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パラダイムイノベーターに聞く

6つ目のテーマは「パラダイムイノベーターに聞く」です。

このテーマも前期からの継続テーマです。会場で「パラダイムイノベーターってどういう意味なんですか」と質問されたことがありますが、あくまでも造語です。辞書でパラダイムを調べると「ある一時代の人々のものの見方・考え方を根本的に規定している概念的枠組み」とあります。パラダイムを革新するという意味では、「パラダイムシフト」「パラダイムチェンジ」という言葉がよく使われますね。でもなんとかくシフトやチェンジというと既に世の中に存在しているものの中での変化のようなニュアンスを感じませんか?
このテーマで取り上げたいのは、まったく新しいものをはじめた人達が持っているイノベーティブな精神や発想・ものの見方・考え方なのです。あえて「パラダイムイノベーター」という造語を使った理由がそこにあります。

さて今期は
・自ら校長として学校現場に乗り込んで公教育を変えようとしている 藤原和博さん
・日本のコンサルタントの草分けの一人 堀紘一さん
・福澤諭吉論に一石を投じた 平山洋さん
・20代に起業した佐藤さん、家本さん、そしてベンチャーインキュベーションに取り組む牧さん
・四国に独立リーグを立ち上げ新たな野球人を育てようとする石毛宏典さんとスポーツジャーナリストの二宮清純さん
の5組にご登壇いただきます。

藤原さんは2年前、校長就任直後にお越しいただきました。この2年の改革報告がお聞きできます。二宮さんは前期に続いての連続登場になりました。
パネルや対談セッションもあって変化に富んだテーマになりました。


これで、6つのテーマの紹介が終わりました。
10月19日のスタートまであと一ヶ月。これからは個別の講師の紹介を順次していきたいと思います。

実践 仕事の方法論

テーマの3つめは「実践 仕事の方法論」です。

このテーマはもう何回つづけているでしょうか。すっかり定番テーマになりました。
仕事ができる人は、必ず「上手くやるコツ」や「仕事の勘どころ」を知っています。
それはHow toや手法といった表層的なものではなく、もっと深くて、本質的なもので、業種・業界・年齢・役職を越えて普遍的な方法論のようなものではないかと思います。
そんな仕事の達人の技に触れてみようというシリーズです。

今期は
・リクルートで「創刊男」の異名をとった くらたまなぶさん
・TV界のヒットメーカー おちまさとさん
・ファシリテーションの第一人者 黒田由貴子さん
・感性と論理のバランスを重視する数学者の藤原正彦さん
の4人の方にお越しいただきます。

早くも満席講演も出ています。乞うご期待!!

Form follows emotions 中村史郎さん 日産ブランド&デザイン戦略

4月15日に高橋俊介先生の講演ではじまった今期の夕学もきょうが最終回。おおとりを飾るに相応しく、会場は約300人の受講者で熱気に満ちていました。登壇いただいたのは中村史郎さん、躍進を続ける日産自動車のデザイン戦略の責任者です。
日産自動車には世界14カ国に1000人近いデザインスタッフがいます。中村さんによれば、デザイナーを組織内に抱える人数が一番多いのは自動車産業であろうとのこと。グローバルレベルの合従連衡が急速に進む自動車業界では、例えば米国のメーカーが、ドイツの資本を使って、イギリスブランドの車を作ることが当たり前のように行われています。資本だけでなくブランドが国境を越える時代が到来しているわけです。中村さんが学ばれたアートセンターバウハウスといった世界的なデザイナー養成機関が存在する米国や欧州には多くのカーデザイナーがいましたが、いまや彼らは、活躍のフィールドを求めて世界のいたるところに散りはじめたそうです。当然のことながらブランドのボーダレス化はデザインのそれを誘因します。そもそも、その国や地域の歴史と文化に根ざした独自性を持つはずのデザインがボーダレス化する時代。そこに帰因するデザインの危機と可能性、それが中村さんのデザイン観の中軸をなす問題意識でした。

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行動する経済学者 関満博さん 「世界の工場 中国の本質」

「行動する経済学者」関先生はそう称されています。年間の三ヶ月を海外調査、三ヶ月を国内の地域調査、残り六ヶ月を大学での活動で過ごし、365日24時間ONを宣言する行動派です。迫力ある風貌とドスの効いた声とあいまって、まさに異色の研究者といった観があります。聞けば、中国 大連生まれとのこと。関満博という名前の“満”の字は満州にちなんでつけられたそうです。中国の産業研究は天職なのかもしれません。

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わからないことから逃げない 玄田有史さん 「私の仕事道」

玄田先生に夕学で話していただいたのは2回目です。前回(2003年前期)の講演では、フリーター問題の解決法について「私にはわかりません」という一言から解説がはじまったことが印象に残っていました。控室でそのお話をしたところ、「きょうもそれでいきましょうか」と悪戯っぽい笑顔を残して会場に向かわれました。
冒頭で、「私にはわかりません」のお話を紹介されたうえで、テレビに出ない理由として、テレビは「わかりません」という言葉を許容しないからだとたたみかけます。更には、学生の進路相談にあたってのポリシーとして、「迷っている奴はトコトン迷わす」と断言します。一見、投げやりで、奇をてらったかに見えるこの対応が、実はきょうの講演を貫く玄田先生の強いメッセージでした。

