「民の国」が抱える悩み 遠藤功さん
「あんなリーダーしかいないのなら、(日本は)原子力発電をやってはいけない」

日本の原発不安がピークに達していた4月に、遠藤先生がフランス人から言われた言葉だという。
ドイツ本社のコンサルティングファーム、ローランド・ベルガーの日本法人会長でもある遠藤先生は、欧州で行われたグローバルミーティングで、期せずして日本国の代表として、欧州知識人の厳しい糾弾の矢面に立たされることになったという。
世界の原発推進国であるフランスから見れば、日本という国には、原発という未成熟・未完成な技術を使いこなす高度なマネジメント能力が欠如しているというわけだ。
あまりに的を射ており、反論できないという悔しさと、日本の現場を支えている、多くの無名の現場リーダーの存在が、彼らの目には見えていないことへの絶望感に、JAPANブランドが失墜していくさまを見ているような気がしたという。
「中央」のリーダシップが担うべき求心力と「現場」のリーダシップが担う遠心力。
この二つが、バランスを取りながら発揮されることでしか、原子力発電という高次な技術は使いこなせない。
同じことが、きょうの講演テーマ『日本品質』にも言えることだという。
遠藤先生が昨年、『「日本品質」で世界を制す!』という本を出した裏には、「日本品質」が揺らいでいるという表層的な論調に対する反論の意図があった。
確かにこの数年で、日本を代表する企業で品質問題が頻発した。
パナソニックのファンヒーター事故、トヨタのリコール問題、花王のエコナ製品の販売自粛等々。
しかし、遠藤先生の認識は、日本の技術が劣化したのではなく、より高次な次元に進化しようとしている故に直面した新たな壁である、というものだ。




