山先生を、いわば逆輸入の形で機構長に招き、宇宙研究の最先端を走っている研究組織です。

村山先生が昨年出版された『宇宙は何でできているのか』は、20万部を越える大ベストセラーになったといいますから、人々の宇宙への関心はいつの時代も変わらないようです。

太古の昔から、ことある毎に夜空を眺め、宇宙の広がりに壮大な神威を感じてきた人類ですが、近代宇宙研究の始まりは、百年前、アインシュタインの相対性理論からだということなので、実は新しい研究分野です。
従って、宇宙には、まだまだ分からないことが多いと言われています。

高精度な望遠鏡の開発や素粒子理論の進展によって、最近分かってきたのは、宇宙は暗黒物質、暗黒エネルギーといった未知のもので支配されていること。
地球あらゆるものを構成する最小単位である「原子」は宇宙の5%にも満たない。
ということだそうです。

暗黒物質という、おどろおどろしい名前の正体は何か、それが宇宙の大部分を占めることが意味することは何なのか、そして宇宙はどうやってはじまり、どうなっていくのか。

壮大な宇宙研究の最先端に触れたあとで、晩秋の夜空を眺めて帰るのもよろしいかと思います。

第8回 11/9(水) 千住博さん

第8回 11/9(水)にお越しいただくのは、日本画家の千住博さんです。

夕学は5年ぶり2度目の登壇になる千住先生。日本が誇る千住三兄弟(弟の千住明さん、妹の千住真理子さん)の中でも、最も「熱い」人ではないでしょうか。

先日、東京駅前の丸善書店で「千住博展」が開かれていました。そこに寄せられていた千住さんの「あいさつ」の文章が印象的でした。

グローバリゼーションが喧伝されているけれど、それは政治や経済の話、せいぜい言語レベルの問題である。言葉が生まれるずっと以前から芸術は存在していた。芸術は地球に登場したその時からグローバリゼーションであった。美しいものを見た時の感動に国境や言語に違いなどない...

そんな主旨の言葉であったかと思います。

今回の演題は、ずばり「美とは何か」
千住さんらしい、スケールが大きくて、熱いお話を伺えるものと思います。

第7回 11/2(水) 加藤嘉一さん

第7回 11/2(水)に講演いただくのは、北京大学研究員、フィナンシャルタイムズ中国版コラムニストの加藤嘉一さんです。

「中国で最も有名な日本人」
それが加藤さんに称せられたキャッチフレーズです。
5年前、反日デモ騒動が盛り上がった中国で、TVインタビューに対して、中国語で堂々と意見表明したことが、加藤さんが中国メディアにデビューするきっかけになったと聞きます。

高校時代に、それこそ、袖すり合うような縁を活かして、北京大国費留学生のチャンスを掴んだ加藤さん。留学するまで中国語はまったく話すことが出来なかったそうですから、わずか2年ほどで、日本の若者代表として、中国メディアに論陣をはるまでになった行動力と発進力には驚嘆せずにはいられません。

そんな新時代人の加藤さんが、いま一番注力しているのが、「内側から見た人にしかわからないリアルタイムの中国とそこから見えてくる日本と世界を語る」ことだそうです。

夕学では、莫邦富さん、宋文洲さんといった知日派中国人の方、関光博先生や国分良成先生といった中国研究者から、中国論、日中関係論について話を聴いてきましたが、中国に暮らし、市井の人々と交流する弱冠27歳の青年が見たリアルタイムの中国論には、大いに興味が湧くところです。

第6回 10/20(木) 前刀禎明さん

第6回 10/20(木)に登壇いただくのは、元アップル日本法人代表で、リアルディア社長の前刀(さきとう)禎明さんです。

前刀さんは、アップル社のマーケティング担当のヴァイスプレジデントと日本法人の代表を兼任され、iPodブームの立役者としてアップル復活の狼煙を上げた人物として有名です。

現在は、リアルディア社で、感性・創造力・表現力を育むための教育・自主学習プログラムの開発と提供を行っていらっしゃいます。
感性、創造力、表現力が増せばモチベーションの向上に繋がる。自らのキャリアと人生観に基づき始めた五感を刺激する教育の重要性についてお話いただきます。

第5回 10/18(火) 金子郁容さん

第5回 10/18(火)の講師は、慶應SFCの 金子郁容先生です。
夕学は3度目の登場になる金子先生。個人的には、何年かに一度はお話を聞いてみたいと思う数少ない先生の一人です。

10年前にお越しになった際の話で印象的だったのは、指揮者のいないオーケストラ「オルフェウス」でした。ネットワーク時代の組織マネジメントのあり方、自律分散型組織のリーダーシップの姿として、その後に多くの方が言及されました。