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使命を持って生きること 大谷由里子 元気をつくる「大谷流」コーチング

大谷由里子さんの仕事人生は、吉本興業で横山やすしのマネージャーからはじまったそうです。「世の中に、彼ほど“自分に甘く、他人に厳しい”人はいません。横山やすしのお陰で、私の人間許容のキャパシティは目一杯広がりました」大谷さんが、良く通る元気な声と底抜けの笑顔でそう話すと会場にはどっと笑いが広がりました。実は控室で、「丸の内の方は最初は裃をきていらっしゃるのでほぐれるのに時間がかかります」などど、笑いのプロを相手に余計な事を言ってしまいましたが、まったくの杞憂でした。つかみはOKというところでしょうか。

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アーキテクチャで読み解く中国製造業 新宅純二郎さん 「中国企業との分業と協業」

新宅先生に夕学の依頼をしたきっかけは、昨秋東大ものづくり経営研究センターが主催する「ものづくり寄席」を聴講したことに遡ります。ものづくり経営研究センターは、トヨタ式生産方式や全社品質管理(TQC)に代表され、日本製造業の強みとも言われる「統合型ものづくりシステム」を組織的に研究するためにつくられた研究機関です。
「ものづくり寄席」は、その研究構想と内容を実務家向けに紹介することを兼ねたセミナーでした。ものづくり経営研究センターは藤本隆宏先生がセンター長に座り、高橋伸夫先生もいらして、夕学にも縁がある所です。そこで藤本・高橋先生に並ぶ主要メンバーである新宅先生にも是非お越しいただきたいと思い、本日の講演となりました。

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分析ツールを使いこなす力 水越豊さん 「BCG戦略コンセプト」

水越さんの名刺には名古屋事務所の住所が一番上に記載されています。聞けばBCG名古屋事務所開設の責任者でもあったそうです。水越さんによると、コンサルティングファームは顔のわかる人数が理想とのこと。社歴やポジションに関係なく率直な意見交換が出来ることが組織の必須要件なのに、規模大きくなるとどうしてもヒエラルキー意識が発生してしまい、フランクな組織風土が硬直化してしまいます。その弊害を避けるためにブランチを増やして事務所の絶対人数を調整したのだそうです。「コラボレイティブな組織は顔の分かる範囲が限度」という基準は、難しくはないけれど経験に基づいた説得力のあるルールですよね。きょうの主題である「ツールやフレームワークを使いこなす」ということもまったく同じで、実践に裏付けられた経験知が重要だということでしょうか。

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デザインの98%は日常である 喜多俊之さん 「デザインの力」

きょうの夕学は工業デザイナーの喜多俊之さんでした。ご存じない方も「シャープのアクオスのデザインを手がけた方」と言えば、なるほどと思うでしょう。大阪生まれの喜多さんは、品の良い柔らかな関西弁と笑顔が印象的な方です。講演の冒頭はそんなソフトな語り口ではありながら、日本のデザインを取り巻く環境についての危機意識から始まりました。
「中国ではデザインを“新産業”と位置づけています。工業デザインの高度専門教育を担う大学が500以上もできているのです。」喜多さんはそうおっしゃいます。
中国のみならず、韓国もシンガポールも国家政策としてデザイン振興が掲げられており、国を挙げての取り組みがなされているそうです。翻って我が国の現状はどうでしょうか。喜多さんをはじめ一握りの才能に頼るばかりで、政策論としてデザインが語られることはほとんどありません。今こそ、ITやバイオ産業の育成と同じくらい、デザインの振興が必要だというのが、喜多さんのきょうのメインメッセージでした。

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人事経済学のすすめ 樋口美雄 「インセンティブ社会の再設計」

「人事経済学」というのは、1990年代に生まれた新しい研究分野だそうです。「人間は利己的な存在である」ことを前提に利潤最大化・効用極大化といった経済合理性を追求する経済学の立場とナイーブでエモーショナルな現実社会(人と組織にかかわる)の融合を目指した野心的な学問です。そしてわが国においてこの分野を切り拓いてきた代表的な研究者がきょうの講師である樋口美雄先生です。

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つぶやきをかたちにする 世古一穂さん 「参加協働型社会へのパラダイムシフト」

「NPOとNGOの違いはご存じですか?」「NPOとボランティアは何が違うかお分かりですか?」 世古さんの講演はこの投げかけからはじまりました。
曰く、厳密に言えば、NGOとは国連憲章第71条に依拠する組織を意味するそうですが、広義で捉えれば、強調したい性格が「非営利」なのか「非政府」なのかの違いであって、両者はほぼ同様の活動組織と理解してよいそうです。世古さん自身、国内ではご自分の組織をNPOと称しますが、海外にいくとNGOと名乗るとのこと。
またボランティアとNPOの違いは、前者が、個人が主体、無報酬、自己実現重視、マネジメント不要であるのに対して、NPOは、組織が活動主体で、収益を伴い、目的達成度合いを重視し、マネジメントが不可欠と整理できるそうです。
シャープで分かりやすい整理ですね、私もはじめて知りました。

