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好きという力 戸田奈津子さん

natsuko_toda.jpg 映画「スターウォーズ」の構想を、ジョージ・ルーカスは10代のころに、すでに描いていたといいます。どうしても語りたいことがあったからこそ生まれた作品。彼のイマジネーションに、CGという技術が追いついてできた作品。エピソード4~6が前半のエピソードより先につくられた過程もこれを示しています。

映画「タイタニック」が世界的に大ヒットしたジェームス・キャメロンは、そのすべてを3Dの開発に投じたそうです。やはり10代のころからあたためていた「アバター」を立体的に見せたい、との思いを追及し、彼の次の大ヒット作は生まれました。

戸田さんは、2人の少年の夢が、映画を生み、映画と時代を変えた、というお話から始められました。そしてこれは後半の戸田さんご自身の姿とも重なりました。好きという力のモチベーション。

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マーケティング性をもったマーケティング戦略 井上哲浩先生

photo_instructor_709.jpgまさにいまの時代、の戦略。示唆に富んだ講演でした。慶應ビジネススクールの井上哲浩先生に前回『夕学五十講』にご登壇いただいたのは2008年前期。この6年の間に、私たち消費者をとりまく環境、ビジネスの環境、データの世界、時代はずいぶん変わりました。

あらゆるところにあらゆるデジタルデータが蓄積されていく時代。メディア、ツール、インフラ、どんどん変化していく時代。行動や発言といった、これまでデータにはなりえなかった定性情報までもが蓄積されていく時代。「ビッグデータの時代」とはこれら、私たちをとりまく環境の総称、ともいえるかもしれません。

ビッグデータの時代にあって、マーケティングはどう何が変わり、あるいは何は変わらないのか。このテーマに挑んだ井上先生の講演ですが、ビッグデータの時代の意味するところがメッセージでもありました。

データ・マネジメント・プラットフォームの時代
講演の前日、4/17の日経一面に「ビッグデータ 300社連携」という記事が掲載されました。

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スポーツの力 宮本恒靖さん

photo_instructor_727.jpg2002年日韓、2006年ドイツと2大会連続でサッカーW杯の代表チーム主将を務めた宮本恒靖さんの卓越したキャプテンシーの象徴として語り継がれているシーンがある。


2004年アジア杯準々決勝ヨルダン戦。宮本さんの抗議によってPK戦の最中にゴールサイドを変更させた場面である。

2004年アジア杯 日本VSヨルダン PK戦の場面

このシーンの解説として、宮本さんの英語力、交渉力を絶賛する声が多い。
しかし、宮本さんによれば、サイド変更が出来たのは、あくまで結果論であった。
もちろん、審判にサイドを変えるべきだと訴えたのは事実だが、彼が本当にやろうとしたのは、相手チームに傾いた勝負の流れを断ち切ることであった。

その時、宮本さんは、ぬかるんだ地面を見ていただけではないだろう。試合そのものを俯瞰的に見ていた。自分もキッカーになる可能性もあるわけだから、普通の選手なら「自分ならどう蹴ろうか」を考えるはず。
しかし、彼はもっと大きなもの、広い視野で試合を見ていたようだ。
だからこそ、その場の時間を止め、人々の意識を変えるために、迷うことなく抗議に向かった。

ディフェンダー宮本恒靖のプレーは、ずば抜けた「先読みの能力」に特徴があった。相手の進路、パスの出し先を、的確に読んで、いち早く対応することができた。
けっして恵まれているとはいえない身体で、代表チームのセンターバックを務めることができたのは、この力によるところが大きい。

彼はいつも、人が見ないところ、見えないものを見ることができた。

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月曜の夜にみる月と金曜の夜にみる月が違ってみえるのは何故か 穂村弘さん

hiroshi_homura.jpg夕学五十講2004年度前期、第2回目は、歌人 穂村弘さん。
言葉"をテーマにした"講演会を聞いていた"はずですのに、ほんわかな穂村さんのつくりだす時空間のなかにしばし入って漂っていた。そんな感覚でした。これが"ホムラワールド"、なんですね。

私たちは必ず、世界像のなかで、生きています。世界像は人それぞれ。
外から他人の世界像が見えるときがあります。それが言葉。

世界像と言葉の可能性。それが穂村さんのメッセージでした。
どういうことなのでしょう。穂村さんはいくつかの言葉や短歌を例として紹介しながら、その世界観を伝えようと、ていねいにお話をしてくださいました。おかしくてくすくす笑ったり、おもしろくて声に出して笑ったり、共感して微笑んだり、しながら聴きました。

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成長戦略は、いまが正念場! 竹中平蔵さん

夕学五十講2014年度前期のトップを飾ったのは、竹中平蔵先生である。

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冒頭、竹中先生は、最近ことある毎に聞くという二択質問を投げ掛けた。

2013年一年間で日本の株価は57%の上昇、先進国ではダントツの上昇率。
世界の投資家がアベノミクスを、期待を込めて評価した結果であろう。
では、アベノミクスで日本経済はこれからさらによくなると思うか?

