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本当に健康になれるかつ仕事のパフォーマンスも上がる食事 津川友介さん

津川友介"You are what you eat."とは、「どのようなものを食べたかで、その人の身体は決まる」という意味であるが、多くの人は健康に気をつけたり、気をつけなかったりする日々を繰り返すわけで、日々一貫して食べ物に気をつけている人は少ないだろう。気を付けていたとしても、それが本当に健康に良いのかははっきりとはわかっていないのかもしれない。かくいう私も、大学がラーメンやとんかつの聖地である高田馬場に近いので、ついつい小麦粉系や赤肉系など食べてしまう。津川友介先生の提唱する「科学的エビデンスに基づいた本当に健康になれる食事」からはほど遠い食生活を送っている。

さて、世の中には様々な「健康に良い食ベ物」の情報であふれかえっている。そのなかでも「科学的エビデンスに基づいた」がつく「健康になれる食事」とはいったいどんなものなのだろう。よくテレビの健康番組で「○○が健康に良い」などと放送されると、翌日にはその商品が棚から消えるという現象が起きる。他にも友達から「○○を食べ始めたら体調が良くなった」という話を聞いたり、健康食品の宣伝を見たり読んだりして、「これが健康に良いんだ」と発見したりする。そこにエビデンス(科学的根拠)はあるかどうかがポイントである。

津川先生によれば、エビデンスには4つの階層があり、ピラミッドの図で説明するとわかりやすい。

「個人の経験談、専門家のエビデンスにもとづかない意見」とは、友人同士で「あれが健康にいい」とか、「あれを食べたら体調がいい」とか言っている状態である。超余談だが、私はかつてエステ業界や健康食品業界で働いたことがある。よくエステの広告で、「○ヶ月通ったら○kg痩せました!」と、その人のBefore→Afterの写真とともに体験談が載っているが、あれらはとどのつまり個人の経験であり、全ての人に当てはまるものではない(さらにエステのモニターは痩せやすい人を厳選している)。

「観察研究」とは、何をよく食べているかなどのアンケートをもとにデータ分析する研究手法であり、ランダム化比較試験(RCT)とは、2つのグループに分けて1つのグループにはある食べ物を一定期間食べさせて(介入)、もう1つのグループには食べさせないで、健康にどのような変化があるか比較する実験である。

そして、「メタアナリシス」とは、複数(といっても数百万件)のランダム化比較試験を精査、分析することである。そしてメタ分析されたものが科学的根拠の度合いが高く、信頼度も高い。津川先生の提唱する「本当に健康になれる食事」とは、このメタアナリシスを経た最も信頼性の高いものである。

エビデンスのあるものはどれか?以下から選んでみて欲しい。

1. 炭水化物は健康に悪く、食べると太る
2. ステーキは健康に良く、食べても太らない
3. βカロテンやリコピンは健康に良い
4. 果汁100%のフルーツジュースは健康に良い
5. 超加工食品は健康に悪い

答えは『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』に載っているので、そちらで確認して欲しい。おそらく、このレビューを読んでいらっしゃるのはお勤めの方が多いので、ここでは仕事の生産性を上げる食事について書くことにする。

まず、前提として食事と仕事の生産性には関係がある。例えば、ラーメンをお昼に食べると眠くなったりしないだろうか。あの現象は、急に血糖値が上がって、食後に低血糖になるから眠くなるらしい。うかつにも昼食後は必ず眠くなるものだと思っていた。高田馬場の昼時のラーメン屋ととんかつ屋は行列だらけなので、もしかしたら皆会社に戻る頃には低血糖で寝ているかもしれない。ということで、午後のパフォーマンスを上げるのには食後低血糖を避ける食事をするのが良いらしい。

さらにお腹が空いている状態では感情に流されやすく、判断能力が鈍るそうだ。腹が減っては戦ができぬという言葉は空腹だから動けないだけかと思っていたが、合理的判断ができないという意味も含まれているのかもしれない。そんな仕事中の空腹を防ぐためには、素焼きのナッツなどを手に届くところに置いておくのが良いとのことで、また野菜や果物も脳に良いので仕事のパフォーマンスが上がるとのこと。

また、私は疲れた時とか、試験前などにチョコレートの消費量が上がるのだが、それは精神状態にはあまり良くないらしい。チョコレートやスナックを食べると、抑うつで+46.6%、疲労感+10.6%、精神的ストレス+10.2%と精神状態に悪い影響を与えてしまうそうだ(ダークチョコレートは別)。一瞬、スナックとかチョコとか食べちゃった罪悪感からじゃないの?とか思ったが、反対に果物を食べると不安が-31.8%、身体症状-21.7%と精神状態にかなりいいらしい。それを聞いて翌日早速果物を買いに行ってしまった。

津川先生曰く、毎日の食事は小さな選択である。自分の生産性を上げるために、お昼に何を食べるかも選択である。また、一回の食事で健康になったり不健康になったりすることはなく、毎日の積み重ねで健康が作られていく。だが、多くの人はメディアや世間の情報で、なんとなく健康な食事を知っているが、科学的根拠の基づいたものは知らない。エビデンスとは明晰(clear)かつ判明(distinct)的であり、その反対は曖昧(obscure)で混乱(confused)である。

ビジネスでは、曖昧でよくわからない状態で意志決定する人はあまりいないだろう。食事も一緒である。エビデンスのあるものは、私たちが健康になるために正しい選択をする基準を与えてくれているのだ。

ほり屋飯盛