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成熟社会を生き抜く力

photo_instructor_745.jpg 今回の講演は、教育改革実践家の藤原和博氏。テーマは『正解のない問いに向き合う力』。
私のように、初詣で10円の賽銭にも関わらず、「もっとお金が欲しいです」と祈っている人にとっては、必聴の講演内容だった。

 藤原氏が登場直後、「わたしが似ていると思う歌手の名前を『せーの』で言ってくださーい」と聴講者に投げかけると、一斉に「さだまさし!」とかえってきた。このただのウケねらいのような、投げかけが、今回の講演ではポイントになる。

情報処理力から情報編集力の時代へ

 高度成長期が終わる1997年までの成長社会では、みんな一緒で良かった。
例えば、結婚式の引き出物。以前は、みんな一緒にウエッジウッドのカップ&ソーサーなどを配っていて、貰った人はというと、使わないから、小学校のバザーに出していた。
しかし、バブルがはじけ、成熟社会に入り、「それっておかしくない?」と気づいた会社があった。リンベルだ。現在の引き出物には、選べるギフトのカタログが入っていることが多い。成熟社会では、このように、ビジネスシステムを一人一人に合わせている会社(ケータイ、通販、コンビニ)が生き残っている。

 これからの成熟社会では「情報編集力」が、とても大事だと藤原氏は言う。ビジネスでも、子育てでも、人生の後半戦を切り開くためにも。
「情報編集力」とは、簡単に言うと「つなげる力」のことだ。
自分が納得し、かつ、関わる他人を納得させられること。
高度成長期までの、成長社会では、みんな一緒で、正解のある問いに答えていれば良かった。
1+2=3で、早く、正確に答えを出す「情報処理力」が求められていた。
しかし、「情報処理力」では、「正解のない問い」に向き合えない。
答えを修正していき、相手の脳と自分の脳をリンクさせる「情報編集力」が重要になっていく。

情報編集力upのための自分プレゼン術

 初めての人と会ったとき、ほとんどの人が名刺を出す。
しかし、藤原氏の場合は、あえて名刺をださない。
その代わりに、自分の顔をいじることにしているという。登場時の「さだまさし」だ。これで相手が笑う。
大事なのは、笑わせることではなく、相手に、自分は敵ではないと教えること。
顔がいじれない人は、名前をいじる。苗字が、読めなかったり、難しかったりすれば、そのいわれを話せばいい。
「種子島に鉄砲が伝わって、それを東京に伝えたのが私のおじいちゃんです」など、相手が、「えっ?年代違うじゃん!」と思っても、興信所で調べることはないのだから、エンターテイメント性を帯びているほうがよいのだ!と、藤原氏は力説する。
相手の意識をつかむ。相手の脳と自分の脳がリンクする。
相手の頭の中に、さだまさしがいるから、藤原氏は「自分プレゼン」で使うのだ。自己紹介とは、自分の頭の中にあることを起承転結で、自分のことについて説明するのであって、「自分プレゼン」は、相手の頭の中に映写室があると思い、何を映し出すかということが大事になってくる。
自分プレゼンは、練習すれば必ずうまくなる。名刺を出すのを我慢すればよいと藤原氏は語る。

日本人の人生観が変わる!!

 かつて『坂の上の雲』の時代、平均寿命は40歳から50歳だった。
そうすると、生まれてから20歳ぐらいでピークを迎え、死に向かって、富士山のような、なだらかな、ひと山の線が描ける。
しかし、今の時代、平均寿命は延びて、人生は80年90年とある。
そんな、ひと山主義では、人生の終わりのほうは、寂しかろうと藤原氏は言う。
そこで、坂の上まで来ても、坂を上り続ける『坂の上の坂』がある人生をおすすめしている。
そのためには、コミュニティーに入ることが良いそうだ。
好きなことで良い。藤原氏の場合は、テニスサークルと被災地支援に力を注いでいる。
富士山のようなひと山主義の人生ではなく、八ヶ岳連峰のような、いくつもの裾野を持つ人生。
コミュニティーに入る時に、先ほどの「自分プレゼン術」が役に立つ。
コミュニティーでは、絶対に名刺を渡してはいけない。勤めている会社が、大手であればあるほど、嫌味になってしまう。

ニッポンの時給を考える

 現在の日本で、ファストフード店や、コンビニでバイトすると時給800円は稼げる。
しかし、その100倍の時給8万円を稼げる職業がある。世界レベルのコンサルタントだ。
それ以上の時給になると、起業家やスターたちがいる。
「さて、この100倍の差は、なんでしょう?」
今回の講演会で、藤原和博氏が、実際に投げかけた質問である。
答えは、「希少性」だ。
時給が上がれば、上がるほど、代わりのいない仕事である。
希少価値が高い人ほど、稼げる。
ポケモンでいえば、レアカードに例えられる。レアカード1枚に対して、30枚と交換できる。
さすが、教育改革実践家!こう言えば、子どもたちの脳ともリンク出来、教育にも役立つ。

 今月末で、藤原和博氏の講演は、1000回目を迎えるそうだ。
わかりやすく、エネルギッシュな講演で、聴いた人たちは、藤原氏と脳をリンクさせたに違いないだろう。講演会を終え、帰っていく人たちの足取りの軽快さは、満足度を表していたと思う。
私も、神社で祈ってばかりいないで、稼ぐ力を鍛えよう。ただ、自分の希少性だけは自信がある。今回の藤原氏の言葉通りだと、スターになるかもしれない。

ほり屋飯盛