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好きなことで生きるための努力と才能 吉田ちかさん

ヨヒダphoto_instructor_962.jpg「好きなことで、生きていく」----みなさんは、このCMコピーを覚えているだろうか?
このコピーとともにYouTubeのCMがテレビに流れた2014年、YouTubeというプラットフォームはまだそれほど一般的でなかったと記憶している。
そして2018年。「好きなことで生きていこうだなんて、現実ナメんなよ!」という大人のイラつきをよそに、"YouTuber"は子どもたちの憧れの職業ランキング上位に君臨し、お茶の間にすっかり浸透した。

でも、わたし自身はYouTuberの作品をほとんど見たことがない。数少ないサンプルから受ける印象はあまり良いものではなく、言葉は悪いが"シロウトによる悪ふざけの延長"というイメージを持っていた。
しかし今回吉田ちかさんの講演を聴き、帰宅後に吉田さんの過去の作品をいくつか拝見して、この認識は180度変わった。よく考えればあたり前のことなのだが、努力と才能に裏打ちされた凄腕クリエイターだからこそ、人気YouTuberは「好きなことで、生きて」いけるのだ。

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動画配信で真っ当な社会を創る 前田裕二さん

前田裕二夕学五十講に登壇する方々のお話しをうかがっていると、時代が大きく変化する瞬間を、まさにその現場を目撃しているように感じる時がある。今回の前田裕二さんがそうだった。これまで私が聞いた中では、西野亮廣さんや石黒浩さんの回でも似たような感覚を持った。

前田裕二さん。「IT業界の成功者」と聞いただけで私は、頭は良いけど世の中をナメていて、ギラギラした野心家とでもいうような、どこかいけ好かない人物像を想像してしまう。自分はそうした成功者にはなれないという嫉妬の裏返しかもしれない。
しかし、講演を聞いた直後の私の感想は「なんていい人なんだ!」というものだった。前田裕二さんは、真っすぐで、正直で、頭はクールだけど心は超熱い。一昔前なら「青臭い」なんて思われそうな理想を泰然と掲げ、それを実現するために能力も労力も時間も惜しまず注ぎ込む。理想を実現させる戦略と、圧倒的な熱量を持つ人だ。そして愛情深い人だと感じた。

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自分を変えるために異分野から学ぶ 平野早矢香さん

平野 早矢香気づいたら卓球がメジャースポーツになっていた。
石川佳純選手や伊藤美誠選手、張本智和選手などなど卓球界では多くのスター選手が世界レベルで活躍している。日本の卓球選手はなぜこんなにも強くなったのか。ロンドンオリンピック銀メダリストの平野早矢香さんは次のように分析する。

  1. 自分のスタイルにあったプレーをしている
  2. 海外でのプレー経験が豊富
  3. 目標意識の高さ

以上の3つが、若手選手の特徴であり、それが故に世界で戦える実力を持っている。特に目標意識の高さでは、現代の若手実力者たちはジュニアの時にすでに日本制覇をしており、その目標は世界に向けられている。ここが平野さんのジュニア時代と違うところだ。

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21世紀を"つくる"ソーシャルな巫女 林千晶さん

林千晶今宵の講演タイトルは「人と人をつないで化学反応を起こす」。
今、確かに私の中に何らかの反応が起きつつある。講演を聞き終えて、少し混乱しながら会場を後にした。

虚業か実業か

これまで、いわゆるソーシャルビジネスというものには、一抹の胡散臭さを感じてきた。
例えば、「ネットがざわついた」などと表される巨大な人数での井戸端会議で無責任な噂が広がったり、イナゴの大群のように人々が我も我もと押しかけて「映えるスポット」が流行ったり廃れたりする、ああいう事象が、マーケティングだのコミュニケーション戦略だのに使われたりしている現状は、もちろん承知している。

そうした風評的なふわふわした基盤の上に何らかのムーブメントを起こすことがソーシャルビジネスだとの認識で、所詮、虚業といったような世界の話に過ぎない気がしていた。少なくともここ当面はその範囲の話に留まるだろう、と。
今回の講師の林千晶さんが経営する会社は「クリエイティブカンパニー」だという。この言葉にもまた「ソーシャルビジネス」に通じる危うげな空気を感じた。