5年前のお話では、「ソーシャルアントレプレナー」という概念を教えていただきました。社会的な問題解決を志向しつつ、自立経営を継続させるための利益も追求するという第三の組織モデルの提言でした。

今回は、「新しい公共」について話していただきます。
金子先生の専門のひとつに、ボランタリーシステム・組織の研究があります。阪神大震災の際に活躍したボランティアの存在をもとに、ネットワークで自律的に機能する新しい社会貢献の姿を描きだしてみせました。

内閣府の「新しい公共」推進会議座長として活動されていた渦中に起きた今回の大震災。そこに発生したボランタリーな活動のインパクトは、阪神大震災とは違ったものがあったと言います。

今回の夕学では、「支え合い」や「他人への配慮」などを基本とする「新しい公共」という古くて新しい社会像について、考えてみたいと思います。

第4回 10/14(金) 亀田信介さん

第4回 10/14(金)登壇いただくのは、亀田総合病院院長の亀田信介さんです。
千葉房総は鴨川にある亀田総合病院は、革新的な病院経営を行っていることで知られています。
総合病院を中心に、クリニック病院やリハビリテーションセンターなどを擁す総合メディカルセンターとして、鴨川というけっして利便性がよいとはいえない立地でありながら、東京からも多くの患者が訪れていると聞いています。

革新者たる所以は、日本の病院では先駆けとなる電子カルテを導入や、患者への情報を開示、全館個室、24時間面会体制の導入など、徹底した患者サービスシステムを実現してきたことにあります。

鴨川の地に11代続く医者の家系で、兄弟四人が全員医師として医療と経営に従事するという恵まれた家族環境にあるとはいえ、全国の病院が医師不足、看護婦不足で疲弊する時代にあって、亀田病院の成功は、次代の病院経営の一つのモデルであることは間違いありません。

演題は、「サービス業としての病院経営」
病院のみならず、顧客満足と収益性の両面追求を求められる全ての組織にとって、意味のあるお話になることを期待しています。

第3回 10/11(火) 山折哲雄さん

第3回 10/11(火)の講師は、宗教学者の山折哲雄先生です。

山折さんは、今回の震災と日本人の意識・行動をどう見ているのか。日本人の深層意識と顕在行動の中に何を見いだしているのか。それを聞いてみたい。

それが3年半ぶりの再登壇をお願いした理由でした。

前回の夕学では、終了したばかりのオリンピックで日本選手がインタビューに何と答えたのか、その今昔の姿を比較することから、日本人の精神構造の中に共有化されてきた意識と価値観を見いだしてくれました。
同時に、その変化を考察することで、私たちを取り巻く環境の変化が、日本人の精神構造に及ぼす影響についての洞察を披露してくれました。

象徴的な事件やトピカルな事象を題材にして、宗教・歴史・民俗・文学等々広くて深い教養を駆使し、私たちが、感情にとらわれ過ぎて見定めることができない本質を、鋭く描写してくれることにおいて、山折さんは傑出しています。

そんな山折さんは、今回の大震災に向き合っている日本人の意識と行動に何を見いだし、何を感じたのでしょうか。

復興に向けてこころを一つにしようとする思いと自分に影響が及ぼされることは避けていたいという本音が同居し、せめぎ合ってきたかのように見えたこの半年。
立ち止まって、じっくりと考えてみるのはよい頃ではないでしょうか。

第2回 10/7(金) 工藤公康さん

第2回 10/7(金)に登壇いただくのはプロ野球選手の工藤公康さんです。
ご登壇にあたって工藤さんに紹介用の肩書きをお聞きしたところ「野球浪人」というしびれるお答えが帰ってきました。

昨年末に西武ライオンズとの契約が終わり、残念ながら今シーズンは日本プロ野球団のユニフォームを着ることはありませんでした。すでに48歳。200勝をはじめ数多くの栄誉を手にされたわけですから、普通の感覚であれば、引退の道を選ぶのが当然なのかもしれません。
しかし、工藤さんは、来シーズンの働き場を探すべく、年末には海外トレーニングに出かける予定だそうです。

まさに、「あきらめない男」 このエネルギーは、同年代の人間として誇りにしたい思いがあります。

引退した島田紳助氏が武田鉄矢氏に言われた言葉として「頂点を極めた人間は、その時からゆっくりと山を下っていかねばならない」という主旨のことを語っていました。芸能人にせよ、スポーツ選手にせよ、政治家にせよ、晩年をどう過ごすか、引き際をどう仕切るかが重要だと言われてきました。

しかし工藤さんを見ていると、山を登るとか下るといった感覚ではない、もっと別次元の生き方を確立しているように思えます。そこに成熟した社会における人生のあり方がみえるような気もします。

工藤さんは、なぜ「あきらめない」のか。
それをじっくりと考えてみたいと思います。

2011年度後期の夕学は、石倉洋子さんからはじまります

明日(9/1)から2011年度後期の「夕学五十講」の申込・予約受付が開始されます。すでに夕学のサイトには、講師のラインアップが公開されていますので、是非ご覧ください。

