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恐るべき嫉妬のエネルギー 山内昌之さん

イスラム・中東の歴史研究、地域研究を専門とする山内先生にとって、『嫉妬の世界史』という本は、どちらかといえば余業に近い感覚の著作なのかもしれません。
しかしながら、大なり小なり「組織」の中で生きるビジネスパースンには、妬み・嫉みが生む負のエネルギーの凄まじさというのは、身近な事例の一つ二つはすぐ脳裏に浮かんでくるほど興味深いテーマです。
あるいは、いままさに「嫉妬」にとらわれている人、逆に「嫉妬」に苦しめられている人もいるでしょう。
山内先生は、そんな私たちの心情を良くわかっていただいて、快く講演をお受けいただきました。

講演の中で、先生が紹介された「大いなる嫉妬」の事例をいくつかまとめてみました。

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風を起こす 住谷栄之資さん

かつて、「新奇性を見いだす法則」という趣旨のエッセイを読んだことがあります。

人間は、自分の“常識”的部分にその説が抵触した場合「こいつは興味深い、おもしろい」と感じる動物である。 従って新奇性を打ち出すためには、なによりも“常識”に反する説や解釈を考えなければならない。

キッザニア「エデュテインメント」というコンセプトは、まさにこの法則にあてはまります。

「エデュテインメント」とは、エデュケーションとエンタテイメントをくっつけた造語ですが、「学び」と「遊び」という二項対立要素を結びつけた点に、“常識”に反する新奇性を感じさせます。
ディズニーランドに代表されるように、エンタテイメントには、ファンタジーや冒険など現実世界とかけ離れたイメージの世界が必要だ、という先入観に囚われがちですが、よく考えてみれば、実は子供にとって「働くということ」は、ファンタジーや冒険と同じくらいに未知の世界です。
料理次第で、素晴らしいエンタテイメントに仕立て上げることができるということを、キッザニアの成功は教えてくれます。

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伝統を守り、伝統を創る 千宗室さん

人は皆、なにかしらの宿命(さだめ)を背負って生まれてきます。
宿命が、人を育て、大きな仕事を成し遂げることがあります。
宿命が、人を束縛し、苦しめることもあります。
人生と宿命は、時に引き合い、時に強く反発し、一対構造を形成しながら結合していくものかもしれません。

千宗室さんには、宿命の重さに逆らい、乗り越え、受け入れてきた人が持つ芯の強さを感じました。
権威主義、貴族趣味を嫌い、反骨精神や革新意識に共鳴する感性をお持ちのようです。
自ら強引に変えるのではなく、時代の風を読み、気運が漲るのを待って、巧みに変革を掬い上げるリーダシップも心がけていると言います。

熱く燃える種火を、内面に絶やさずに、それを覆い隠すように柔らかさと品格で包み込むような、そんな人でした。

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「文化が経済を作る」 蓑豊さん

『超・美術館革命』に、蓑豊さんが、美術の道を歩んだ経緯と、どのようにして美術を学んできたかを紹介している章があります。

麻布や銀座で古美術店を経営していた蓑さんのお父様は、商売というよりはコレクターに近く、惚れた作品は損得抜きで買い付けることも度々だったとか。しかしながら、その姿勢は、好事家に高く評価され、財界人との交流も多かったとのこと。
幼い頃から美術品に囲まれて育ち、慶應文学部で美術史を学んだ蓑さんは、卒業間近にエジプトでの中国陶器発掘調査に加わる機会を得ました。
そこで中国陶器に魅せられ、美術の道で生きることを決意しました。
「眼を肥やす修行」のために古美術商での丁稚奉公を経験したのち、米国に留学し、東洋美術の専門家として研究に打ち込み博士号を取得しました。
「日本人でありながら中国陶器のスペシャリスト」として希有な存在になった後は、米国各地の美術館の東洋部長として活躍し、そこでイベントの企画や資金集め等、アートマネジメントのプロとして経験も積みました。
26年間の米国生活は、蓑豊さんを、美術と経営の専門家に育てたことになります。

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戦略不全の因果 三品和広さん

「はたして、日本は賞賛に値する国であろうか?」
三品先生は、きょうの夕学をこの問いから始めました。

「格差問題」という共通した悩みを抱える中国を比較対象に選び、共に成長・復活から取り残されたと言われている日本の地方都市に一方のフォーカスをあててみると、対称的な光景が広がっています。
三農問題に悩む中国 四川省成都市と衰退に苦悩する北海道室蘭市。
成都には、広大な敷地に米国の大学キャンパスを想起させる近未来型の企業団地がそびえ、インテル、マイクロソフト、グーグルといったIT企業がソフトウェア開発の拠点を構えています。
室蘭の工業団地には、朽ちかけた工場跡がポツンと残り、周囲はペンペン草に覆われています。
成都のイトーヨーカドーは、毎日買い物客が開店2時間前からドアの前に立ち、全ヨーカドー(日本含む)で4番目の売上規模を誇ります。
室蘭の商店街にはほとんど人が歩いていません。

「これは最近始まったことではない。時間をかけて少しずつ発生してきた問題である」
三品先生は、そう考えています。
日本企業は1970年代以降、売上規模の拡大に注力する一方、売上高利益率を低下させ続けてきたという事実に立脚しての主張です。(これは野口悠紀雄先生も同様でした
三品先生流にいえば、「失われた40年」説というものです。

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孤独であるためのレッスン 諸富祥彦さん

それは、あたかも映画『E.T.』のクライマックス場面のような光景でした。
人差し指を付き合わせながら、お互いがいま一番大切に思っているものを語り合う。しかも、偶然隣隣り合わせたに過ぎない見ず知らずの人同士で。
諸富先生が「儀式」と呼ぶその演習に、いきなり付き合わされてしまった皆さん、さぞ驚かれたでしょう。
打ち合わせなしで壇上に上げられて冷や汗をかいた私も含めて、どうなることかと心配された方もいらっしゃったかもしれません。
そして、デフォルメたっぷりに演じる「ひとりカウンセリング」にも圧倒されます。
恐山のイタコを思わせるようなオーバーな表現力は、吉本興業でも十分通用するのではないかと思わせる程の迫力でした。
期待に違わない「諸富ワールド」を味わっていただけたかと思います。

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当たり前のことが一番難しい 遠藤功さん

「ねばちっこい」という言葉は、茨城弁だそうです。
遠藤先生は、企業調査の際に、おかめ納豆で知られたタカノフーズの社長さんから聞いたとのこと。

遠藤先生の現場力三部作シリーズは、『現場力を鍛える』(2004年)『見える化』(2005年)『ねばちっこい経営』(2006年)と続きました。
『現場力を鍛える』が、総論・概念編だとすれば、『見える化』は、現場力を実現するための仕組み・手法編、『ねばちっこい経営』は、それを支える基盤文化編というふうに整理できると思います。
遠藤先生の思考プロセスの深化がみてとれる気がします。

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