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銀座のママの圧倒的な人間力 白坂亜紀さん

白坂photo_instructor_950.jpg「銀座のママ」と聞くと、メイクが濃くて、いかにも「オンナ」といった感じの女性を想像してしまうのだが、白坂亜紀さんは童顔といってもいいくらいの可愛らしいお顔立ち。お化粧も控えめで、決してギラギラした雰囲気ではない。
でも着物の着こなしはさすがに堂に入っていて、所作のひとつひとつが美しく、大輪の百合のような迫力がある。やっぱり、どこからどう見ても「銀座のママ」だ。

語り口はといえば、さすが接客業のスペシャリスト。聴き手を全く飽きさせない。ところどころにユーモアを挟みつつ、ついつい耳を傾けたくなるようなエピソードが次々と繰り出される。 レポートを書く、というミッションを控えているわたしが必死でメモを取るのはあたりまえだが、両隣の男性のペンも最後まで止まることはなかった。それほどまでに、気づきと含蓄が全編に散りばめられた講演だった。

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ビジョンと実現 辻 孝さん

ツジphoto_instructor_940.jpg「日本人には臓器移植よりも再生医療の方が合っていると思う」との話をかつて聞いた。10年以上前の話だ。それは日本人の思想や宗教観を基にした話だったように記憶しているが現在の再生医療はどのようなものなのか。身近な歯や毛髪をトピックとした辻孝氏の今回の講演を楽しみにしていた。しかし一方で不安も大いにあった。医療の専門的な話についていけるのかという、恐らくは会場の多くが持っていたであろう問題だ。この点について専門的な箇所もあったがスライドを含め辻氏は素人にもわかりやすく話されたと思う。とはいえ完全に門外漢の私がここで本講演について医療の観点から取り上げるのは読者にとっても恐ろしく退屈な、そして的外れで講演者の怒りを招くレビューになりかねない。したがってここでは違う面から辻氏の講演を論じたい。

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人工生命研究からみる「わかり方」の未来 池上高志先生

池上photo_instructor_949.jpgルンバはなぜ生命にならないのか?
ルンバは自身でゴミやほこりを探知し、自動で掃除をしてくれる。だが、あくまでルンバは掃除機であり、私たちはそこに生命が宿っているとは考えていない。なぜルンバが生命にならないのかについて、池上高志先生は以下4つの仮説をあげる。

  1. コンピューターの計算速度が遅い(CPUの問題)
  2. パラメーターが正しくない
  3. モデルが簡単すぎる
  4. まだ発見されていない理論がある

池上先生は第4の新しい原理の発見のために人工生命(Artificial Life)の研究をしているという。

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「人・本・旅」で総オタク化すれば、日本は変わる 出口治明さん

デグチphoto_instructor_939.jpg 何かに耽溺している人を見るのは楽しい。たとえ「好き」を追求するあまり、常軌を逸した世界にイってしまっていたとしても、熱情そのものに罪はなく、むしろ尊いのだ。
 そういう尖った熱情をもって何かに打ち込みすぎる人は、日本では長らく「オタク」「変態」と疎まれてきた。しかし、「オタクと変態を増やさなければ日本に未来はない」と本物のオタクであるこの人は喝破する。研究者でもないのに世界史の本を物すほどの歴史オタク(ご自身の言)で、万象にあかるい「歩く教養」のような人。本業は、今をときめくAPUの学長。超一級のビジネスマンとしても知られる、彼の人が言うのだ。

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ユーザーインで1兆円企業を狙う 大山晃弘さん×清水勝彦さん

大山晃弘.jpg

ウォルマート、BMW、プジョー、ディオール。これらの企業に共通することは何かーーそう、同族経営であることだ。
実は世界の企業の80~90%は同族経営だという。特に我が国においては国内法人企業約250万社のうち97%は同族経営だ。また、この約250万社のうち中小企業は全体の99.7%で、従業者数では66%を占めている。つまり日本の企業の大部分が「同族経営の中小企業」だと言える。

偉大なる中小企業

アイリスオーヤマは、そうした「同族経営の中小企業」の中でも自他ともに認めるトップクラスの有名企業だ。
「え?アイリスオーヤマが中小企業?」と疑問に思う向きも多いだろう。実際、グループ総売上高4900億円(2018年度予想値)、グループ総従業員数11,866名という陣容を見ると押しも押されもせぬ大企業に思えるが、会社法上の大会社の要件である「資本金5億円以上」「負債200億円以上」は満たしておらず、税法上も中小企業者に分類される会社なのである。

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