毎回、申込受付開始当日に、全受講券の6割近くが売れてしまいます。予約も一緒に入ることが多いので、前期の佐野元春さんのように、あっという間に満席マークが灯ることもあります。
よろしければおやはめにご検討願います。

さて、きょうから、恒例の講師紹介を始めていきます。
10/6(木)のトップバッターは、慶應大学院メディア・デザイン研究科(慶應KMD)教授の石倉洋子先生です。長らく一橋大ICSで教鞭を執っていらした石倉先生ですが、今春からKMDに移られました。

KMDは「デジタルメディア分野における創造リーダー(メディア・イノベータ)を育成する」ことを目的に3年前に設立されたばかりの新しい大学院です。
稲影正彦研究科長のもと、元マイクロソフトの古川亨氏や、メディア政策やポップカルチャーの専門家中村伊知哉氏、竹中平蔵さんの懐刀だった岸博之氏など、多彩な陣容が揃っています。
石倉先生は、デジタルメディア分野での事業戦略の専門家という立場でしょうか。

著書『戦略シフト』では、戦略立案の考え方が「or」から「and」に変わろうとしていると説いています。
「従来はトレードオフ(OR)と考えられていた分野や地域を超える組み合わせ(AND)を考え、それが評価される「場」を自ら求め、ルールを創ること」

国内消費の長期低迷に対応する「or」戦略としてのが輸出頼み戦略が限界に達し、新たな「or」戦略である新興国市場への海外進出に邁進しようとする日本企業。そこでは、既成の概念を越えた新たな「and」戦略を打ち出すことが求められているのではないでしょうか。

感想レポートコンテスト 優秀賞が決まりました

今期の感想レポートコンテストは35名の皆様に応募をいただきました。
応募いただいた皆様、この場をお借りして改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。

感想レポートアーカイブ

毎期、応募者の中から一本最優秀作品を選ばせていただいていますが、今回は、「鞠小春」というペンネームで応募いただいた小菅真理子さんに決定を致しました。
おめでとうごさいます!!

「詩」を書き、読むということ。(鞠小春(まりこはる)

小菅さんは、夕学は、はじめての受講のようですが、かなりの佐野元春ファンでいらっしゃるようですね。
佐野さんが伝えようとしたメッセージに真っ正面から向き合い、自分の言葉と想いを使って、素敵な文章にまとめていただいたと思います。

お祝いの気持ちを込めて、ここに改めて全文を引用させていただきます。
感想レポートコンテストは、来期も実施する予定でおります。応募いただいた方には、もれなく夕学受講券を1枚、その期の最優秀作品には、翌期の「夕学パスポート」をお送り致します。
皆さんもふるってご応募いただければと思います。


<以下引用>

詩」を書き、読むということ。
(鞠小春(まりこはる)/会社員/42歳/女性)
2011/05/27 佐野 元春氏講演「共感伝達としての「音楽」と「言葉」」|

言葉や詩について考える時、いつも思い出す文章があった。確か池澤夏樹氏の著作にでてきた一文だったと思う。

-「私は詩こそが破滅の淵に向かいつつある人間の魂の抵抗の最後の砦だと思います。詩が世界を救えるといっているのではありません。ただ少なくとも人間の中にある人間性というものを救うことはできるはずです。」(ファン・ゴイティソーロ/Juan Goytisolo/スペインの小説家)-

『詩こそが、わたしたちの魂を救いあげる』といういわば軽い衝撃を覚える言葉だった。愛ではなく、富でもなく、ひとりひとりの魂を防御する砦となるのが『詩』であると言うのだから。そして私は、この『詩』という存在についてもうひとつ、強い言葉を手に入れた。なぜなら、この講演で佐野元春がこう言ったからだ。

「世界を友とするために。そして、世界と和解するためのツールだ。」

続きを読む "感想レポートコンテスト 優秀賞が決まりました"

次期「夕学五十講」のラインナップ

10月からの次期「夕学五十講」のラインナップがすべて決まり、先週から、webサイトに速報版を添付しております。

<2011年度後期『夕学五十講』予定>

WEBからの申込スタートは、
9/1(木)10:00からを予定しています。

次期は、10/6(木)の石倉洋子先生(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)の講演からはじまり、2012年1/31(火)武石彰先生(京都大学大学院経済学研究科教授)まで、25講演を予定しています。

ご期待ください!!

