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高橋 俊介「人と組織を強くする独学力」

学びとは、自ら切り拓くもの――

高橋 俊介

足らないを知る

そもそも、学ぶとは、いかなる行為なのだろうか。
「勉強」を辞書で引くと、「力の叶わぬ所、心のかなわぬ所をつとめてするぞ。勉強と云ぞ」(『詩経』の注釈書『毛詩抄』二)という記述があり、ほおと思う。重厚なフレーズに何となくわかった気にさせられるが、ほんらい学び勉強するとは、つとめて「叶わない」「足りない」ところを補う行いなのかもしれない、という予感から出発してみる。

そこで「キャリアと独学」である。21世紀の日本では、皆だいたい10~20年の義務教育や高等教育を受けて実社会に出て、その後は企業に勤めたり、起業したり、フリーランスになったり。で引退しても、あと40年くらい生きてしまったりする。

人生100年時代のマルチステージやキャリアパスの節目で、自分の資本がいちいちゼロベースに立ち戻ってしまう心もとなさ。デジタル化に伴うビジネスモデルや社会の変化についていけない焦り。マンネリ化する業務への手詰まり感。いつまでたっても達成できない働き方改革。どこをとっても「不足」感しかない。すべて個人の感想だが、経産省はじめ国を挙げてリスキリングや人的資本経営を盛り立てようとする動きもあり、ここら辺は等しく皆の共通課題と推察できる。

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川野 泰周「本当の私で生きる~コンパッションと「1/2」の実践で自己の本分に立ち返る~」

「本当の私」

川野泰周 「ありのままで」「自分らしさを大切に」「あなた自身を表現する」といわれるけれど実際の生活では「ありのまま」でいられない。その最たるものが就職活動や交渉の場で「決められた時間内で効果的に相手の求める姿を具現化して見せる」場になっている。『プロフェッショナルを演じる仕事術』なんていう本もありますね。(別にこの本をけなしている訳ではない。)

就職活動で疲れ果てたある者はうんざりした表情で「自分を消費してるって感じ」と呟き、またある者は実力があるのに自信喪失のため混乱して泣いたりする。会って数分しか経っていない面接官から一方的に「評価」され「選別」されることに疲れ、回数を重ねて「労働力として商品化された自分」が市場に消費されているように感じてしまうのだろう。

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