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ファンダメンタルを鍛える 船川淳志さん 「プロフェッショナルの思考力と対人力」

千住博さん(日本画家)、梅津光弘さん(慶應大助教授)、守島基博さん(一橋大教授)、そして船川淳志さん。今期の夕学にご登壇いただいた4人の方には共通点がありました。何かお分かりでしょうか。皆さん慶應の同期生で、この春に卒業25周年を迎えられたのだそうです。きょうの控室でも、その話が話題になりました。慶應では卒業25周年を迎えられた方々を卒業式に招待をする企画があり、船川さんも出席されたとのこと。安西塾長の祝辞の中で、期待をこめて語った人材像が、ご自身が常日頃主張されているそれと同一であったことを嬉しそうにお話になりました。

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リゾート運営の達人 星野佳路さん

「IT導入の経営へのインパクトが最も高いのは、ITから一番遠いところにある業界である」 きょうの星野さんのお話を聴きながら、3年前に夕学に来ていただいた成毛眞さんのお言葉を思い出しました。
星野さんは、コーネル大学大学院でホテル経営学を学び、外資系企業や金融機関でリゾート開発や投資ビジネスに携わったキャリアがあります。理論ベースの科学的アプローチに習熟したプロフェッショナルと言えるでしょう。一方で、日本のリゾート開発や温泉旅館の経営は、そういった科学的経営とは少し距離をおいた世界にあった産業です。だからこそ星野さんの新しいリゾート経営のモデルが花開いたのではないでしょうか。時代と産業が星野さんの登場を待ち望んでいたように思いました。

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背中を押せる人になる 「営業のテクニックはいらない」 和田裕美さん

300回近い「夕学五十講」の実績の中で、営業をテーマにした講演は、きょうが初めてだったと思います。だからでしょうか、早々に満席マークが灯り、皆さんの期待の高さが伺えました。和田裕美さんは、ブリタニカで英語教材の営業として記録的なセールス実績を残した方です。フルコミッションの成果報酬で、20代前半で3,800万円の年収があったというから驚きです。

和田さんのお話は“空気をつくる”ことからはじまりました。和田さんが歩んできた営業の世界は「話せばいい人なんだよね」という甘えが許されません。第一印象でマイナスイメージを与えたら、次回は会ってもらうことすらできません。だからこそ、まず目の前の相手から好かれる人になるための“空気をつくる”ことが重要なのだそうです。
「場の空気を作るのは、私一人ではないのです。皆さんとの相互作用が必要です。皆さんも、明日は営業として取引先の方と商談するかもしれませんよね。営業の場であろうとなかろうと、いつも“空気をつくる”ことに慣れていなければ、必要な時に空気はつくれませんよ。」 和田さんは、そう語りかけながら聴衆に協力を仰ぎ、味方に引き込んでいきます。

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民が公を担う 「構造改革道半ば」 本間正明さん

2週前位の「日経ビジネス」で“竹中改革を支える大阪大人脈”という特集が組まれていました。大阪大学は、商人の街を拠点にするだけあって、開学以来、実学を重んずる気風が特徴で、竹中大臣を含めて、阪大に連なる有識者が竹中さんの政策ブレーンを構成しているという内容でした。その阪大人脈のキーパースンとして、最も重要な役回りを担っているのが竹中大臣の先輩にあたる本間先生です。

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教養としての表現力 鴻上尚史さん 「自己演出のすすめ ~あなたの魅力を演出するヒント」

第三舞台の芝居をはじめて観たのは1986年の冬、池袋サンシャインでの『ハッシャバイ』が最初でした。当時、第三舞台&鴻上尚史さんは一気に全国区に駆け上がっていた時期で、芝居にも凄いエネルギーを感じた記憶があります。病みつきになって、しばらくの間、芝居がかかる度に毎回欠かさず観劇していました。前売りチケットが買えず、当日席を取るために何時間も紀伊国屋ホールの階段に並んだものです。われわれの世代にとって、当時の鴻上さんは時代を語るカリスマ的な存在でした。
同世代のカリスマが“おじさん”になって、何をどのように語るのか、興味津々できょうの夕学を迎えました。

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“志”の人 「人生の座標軸」 堀義人さん

堀義人さんと慶應、そしてMCCとは浅からぬご縁があるようです。
慶應MCCの看板プログラムのひとつ「ビジネスプロフェッショナルの交渉学」は、講師の田村次朗先生(法学部教授)が掘さんと旧知であったことから、グロービスの協力を得て開発されました。更には、きょうの講演ではじめて知りましたが、堀さんのおじいさまは、藤原工業大学(慶應理工学部の前身)の学長でいらしたとのこと。
そんな関係もあって、きょうの夕学も快くお受けいただきました。

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普通の人々を大切に 「組織能力としての人材マネジメント」 守島基博さん