第25回 7/28(木) 長岡健さん

第25回 7/28(木)に登壇いただくのは法政大学教授で、社会学者の長岡健先生です。
(※長岡先生の肩書きは、当初産能大学教授でご案内していましたが、4月から法政大学教授に就任されました)
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長岡先生は、「学習と組織」をめぐる現象について、社会理論、学習理論、コミュニケーション論の視点から読み解くことを研究テーマとしていらっしゃいます。

社会人の学び(特に企業内研修)を考える時、常に大きなテーマあり続けてきたのが「如何にしてプロを育てるか」ということでした。
学習論的な言い方をすれば、「熟達化」について論じられてきたと言えるかと思います。
組織が蓄積してきたノウハウや、その仕事特有の専門知識・技能・マインドに「熟達」した人材を育てることが、企業の競争力に直結するという思想が背景にあります。

しかしながら、大胆なパラダイムシフトが求められる変革期には、「熟達化」が、逆に足かせになることもあります。
そこで、これまでの価値観・方法を大きく変化させるうえで必要なアプローチとして、「アンラーニング(学習棄却」」が重要な人材育成課題になっています。

米国の人材開発コンサルタントウィリアム・ブリッジスは、「何かを始めようと思うのなら、その前に何かを捨てなければならない」と説いています。
それは、人間が苦労して身につけたものを捨てること=アンラーニングが難しいという事実の裏返しでもあります。

長岡先生の講演は、「アンラーニング」を社会人学習のホットイシューとして掲げ、なぜアンラーニングが必要なのか、何がアンラーニングの障害となるのか、どうすればアンラーニングを実現できるのかを考えます。

7/28(木)「アンラーニングが求められる時代~大人の学びの新たな展望~」 長岡健氏

第24回 7/26(火) 玄侑宗久さん

第24回 7/26(火)の講師は、僧侶で芥川賞作家の玄侑宗久さんです。
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玄侑さんのご実家で、住職を務めていらっしゃる福聚寺は、福島県三春町にあります。今回の震災では被害を受けられました。玄侑さんのwebサイトによれば、「お寺の山門横の塀が倒れ、六地蔵が倒れ、墓地もかなりやられた」とのことです。

それでも三春町は、幸いなことにライフラインは傷ついておらず、沿岸部の被災者が数多く避難してきているそうです。
一方で、福島原発からの距離は45キロ。避難地域外ではありますが、心理的な不安、さまざま風評被害を含めて、いまもなお、強い緊張状態に置かれていることは間違いないでしょう。

そんな中で、玄侑先生は、新聞のインタビューや寄稿記事、ご自身のwebサイトを通じて、冷静に、しかし強い憤りをもって、福島県の状況を伝えていらっしゃいます。

福島県には、地震・津波の直接的被害を受けた被災者、避難場所として被災者を受け入れた地域、原発事故で避難を余儀なくされた方々、農作物の出荷制限・自粛策により多大な被害を受けた農家、まったく問題ないのにも関わらず福島というだけで深刻な風評被害に見舞われている大部分の農家等々、いろいろな皆さんがいます。
いずれも地震・津波の被害者である点は同じですが、置かれた立場、求めていることは大きく異なるでしょう。

政府は、もっときめ細かい状況把握と対策策定が急務です。
マスコミには、自分たちの震災報道が及ぼす社会的影響への想像力が必要です。
私達には、冷静な判断と勇気ある行動が求められています。

講演がある7/26には、状況が大きく改善され、復興が進んでいることが期待されます。

7/26 (火)  「荘子に学ぶ~のびやかな生き方~」 玄侑 宗久氏

第23回 7/22(金) 鷲田清一さん

第23回 7/22(金)にご登壇いただくのは、大阪大学学長で哲学者の鷲田清一先生です。
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鷲田先生について、そして鷲田先生の考えていらっしゃる「知的な体力」に関しては、私が拙い紹介文を書くよりは、こちらの講話録を,是非ご一読ください。

鷲田先生が、今春、大阪大学の卒業式で述べられた「祝辞」です。
ネットで話題になっているのでお読みになった方も多いかと思いますが、本当の知性とは何かを説く素晴らしいお話です。

7/22 (金)  「知的な体力について」 鷲田 清一氏

詩集 『絶対空間』

昨年春に開催したagora「覚和歌子さん・谷川俊太郎さん【詩の教室】」の受講者の皆さんが、講座の課題として取り組んだ詩作を、私家版の詩集にまとめました。

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本当は、ここまでやる予定はなかったのですが、覚さんが講師の枠を越え、クリエイターとして本気モードで添削・指導していただいたことと、その指導を受けて受講者の皆さんも、これまた本気モードで取り組んでいただいたことで、いずれも劣らぬ力作が揃い、どうせなら形あるものとして残そうということになりました。

タイトル『絶対空間』は、ある受講者の作品名を使わせていただいたと聞いています。
講座の一環として、受講者全員で言葉をつないで作った詩に、作曲家の丸尾めぐみさんが曲を付けてくれた記念歌「東京朝歩」も譜面付きで納められています。


