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「結び」に込められた持論  佐山展生さん

photo_instructor_600.jpgのサムネール画像佐山展生氏に初めてお会いしたのは、2003年の秋頃と記憶している。MCCで『実践M&A』というプログラムを共催しているMIDCの酒井雷太氏が、講師の一人として紹介推薦していくれた。

当時、佐山さんは、ユニゾン・キャピタル代表として、勃興期にあった日本のM&A業界でも注目される存在であった。バイアウトファンドという新しい投資形態を日本に持ち込み、東ハトやアスキー等への投資とEXITが成功したことで話題になっていた。
2004年秋には、夕学にも登壇していただき、「M&Aと企業再生」という演題で講演をしていただいた。

佐山さんは、その後M&Aアドバイザリーという、これまた日本では聞き慣れない業務に特化したGCAを立ち上げた。
阪急・阪神買収騒動では、阪急・阪神側のアドバイザーとして、あの村上世彰氏と真っ向対峙した。 ワールドのアドバイザーとして、非上場化という斬新な企業再建策を成功させた。 ほどなくして一躍、時の人となり、テレビ等でお顔を拝見するようになった。

昔から、佐山さんの講演・講義資料には、必ず「結び」が付いていた。佐藤一齋ではないけれど、言わば佐山版「言志録」のようなものである。
今回の夕学で、久しぶりに資料をみて、随分と「結び」の量が増えていることに驚いた。
2004年の夕学資料を引っ張り出してきて、比較してみた。

当時の「結び」は18個。シート2枚に収まっている。

「ど真ん中の直球はストライクと判定されているか」
「知らないうちに富士山の山頂に登った人はいない」
「ジャンプする前は精一杯しゃがみ込む」

といった名言は当時から入っていたが、いまから思えば実にシンプルである。

7年振りになる今回の「結び」は118個。 増えた100個は、この間の佐山さんの「キャリアの軌跡」でもあろう。

「"いけいけ"のときは、ノーアウト1,3塁でヒットエンドラン」
GCAを起業からわずか2年で東証マザース上場まで持っていたチカラ技を思い浮かべてしまう。

「障害は、いつまでも不動ではなく動くことがあり、一瞬隙間ができた時が勝機」
クリティカルな交渉場面で、緊張感溢れるやりとりを繰り返してきた人ならではの言葉である。

「優秀な経営者は"せっかち" 次から次に片付けないといけないことが入ってくる」
これまた、ひと筋縄ではいかない社長達を相手に切り回しをしてきた人の実感であろう。

佐山さんのキャリアや、手がけた案件の一覧と見比べながら、じっくりと読んでみると、実に味わい深い。

改めて思うのは、佐山さんは世に出るまでの時間の長かった人だということだろう。
銀行を辞めてユニゾン・キャピタルを立ち上げたのは45才の時。起業家としては、遅いスタートである。
しかし、それがハンディではなく、強みになっている。

「この世界(M&A業界)で、工場の三交代勤務を3年間もやったことのある人はいない」と誇らしげに断言する佐山さんの姿は、他の人とは違う人生を歩んできたことへの自信に漲っている。

なぜなら、一見、回り道のように見えるがプロセスの中で「lesson of experience(経験から学ぶ)」という、リーダーシップにとってもっとも重要だと言われる課題を達成してきたことを自覚しているからではないだろうか。

118個の「結び」は、佐山さんが多様なキャリアを経て培ってきた、リーダーシップ、モチベーション、経営の「持論」である。

「持論」アプローチの重要性を説く神戸大学の金井壽宏先生は、リーダーの役割を次のように言う。

まずは何かひとつ「持論」を持つ。
次いで、状況や課題に合わせて「持論」のバリエーションを広げる。
最後には、「持論」を他者に語ることで、その人の「持論」形成を促す。

佐山さんの「結び」は、私たちが「持論」を形成することを促すメッセージに他ならない。


この講演に寄せられた「明日への一言」はこちらです。
http://sekigaku.jimdo.com/みんなの-明日への一言-ギャラリー/11月30日-佐山-展生/

この講演には感想レポートコンテストへの応募がありました。
「自身今後の「考えるヒント」、及び共感・共鳴・共振極めて多き好講演」(Mesirowさん/研究員・コンサルタント(野村総合研究所)/38歳 /男性)