「守島さんは紳士やなあ」
私が私淑する神戸大の金井寿宏先生は守島先生のことを語る時よくそうおっしゃいます。そのお言葉通り、いつも謙虚で、丁寧で、それでいて無駄のない的確な対応をされます。しかも暖かい人間性を感じさせてくれる人です。新しい本を出版されるといつも献本をしていただきます。今回の依頼に際しても、依頼状を受け取られた後に、慶應MCCに立ち寄られ、直接ご快諾の返事をいただきました。
そんな守島先生のお人柄を皆さんもよくご存じなのか、定員一杯300人近い方にお越しいただきました。

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考え続けるエネルギー 「創造的なこころ」 安藤忠雄さん

「5,000円もとってるの。ぼったくり商売やな」控室で夕学のパンフレットを見た安藤さんにいきなり言われてしまいました。つづいて、「よし、○○くんの講演に何人来るかあててみせよか」と言って愉快そうに講師の名前の横に数字を書き込みはじめました。しかも、それがあたってるんです。あげくには「こんなことしていたら時間がもったいない。本にサインでもしよか」と席を立ち、気づいたらロビーでにこやかにサインをこなしています。
こんな感じで、完全に安藤さんのペースに巻き込まれながら講演は始まりました。

お話は、大阪人らしいユーモア満点の展開です。それでいて、安藤さんが建築家としてどう生き、何を考え、誰と交流してきたのか、そして建築を通して何を表現しようとしているのか、熱い想いがビンビンと響いてきます。「創造的なこころ」というきょうの主題に随所で触れながら、私たち日本人の生き方に厳しい指摘も忘れません。

私が強く印象に残ったのは、「創造的なこころとは“考え続けるエネルギー”だと思う」という言葉でした。安藤さんは、ちょっとした空間や古くなった建物に出会うと、そこにはどんな建築がいいのかを常に考えるのだそうです。時には頼まれもしないのに、オーナーに提案することもよくあるとのこと。
安藤事務所のスタッフに対しても、まず「お前はどう考えるのか」を厳しく問いかけるのだそうです。人に意見を求める前に自分の意見を考えること、それも思いつきでなく、根拠や理由を伴った論理的なものであること、その姿勢がクリエイティブマインドの大前提ということでしょう。私たち日本人に向けられている教戒であったのかもしれません。

また、安藤さんのお話を聴いて、キャリア論で語られる「Planned Happenstance(計画的偶然性)」という言葉を思い出しました。人生とは、あらかじめ設計図を描いて、その通り進もうとしても、思い通りにはいかない。偶然の積み重ねで構築されるものだ。しかし偶然が起きる確率を高めるための行動をすることは出来る。簡単に言うと、そういう考え方です。
家庭の事情もあって大学進学をあきらめ、独学で建築の道に進もうと決意した10代の安藤さんは、徒手空虚のまま世界一周の旅に出ます。旅先で目にしたさまざまな建築や事象に「なぜか」「自分ならどうする」という問いを繰り返したことが安藤さんの原点だったようです。頼まれもしないのに図面や模型を作って提案に行くという行為も同じです。一見非効率な行動の連鎖が、斬新なアイデアのストックを生み、生涯の支援者との出会いと交流を実現し、結果として多くの建築へと結実していったのではないでしょうか。
大きな方向性が定まったら、あれこれと細かいことにこだわらず行動してみること、それが道を切り拓くのだと改めて思いました。

「また呼んでくださいね。いつでも来ますから」そうおっしゃって、のぞみの最終電車に飛び乗ってお帰りになった安藤さん。主催者が言うのも変ですが、5,000円の価値は十分にあった講演でした。

最後に、いま安藤さんが注力している「瀬戸内オリーブ基金」の趣旨に賛同し、夕学の場を活用させていただきました。多くの募金が集まったようです。印税が「瀬戸内オリーブ基金」になる「建築を語る」「連戦連敗」もたくさん売れました。この場をお借りして御礼申し上げます。

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原理・原則の人 「実践的起業家論」 堀江貴文さん

きょうの夕学は堀江さんでした。
堀江さんに夕学の依頼をしたのは今年の1月、一連の騒動の前でした。申込受付を開始したのは3月1日で、最も話題が盛り上がっていた頃です。お陰様で、わずか1日半で満席マークが灯りました。夕学始まって以来の驚異的スピードでした。

さて、講演ですが、堀江さんが生来の起業家マインドの持ち主であることが改めて確認できるものでした。話の内容は、極めてベーシックな起業論が中心でしたが、堀江さんは、自立した個人の活力が産み出す自由なマーケットの力を心底信じているのですね。しかも信念というよりは、極めて論理的かつ合理的な結論としてそこに行き着いているのが強みなのかもしれません。
原理・原則をそのまま実行している人なのだと思います。

堀江さんによれば、起業には4つの条件が必要だそうです。①初期コストが安いこと、②利益率が高いこと、③マーケットサイズが大きいこと、④誰もやっていない(競争が少ない)こと。こう書いてしまえば、「そんなことが分かっている、そういう事業が見つからないから苦労しているのだ」となってしまいますが、堀江さんの眼には、そういう市場がいくつも見えているようです。もちろん、それは天才のなせる技だと言ってしまえばそれまでですが、実はわれわれに見えないのではなく、目先の小さな障害に眼を奪われて見ようとしていないだけかもしれません。