私事ですが、昨年山口の中原中也記念館を訪れました。
中也は30歳で早逝して天才詩人ですが、生前に出版した自作の詩集は、たった一冊『 山羊の歌』しかありません。
記念館で改めて資料を見学すると、『山羊の歌』を出版するために中也がいかに苦労をしたのか、そして思い入れをもっていたのかがよくわかります。
いくつもの出版社に断られ、ようやく決まった小さな出版社でも思うように事が進みません。

中也が、装幀や表紙のデザインに強くこだわり、コストが合わずに話が頓挫しそうになったこともあったようです。
なんとか出版にこぎ着けて初版で刷ったのは、わずか300部。そのうち100部を中也が引き取り、自分で番号を振って、友人・知人に送ったとのこと。

『山羊の歌』出版の翌々年には、子供を亡くしたショックもあって、精神が不安定になり、結核も患って、世に出ぬままに、この世を去りました。

まさに、生命を犠牲にして、渾身を込めて送り出した詩集でありました。


覚さんは、巻末に「あとがきにかえて」と題して次のように書いています。

詩を書くことは自己表現か。 そうありたいと思わないけれど、結果としてそうならざるを得ないのが、表現というものなのでしょう。 詩作品を読むことは、書き手の深層意識に向かい合うことをさけられないという意味で、具体的な出来事を伏せられたままで聞く人生相談に似て、なかなかにエネルギーが必要であると、今回の皆さんを相手にして初めて思い知りました。・・・・

人間が自分と向き合い、こころの深海に沈め置いていた意識を掴み出す作業は、きわめて緊張感を伴う精神作業です。
それを言葉に換え、他者に伝える行為には、それ以上の気力と知力が求められます。

限定25部の、小さな詩集にも、語り尽くせぬ人生が、しっかりと詰まっているのでしょう。

覚さんの「詩の教室」は今年も開講します。

覚 和歌子さん・谷川俊太郎さん【詩の教室】

第22回 7/19(火) 沖大幹さん

第22回 7/19(火)の講師は、東京大学生産技術研究所 教授の沖大幹先生です。
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沖先生は、地球水循環システムを専門とし、気候変動がグローバルな水循環に及ぼす影響を研究しているそうです。
震災の被災地では、深刻な水不足が続いていますし、東京でも現時点(4/5)でコンビニの棚にはミネラルウォーターはほとんどありません。

世界でも稀な水資源大国である日本が、改めて水資源の重要性を認識する機会になったとも言えます。
世界では、恒常的な水不足に苦しんでいる人々が数億人単位でいます。中国人が北海道の原生林を買っているという理由も、良質な水源地を確保することにあると言われています。

私達の知らない間に、水資源を巡る国際間の駆け引きや戦略的な動きは進んでおり、日本もその渦中に巻き込まれていることは間違いないようです。

世界の「水」に、いま何が起きているのか。それは日本の「水」にどのような影響を及ぼすのか。
冷静に考えてみたいと思います。

7/19 (火)  「世界の『水』に何が起きているのか」 沖 大幹氏

第21回 7/13(水) 結城昌子さん

第21回 7/13(水)に登壇いただくのは、アートディレクターの結城昌子さんです。
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結城さんは、「アートと人を繋ぐ」ことをミッションに、アートとの新しいコミュニケーションを提案する書籍を多数企画、構成、執筆しています。

書籍以外にも、子どもとアートをつなぐ活動や、「名画に挑戦」と銘打ったオリジナルのワークショップや講演等も精力的に行っています。

結城さんによれば、アートは、ちょっとした知識や見方を憶えれば、実に多面的な楽しみ方を私達に提供してくれるそうです。
それが「名画は遊んでくれる」という含意になります。

丸の内にも美術館が出来て(三菱一号館美術館)アートに触れる機会が増えましたが、意識してみると、私達には名画に触れる機会・場がふんだんにあることに気づきます。世界の美術館・博物館を訪ねる目的で海外旅行に出かける人も多いでしょう。

人類は、文字を持つ前、いいえ言語を持つずっと前から、絵を描くことをしてきました。私達のDNAに刻みこまれているはずの「絵ごころ」を信じて、「名画と遊ぶ」時間を過ごせたらと思います。

7/13 (水)  「名画は遊んでくれる」 結城 昌子氏

第20回 7/12(火) アレックス・カーさん

第20回 7/12(火)に登壇いただくのは、東洋文化研究者のアレックス・カーさんです。
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30年以上前から京都府亀岡市に居住し、京町家の再生事業、景観コンサルタント、日本伝統家屋の修築保存活動に取り組んできたカー氏。
日本の伝統文化と暮らしをこよなく愛し、その維持・保存に強い熱意を持っていらっしゃいます。

