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2005年度前期終了のご報告

昨日の講演をもって、前期25回が終了いたしました。先程データを見てみたところ、今期は延べ人数で6900人の方に受講いただいたようです。全体の半分近い講演に満席マークが灯りました。ご希望の講演に予約できなかった方もたくさんいらしたのではないかと思います。会場は300人定員なので、もはや臨界点に近づいてしまったようです。
サテライトでは、ライブの3倍近い方々が受講されているそうです。ということは、一回あたり1000人近く、全回で18,000人の方が夕学を聴講されたことになります。 本当にありがとうございました。

来期の講演もほとんど決まりました。現在、演題やタイトル、プロフィールなどの詳細情報の確認作業をしています。9/1には申込・予約がスタートする予定です。
是非、ご期待ください。


また、皆さまにご迷惑をお掛けする事態も発生してしまいました。
夕学のサイトの不具合で、約40枚の受講券がご本人とは特定しえない形で閲覧されていたことが判明しました。重要な個人情報が記載されていたわけではありませんので大事にはいたりませんでしたが、けっしてあってはならないことだと猛省をしております。本当に申し訳ありませんでした。

8月はしばらくこのBlogもお休みします。
とはいっても、完全休養ではなく、折に触れて来期の情報提供をしていきたいと思いますので、お時間があったら覗いてみてください。

それでは皆さん、またお会いしましょう。

Form follows emotions 中村史郎さん 日産ブランド&デザイン戦略

4月15日に高橋俊介先生の講演ではじまった今期の夕学もきょうが最終回。おおとりを飾るに相応しく、会場は約300人の受講者で熱気に満ちていました。登壇いただいたのは中村史郎さん、躍進を続ける日産自動車のデザイン戦略の責任者です。
日産自動車には世界14カ国に1000人近いデザインスタッフがいます。中村さんによれば、デザイナーを組織内に抱える人数が一番多いのは自動車産業であろうとのこと。グローバルレベルの合従連衡が急速に進む自動車業界では、例えば米国のメーカーが、ドイツの資本を使って、イギリスブランドの車を作ることが当たり前のように行われています。資本だけでなくブランドが国境を越える時代が到来しているわけです。中村さんが学ばれたアートセンターバウハウスといった世界的なデザイナー養成機関が存在する米国や欧州には多くのカーデザイナーがいましたが、いまや彼らは、活躍のフィールドを求めて世界のいたるところに散りはじめたそうです。当然のことながらブランドのボーダレス化はデザインのそれを誘因します。そもそも、その国や地域の歴史と文化に根ざした独自性を持つはずのデザインがボーダレス化する時代。そこに帰因するデザインの危機と可能性、それが中村さんのデザイン観の中軸をなす問題意識でした。

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行動する経済学者 関満博さん 「世界の工場 中国の本質」

「行動する経済学者」関先生はそう称されています。年間の三ヶ月を海外調査、三ヶ月を国内の地域調査、残り六ヶ月を大学での活動で過ごし、365日24時間ONを宣言する行動派です。迫力ある風貌とドスの効いた声とあいまって、まさに異色の研究者といった観があります。聞けば、中国 大連生まれとのこと。関満博という名前の“満”の字は満州にちなんでつけられたそうです。中国の産業研究は天職なのかもしれません。

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わからないことから逃げない 玄田有史さん 「私の仕事道」

玄田先生に夕学で話していただいたのは2回目です。前回(2003年前期)の講演では、フリーター問題の解決法について「私にはわかりません」という一言から解説がはじまったことが印象に残っていました。控室でそのお話をしたところ、「きょうもそれでいきましょうか」と悪戯っぽい笑顔を残して会場に向かわれました。
冒頭で、「私にはわかりません」のお話を紹介されたうえで、テレビに出ない理由として、テレビは「わかりません」という言葉を許容しないからだとたたみかけます。更には、学生の進路相談にあたってのポリシーとして、「迷っている奴はトコトン迷わす」と断言します。一見、投げやりで、奇をてらったかに見えるこの対応が、実はきょうの講演を貫く玄田先生の強いメッセージでした。

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使命を持って生きること 大谷由里子 元気をつくる「大谷流」コーチング