堀江さんは、会場の質問に答えて、上記4つの条件は全て同等で優劣のあるものではないとおっしゃっていましたが、個人的には「誰もやっていないこと」に行き着くジャンプ力がホリエモン流起業の真髄のような気がします。
「100人に聞いて、皆がやめた方がいい、無理だということこそやるべきだ。だって一人占めできるのですよ」堀江さんは何度かそう強調されていました。考えてみれば、プロ野球参入も放送局を傘下に収めようしたことも、「誰もやっていないこと」ですね。
あるいは、少し先の見える人なら考えついても実行できないことを、憶せずにやってしまう行動力が凄いのかもしれません。

最後の控室で、上記4原則を満たす市場として堀江さんが着目している業界の話をちょっとだけしてくれました。それは「学習参考書」市場だそうです。すでに「堀江式英単語学習帳―ホリタン」という本も出していますが、他にもいろいろ考えているみたいですよ。
ホリエモンが拓く新たな「学習参考書」マーケットに乞うご期待。

堀江さんのブログはこちらです。
堀江貴文のお仕事Blog  http://blog.livedoor.jp/takapon_career/
livedoor社長日記  http://blog.livedoor.jp/takapon_ceo/
講師紹介は こちら

マーケティングの達人 西川りゅうじんさん 「変化を捉えて活かす情報力養成講座」

“バブル・シーラカンス” 西川りゅうじんさんはご自身に称せられた造語を愉快そうに使われます。なんでもバブル崩壊直後に「噂の真相」に書かれたのが最初とか。自分を揶揄する表現を逆手に取ってジョークに使ってしまうのが西川さんの真骨頂です。
一方でそれは、25年間、時代のド真ん中で、斬新な当事者かつ冷静な観察者として生きてきた実績と自負の裏返しとも言えるでしょう。本当にシーラカンスになってしまった人達をたくさん見てきたから、そして、彼らが、なぜシーラカンスになってしまったのかをよく見極めているからこそ言えるのかもしれません。
「Win-Winの信頼関係がなによりも重要だ」という、当たり前に聞こえるシンプルなメッセージの中に西川さんの想いを強く感じました。

講演は、まさに西川ワールドです。「なんでも不況のせいにする“不況者”」「勝ち組=価値組」「民主党は風力発電所。風邪が吹かないと動かない」等々の得意の造語を散りばめて人物・事象を斬っていきます。西川さんはサービス精神豊富な方なので、会場の反応を読み取りながら、適度な脱線も入ります。曰く、田中康夫長野県知事の名刺手裏剣配り術、大阪の不況と道頓堀ダイビングの因果関係、サッチーを使った豊島園CMの裏話…これはこれでとても楽しいものでした。
最後の30分で、きっちり皆さんにお土産も持たせてくれましたね。個人的には「儲ける」という漢字の西川流解説はいただきでした。「人+言+者」つまりコミュニケーション、「人+諸」つまり異質な人との交流、「信+者」つまり信じてくれる人、信じられる人を増やすこと、それが「儲ける」ことだそうです。

さて、冒頭の段落で触れた西川さんのメッセージにも関連しますが、講演終了後は9時半近くまで受講生の方と名刺交換をしていただきました。質疑応答の時間が取れなかったので、事前打ち合わせなしの苦し紛れのお願いでした。西川さんは快くお引き受けくださり、ひとり一人の質問に丁寧にお答えしながらコミュニケーションをされていました。
「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」そんなことわざが浮かぶ光景でした。

西川さんはご自身公式webサイトももっていらっしゃいます。
是非定期的にご覧になってください。、<西川りゅうじんオフィシャルwebサイト>

<追記>
そうそう、「きょうは焼酎の話ができなくて残念だったなあ」とおっしゃっていました。芋焼酎にはまっている私としても、是非聴きたいところでした。次回に期待します!!

講師紹介ページはこちらから。

企業が善くならなければ、社会はよくならない 「経営革新のためのCSR」梅津光弘さん

JR西日本福知山線の悲しい事故の記憶も新しい中、きょうの夕学は「企業の社会的責任(CSR :Corporate Social Responsibility)」がテーマでした。講師の梅津先生は、慶應の文学部を卒業後、米国で企業倫理学のPh.Dを取得し、いまは商学部に所属されています。倫理学という人文科学の真ん中から生まれた学問が、企業経営の最前線のトピックになるところに企業倫理やその隣接領域であるCSRの奥の深さがあるのでしょうね。

講演は、やはり事故の話題からはじまりました。Responsibilityという言葉が [“Response”:応答する]という語彙を持つということは、CSRとは「社会の期待に応えることが企業の責任である」という意味になります。「・・・問題視されているJRの過密ダイヤも周辺住民の増発・スピードアップという期待に応えようとした過剰な企業行動の結果という側面もあるかもしれない。CSRは、企業に何をどこまで期待するのかという私達の意識と社会の期待にどこまで応えうるのかという経営サイドの判断とが複雑に交錯した、一筋縄では括れない問題をはらんでいる。・・・」梅津先生がそうおっしゃったのが印象的でした。

