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コンビニの24時間営業問題の本当の原因とは何か 丸谷智保さん

丸谷智保コンビニエンスストアは私たちの生活の一部である。飲料やお弁当、お菓子が買えるだけでなく、公共料金等も支払えるのでとても便利な存在だ。そんなコンビニ業界に衝撃が走った。2019年2月、セブンイレブンのある店舗のオーナーが、自身の判断で営業時間を24時間から19時間に短縮した。その後、本部からは勝手に営業時間を変更したことが、フランチャイズ(FC)契約違反であると、1,700万円の賠償請求とFC解約を求められた。この事件を発端に、人手不足による「コンビニ24時間営業問題」とそれに伴うオーナーたちの悲惨な実態が明らかになってきた。現在は経済産業省主導で営業時間の短縮等の改善が行われている。しかし、株式会社セコマ代表取締役社長の丸谷智保さんによると、問題の本質は24時間営業ではないという。講演では様々なお話をお聞かせ頂いたが、コンビニ24時間営業問題が一番印象に残ったので、ここではその話を中心にしていく。

株式会社セコマが展開するセイコーマートは、北海道を中心に展開する地元の人々に愛されるコンビニエンスストアである。私は今回の講演ではじめて聞いたが、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートを抜いて顧客満足度一位のコンビニエンスストアだそうだ。東京都のコンビニエンスストアの多くが24時間営業だが、セイコーマートは7時から23時までの営業時間の店舗がほとんどだ。北海道だから、24時間営業する必要がないのではと考えてしまいそうだが、24時間営業が問題の本質ではないと丸谷さんが指摘するのは、そこ以外に「FC制度の破綻」が存在しているからだという。

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革新者の孤独な闘い 平尾成志さん

平尾成志盆栽がテーマの本講演、"登壇者は作務衣を着たおじいさん"と勝手に決めつけていた。
ところが、ステージ上にあらわれた平尾成志さんは日焼けした細マッチョな体型によく似合う黒いジャケット姿の若者。すらりと伸びた足、うしろでひとつに束ねたイマドキのヘアスタイル、見れば見るほど"BONSAI"より"EXILE"の風情だ。
まるでダンサーのような佇まいのこのイケメンが、文化庁の命を受けた文化交流使として世界各地で盆栽普及につとめたというのだから、そのギャップにただただ驚かされる。

講演は、平尾さんと盆栽との出会いからスタートした。
将来を考えあぐねていた大学時代、京都にある東福寺方丈庭園を訪れた平尾さんは"浄化されるような感覚"を抱いたそうだ。「で、庭園の美しさに感銘を受け盆栽の世界へ」という流れで話が進むと思ったのだが、次に続く言葉はわたしの想像と異なるものだった。平尾さんはこのとき何より「文化を継承することの素晴らしさ」に目覚めたのだという。庭園の美しさはもちろんのこと、昭和初期に創られたものが、形を変えずに今日まで管理され続けていることに衝撃を受けた、と。

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玉川 太福「浪曲というエンタテイメント」(曲師:玉川みね子)

玉川大福

「浪曲」という新たな世界との出会い


生まれて初めて「浪曲」に触れた。まさか夕学で浪曲を聞く(見る、というべきか?)ことになるとは思わなかった。玉川太福さんの講演でのことである。

今回の講演は大変に贅沢な内容で、前半30分で浪曲の成り立ちについて解説され、後半60分では浪曲の演目を披露してくださった。しかも新作と古典の二本立て。なんとも豪華だ。

浪曲とは別名「浪花節」。恥ずかしながら、私はこの日まで二つを別物と認識していた。というか、浪曲のことを全く知らなかった。
浪曲とは、おじいさんが朗々と歌い上げるもの(今思えば「詩吟」か何かと勘違いしていたのかもしれない)で、浪花節のほうは、義理人情を題材にお涙を誘うような...歌?演歌の一種なのか?いや関西の民謡か?確か三味線も使っていたような。
・・・という程度のひどい認識であった。

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佐宗 邦威「想いを形に変える方法論」

佐宗邦威

あなたの中にある不確かな未来はいつも明るい


将来の理想的な生活を、あなたはどれだけ具体的に描いていますか。自分や自分の大切な人が幸せで、仲良く、こころが沸き立つような将来のイメージを持ちながら生活していますか。夢見た世界が実現するかどうかはわからないけれど、夢を見なければその世界が訪れることはありません。

株式会社BIOTOPEの佐宗邦威さんは、テクノロジーがもたらす日々の変化の速度が人間の一般的な予測をはるかに超えることから、人が今後もよりよい社会を実現していくには、予想だにしない将来としてのビジョンを描く必要性があるといいます。例えば、ドラえもんの道具のように、「こんなものがあったらいいな」という夢を描くことです。また、イーロン・マスクのように「2035年までに火星に行くんだ」と明るく宣言することです。

どうやってやったらよいのかというと、佐宗さんがいうには、こうです。

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宿題や定期試験をやめたら生徒が輝き始めた 工藤勇一先生

工藤勇一万雷の拍手の鳴り止まぬ中、ステージ下に駆け寄る受講者たち。見る見るうちに何十人もの列ができる。降壇後の講師にこんなにも多くの人が群がる様子を見たのは初めてだ。
気持ちは痛いほどわかる。感動が抑えきれなかったのだろう。この先生なら、学校を希望に満ちた場所に変えてくれるに違いない、と。

教育関係者なのか、子を持つ親なのか、今夜の講演を聞きに集まった人々は、みんな学校教育への止みがたい問題意識を抱えているに違いない。
かくいう私もその「親」のひとりだ。
今やメディアの寵児となった工藤勇一先生が校長を務める千代田区立麹町中学校。我が家はその学区内にあり、本来ならば我が子は麹町中学校に通っていたはずだった。

かつては「番町小・麹町中・日比谷高・東大」がピカピカのエリートコースと称された時代もあったが、我が子が就学年齢を迎えた頃には、公立校の評判は決して芳しいものではなくなっていた。そこで我が家は学区外の私立学校を選んだ。
やがてその子が中学に上がった2014年、工藤先生も麹町中学校に校長として赴任する。
まったく残念な話だ。あと1年でも遅く生まれていれば、我が子は、着任早々の校長が次々と巻き起こす改革旋風で脚光を浴びる麹町中学校に嬉々として入学し、幸せな工藤チルドレンのひとりになれていただろうに!

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