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あなた好みの健康法で 藤田紘一郎さん

フジタphoto_instructor_957.jpgなぜインドネシアのカリマンタン島の子供たちはアトピーにならないのか。それは腸内環境がアトピーを抑える性質を持っているからだ。洗濯もトイレもするような川で遊ぶ子供たちの腸には回虫がいた。人間の腸そのものに病気を予防する力はないが、その力を外部の細菌や回虫によって賄うことができるのである。

病気を治す医療の場合、救うことができた命の数が実績になって、積み重なる。しかし、東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生のご専門である予防学の場合、直接先生が救った命の数を的確に数えることは難しい。特別な条件を付けた実験とは違って、先生がおススメする予防対策と、実際に世界で病気にならなかった事例の因果関係を説明するのは難儀だ。しかし、限りある命を大切に最大限生きるという意味において、予防学と外科・内科的治療は同等に扱われるべきではないか。

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言葉のある世界を私はどう生きるか 穂村 弘さん

ホムラphoto_instructor_946.jpg田村隆一の『帰途』という詩に「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一節がある。

「言葉のない世界 意味が意味にならない世界に生きてたら どんなによかったか」とあとに続く。

幸か不幸か私たちは言葉のある世界に生きている。言葉があるから思考し、何かを好きになったり、嫌いになったり、涙のなかに立ち止まったりする。そういう意味では、私たちの行動や思考は言葉に支配されている。
 
「妻、女房、嫁、家内・・・夫、旦那、亭主、パートナー・・・」
自分の妻や夫をどのような名称で呼んでいるかで、私たちはその人を判断すると穂村弘さんは言う。「うちの嫁が」と言った途端、「この人は『妻』でなく『女房』でもなく、『嫁』の人なんだ」と思う。このことはそれまで好きだった人をも、途端に嫌いにさせる。

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習近平政権の検証と権力政治 国分良成先生

コクブンphoto_instructor_961.jpg まだ社会の仕組みとは何なのか認知せず、将来その歯車を構成する要素になることすら意識もせず、日吉を歩いていた時分に、「権威」と「権力」の違いについて学んだ。なぜなのか不明だが、教授の顔も、教室の色合いも隣にどの友人が座っていたかまで、鮮明に記憶している。「権威」とは下位から上位へ向かう忠誠心や敬愛のことを指し、上にいる人物が強制的に従属させる力が発揮しているわけではないが、民衆のような下に位置する群衆が上に対して何か別の背景により忠誠するときに上が持ち合わせる力である。他方、「権力」は「権威」とは逆の方向を指し示す概念で、下の持つ従属心や反発心に寄らず、下が服従するために上が保持する力を言う。

中国政治の先行きは論理的展開を見せることはない。これまでも、現在も、この先もきっと権力闘争が政治の本質である。あぁ、諸行無常。中国の民主化を願う理念が、一部の既得権益層により破壊され打ち砕かれていく。権力闘争を通じて共和党組織・軍・公安・イデオロギーを掌握しない限り、権力者が本来持つ理念が躍動し始めることもない。それが中華人民共和国の政治の姿だ。防衛大学校長の国分良成先生が、中国の内政がいかに権力闘争に終始し、どのような構造を持っているかを教えてくださった。

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メディアで日本のアップデートを狙う 佐々木紀彦さん

ササキphoto_instructor_941.jpg往年の名画や名作ドラマには、記者たちが主要キャストでよく登場した。かのクラーク・ケントも新聞記者だ。正義感に燃える彼らは社会のヒーローだった。しかしいつの間にかそうした作品はあまり見かけなくなり、昨今新聞記者が話題になるのは"偏向"や"ねつ造"や"盗用"ばかり。ネット界隈では「マスゴミ」などと貶められる始末。かつて「社会の木鐸」を自認する誇り高き存在だったマスメディアは、いつからその権威を失ってしまったのか。

世界に後れを取る日本のメディア

「クイズです。世界最大発行部数の新聞は何でしょう?」

株式会社ニューズピックス取締役CCO・佐々木紀彦氏の講演は、会場への軽妙な問いかけから始まった。

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本間浩輔氏に聴く、「ヤフーの働き方改革」

本間photo_instructor_960.jpg「ヤフーの働き方改革」。演題は至ってシンプルだ。しかし、だからこそ、聴き手の心構えが問題となる。つまり「ヤフーだからできる」とみるのか、「ヤフーでもできる」と捉えるのか。あるいは「何をしているか」を書き取るのか、「なぜするのか」を考え抜くのか。

常務執行役員コーポレートグループ長である本間浩輔氏は、終始ニコニコしながら「ヤフーの考え方を押し付けるつもりはありません」と言う。言いながら、「ヤフーだから、IT業界だから、と言っているうちは、学びは深くなりませんよ」と釘を刺す。

ヤフーに学び、その裏側にある価値観や哲学を読み解きながら、いかに自社のこと、自分のこととして考えられるかで、この2時間の価値が決まりそうだ。本間氏が時折口の端に上らせた研究者らの言葉とも紐づけながら、概要を記してみよう。

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「高野山-場の記憶-」飛鷹全法さん

10/3photo_instructor_959.jpg現代において何かを神聖視する考え方は限られた場合であることが多い。うっかりすると「アブナイ人」とも言われかねない。それでも日本人の中には自然や宗教施設などを神聖視する考え方が根付いている。那智の滝でロッククライミングが行われた「事件」が数年前に報道された時に驚いた人は多いと思う。だから高野山を神聖な場所として考えることはできるが、それでも今回の演題「高野山という思想」を初めて見た時には高野山を思想としてとらえるということがよくわからず戸惑いを覚えた。何か奇を衒った表現のようにも感じた・・・いや、これも飛鷹全法氏の狙いなのか。大学院在学中のITベンチャー立ち上げ、その後は海外で伝統音楽の舞台制作や経産省の海外富裕層誘客事業(ラグジュアリートラベル)の検討委員を勤めるなどの略歴を見て、今風の派手な人なのかと少し構えてしまった。

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