大谷由里子さんの仕事人生は、吉本興業で横山やすしのマネージャーからはじまったそうです。「世の中に、彼ほど“自分に甘く、他人に厳しい”人はいません。横山やすしのお陰で、私の人間許容のキャパシティは目一杯広がりました」大谷さんが、良く通る元気な声と底抜けの笑顔でそう話すと会場にはどっと笑いが広がりました。実は控室で、「丸の内の方は最初は裃をきていらっしゃるのでほぐれるのに時間がかかります」などど、笑いのプロを相手に余計な事を言ってしまいましたが、まったくの杞憂でした。つかみはOKというところでしょうか。

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アーキテクチャで読み解く中国製造業 新宅純二郎さん 「中国企業との分業と協業」

新宅先生に夕学の依頼をしたきっかけは、昨秋東大ものづくり経営研究センターが主催する「ものづくり寄席」を聴講したことに遡ります。ものづくり経営研究センターは、トヨタ式生産方式や全社品質管理(TQC)に代表され、日本製造業の強みとも言われる「統合型ものづくりシステム」を組織的に研究するためにつくられた研究機関です。
「ものづくり寄席」は、その研究構想と内容を実務家向けに紹介することを兼ねたセミナーでした。ものづくり経営研究センターは藤本隆宏先生がセンター長に座り、高橋伸夫先生もいらして、夕学にも縁がある所です。そこで藤本・高橋先生に並ぶ主要メンバーである新宅先生にも是非お越しいただきたいと思い、本日の講演となりました。

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分析ツールを使いこなす力 水越豊さん 「BCG戦略コンセプト」

水越さんの名刺には名古屋事務所の住所が一番上に記載されています。聞けばBCG名古屋事務所開設の責任者でもあったそうです。水越さんによると、コンサルティングファームは顔のわかる人数が理想とのこと。社歴やポジションに関係なく率直な意見交換が出来ることが組織の必須要件なのに、規模大きくなるとどうしてもヒエラルキー意識が発生してしまい、フランクな組織風土が硬直化してしまいます。その弊害を避けるためにブランチを増やして事務所の絶対人数を調整したのだそうです。「コラボレイティブな組織は顔の分かる範囲が限度」という基準は、難しくはないけれど経験に基づいた説得力のあるルールですよね。きょうの主題である「ツールやフレームワークを使いこなす」ということもまったく同じで、実践に裏付けられた経験知が重要だということでしょうか。

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来期の依頼がはじまりました

今月から2005年度後期の夕学の依頼がはじまっています。はやくも、満席間違いなしのビッグネーム数名からOKをいただきました。もちろんすべて順調にいくわけではありません。一喜一憂の毎日が続いています。
今月中にほぼ概要を固めて、9月1日にはサイトオープンができるようにすすめていく予定です。
いつものように7月後半の夕学に参加された方には速報版をお渡しできると思います。

デザインの98%は日常である 喜多俊之さん 「デザインの力」

きょうの夕学は工業デザイナーの喜多俊之さんでした。ご存じない方も「シャープのアクオスのデザインを手がけた方」と言えば、なるほどと思うでしょう。大阪生まれの喜多さんは、品の良い柔らかな関西弁と笑顔が印象的な方です。講演の冒頭はそんなソフトな語り口ではありながら、日本のデザインを取り巻く環境についての危機意識から始まりました。
「中国ではデザインを“新産業”と位置づけています。工業デザインの高度専門教育を担う大学が500以上もできているのです。」喜多さんはそうおっしゃいます。
中国のみならず、韓国もシンガポールも国家政策としてデザイン振興が掲げられており、国を挙げての取り組みがなされているそうです。翻って我が国の現状はどうでしょうか。喜多さんをはじめ一握りの才能に頼るばかりで、政策論としてデザインが語られることはほとんどありません。今こそ、ITやバイオ産業の育成と同じくらい、デザインの振興が必要だというのが、喜多さんのきょうのメインメッセージでした。

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人事経済学のすすめ 樋口美雄 「インセンティブ社会の再設計」

「人事経済学」というのは、1990年代に生まれた新しい研究分野だそうです。「人間は利己的な存在である」ことを前提に利潤最大化・効用極大化といった経済合理性を追求する経済学の立場とナイーブでエモーショナルな現実社会(人と組織にかかわる)の融合を目指した野心的な学問です。そしてわが国においてこの分野を切り拓いてきた代表的な研究者がきょうの講師である樋口美雄先生です。

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