梅津先生は、研究者・教育者であると同時に、企業の倫理規定の策定や社内教育にも積極的に関わっているので、日本企業の企業倫理への取り組み状況に精通しています。そんな梅津先生から見ると、日本企業の取り組みは「形式は整ったが態勢はこれから」とのこと。
倫理コードも作成した、専門部署も設けた、立派なCSR報告書も出来た。でもそれを適切に運用できるかどうかはこれからの努力にかかっているという評価だそうです。
確かに倫理コードはコンサルタント会社に丸投げ、組織が出来ても専任は一人だけ、CSR報告書は広告代理店に発注なんていう会社もあります。もちろん何もやらないよりはいいのでしょうが。
「例え最初はA4-2枚のCSR報告書であっても、年を重ねるごとに中身が充実し立派な冊子に変わっていけばよい。いきなり無理をして見栄えのいいものを作らなくてもいいんです」という言葉に、時間をかけてでも企業倫理を浸透させていきたいという真摯な想いが感じられました。

企業倫理に関心のある方は梅津先生も中核メンバーである「経営倫理実践研究センター」の活動をご覧になったら如何でしょうか。

また、慶應MCCでも梅津先生が講師を務める「ケースメソッドで学ぶ企業倫理」というプログラムが6月に開催されます。企業倫理やCSRの教育は各企業の独自性や業界特性を反映したものでないと効果がないそうです。その会社の裏も表もしった人間が手作りで展開するのが一番いいとのこと。そんなリーダーを育成するプログラムです。

がっちり勉強したい方は梅津先生の下記の書籍をどうぞ。
『ビジネスの論理学』 『ハーバードのケースで学ぶ企業倫理』

講師紹介はこちら

捨てる決断と加える決断 「革命時代の経営哲学」 松井道夫さん

昨夜、このブログを書き終えて帰宅途中の電車で週刊ダイヤモンドを読んでいたら、
“都銀五行の定期預金残高がこの1年で1兆6千億円減った”という記事がありました。
減少分はそのまま、リスクを伴う金融商品に回ったているという解説もついていました。
個人のリスク資産という市場は着実に拡大しているんだと改めて思いました。と同時に、松井社長はこの時代をどう読み解いているのか、何を考えているのかを知りたくなり、きょうの夕学がより楽しみになりました。

夕学は、3年振り2度目のご登壇です。
「きょうは、昼飯も取れなかったので...」多忙なスケジュールを縫って、駆けつけてくれた松井社長は、そう言いながら、サンドイッチを大急ぎで頬張り、会場に向かいました。
そしてもきょうも、お得意の極端で刺激的なフレーズが連発されます。「会社30年説は大昔の話、いまは3年で寿命がくる」「社長はすぐに辞めてもいい」「松井証券をいまより大きくすることはまったく考えていない」...
正直、最初は圧倒されますね。
でもじっくり聞いていると、実に味わい深いお言葉も出てくるのが松井節です。

私は、「捨てる決断と加える決断」の話が印象に残りました。松井さんが10年余りの社長としての
決断を総括してみたところ、「捨てる決断」は全て成功し、「加える決断」の多くは失敗だったそうです。
営業マン廃止、コールセンター廃止、手数料廃止...みな「捨てる決断」です。でも加えることより捨てることの方が圧倒的に難しく、反対も多いものです。血も流れます。
しかも経営者に求められる決断は、いくら考えても正解がでないことに白黒をつけることです。
しかし、あえてそれをしないと前にすすめないものだそうです。
「新しいことを始める前には、古いものを捨てなければばらない」松井さんが話すと一層説得力のある言葉ですね。

終了後の控室では、松井さんから見た、ベンチャー経営者の人物像や評価が新鮮でした。
革新度や過激さでは若手ベンチャー経営者に勝るとも劣らぬ松井さんですが、人生経験・組織経験が豊富な分、またひと味異なる時代観や経営観をもっていらっしゃる気がします。

きょうの講演を聴いて、オンライン取引をはじめようと思った方、ものは試しに口座を開いてみたらどうですか。無料だそうですよ!!
詳しくは松井証券のサイトまで。

この講演は後日受講者レポートがでます。こちらもお楽しみに。

SkillよりWill 「勝者の思考法」 二宮清純さん

GW期間中にお休みしていた夕学がまたはじまりました。
きょうの講師はスポーツジャーナリストの二宮清純さんです。TV画面では、よくわからないのですが、二宮さんはスポーツ選手顔負けの素晴らしい体躯をしていらっしゃいます。

