感情移入できるロボットを作る 高橋智隆さん
10年程前、ヒューマノイド型ロボット ホンダのASIMOの登場は、ロボット新時代の到来として、大いに話題になった。
個人的には、ASIMOの歩き方を見て、「何か不自然だなぁ」といつも感じていた。膝を折り、忍者走りのような姿勢で歩くからだ。
その頃、まったく同じ違和感を抱いている青年が京都にいた。
立命館大を卒業後、改めて京大工学部に入り直したばかりの高橋智隆氏である。
幼い頃からモノ作りが好きで、凝り性でもあった高橋さんは、ASIMOの上をいく画期的なロボットを、自分一人で作ってしまう。膝を折って歩行する不自然さを解消する、電磁吸着2足歩行という新技術を開発したのだ。
全身を黒くに塗ったことから「クロイノ」と命名されたそのロボットは、数々の発明・アイデアコンテストに軒並み優勝し、話題となった。
折からブーム化の様相を呈していた大学発ベンチャーの波に乗り、大学の薦めもあって、特許出願、ロボットベンチャー起業へと、トントン拍子に道が開けていったという。
少年時代、「鉄腕アトム」に憧れていた高橋少年は、アトムそのものよりも、アトムを作る側に、強く惹かれた。
バス釣りのルアーを手作りするような感覚で、木型を削り、プラスチックカバーを作る。
モーターやネジも、自分のデザインイメージに合うものを手作りしたり、加工した。デザインや色彩にもこだわった。
そこには、量産、標準化という言葉は存在しない。
作りたいものを、作りたいように作る。 それが全ての原点である。
