« 2017年12月 | メイン | 2018年2月 »

「美しい人」 上野水香さん

うえの.jpg今回の講師は、東京バレエ団プリンシパルの上野水香さん
日本舞台芸術振興会の岩永氏が進行をつとめ、上野さんが岩永氏の質問に答えるという対談形式で講演は行われた。

最初に岩永氏が登壇して本日の流れを説明し、続いて上野さんがステージに登場。その途端、私の目は上野さんの姿に吸い寄せられてしまった。
スラリと背が高い。黒髪のロングヘアがサラサラなことは、会場後方の私の席からでもわかる。頭の上からスーッと一本の糸で釣っているかのようにまっすぐな姿勢。座ってもその姿勢の美しさが損なわれることはなく、マイクを持って話すシルエットの優雅なこと。

続きを読む "「美しい人」 上野水香さん"

土井さんの眼  土井善晴さん

photo_instructor_906.jpg生命誌学者の中村桂子さんには数学者のご友人がいて、彼には十次元の世界が見えるそうだ。中村さん自身は「私には十次元の世界は見えないけれど、DNAの世界なら見える」という。専門家ならではの言葉だと深く感じ入るものがあった。考古学者に昔の世界が見え、優れた医者にはちょっとした兆候から病気が見えるように、何にでもプロの眼というものは存在する。今回の講師の土井善晴さん(私は土井さんにはよそよそしさを感じさせる「土井氏」との言葉を使えない。料理番組などを通して親しみのある存在なので。)には一体どのような世界が見えるのだろう。すると土井さんは料理研究家ならではの発言をされた。

続きを読む "土井さんの眼  土井善晴さん"

松村真宏教授に聴く、人を動かす「仕掛学」

photo_instructor_905.jpg現在は大阪大学大学院経済学研究科に所属する松村真宏教授だが、元々は人工知能を研究していた。人工知能に何かを考えさせるにはデータが必要だ。だが、データを扱う研究には限界がある。データにできるのは既に起こった事象のみであり、データがない全く新しい事象は扱えない。そして観察対象となるのもセンサーで検知できることのみで、人の経験や考え方は不可知である。
データで解決できる問題にはデータを活用すればよい。ではデータで解決できない問題はどうすればよいか?というところから、松村教授の「データなき世界」へのアプローチが始まった。

続きを読む "松村真宏教授に聴く、人を動かす「仕掛学」"

"結果にコミット"がもたらすもの 瀬戸健さん

photo_instructor_909.jpg印象的なキャッチフレーズと、有名人を起用したTVCMで有名なトレーニングジムの「ライザップ」。ここ数年であっという間に一流企業の仲間入りを果たしたRIZAPグループを率いる瀬戸 健さんは、まだ30代の若さ。しかし、壇上の瀬戸さんから"切れ者特有の威圧感"は伝わってこない。明るく快活な姿から、「等身大で語る、ウソが無い人物」という印象を受けた。

講演はご自身の半生を振り返るところからスタートしたのだが、特に20歳前後のエピソードには今の瀬戸さんのビジネススタイルにつながるエッセンスがぎゅっと詰まっている気がした。興味深い内容だったので、かいつまんでご紹介したい。

続きを読む ""結果にコミット"がもたらすもの 瀬戸健さん"

カタストロフィーと再生の物語 岡本哲志さん

photo_instructor_904.jpg

幾度となく灰燼に帰した東京

 夜空に向けた切なげな咆哮に続いて、激しく吐き出される火炎放射。痛切な悲壮感があふれる合唱曲に乗せ、見る見るうちに火の海と化す東京。あらがう術もない焔の蹂躙。街を覆いつくす絶望感。2016年、夏。シン・ゴジラが首都を焼き尽くしていた...。

 映画館の巨大スクリーンでその火災シーンに圧倒されながら、いつしか私は既視感をおぼえていた。
 いや、もちろん直接この目で見たというわけではないが、東京大空襲(昭和20年・1945)や関東大震災(大正12年・1923)を描いた記録や小説、映画やドラマで幾度となく目にしてきた、焼き尽くされる東京の姿。映画の虚構が史実と重なって見える。

 小説や映画にはなっていないものの、それ以前にも東京・江戸は、幾度となく大規模な火災に見舞われてきた。銀座大火(明治5年・1872)や、 丙寅の大火(文化3年・1806)、目黒行人坂の大火(明和9年・1772)、明暦の大火(明暦3年・1657)などがその代表的なものだが、江戸では267年間(1601~1867)の間に1798回の火事があり、そのうちの49回が大火だったという。

 ちなみに同じ期間での大火は、京都では9回、大坂では5回、金沢では3回だったというから、江戸がいかに「火災都市」であったかが分かる。頻発する大火が大都市を繰り返し焼き払ったという史実は、世界でも類例がないとされる。

 こうした大火をミクロの視点で見れば、そこには焼死者の悲劇や被災者の困窮などがあったに違いない。しかしマクロの視点で見ると、江戸~東京は、大火のたびに大きく進化し続けてきたとも言える。
 法政大学デザイン工学部建築学科で長く教授を務めた岡本哲志氏(工学博士)の講演で最も印象に残ったのは、こうした大火によるカタストロフィーとそこからの再生の物語だ。
 

続きを読む "カタストロフィーと再生の物語 岡本哲志さん"