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行動せよ、自分の頭で考えよ、試行錯誤せよ 三谷宏治さん

人間の思考は知識をベースにして作動する。
新たな情報に触れた時、脳内に蓄積してきた知識のストックの中から、ある知識を瞬時に選び出し、フレームとして当てはめることで「それは何か」「何でありそうか」を識別する。
この高度な類推能力が、人類を生物圏から人間圏へと昇格させる原動力であった。
しかし、時にして知識が思考を妨げることがある。
類推がはずれることもあるからだ。悲しいかなアダムとイブの昔から人間は間違える生き物でもある。
誰もが知っている知識ほど、大きな間違いを誘発しやすい。
「常識や慣習に縛られて革新できない」というのは、そういう現象である。

photo_instructor_760.jpg「座って悩むな、行動せよ」
「自分の頭で考えよ」
「失敗を恐れずに、繰り返し試してみろ」

三谷宏治氏の講演は、イノベーションとビジネスモデルをテーマにした内容であったが、伝えたかったメッセージがこれに尽きるであろう。

例えば、講演の事例で取り上げた越後屋で考えてみよう。

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イスラム国とは何か

photo_instructor_782.jpg「わかっているのか、わかっていないのか、よくわからない」
イスラム国についての率直な感想である。
さらに、中東諸国とアメリカやイギリスの国々。エネルギー資源の思惑など考えると、より複雑になる。

今回の山内昌之教授の話は、私には難解であった。
テレビや本よりもはるかに少ない人数に向けた講演という形式だからこそ、より高度なレベルになるのは当然と言えば当然だ。
大勢の人に向けて話すのとは訳が違うだろう。

講演の主題は『イスラム国とは何か』。
しかし、自らを"中東屋"と称する山内教授は副題の『日本と中東の新未来』に重きを置いて話をされた。
文字どおり、『イスラム国とは何か』を聴きに来た人は、いささか面食らっただろうが、あまり話されなかったということが、イスラム国を知る上では重要なのではないかと理解し、考えてみた。

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棲み分け・共生の戦略論  山田英夫さん

120813_1621~01.jpg『競争しない競争戦略』

実に新奇性に富んだコピーである。
書店に並び始めたばかりの同名著書は、早くも増刷がかかったというから、山田先生が「このタイトルでないと出さない!」とこだわったコピーは成功したようだ。

「競争戦略」というと、勝つか負けるかの格闘技的なイメージを想起する。実際に戦略論の教科書には、勝つため要因確保に向けたハードアプローチが多い。
しかし山田先生によれば、競争戦略は、そもそも相手とガチンコで戦うことなく、サラリと身をかわす合気道的なものだったとのこと。

競争戦略論の第一人者マイケル・ポーターのそれは、競争しない状態を作りだすためにどうすべきかを論じている。
近年話題になったブルーオーシャン戦略は、競争のない市場を拓くこと、競争を無意味化する市場を作ることを謳っている。
東洋の戦略書「孫子」は、戦わずして勝つことを最善とした非戦・非攻の論である。

さて、山田先生の「競争しない競争戦略」のキーワードは、棲み分け共生である。
相手と競争せずに棲み分けるためのニッチ戦略不協和戦略
相手と競争せずに共生するための協調戦略
きょうの夕学では、この三つの分類軸に沿ったいくつかのパターンと事例を紹介していただいた。

この拙文ですべての戦略パターンと事例を紹介するのは遠慮しよう。ぜひ『競争しない競争戦略』を読んでいただくことをお願いしたい。「へぇ~こんな会社があるんだ」と感心すること請け合いのユニーク事例がてんこ盛りに紹介されている。
ここではニッチ戦略、不協和戦略、協調戦力についてそれぞれ二つの事例を紹介するにとどめたい。

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辺境(偏狭)のない生き方

photo_instructor_778.jpg私は『テルマエ・ロマエ』を読んでいない。映画も観ていない。
ヤマザキマリさんについては、なんの知識もないままで今回の講演を聴いた。
イタリア在住。テレビでもコメンテーターとしてご活躍中というので、もっと近寄りがたい感じの人かと思っていたが、壇上に現れたヤマザキさんは普段着だった。
一目で好感が持て、その講演内容も期待を裏切らない素晴らしいものであった。

本日の講演の主題は「辺境のない生き方」である。
シリア、イタリア、ポルトガル、アメリカなど様々な国で暮らしてきたヤマザキさんが語った内容の前半は「辺境のない=ボーダーレス」、後半は「偏狭のない=(世間の目という)狭苦しさのない」という意味で私は受け止めた。

ヤマザキさんの生い立ちや、『テルマエ・ロマエ』の話も非常に興味深く、楽しく聴かせてもらったが、それは他の場所にも書いてあるので、ここは後半の「偏狭のなさ」について自分が考えたことを交えながら書いていこうと思う。

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わたしは「気」の存在を信じます。  唐池恒二さん

今夜の夕学はこの歌&映像から始まった。

https://www.youtube.com/watch?v=FB8dJjBUlyo

2013年にJR九州が運行を開始したクルーズトレイン「ななつ星in九州」のテーマ曲である。
七つの県をまたがって走る七両編成の列車。当初は七人のサービス添乗員を乗せようと企てたことから命名された名称である。「ななつ星」は北斗七星の和名だという。

この列車の産みの親が、きょうの講演者 JR九州会長の唐池恒二氏である。
photo_instructor_764.jpgアルミニウム合金の車体はピカピカに磨き上げられ、青空がくっきりと映り込むほど輝いている。
内装には福岡の伝統工芸大川組子の建具が使われ、洗面鉢として十四代酒井田柿右衛門の遺作が据えられている。
ラウンジカーでは常に生演奏が奏でられ、乗客が最初に楽しむ食事の際は博多の寿司割烹「やま中」の大将がその場で鮨を握る。
いずれも唐池氏が企画に参画し、場合によっては自ら口説き落として実現したドリームである。

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「ななつ星in九州」は発表と同時に世界の富裕層から申し込みが殺到しているが、公正抽選にこだわって、一切のコネ・ツテを排しているという。
世界の王貞治直々の依頼さえ、断腸の思いで断った。

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田村次朗教授に聴く、「三方よし」の対話力~交渉学入門

photo_instructor_763.jpg 果たして「交渉」が「学」として成立するのだろうか。
 そんな疑問を抱きながらも、若き日の田村教授は、留学先のハーバード・ロー・スクールで「Negotiation」と題された科目に強い関心を持ち、聴講を決めた。
 講師のロジャー・フィッシャー教授は学生たちにペアを組ませ、交渉のロールプレイをさせるところから始めた。だがどのペアも容易には合意に至れない。何しろ受講者はいずれも、世界最高峰を自認するハーバードの俊英たちである。実力に裏打ちされた自信の塊のような彼らが、互いに易々と説き伏せられるはずがない。勢い、それぞれの立場を主張する激しいやりとりの後、交渉は決裂に終わる。

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