A:期待を込めてよくなると信じたい
B:期待はしたいが、よくなるとは思えない

会場の答えは6:4でAが多かった。これは珍しい結果だという。他でやると2:8でBが多い。世間はアベノミクスの先行きを悲観的に見ている。
これは現政権内の風向きと一緒だという。

「首相と官房長官だけががんばっている状態」

それが竹中先生の見立てである。

人々が懐疑的に見ているのが、アベノミクス第三の矢「成長戦略」の中身であろう。ここには、竹中先生も深く関わっている。

竹中先生は、安倍政権の「成長戦略」は、まさにこれからが勝負。海外投資家は期待しつつも不安を隠せない緊張状態で見守っているという。

竹中先生によれば、成長戦略や他の二本の矢とは評価ディメンションが違う。
一の矢、二の矢は需要サイドへの働きかけであり、 即効性がある。
成長戦略は、供給サイドへの働きかけなので、実現するまでに時間がかかる。
我々は、印象論や感情論に縛られずに、実現可能性を冷静に見極めねばならない。

では、成長戦略として、どのような絵図を描けばよいだろうか。

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第25回 7/29 (火) 阿刀田高さん

takashi_atouda.jpg最終回、第25回7月29日(火)にご登壇いただきますのは、作家の阿刀田高さんです。

阿刀田高さんは、これまで40年以上にわたる執筆活動のなかで、900篇以上の作品を生み出してこられました。第81回直木賞ほか数々の授賞もされてこられました。日本ペンクラブ第15回会長、また、1995年から今年の1月まで、なんと19年間、直木賞選考委員も務められました。間違いなく現代の日本を代表する作家のおひとりでいらっしゃいます。

さて、阿刀田さんといえば、ブラックユーモアの短編小説、そして「知っていますか」シリーズです。

ちょっと不思議で、ちょっと怖くて、思わず笑ってしまう。日常にありそうで、自分にも思い当たりそうで、思わずドキリ。短編小説はそんな独自のブラックユーモアにあふれています。

「知っていますか」は、ギリシャ神話、聖書、古事記、源氏物語と次々、古典を容易に読み解いたシリーズ。それまではちっともわからなかった、わかる気がしなかった、古典はこんなに面白いのか!と次々出会いえた私もその一人です。

「古典を読むには原典をたどるのがいちばんよいが、読むべき古典が多すぎる。質のよいダイジェストにも意味があるのではないか。」

阿刀田さんのそんな思いも込められています。

そんな阿刀田さんご自身の、"創造の井戸を掘り下げてきた"経験をまとめられたのが、『知的創造の作法』です。今回の講演タイトルでもあります。

知的創造の達人がその作法を種明かししてくれているのですから、面白いに違いない、わかりやすいに違いない、そう思われた方きっとご期待にお応えする講演です。「知的創造の作法」、皆さんとご一緒に学んで、ちょっと考えて、おおいに楽しんでみたいと思います。(湯川)

第24回 7/25(金) 藤本隆宏さん

第24回 7/25(金)に登壇いただくのは、東大大学院教授で、ものづくり研究の第一人者藤本隆宏先生です。

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藤本先生が、東京大学ものづくり経営研究センターを作って10年。
日本の製造業の復権、産業競争力の維持への期待を一身に受けて活動してこられました。
この10年をマクロから見れば、中国の急速な台頭、韓国勢(サムソン、LG等)のスピード、アメリカの新興勢力の躍進等々、日本の製造業を取り巻く環境は、益々悪くなっているという印象があります。

しかし、現場発のものづくり研究に生涯を掛け、日本と世界の製造現場を歩き回ってきた藤本先生には、日本の産業競争力の底力がはっきりとみえているようです。

リーマンショック、トヨタバッシング、円高による海外移転という荒波を乗り越えて、新たな環境に適応した日本のものづくり産業が育ちつつあるといいます。
否、正確に言えば、孵化寸前のところまで来ているということかもしれません。

日本のものづくりは、「夜明け前」である。
そう断言する藤本先生の力強いお話を伺えるものと思います。

第23回 7/15 (火)  山口晃さん

akira_yamaguchi.jpg7月15日(火)にご登壇いただきますのは、画家の、山口晃さんです。

オートバイに乗った戦国武士。
六本木と江戸が一体になった街。

ふだん日本美術や現代アートにあまり馴染みのない方でも、「ああこの絵の」と山口晃さんの作品をご覧になったことがあるのではないでしょうか。絵画や襖絵、小説の挿絵や装丁などと幅広くご活躍です。

山口さんの絵は、時代が縦横無尽に行き交って、なんとも発想の面白い作品です。そして絵をよく見ると、とても細密で、描写は鋭く、発想と技術の突飛さがまたとても面白いのです。浮世絵のような、大和絵のような、そして、漫画のような。日本の伝統と現代の息づかい、両方を同時に感じさせるところも面白いなあと思います。山口さんのなかでは時空がどんなふうにできているのでしょうか。
そんな山口さんが、画家・絵師の目線から日本美術の有名作品の背景や魅力を解説する著書を出されました。

