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おもしろがり、楽しんでのめり込む 山崎亮さん

「コミュニティ」

学術的な定義を別にすれば、「ある"何か"を共有する複数の人々のゆるやかな集合体」と言ったところか。
自治会、商店街、青年会、隣組といった「地域コミュニティ」
趣味、関心、社会問題、何かのOB・OG会、SNSのグループのような「テーマコミュニティ」
に大別される。
会社の中で横断的な組織変革活動に取り組む人々、MCCのような学習機関に一定期間通学して共に学ぶ集団も、立派なコミュニティである。

photo_instructor_701.jpg山崎亮さんが専門とする「コミュニティデザイン」というのは
デザインの力で人の集団が持つ課題解決力を高めようという支援、を意味する。
唯一絶対の正解がない問題に対して、トップダウンではなく、当事者の参画によって、アイデアを出し合い、解決策を決め、継続的な取り組みに責任をもつ。
さまざまな分野・領域で求められている合意形成と主体性形成の方法論である。

...というふうに書いてきて、山崎さんの実際の取り組みを、上手く言い表せていないことに気づいてしまった。
山崎さんの「コミュニティデザイン」は、参加者が、自分達でおもしろがり、楽しんでのめり込む。いわば"サークルや学園祭のノリ"を再現することのようだ。

お金にならない、評価にもつながらない。現実的な利益はほとんどない。
にもかかわらず、そこにのめり込むことで、自分の役割が生まれ、忘れられない体験ができ、仲間と一体感が生まれ、多くの人から感謝される。

例えば、講演で山崎さんが紹介してくれた「観音寺まちなか活性プロジェクト」の事例

「観音寺、今宵もはじまりました」でググってみて欲しい。
四国香川の小さな街の人々が、"サークルや学園祭のノリ"で商店街の活性化を楽しみながら取り組んでいる雰囲気がわかるだろう。

とはいえ、メンバー全員が、最初から"サークルや学園祭のノリ"になってもらうことは不可能だ。言い出した人が損をする。たいへんな思いをするのはいつも同じ人。そんな現象が起こる。
コミュニティに関わろうとする人の多くが抱える悩みだ。

山崎さんは言う。
1000人に1人熱い人がいれば、コミュニティは変わる
人口5000人の村に5人、"サークルや学園祭のノリ"で取り組んでもらえる人を見つければ、後は続いていく。
継続のコツも、大学の部活やサークルのノウハウと一緒だという。
部費を集める、部室を持つ、新入生勧誘には力を入れる。卒業もある。役員の任期も決める。試合や発表会をやる。会報誌をつくる。
誰だって、一度や二度はやったことがあることばかりだ。

山崎さんが代表を務めるstudio-Lのコンセプトは、「人と人をつなぐ会社」である。
「人と人をつなぐって、いかにも胡散臭いでしょ。誰がこんな会社に発注すんねんって思いませんか」
人懐っこい顔で冗談を飛ばし、会場の笑いを取る山崎さんだが、実は全国から仕事の依頼が殺到して受けられない状態が続いているという。
回り出せば誰もが動かせる歯車も、最初のひと押しを押せる人は、なかなかいない。
そういうことなのかもしれない。