「私」という困難 南直哉さん
今年の春、南直哉さんが主宰されている『仏教・私流』という講話を聞いた。
若手僧侶や仏教研究者、仏教に関心を持つ方々を対象に、月に一度程度開かれている連続講義である。専門家向けの内容なので、仏教知識のない私には、三分の一程度しか理解できなかったが、その中で非常に印象に残るフレーズがあった。
「宗教は人間の幸せをもたらすものではない。苦悩に耐える力をもたらすものである」
この言葉を聞いた時、是非、夕学にお呼びしようと決めた。
大きなカバンを提げて会場に現れた南さんは、「ちょっと着替えさせてください」と断って作務衣を脱ぎ、黒い袈裟をまとわれた。
180センチを越える長身で、八頭身。ご本人が志したならば、ファッションモデルになれたに違いない。
鋭い眼光と弁舌の切れは、「恐山の論僧」の異名がよく似合う。