控室では、二宮さんの故郷、愛媛の八幡浜の話からはじまりました。我が社の副社長は愛媛在住の経験があるので詳しいそうですが、「八幡浜の二宮一族」というのは愛媛では有名なのだそうです。なんでも、「日本初の飛行機発明家」の二宮忠八氏、シーボルトの娘さん(楠本いね)に医学を教えた二宮敬作といった偉人を輩出してきたとか。祖先は相模国の二宮に拠点をおいた平家方の水軍で、平家滅亡後八幡浜に根づいたそうです。スポーツジャーナリズムの世界に新境地を開拓した二宮さんもその血筋を引いているんですね、きっと。

「野茂のフォークはヒュルヒュルと音を立てて落ちる」 マイク・ピアザのこの言葉にヒントを得て、二宮さんは、野茂のフォークがなぜ打たれないのかという理由を探索します。さらには、「そういえば、野茂はよく爪を痛める」という事実からその理由が「回転」にあるのではないかと思い巡らします。普通フォークは回転を殺すことによって空気抵抗を起こし、落ちる変化を可能にします。ところが野茂はあえて微妙に爪を縫い目にかけて回転させているのだそうです。大リーガークラスになると球種さえ見抜けば、いくら落差があったところで対応できてしまいます。彼らは球の回転の有無でフォークか否かを見抜いてしまうとのこと。つまり回転をかけることで、一瞬の判断を遅らせ押さえることができるのだそうです。
二宮さんは、ピアザのコメントと爪の故障という事実からその秘密を推察し、本人にぶつけることで検証していきます。
野茂も凄いけど、二宮さんも凄い! まさにプロの技術ですね。

講演の冒頭で高橋尚子と小出監督の決別についてもコメントされましたが、数分間のインタビューの中から、高橋尚子が発した「卒業」「自己責任」という二つの言葉を見つけ出し、二人のこれまでの軌跡と現在の環境を読み込んだうえで、ズバリ彼女の心境を解説してみせた時にも同じ切れ味を感じました。
二宮さん自身にも「勝者の思考法」があるのですね。

二宮さん! 堀江さん安藤忠雄さんの夕学でお会いできるのを楽しみにしています。
今度は、是非鋭い質問をお願いします!!

二宮さんには素敵なサイトを持っていますのでこちらも是非どうぞ。
「SPORTS COMMUNICATIONS」二宮清純責任編集サイト

時代を越えた普遍の真理を学ぶ 「変貌するビジネスシステム」加護野忠男さん

経営学者の中で“西の重鎮”と称される加護野先生。けっして難しい言葉は使わず、ユーモアたっぷりに、絶妙の間を取った語りには、聴く人を心地よく納得させる深さを感じます。

「競争原理の導入」「イノベーションの創出」「オープンネットワーク」など、多くの企業がこぞって取り組む経営コンセプトがあります。そして、それらを持続可能なシステムとして構築するために、さまざまなアプローチがなされています。加護野先生は、先端的ビジネスコンセプトを根づかせるためのヒントは日本の伝統システムの中に織り込まれていると主張します。

京都の特徴である閉鎖的・排他的な文化風土が、実は京都企業特有の革新性を産み出したのではないかという解釈。灘の酒蔵と丹波杜氏の関係はコア技術の外部化による品質維持・技能継承システムと理解できるという解説。東大阪の中小製造業には、力のない企業がつぶれる一方で、細胞分裂のように新興企業が発生する健全な競争原理が機能してきたという認識。いずれも、それぞれの地域の文化特性を土壌にして育った伝統システムですが、見方を変えれば、多くの大企業が必死で模索している先端ビジネスコンセプトの成功事例だというわけです。

伝統システムの中から先端システムに活用できるヒントを見つけ出すために、“夜学”の効用を説かれたことも夕学担当者としては嬉しいことでした。松下幸之助、本田宗一郎、中内功に共通したことは、起業後に夜間大学で学んだことだそうです。加護野先生は、「経営学の授業は全部忘れたが、日本国憲法に授業が面白かった」という中内さんの言葉を紹介しながら、「彼らが夜学で学んだことは、実務知識や専門技能ではなく、基礎科学や古典を通して、時代を越えて生き残った普遍の真理を学び取る力だったのではないか」と推察しています。

「夕学五十講」は、“時代の潮流と深層を読み解く”ことをコンセプトにしていますので、基礎科学や古典をテーマにすることはありません。しかし経営やビジネスのみならず、政治、文化、スポーツなど各領域の第一線で活躍する識者の言葉や論理を通して、業種・業界を越えた共通原理のようなものを掴んでもらえるのではないでしょうか。

「今度は、経営学者じゃあなくて、文学や歴史の先生を呼んだらどうですか」
講演終了後、愉快にそうお話になりながらホテルに帰っていかれました。

京都の革新性については「むろまち」という小説がよいそうです。
古典を通して普遍の真理を学ぼうという方には、講演で紹介された次の2冊はいかがでしょうか。「>文明論の概略を読む」「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神


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伝えたいという心が力の源泉 「芸術の力」千住博さん

ニューヨークにアトリエを構え年間300日を海外で過ごす千住博さん。今回の帰国はわずか一週間だそうです。一昨日ミラノから帰り、昨日は名古屋、週末には福岡、東京でも分刻みのスケジュールをこなすとのこと。そんな多忙な中にあって「今回はこの講演を中心に予定を組みました」と言っていただきました。感謝の気持ちで一杯です。