講演のタイトルは著書名でもある「犬と鬼」
何のことやらと思われる方もいるかもしれませんが、カー氏から寄せていただいた講演要旨には次のようにあります。

昔、中国のある皇帝が画家に、「何が描き易く、何が難しいか」と尋ねたら、画家は「犬難(いぬはかたし)、鬼易(おにはやすし)」と答えた。中国の古典『韓非子』に出てくる語である。つまり犬のように身近な存在は、正しく捉えることが難しいが、想像の産物である鬼は誰にでも描けるという意味である。この言葉は実に奥が深い。日本の景観を考えるとき、どのような結果になるかを考えたい。

想像物は誰にでも書ける。でも毎日見ているはずの身近な存在を正確に描写することは難しい。
日本人の脳天に、キツイ一撃を与えてくれる逸話です。
私達は、まだ見ぬ未来の暮らし、夢の生活を想像することばかりに関心が向かい、自分たちが育った街・家・暮らしの姿を忘れてはいないでしょうか。
急速に失われつつある、日本の伝統的景観に対する日本人の関心の薄さを見て、カー氏はそう思うのかもしれません。

折しも、今回の大震災は、東北地方沿岸部に残っていた伝統的な漁村・港町の景観を完膚無きまでに破壊してしまいました。
これからはじまる復興への取り組みは、防災への備えをより確かにすると同時に、失われた伝統をどこまで再現するかという問題を問われることになります。

7/12 (火)  「犬と鬼~景観の課題~」 アレックス・カー氏

第19回 7/5(火) 佐藤綾子さん

第19回 7/5(火)の講師は、日大芸術学部教授の佐藤綾子先生です。
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佐藤先生は、パフォーマンス学の第一人者です。
パフォーマンス学と言う言葉は、少なくともビジネスパースンの間では、なんとなく意味するとことろが浸透してきたのではないでしょうか。。

「巧言令色鮮し仁」という論語の言葉は、発祥の地中国はおろか、儒家思想が色濃く残るといわれる韓国をも抑えて、なぜか日本の地で幅広く受け入れられる価値観として残っています。
ところが、この価値観は、グローバルビジネスの舞台では、まったく意味をなさない、という事実を海外に出かけた日本人は嫌というほど思い知らされてきました。

海外のカンファレンスでキーノートスピーチを聞くと、政治家、経済人、ジャーナリスト、コンサルタント等々、あらゆる職業の人々が、自己表現の技術を、基本マナーのごとくに身につけていることに驚きます。

30年以上前、佐藤先生はいち早く「サイエンスとしてのパフォーマンス学」の概念を日本に持ち帰りました。
以来、第一人者として、研究と普及に尽力をしてきました。
数々の政治家や財界人のアドバイザーも務めてきたと聞きます。

「学ぶ一人一人が主体的に良きパフォーマーとなって、自分と組織体と社会の幸福づくりに貢献していくための自己表現とは何か?」
謙虚に学びたいと思います。

7/05 (火) 「ビジネスパーソンのためのパフォーマンス学」 佐藤 綾子氏

第18回 7/1(金) 田口佳史さん

第18回 7/1(金)に登壇いただくのは、東洋思想研究家の田口佳史さんです。
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田口さんには、夕学プレミアムagoraで、中国古典シリーズを担当いただき大好評をいただいております。
その様子は、これまでにも度々このブログでご紹介してきました。


中国古典の専門家である田口先生ですが、日本文化への造詣の深さも並々ならぬものがあります。
agoraでも、その博識の一端に触れる機会が度々ありました。そこで、「東洋思想との関係から日本文化と日本人を語る」というコンセプトで、秋に新規講座をお願いしまいた。
今回の夕学は、その前哨戦というところでしょうか。

「陰極まれば陽となし、陽極まれば陰となす」

田口先生は、陰陽論に度々言及されます。
今回我々が遭遇している未曾有の大惨事を考えると、戦後の日本が誇った物質第一主義、科学至上主義が「極まって」反転したという捉え方もできるのかもしれません。

ただ現在の不安な情勢もいつか必ず反転します。後生からみれば、実はすでに陰から陽に転じているのかもしれません。

いつまでもよい時は続かない。いつまでも悪い時も続かない。
だからこそ、陽の時には陰の備えを、陰の時には陽に向けた準備をしなければいけません。
有史以来、度重なる天災に遭遇してきた日本人には、それを乗り越える強さがあるはずです。
悲劇的な喪失と恐ろしい危険に直面しながら、平常通り、冷静に振る舞おうとする日本人の姿には、その精神的遺伝子が、しっかりと受け継がれているのではないでしょうか。
田口先生なら、きっとそうおっしゃると確信します。

