« 2017年11月 | メイン | 2018年1月 »

中小企業社長という生き方 近藤宣之さん

photo_instructor_903.jpg「いやぁ、皆さん熱心で偉いな。仕事終わりでお疲れでしょ?お腹も空いてるでしょ」
その人は登壇するや開口一番、破顔一笑しながら言った。そして、予定を超える1時間45分もの間、終始ニコニコと笑いながら猛烈な早口で膨大な内容のプレゼンを語り通した。会場からはたびたび笑い声が上がり、最後の質疑応答に挙手した質問者たちも笑顔。そして終了時間となり、軽く頭を下げながら降壇する際、その人は満面の笑みを再び会場に振り向け、力強く呼びかけた。「がんばりましょうね!」

■経営破綻から表彰ラッシュの会社へ

これまで私は『夕学五十講』では、著名な経営者や経営関係の研究者の講演ばかりを聴いて来た。だからなのか、こんなに会場に笑いが起きた講演は初めてだった。

講師の名は近藤宣之氏、株式会社日本レーザー代表取締役社長。あまり耳馴染みのない社名だが、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」・中小企業庁長官賞(2011)、「新宿区優良企業経営大賞」新宿区長賞(2012)、東京商工会議所「勇気ある経営大賞」大賞(2012)、経済産業省「おもてなし経営企業選」・「ダイバーシティ経営企業100選」入選(2013)、厚生労働省「キャリア支援企業表彰」(2015)、「ホワイト企業大賞」大賞(2017)など次々と表彰を受けている、23年間連続黒字・無借金経営という超優良企業だ。
とはいえ業容は、売上40億・社員60名。まぎれもない中小企業である。

続きを読む "中小企業社長という生き方 近藤宣之さん"

「トンデモナイ国」? 礒﨑 敦仁先生

photo_instructor_908.jpg北朝鮮問題を語る時は冷静さや論理性と同時に品性を問われるような気持ちがする。一般的に日本で知られている北朝鮮のイメージはどういったものだろう。3代に渡る独裁国家、拉致問題、ミサイル、経済制裁、食糧危機、脱北者、日本海沖での違法操業、国家トップの事はすべて礼讃される報道、独特の抑揚をつけてニュースを読み上げる愛国的なアナウンサー・・・、このようなイメージの「トンデモナイ国」ではないか。この問題は感情と結びつきやすい。拉致問題は言うまでもなく解決されるべきであるし、ミサイルに飛んでこられては困る。違法操業に漁師たちが怒るのも当然だ。最後の2項目についてはつい上から目線の失笑的なものを含んだ口調で語りやすい。

礒﨑敦仁先生はこれまで散々遭遇してきたに違いないそうした状況を踏まえてか、「北朝鮮を研究していると言うと『お前は北朝鮮が好きなんだろう』と言われますがそうではありません。相手の論理を理解しても納得しなくていい。しかし相手の論理を理解しなければ危険です」と冷静な発言を講演初めにされた。講演も各種資料やデータを基にした大変論理的で緻密なものだ。

続きを読む "「トンデモナイ国」? 礒﨑 敦仁先生"

究極のイノベーションとは路線転換である 石川康晴さん

photo_instructor_902.jpg「ヒマラヤほどの 消しゴムひとつ 楽しいことを たくさんしたい」

女優、宮崎あおいが、強そうな意思をにじませながら、歌いながら、笑いながら歩く。

「あした、何着て生きていく?」
- earth music&ecology -

視聴者に与えられる情報は、それだけだった。テレビCMを観ただけでは、何かわからないので人々は「宮崎あおい 歌」というワードで検索した。

「イノベーションは路線転換である」石川康晴氏は言う。

2010年にファッション誌からテレビCMへとPR手法の転換をすることで、earth music&ecologyの名前が一躍有名になった。現在、20代~30代前半の認知度は87%である。

続きを読む "究極のイノベーションとは路線転換である 石川康晴さん"

どこまでが私? 渡邊克巳先生

photo_instructor_901.jpg怖い話を聞いてしまったな。
これが、渡邊克巳先生のお話をうかがった私の率直な感想だ。

私が見ているものは、そう見えていると思い込んでいるだけのものかもしれない。
私が選んだと思っているものは、実は誰かに意図的に選ばされたものかもしれない。
私のこのいい気分は、誰かが操作をして作り出したものかもしれない。
自らの意思で主体的に動いているつもりが、実は他の誰かの真似をしているだけかもしれない・・・

渡邊先生のお話は、こんな「かもしれない」に満ちていて、恐ろしくなったのだった。

続きを読む "どこまでが私? 渡邊克巳先生"

温故知新~米倉教授の未来への羅針盤~

photo_instructor_885.jpg

坂の上の雲はもう見えない?


ここ数年、会社の調子が悪い。一向に回復しない業績資料を眺めながら溜息をつく時、よく思い出すのが大学院時代の「企業家史」の講義だ。
坂の上の雲を追いかけ、時代の風を背に受けて発展を続けた、そんな近代の経営者たちの強運が羨ましいなぁ...と、しばし夢想に逃避する。
そんな私の寝ぼけまなこを一気に醒ましてくれたのが、今回の米倉誠一郎教授の講義だった。

近代の発展については「殖産興業政策の追い風のお蔭だろう」「圧倒的資金力の財閥があったからだろう」といった短絡的な見方をすることで、今のこの我が身の不遇を慰めがちになるが、その見方は大間違いだ。

明治維新前後の変化の波は、今我々が直面している"第4次産業革命"などとは較べ物にならないほどの大津波だった。大政奉還によって社会制度が大転換を遂げる中で、欧米列強による帝国主義・植民地主義の横行、鎖国による産業技術の立ち遅れ、国家財政や貨幣制度の不備など、あらゆる危急存亡の事態が同時に押し寄せて来ていた。

当時の日本が、それらを克服するだけでなく、瞬く間に列強と肩を並べるほどまでに発展を遂げた理由は、単なる時の運や何かのお蔭などではない。強固な意志と主体性を持った日本人たちが、創造的にそれらを成し遂げたのだ。

続きを読む "温故知新~米倉教授の未来への羅針盤~"