「愛でる」という感覚を取り戻す 中村桂子さん
地球上にはじめて生命が誕生したのは38億年前、深海で生まれたバクテリアのような単細胞生物ではなかったかと言われている。驚くべきことに、そのDNA構造は、我々人類とまったく同じであるという。
つまり、生命は38億年前から連綿と続いており、現在地球上に存在する多様な生物は、全て繋がっている。
生命とは、「時間」と「関係」で成り立つ巨大なネットワークでもある。
人類が登場したのは15万年前のアフリカ大陸。農耕の発明により「生物圏」から「人間圏」というサブシステムが枝分かれしたのが1万年前。産業革命により、爆発的な拡大過程に入ったのは、わずか200年前のことである。
現在、人類の拡大速度は、地球の物質循環のそれを大きく上回る「異常な状態」にある。
「異常な状態」にいる私達は、自然を制圧する対象として捉え、科学技術をその道具として開発活用してきた。
中村先生は、「その関係図式を変えよう」と言う。
科学技術と自然の間に人間が入り、両者を融合させる役割を果たすべきだ、とする。
そのためには、価値観(世界観)を変える必要がある。
産業革命以来の「機械論的世界観」から「生物論的世界観」への転換である。
自然は数式で記述でき、人間も機械のような構造体と認識する。だから要素分解することで全てが解明できる。そう考えるのが、「機械論的世界観」である。
「生物論的世界観」は、世界をあやふやで、柔らかく、変化しつづける存在として理解する。だから複雑で、曖昧で、いまもってよくわからないものと考える。