7/01 (金)  「見えないものを見る~東洋思想から読み解く日本文化と日本人~」 田口 佳史氏

第17回 6/29(水) 辻井隆行さん

第17回 6/29(水)に登壇いただくのは、パタゴニア日本支社長の辻井隆行さんです。
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サラリーマン生活を経て早稲田大大学院で地球社会学の修士号を修得した辻井さんの研究テーマは「日本人の自然観」だったそうです。
その後、自然と共生する生活環境を求めて、冬は長野でスキーパトロール、夏はカナダでシーカヤックガイドをするなどして過ごしていた辻井さんが、パートタイムアルバイトでパタゴニアのお店で働くようになったのは、10年程前のことだったといいます。

翌年には正社員に、その後はスタッフ職を経て、日本支社の代表へと抜擢されたのは、パタゴニアという会社の組織観・人材観のなせる技だったのかもしれません。

組織構造を類型化する方法はいくつかありますが、「有機的組織」と「機械的組織」の二分類がよく知られたものです。
どちらが良い悪いのではなく、置かれた環境や事業・製品の特性に応じて状況適応的にふさわしい組織構造があるというのがこの分類の主旨ですが、パタゴニアは、組織の成り立ち、経営理念、扱い商品等々のどれを取っても、「有機的組織」が最も機能する会社であることは間違いありません。

スタッフひとり一人が経営理念に共鳴し、一体感をもった経営と個の自主性を両立することで、良い商品が生まれ、顧客に価値が提供できる。結果的に社会にも貢献できる。
そう考えるパタゴニアにとって、自然への畏敬の念と学識を持ち、自ら自然の中で生きることをモットーとしてきた辻井さんは、経営理念を体現でき、言語化・行動化できるリーダーとして適任だったのかもしれません。

数字ですべてを判断するグローバル金融資本主義的経営もあれば、パタゴニアのような理念追求型経営もある。それがアメリカという国の懐の深さです。

6/29 (水) 「理念に基づく組織運営」 辻井 隆行氏

第16回 6/22(水) 辻野晃一郎さん

第16回 6/22(水)に登壇いただくのは、元ソニー、前グーグルジャパン社長で、現在はアレックスの社長を務める辻野晃一郎さんです。
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辻野さんは、ソニーでVAIOやデジタルTV等のカンパニープレジデントを歴任されました。その後グーグルの日本法人社長に招かれ、昨年春に独立して、日本発のグローバルビジネスプロデュースを目指すアレックス社を立ち上げました。

MCCではソニーで活躍した方(OB含む)に何人か来ていただきましたが、いずれの方も身体の真ん中に芯のようなものがピシッと通っているような印象がありました。
(例えば、フェリカ事業を立ち上げた納村哲二氏、AIBOなど革新的製品プロジェクトに数多く関わった天外司朗氏など)

私は、そういう方々を「ソニーのさむらい」と呼ばせていただいています。
辻野さんも間違いなく「ソニーのさむらい」のひとりかと思います。

昨年、辻野さんが書かれた『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』という本は、サムライが闊歩していた頃のソニーと、現在のグーグルを比較しながら、その同質性を体験的に語ってくれた本です。

その同質性とは、「異端・異能・異才を生かす」ということだと言います。
さむらいがさむらいらしく生きていける組織ということかもしれません。
刀は時に「凶器」になりますが、その凶器をも身体の一部化できる「狂気」がなければ、革新的な製品やサービスは生み出せないのかもしれません。

未曾有の大震災を経て、日本はまた逞しくも荒々しい精神を取り戻すことができるのでしょうか。興味深いお話が聞けるものと思います。

6/22 (水) 「異才・奇才を活かす組織」 辻野 晃一郎氏

第15回 6/15(水) 干場弓子さん

第15回 6/15(水)の講師は、ディスカヴァー・トゥエンティワン社長の干場弓子さんです。
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「本が売れない」と言われて久しくなりますが、そんな時代にあって、「この人が目をつけた著者・テーマは必ず売れる」と言われる伝説の出版プロデューサーが干場さんです。

干場さんのことを教えてくれたのは、夕学に登壇いただいた小宮一慶さんです。
小宮さんはそれまでにも多くの本を出していましたが、ディスカヴァー社から出した「ビジネスマンのための●●力講座」シリーズが大ヒットしたことで、急に本が売れ出したと言います。


小宮さん以外にも、勝間和代さんや小池龍之介氏など、いまをときめく著述家も、ディスカヴァー社が火を付けた人達と言えるでしょう。

昨年から今年にかけては『ニーチェの言葉』が百万部を突破したと聞きます。
ミリオンセラーひとつで新社屋が建つという伝説?を聞いたことがありますが、ディスカヴァー社も新社屋が建つのでしょうか。

それはさておき、今回の演題は「ヒットに方程式はあるのか?」
稀代のヒットメーカーであると同時に、書店直取引方式で、重点化した書店で、ドンとフェイスを確保するという小売業型の売り場づくりに成功してきたマーケッターでもある干場さんに、「売れない時代に売る経営」の極意を聞きます。