ヘンな日本美術史』(祥伝社)

2013年の小林秀雄賞を授賞されたことでも話題となりました。

小林秀雄賞は、文芸評論家 小林秀雄の生誕100年を記念して創設された学術賞で、日本語表現の豊かな著書(評論・エッセー)に贈られています。山口さんは、初めて、画家として授賞された方でした。それもすごいことです。
「読んでおもしろい」からだというのが授賞理由でした。読んでみるとたしかに読み物として面白い。それに自分が思いもしなかった突飛な切り口から鑑賞や解説をされるので日本美術を知る、観るのがますます面白くなりました。

面白がり、面白さを伝え、面白さを絵で表現する山口さんが「私見」で語ってくださる「日本の古い絵」。お話も、山口さんにお会いすることも、とても楽しみです。(湯川)

第22回 7/11(金) 松井忠三さん

tadamitsu_matsui.jpg第22回 7月11日(金)にご登壇いただきますのは、株式会社良品計画 代表取締役会長の 松井忠三 さんです。

MUJI」」といえばいまや、誰もが知る、日本が誇る、世界のブランド。
そして誰もに身近な生活ブランドでもありますね。お住まい、通勤途中、オフィスなど皆さんの街にも、1つ2つ店舗があって、お買い物または利用されたことのある方も多いのではないでしょうか。

「無印良品」が提案した、シンプルな暮らしはとても斬新なものでした。その「シンプルさ」に、ぎゅっと、経営とブランド力のエッセンスも圧縮されているに違いありません。そう感じさせる松井さんの著書のタイトル。

無印良品は、仕組みが9割 ―仕事はシンプルにやりなさい(角川書店、2013年)

今回の講演は、本著を入口にしつつ、無印良品V字回復の軌跡、それを実現した松井さんの経営手腕の実績、松井さんの持論や思い、じっくりお伺いしたいと思っています。

無印良品は現在、世界24ヶ国に、258店舗。2014年2月期の連結純利益予想は、前年比56%、予想を35億円上回る、177億円です。しかし常に順調であったわけではありません。

松井さんが社長に就任された2001年当時も、無印良品の業績が低迷していたころでした。大学卒業後、西友ストア(現西友)に入社、1992年に無印良品に移ります。以来12年、"無印良品とともに"仕事をし、経営されてきたのが松井さんです。

「無印良品」の価値、価値観に、たちもどった経営をしてきた、自信をもっているからこそ、「シンプル」というキーワードで振り返り、語ってくださっているのだと思います。仕事もマネジメントも生活も、シンプルにできたらいいなあ、シンプルっていいなあ。憧れも重なり、MUJIのシンプルさへのヒントがあるに違いない、そんな期待いっぱいで私も講演を楽しみにしています。(湯川)

第21回 7/8(火) 上田正仁さん

第21回 7/8(火)に登壇いただくのは、東大大学院理学系教授の上田正仁先生です。

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上田先生のご専門は
「冷却原子を用いた気体のボース・アインシュタイン凝縮の理論的研究、および量子情報・量子測定・情報熱力学」
ということですが、いったいどういう研究なんでしょうか(笑)。皆目分かりませんね。

もちろん、夕学でお話いただくのは、研究のお話ではありません。
演題は「考える力の鍛え方」です。
上田先生が昨年著された同名の本をモチーフにしたお話になります。

激戦を勝ち抜いてきた受験エリートである東大生の中でも、いまひとつパットしない人間、大学四年間でグンと伸びる人間、卒業してから頭角を現す人間と、さまざまなタイプの人間がいます。
大学や社会人になって必要な能力は、独創的なアイデアを生み出す・考えだす創造力ですが、先述の差は、この創造力の差でもあります。

上田先生は、東大生に対して、独創的なアイデアを生み出す思考トレーニングを試行錯誤しながら実施してきた結果、考える力は意識的な努力の積み重ねによってシステマティックに向上させることができる、と確信しているそうです。

東大物理学者が語る「考える力」の鍛え方。
興味深い講演です。

第20回 7/4(金) 服部泰宏さん

第20回 7/4(金)に登壇いただくのは、横浜国立大学大学院准教授の服部泰宏先生です。

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服部先生は弱冠33歳、わが敬愛の金井壽宏先生(神戸大)門下生で、注目の若手経営学者のお一人です。

師匠と同じで、専門は、組織と個人の結節領域で起きているさまざまな事象を掘り下げることです。
この20年、企業人事の論点として「組織と個人の関係変容」というキーワードが何度となく喧伝されてきました。成果主義の導入、非正社員の比率増加、ダイバーシティの推進などなど、トピックには事欠きませんでした。
一方で、以前として新卒社員の一括採用は行われています。終身雇用を変えると言う会社もほとんどありません。
では、現実の企業組織の中で、実際のところ、組織と個人の関係はどう変わっているのか、変わらないのか。そろそろ地に足のついた実証的な研究成果が望まれるのでしょうか。

服部先生は、まさにこの問題を一環した研究課題として追究してきました。
今回の講演でも、最新の研究・データをご提示いただきながら、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。