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医療のポテンシャルを引き出す

yuji_yamamoto.jpg「あの頃、どうやって健康を守ってたっけ?」
と皆が思える社会を創ることが、山本雄士先生のめざすゴールである。

かつての医療の世界は、患者を死なせないことに最も価値を置いてきた。
その後医療技術は進歩し、次は病気を治すこと、現在では病気にさせないことが人々の求める医者の価値になりつつある。そして、健康を維持することに、人々の価値観もシフトしている。

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遠藤功教授に聴く、『現場力の鍛え方』

isao_endo.jpg山形県鶴岡市。庄内空港から海岸沿いを車で20分ほど下ったところに加茂水族館はある。
「日本でいちばん小さく、いちばん古く、いちばん貧しかった」と遠藤教授が評するこの水族館の年間来館者は、1996年には10万人を割るほどに落ち込んでいた。

水族館とて黙ってその日を迎えたわけではない。限られた予算の中、他の水族館を真似て様々な企画展示にも取り組んだ。しかし人真似ではお客さんを振り向かせることはできなかった。翌1997年、来館者は9万2千人にまで減った。

サンゴの展示も、そんなありふれた人真似企画のひとつだった。そのサンゴから白い泡のようなものが湧き出ているのに飼育員が気づいたのは、ただの偶然だったかも知れない。しかし、それが泡でないと飼育員が見抜いた時、そこには偶然以上の何かがあった。

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日本型人事と欧米型人事 海老原嗣生さん

日本人の働き方、日本企業の雇用システムは特殊だ、と言われることがある。

特殊であることは間違いないが、特殊性の理解の仕方が間違っている。
雇用ジャーナリスト海老原嗣生さんの講演を聴いて、そう思った。

photo_instructor_771.jpg欧米の雇用システムについては、(経営側にとって)都合のよい事ばかり語られている。
逆に、日本の雇用システムについては、(経営側にとって)都合の悪い事しか語られていない。
海老原さんは、そう言う。
カッコ内の経営側を労働側にすり替えれば、よいと悪いの組み合わせも変わるであろう。
つまり、いずれにしろ一面だけを見て良し悪しを語っている。

日本企業は解雇が容易に出来ないが、欧米企業は簡単である。
欧米では、業績が悪くなれば解雇ができる。なぜなら人材流動化社会だから。

そんな言説が当たり前のように流布されている。

そんなことはない、と海老原さんは言う。
実は欧米企業、特に欧州の人事管理はそれほど簡単ではない。制度は精緻で、解雇へのプロセスは入念であり、必ず本人の同意を得なければならない。
実際に、多くの日本の外資系企業はその精緻な仕組みを運用できずに苦労する。

その誤解はどこから生まれるのか。

日本と欧米では、雇用のメカニズムと働き方の原理が違う。
メカニズムと原理を変えずに、真似しようとしても上手くいくはずがない。
海老原さんの主張はそういうことだ。

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ものづくりは人間の本能である 田中浩也さん

「水の三態」

誰もが、理科で習ったことがあるはずだ。水には、液体・固体・気体の三つの状態がある。
しかし、私達は、現実にはそれぞれの中間帯があることを知っている。
水でもあり氷でもある。水に見える(感じる)人もいれば、氷に見える(感じる)人もいる。渾沌=カオスと呼ばれる状態である。

新たな技術が登場し、それが社会を変えていくプロセスもよく似ているようだ。
そこには必ず、渾沌=カオスの状態(時期)がある。

photo_instructor_781.jpg慶應SFCの田中浩也先生によれば、現在の3Dプリンターを取り巻く状況は、80年代初頭パソコンが登場した頃に似ている、という。まだマイコンと呼ばれていた時代である。
パソコン(マイコン)を見て、「すごいものが生まれた!」と叫んだ人と「こんなものを、いったい何に使うんだ」と冷笑した人がいた。
それは、未来の可能性を見通した人と、いまの実利しか見えなかった人の違いでもあった。

田中先生は1975年生まれ。 ITが社会を変えるプロセスを、最も多感な時期にリアルタイムで体験した世代である。もちろん、未来の可能性を信じるタイプである。

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郷愁と美について|千住 博さん

hiroshi_senju.jpg実は、美術館が好きではない。
混んでいると、おばちゃんの鞄が早く進めよと言わんばかりに押してくるし、反対にガラガラだと、「教えたいおじさん」に捕まってしまうからだ。
なので、藝術には縁遠い暮らしをしている。
本日の千住博先生の講演『日本の美、世界の美』は、旧石器時代の洞窟壁画の話にはじまり、平和の話にまで広がった。
藝術とは特別なものではなく、身近にあるもの。
それを、美術や藝術に疎い私にでも感じさせてくれる内容であった。
特に「日本の美」と「美しさと綺麗の違い」の話が印象的だったので、その部分を書いていく。

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水野和夫教授に聴く、『資本主義の終焉と歴史の危機』

kazuo_mizuno.jpg「マクロくん、水野先生の講演、どうだった?」
「あ、ミクロちゃん。いやあ、とっても刺激的だったよ。レジュメ、見る?」

「ありがと。ええと、タイトルは『資本主義の終焉と歴史の危機』か。何だかフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』を連想させるわね」

「ソ連の崩壊前後に書かれた、民主主義の最終的勝利を唱えた本だね。でも政治制度としての民主主義と違って、経済の仕組みとしての資本主義はもう終わる、というのが水野先生の説なんだ」

「資本主義が終わる?じゃあ世界はどうなるの?」

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冨田勝所長に聴く、鶴岡がインキュベートする夢

masaru_tomita.jpg"If you build it, he will come." 
どこからともなく聞こえてくる、そんな「声」を耳にした主人公は、トウモロコシ畑の真ん中に野球場を作りはじめる。
やがて伝説の大リーガーがそこに現れる...。
ご存じ、映画「フィールド・オブ・ドリームス」の一場面である。

当時の鶴岡市長・富塚陽一氏が、そんな「声」を聞いたかどうかはわからない。
ともかく市長は、この風光明媚だがゆっくりと衰退しつつある、つまり典型的な地方都市である鶴岡に、慶應義塾大学の新しいキャンパスを誘致するべく行動した。
1990年代のことだ。

そして2001年、慶應義塾大学先端生命科学研究所(IAB)は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)環境情報学部教授の冨田勝氏を所長に迎えて始動する。
ただし映画と違い、そこに集ってきたのは「伝説の」野球選手ではない。
冨田所長が呼び寄せた、「これから伝説を創る」研究者たちだ。

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作家の頭の中をPublishする!

youhei_sadoshima.jpgコルクとは一風変わった会社名である。
「上質なワインを世界中に運びだし、後世に残すためには上質なコルクが必要」と、名前の由来を佐渡島庸平さんは講演の冒頭に説明してくれた。
上質なワインは作品。コルクはエージェントである。
隣の隣ですごい熱心に頷きながら聞いていた人が、質疑応答の時も「コルクの由来を教えてください」と質問したので、二回も由来を聞くことができ、頭に刻み込まれた。

講演タイトルは『クリエイターと同じ舟に乗る』。
エージェントとして作家(クリエイター)と出版社を結ぶだけでなく、
作家がより活躍するために様々な取組みを、出し惜しみすることなく話してくれた。
その中でも、特に出版社にはない、エージェントならではの発想が印象的だった2つのことをここで紹介する。
詳しくは、実際に講演に足を運んで聞くのをお勧めする。

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