慶應義塾の塾監局の応接室には、千住さんに寄贈いただいた絵画が飾られています。日吉の大イチョウをモチーフにしたその絵を見る度に、「いつか夕学に来て欲しいなあ」と思っていました。間に立っていただいた多くの皆さんのご尽力もあって、念願がかないました。そして期待に違わぬ素晴らしい講演になりました。

「芸術とはコミュニケーションである」という言葉から講演ははじまりました。内面から沸き起こるイマジネーションを他者にどう伝えていくか、そのための創意工夫のプロセスが芸術活動であり、「伝えたい」という想いの強さこそが、優れたアートを産み出す源泉だそうです。
千住さんは自らの経験と豊富な美術史の知識を織り交ぜながら、「伝えたい」という想いを込めて語りかけてくれました。まさに「芸術の力」を体感した2時間でした。

控室でも印象に残るお話を聴くことができました。千住さんは、日本画の新しい可能性を拓くという開拓者としての使命を強く意識され、さまざまなフィールドに野心的に挑戦されています。「日本画というと保守的な世界というイメージがありますが障害はないのでしょうか」などという愚問を投げかけたところ、「真ん中を歩んできたからこそ、新しいことができるのです」とのご返答。東京芸大大学院で日本画を専攻し、現在も旺盛な創作活動を続けている“日本画の保守本流”という自負があるからこそ新たな挑戦ができるのだそうです。それは「新たな挑戦は決して伝統を壊すことではなく、日本画本来の素晴らしさを世界中に人々に伝えることに繋がるのだ」という信念を強く感じさせてくれるお話でした

最後に千住先生のこれから活動をいくつかご紹介します。
5/29まで福岡アジア美術館で「千住博展」が開催されています。大徳寺聚光院別院の襖絵全77枚を鑑賞できる初めての機会だそうです。

9月には「愛・地球博」のフィナーレイベントのアートディレクターをされるそうです。あっと驚く企画だそうですが、こちらはまだ公開はされていないみたいです。乞うご期待。

それと、「千住博美術の授業 絵を描く悦び」(光文社新書)は絶対のおすすめです。
京都造形芸術大学での講義を本にしたそうですが、ビジネスパースンが思わず膝をたたきなくなるような珠玉の言葉が一杯です。特にキャリア論に関心のある方は是非お読みください。


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“実感のはりついた知識”こそ本質  「スローキャリアのすすめ」高橋俊介さん

2005年前期の第一回目。
早々に満席マークがついて予約できなかった方も多数いると思います。本当にごめんなさい。
きょうの高橋先生の講演は、期待に違わぬ素晴らしいものでした。

夕学では2度目のご登壇ですが、高橋先生には、それ以外にも「人事プロフェッショナル養成講座」や「キャリアアドバイザー養成講座」で教壇に立ってもらっています。はじまる前に、高橋先生の講義を聴いた回数を指折り数えてみたら、なんと12回目でした。つくづく「役得だなぁ~」と思います。短い間に12回も聴けば、当然内容の重複はあるんですが、不思議なことに聴けば聴くほど納得感が高まるのです。きょうは、その理由を考えながらステージ横に座っていました。

高橋先生の話をお聴きになったことのある方ならおわかりだと思いますが、自分の言葉に置き換えた平易な理論説明と豊富な事例を、マシンガントークに乗っけて一気に語り尽くすあの話術は天下一品です。
でも、きっとそれだけが理由ではないんです。

自分の生き方・働き方を通して、強い共感と信念をもって理解したことしか話さないからではないでしょうか。いわば「実感のはりついた知識」なんですね。きょうの講演でも触れていましたが、高橋先生は、夏休みがはじまる前に宿題を終わらせる少年だったそうです。ワイアットの社長時代から、秘書は持たず雑用も全部自分でこなしてきたとのこと。その理由を動機理論に絡めて「自己管理」「徹底性」という動機が強いからだと解説してくれます。
実は、高橋先生今もそうなんです。講義を依頼すると、OKの返事の翌日には、当日の配布教材が届きます。何か問い合わせをしても、必ず期日前に返答が来ます。こんなに有り難い先生は滅多にいないんです。いつも、時間ピッタリまで、ひとりの聴衆も退席させることなく講義してさっとお帰りになります。

そんな人となりを知れば知るほど、話の内容に説得力を感じてきます。
「スローキャリア」は高橋先生自身のキャリア観の集大成なんですね。
ご自身のキャリアを語り、他の方のそれに共鳴し、響き合う中で概念が形づくられ、その概念を理論で補強し、具体的な事例に還元する。だから、何度聴いても面白い。そんな気がします。

講演内容そのものを知りたい方は、是非「スローキャリア」をお読みください。
それと、講演の中で何度もお名前の出た玄田有史先生には「仕事の中の曖昧な不安」という名著があります。こちらもおすすめです。
7/20には夕学にも登壇されますので、よろしければお越しください。

それではまたお会いしましょう。

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