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次世代のニュースメディアのあり方 水島宏明教授

photo_instructor_833.jpg父親が死んで、まず新聞をとめた――。講演中に水島宏明教授が仰った言葉である。かく言う私も、父が死んだあとすぐに新聞をとるのをやめた。家族の中で父しか読む人がいなかったからだ。このようなケースはわりとあるそうで、新聞読者の多くは高齢者であり、発行部数は減少傾向である。

うってかわって、現代の若者は日々のニュースはスマホで読んでいる。これまでは、新聞やテレビでチェックしてきたが、今となってはヤフーなどで新聞社や出版社から配信される記事や情報を多面的に入手できるようになった。教授曰く私たちは現在「メディアの大変革期」にいる。そこで、直面している問題が大きく二つにわけて「ジャーナリストのあり方」と「ニュースメディアのあり方」である。

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モヤモヤと対峙する 佐伯啓思先生

佐伯啓思 佐伯啓思先生は今回の講演で、第一に「グローバル資本主義は限界に来ている」という話をされ、第二に「それにも関わらず資本主義のベースにある『効率主義』『成長主義』というアメリカ的イデオロギーがいかに強固か」という話をされ、最後のまとめとして「資本主義に変わる社会像とはいかなるものか」という話をされた。私は、第一の話には深く納得し(納得度90%)、第二の話はそうかもしれないと考え(納得度60%)、最後の話はなんだかモヤっとした印象(納得度30%)を持った。

 しかし、講演から時間が経つほどに、最後のモヤッとした印象というのが極めて正しい感想の持ち方なのではないかと考えるようになった。佐伯先生もまた、モヤっとしながら、資本主義に変わる社会像を模索されているのではないかと思うのだ。

 以下、今回の講演をダイジェストしながら、私自身の感想を述べていきたい。

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人間の本質を描く脚本家 大石静さん

photo_instructor_824.jpg「はぁ...もう6年も前なのか...」と思わずため息をつきたくなる。出版業界で働く40代半ばの独身キャリアウーマンと、17歳年下の若き証券会社社長との不倫を描いた「セカンド・バージン」(2010)が放映されてから、なんと6年も経っている!主人公の鈴木京香さまはもちろん美しかったが、それ以上に長谷川博己がかっこよくて、「こんな男にこんなこと言われたらキュン死してしまう...」と思いながら、毎週火曜日が待ち遠しかった。

今日の講演は脚本家の大石静さんである。「おぉ、あの、私の大好きな『セカンド・バージン』を書いた人お方!」という思いっきしファン目線で聴いた120分であった。その中でも大石さんが語ってくれたことをもとに、なぜ大石作品は魅力的なのか、また、昨今オワコンと言われているテレビ業界が抱える課題についても考えてみたい。

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AIにも奪えない 夢を紡ぐリーダーシップ 一條和生先生

一條和生メディアがAIの躍進を報じるのと同時に、その波に乗り遅れまいとする企業は後を絶たない。同時に、雇用が奪われ、格差拡大を招く可能性がある諸刃の剣としてAIを捉える風潮をメディアはまた隠しきれない。

現代の最もホットなトピックであるこのようなDigital TransformationやDigital Disruptionを有効活用し、人類のgoodwillを起源とする知識創造により、人とDigitalは共存できるという光を与えてくれたのが、一條和生先生である。

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妖怪は世界に誇れる文化 小松和彦さん

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日本人の心に寄り添う妖怪たち

小松和彦さんによると、妖怪とは「実際に存在している現象や存在に名前がついて絵画化されたもの」と定義される。

元はといえば「風もないのに家の戸がガタガタ音を立てた」「山に登って大きな声を出したら、誰かに真似された」といった不思議な現象を説明するために、妖怪はつくりだされたという。
そうやって形にしたり名前を付けることで、正体不明の不安や説明のつかない恐怖を和らげる。ある意味、妖怪は人間の知恵の産物とも言えるだろう。

では、妖怪なんて単なる空想にすぎない存在ないのかというと、それはちょっと違う。

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欧州離脱交渉のカギは女性が握る 竹森俊平先生

竹森俊平ギリシャ、イタリアの金融危機、シリア難民問題、英国離脱というさまざまな未解決問題を抱える欧州は今後どこに向かっていくのか。地域的統合と融和を目指した世界の大きな取り組みに対する会場の注目に対して、重鎮の目線から答えてくれたのが本日の講師である竹森教授でした。英国の離脱に端を発して、やっぱり世界は常に躍動しており、この歴史の一ページが後世を形成する時代の流れとなることを実感した初夏となったのは、ニュースメディアで得る情報よりも生きた大局的視点を竹森教授が提供してくれたからなのだろうとおもいます。

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科学の伝道師 鎌田浩毅先生

photo_instructor_810.jpg赤のストライプのジャケットを纏い登場した鎌田浩毅先生は、開口一番こうおっしゃった。「これはマグマの赤です」。一瞬で火山学者であると、みんなに理解してもらうための工夫である。
今回は「日本列島に迫り来る火山と地震の危機」という演題であったが、さらに「人を動かす」というテーマについてもかなり時間を割いてお話ししてくださった。その中でも、特に興味深かった話と、現在私自身が直面し、解決したい問題と絡めて紹介していく。

3.11は99%予測出来ていた

この言葉を聴いた瞬間、「マジかよ」と思った。なんで教えてくれなかったのよと。鎌田先生によると、「過去は未来を解くカギ」であり、歴史を紐解くと、ある程度は予測可能である。例えば、次のように分析する。

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原晋監督に聴く、覚悟を伝える言葉の襷リレー

photo_instructor_828.jpg東京箱根間往復大学駅伝競走、通称「箱根駅伝」。
昨年、そして今年と、圧倒的な強さで完全優勝を果たしてきたのが、原晋監督率いる青山学院大学陸上競技部である。しかしその強さは一朝一夕に培われたものではない。原監督が就任以後十年をかけて作り上げてきた強さ。その背景には、原監督自身の半生が反映されている。

折々に、周囲の人の言葉が原監督を動かしてきた。

駅伝の名門である広島県の世羅高校では全国大会準優勝を果たしたものの、中京大学体育学部時代は目立った成績もなく、陸上部の一期生として採用された中国電力では1年目から故障、監督との衝突もあって5年目の27歳で引退を余儀なくされる。
この時、自分を採用してくれた人事課長からの送別の言葉を、原監督は読みあげた。

「陸上では花開かなかったが、陸上を辞めてからもおまえの生き方はみんなにずっと見られている。しっかりやるんだぞ」

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