« 2014年12月 | メイン | 2015年2月 »

中村和彦教授に聴く、現代日本企業の「組織開発のすすめ」

photo_instructor_751.jpg ウィキペディアなどで言葉の意味を調べると、英語版ではたっぷりとした記述があるのに日本語版では薄っぺらな説明しかない項目に出くわすことがある。「組織開発(Organization Development、OD)」もそのような言葉のひとつである。中村教授は、この組織開発の研究者であると同時に、コンサルタントとしての実践者でもある。

 短い言葉だが、だからこそきちんと定義を参照しておくことが重要になる。
 まず、「組織」とはなにか。中村教授は、組織開発の第一人者であるエドガー・シャインMIT名誉教授の定義を引いて、「ある共通の明確な目的、ないし目標を達成するために、分業や職能の分化を通じて、また権限と責任の階層を通じて、多くの人々の活動を合理的に協働させること」としている。

 次に、「開発」とはなにか。Developmentの他の訳語、「発達」「成長」「進展」といった言葉をそばに並べてみると雰囲気が伝わりやすいかも知れない。つまり開発とは、「組織の体質改善」であり、「外科手術というよりは漢方薬や生活改善」に相当するものであり、「自ら気づき、自ら発達・成長させる」ことである、と中村教授は説明する。

続きを読む "中村和彦教授に聴く、現代日本企業の「組織開発のすすめ」"

「相手に伝えたい」気持ちの強さから生まれた極意|長井鞠子さん

photo_instructor_749.jpg長井鞠子さんの講演は、ふつうの構成とは少し違っていた。質問タイムを2度もうけるという。
なぜなら、通訳者としての経験上「人間の集中力は、いいところ45分しか続かないから」。そして長井さんは、「質問タイムには、ぜひ質問してくださいね」と念を押す。

以前、アメリカのビジネススクールの教授について通訳した際、「日本人の学生はアホだか賢いんだかわからない。点数のつけようがない」と言われたそうだ。その理由は「クラスで発言しないから」。しっかり勉強して相応の知識があるのに、黙っていてはそれが伝わらない。

さらに続けて、ご自身の分析による「人が質問したがらない理由」を語りだした。
冒頭5分にして、長井さんがあらゆる事柄を自分のなかでしっかりと咀嚼し研究し整理し納得して、その上で前に進んでこられた方なのだということが伝わってくる。

続きを読む "「相手に伝えたい」気持ちの強さから生まれた極意|長井鞠子さん"

内田和成教授に聴く、「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」

photo_instructor_757.jpg 「既存事業の防衛戦略 ―新たな挑戦者にどう対応すべきか―」と題して行われたこの講演の最後に内田教授は、「またか、と言われそうだけど」と独りごちながら、20世紀フランスの文学者マルセル・プルーストの次のような言葉を紹介してみせた。

 『本当の発見の旅とは、新しい土地を探すことではなく、新しい目で見ることだ』

 慌てて手元の書物を紐解いてみる。2009年の著書『異業種競争戦略 ビジネスモデルの破壊と創造』、そしてこの日の講演に合わせるかのように発売されたばかりの新刊『ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ルール、相手、土俵を変える』。5年の時を挟んで双璧を成す両冊の掉尾を、内田教授は確かに同じプルーストの、同じこの言葉で結んでいた。
 そしてその前段に添えられた教授自身の言葉もほぼ変わらない。
「私の経験からいうと、ほとんどの場合、答えはすでに皆さんが持っている、あるいは、皆さんがいまやっていることのなかにあります。」

続きを読む "内田和成教授に聴く、「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」"

ソフトな福澤諭吉論 西澤直子さん

世の中には多くの福澤諭吉論がある。学術的なそれは知らないが、一般の人向けに書かれたものの多くは、男性から見た福澤諭吉論であろう。
慶應の系譜につながるひとが書いた評伝的なもの(ex小泉信三の『福澤諭吉』)、慶應以外の人が書いた福澤礼賛論(ex丸山真男の『文明論之概略を読む』、アンチ福澤の脱亜論や東アジアの福澤論。
いずれも男目線で、近代的価値(自由、知性、文明)の啓蒙者としての福澤諭吉の功罪を論じている。言うならばハードな福澤論である。

photo_instructor_754.jpg福澤研究センター創設にあたって招致してくれた恩師のすすめもあって、福澤の女性論を専門に定めた西澤直子先生の立ち位置は、女性からの目線に特色があるようだ。言うならばソフトな福澤論といったところか。実に新鮮であった。

続きを読む "ソフトな福澤諭吉論 西澤直子さん"

知的生産の方法としてのワークショップ  苅宿俊文さん

本日の講演テーマは「多元共生社会のコミュニケーション力」

講師の苅宿俊文先生photo_instructor_740.jpgは、昨年まで、多元"化"共生社会と書いていたが、今年から"化"を取ることにしたという。
多元社会は、進行形でなく完了形になりつつあるという認識からである。

多元社会の先駆者は欧州であろう。
二度の世界大戦で一千万人を越える犠牲者を出し、辿り着いた合意が多元的共生社会の構築であり、その形態がEUであった。
その道のりは険しく、いまも大きな困難に直面はしているけれど。

日本においても、多元社会は進んでいる。
夕学では、金子郁容さん平田オリザさん西村佳哲さん山崎亮さんが、多元社会への取り組みを語ってくれた。
多元社会形成の鍵を握るのがコミュニケーションであり、コミュニケーション能力の開発メソッドとしてワークショップが有効である、という指摘も共通している。

苅宿先生もその一人、ワークショップの普及と推進を担う研究者であり、教育者であり、実践家である。
青山学院大学で開催している「ワークショップデザイナー養成プログラム」を通じて、5年間で1000人のワークショップデザイナーを育ててきた。

続きを読む "知的生産の方法としてのワークショップ  苅宿俊文さん"