6/15 (水) 「ヒットに方程式はあるか?」 干場 弓子

第14回 6/9(木) 中村哲さん

第14回 6/9(木)の講師は、ペシャワール会現地代表の中村哲先生です。
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中村先生はパキスタンやアフガニスタンの難民医療、山岳過疎地域医療に四半世紀近く従事してこられました。
10年ほど前からは、医療だけでは人は救えないとばかりに、アフガンでの飲料水・灌漑井戸事業や、農業振興のための大規模な水利事業などへの活動のフィールドを広げていらっしゃいます。

「アフガンで最も頼りにされている日本人」として、いまや世界に知られる存在です。

夕学からの依頼は昨年の夏前でした。
当時、手がけられた用水路がパキスタン大洪水で損傷し、その復旧に奔走していらした頃でした。
「来年の春には日本に戻るので、その時なら」というご返事をいただき、一年越しの依頼が実現しました。

ガンジーを思わせる小柄な身体と哲学者然とした風貌の裏に秘めた意思の力を感じ取ることができればと思います。

6/09 (木) 「アフガンとの約束」 中村 哲氏

第13回 6/7(火) 石坂浩二さん

第13回 6/7(火)のご登壇いただくのは俳優の石坂浩二さんです。
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慶應在学中にデビューして49年、日本を代表する知性派俳優として、数多くの作品に出演していらっしゃいます。
調べたところ大河ドラマの主演三回(「天と地と」「草燃える」「元禄繚乱」)は最多とのこと。いまの「江 ~女たちの戦国~」でも千利休という重要な役どころを演じています。
ドラマ「坂の上の雲」では海軍大臣山本権兵衛、映画「沈まぬ太陽」では国民航空(JALがモデル)の再建を担いながら志半ばで退任した国見会長役、ドラマ「白い巨塔」では、財前の教授就任を阻もうとして敗れ去った東教授役etc...
こう考えてみると、私が見ていたドラマ(けっして多くはないのですが)のほとんどの番組に重要な役どころで登場していました。

一方で、クイズ番組で見せる博識や、画家として10年連続で二科展に入選という経歴を持つ芸術センスの面からも、俳優の枠に止まらない文化人・教養人と言える方ではないでしょうか。

慶應高校の在学時代に100周年記念の祝賀行事のリーダーを務められたという経緯もあって、慶應の150年祈念行事にあたって、多くのイベントの協力をいただきました。
今回も、慶應義塾創立150年記念事業室長の岩田さんのご尽力もあって、お忙しいところをご登壇いただけることになりました。

6/07 (火) 「好奇心を捨てないで」 石坂 浩二

第12回 6/2(木) 武田双雲さん

第12回 6/2(木)の講師は、書道家の 武田双雲さんです。
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武田さんは、パフォーマンス書道という新たな文化エンタテイメントを切り拓いた方です。テレビでもよくお顔を拝見しました。
一昨年の大河ドラマ「天地人」の題字は、武田さんの手によるものでした。

3歳から母である書家:武田双葉(そうよう)氏に書を叩き込まれ、東京理科大学理工学部卒という意外?なキャリアを経て、書道家として名をなしました。
現在は湘南を基点にして創作活動を続けていらっしゃいます。

パフォーマンス書道では、富士ロックフェスティバル、世界陸上オープニングセレモニー、モスクワ、ブリュッセルなどのイベント等、数多くの実績をお持ちです。
B'z、野村萬斎など様々なアーティストとのコラボレーションを実践されています。

今回の演題は「夢の叶え方」です。
「夢が叶う人の共通点を実体験を交えながら伝えます。
 夢の描き方から、実現までの大切なプロセスをわかりやすく面白く語ります」
というメッセージをお寄せいただいております。

6/02 (木) 「夢の叶え方」武田 双雲氏

第11回 5/31(火) 遠藤功さん

第11回 5/31(火)の講師は早稲田ビジネススクール教授の遠藤功先生です。
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コンサルタントとしての豊富な経験を武器にMBAの教壇に立つ遠藤先生は、一貫して日本の製造業に軸足を置いた著作を発表してきました。
『現場力を鍛える』『見える化』『ねばちっこい経営』etc。言い得て妙なネーミングと相まって、いずれもベストセラーになりました。
夕学にも二度登壇いたただき大好評でした。

今度の講演は「日本品質」がテーマです。
品質はこれまでも、そしてこれからも日本企業の競争力の柱でした。その一方で、「品質の国 日本」の基盤が危機にさらされつつあるのも事実のようです。

そんな問題意識をベースに、日本企業が創り出すべき差別化された品質とは一体何かを具体的な事例を交えて解説していただきます。


5/31 (火) 「『日本品質』で勝つ!」 遠藤 功