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「個人の可能性を信じる」 奥谷禮子さん

奥谷さんの夕学講演の当日、衆議院の予算委員会で奥谷さんの発言を巡るちょっとした議論があったそうです。
1月末に発行されたある雑誌に掲載された奥谷さんのインタビュー記事が問題とされていたとのこと。奥谷さんが労働政策審議会の委員をやっていることもあって、奥谷さんの意見が政府の大多数の考え方を代弁しているのではないかということだったそうです。
民主党の某委員が「あまりの暴言だ」と息巻いた内容は、実は本日の奥谷さんの講演内容とほとんど同じもののようです。
夕学をお聞きになった方はよくお分かりだと思いますが、奥谷さんは、スタンスが明確で、歯に衣着せぬ物言いをされる方であることは間違いありません。
では、はたして夕学講演の内容は「許すまじき暴言」なのか、それとも旗幟鮮明な考え方をする人の「ひとつの見解」なのか、どのように感じられたでしょうか。

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「日本のポップカルチャー」 中村伊知哉さん

学生時代、京都でロックバンドのディレクターをやっていたという中村先生は、蝶ネクタイがよく似合うポップな装いで登壇されました。
講演は、日本のポップカルチャーの影響力を象徴する一つの事件の紹介からはじまりました。

「昨年の6月、16歳のフランス人少女二人が、ビザを持たずに旅を続け、ベラルーシで身柄拘束されるという出来事があった。アニメをこよなく愛していた二人が目指していたのはアニメの聖地ニッポンであり、陸路を歩いてひたすら東へ東へと向かっていたのだ」

「母を訪ねて三千里」のマルコ少年よろしく無謀な旅を続けた少女達の憧憬の対象は「母」ならぬ「ニッポンのアニメ」だったという話が、日本のポップカルチャーが持つグローバルな影響力を象徴しているのだそうです。

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「権力との戦い方」 佐高信さん

「佐高は一人の人間に惚れるところから思考回路が始動し、一つの事象を極めて単純に割り切り、一点突破型で評論を展開する。センサーが感知した人間性が常に評論の基準にあり、私は佐高の本質は“人間評論家”と見ている」
毎日新聞の岸井成格氏の「佐高信」評です。

きょうの講演の中で何度か、「岸井が...」と佐高さんが口にしたのは、この岸井氏のことです。
これも講演の中で、佐高さんが、小泉純一郎氏、小沢一郎氏、浜四津敏子氏という三人の政治家と慶應の同期生だったという話がありましたが、慶應昭和四十二年卒業の同期生には、嶌信彦氏、岸井成格氏という高名なジャーナリストもいます。お二人とも夕学ではおなじみの方ですね。
ことに佐高さんと岸井さんは、法学部峯村哲郎教授の法哲学ゼミの同期でもあり、学生時代から40年以上の付き合いだそうです。
冒頭の一文は、昨秋に出版されたお二人の対談集『政治原論』のあとがきに岸井さんが寄せたものです。佐高さんと岸井さんは、政治的な立場や考え方が異なり、政治記者と評論家という性質の違いもあって、意見が一致しない点の方が多かったようですが、互いの人間性や歩いてきた軌跡を熟知し合う、古くからの友人同士でなければ出来ない、率直で激しい議論が展開されています。
岸井さんは、自分自身にとって、佐高さんの存在や評論が、ある種の危険を察知するセンサーのような役割を果たしているとしたうえで、「人間評論家」と評しています。

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「龍の背に乗る」 玄侑宗久さん

玄侑宗久さんが副住職を務める福聚寺の総本山、京都妙心寺には、「八方にらみの龍」と呼ばれる天井画があります。
狩野探幽が55歳のとき、8年の歳月を要して描きあげたとされ、龍の目は円相の中心に描かれていますが、立つ位置、見る角度によって、龍の表情や動きが変化するように見えることが有名です。

妙心寺に限らず、お寺の壁画には龍の絵が描かれていることがよくあります。また、龍神は古代から水の神とされ、日本の各地で奉られてきました。
かつてのTVアニメ『まんがにほん昔ばなし』の冒頭では、子守歌調の主題歌とともに、子どもが龍の背に乗って、自由に空を飛ぶ姿が印象的でした。
人気ドラマ『Dr.コトー診療所』のテーマ曲、中島みゆきの「銀の龍の背に乗って」の旋律も記憶に新しいところです。
日本人は龍の姿、特に、龍に乗って空を飛ぶ姿に、特別な思いを抱いてきたような気がします。
きょうの玄侑さんの講演では「龍の背に乗る」というイメージが意味するものを仏教の教えに基づいて教えていただきました。
それは講演の主題であった「もう一つの知のあり方」と密接に関わるものでした。

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「不特定多数無限大への信頼」 川崎裕一さん

『ウェブ進化論』の著者で、「はてな」の取締役も務める梅田望夫氏は、これからのネット社会を切り拓くのは「1975年以降に生まれた人」だと言います。
「はてな」社長の近藤淳也氏やミクシィの笠原建治氏など団塊ジュニアにあたる世代で、きょうの講演者川崎裕一さんも同世代人です。
講演は、まずこの世代がなぜ新たなムーブメントを起こすのか、梅田氏等が主張する世代論の解説から入りました。

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「戦略としてのダイバシティ」 内永ゆか子さん

日本IBMのWebサイトにある役員一覧をみると、内永ゆか子さんを筆頭に、4人の女性役員・執行役員がいることがわかります。
その比率は25%以上。国内上場企業の全役員に占める女性比率が1.2%であることを考えると圧倒的な数字であることがわかります。
しかも内永さんを含めて全員が日本IBMの生え抜きプロパー社員で、部下数千人を束ねるライン部門のトップを務めています。
女性の役員登用に積極的といわれている日本企業でも、その内実は、官僚からの天下りやの高度スペシャリスト的な存在であったりすることが多い中にあって、日本IBMの実績は抜きんでたものといえるでしょう。
ところが、きょうの内永さんの話によれば、日本では断トツのダイバシティも、ワールドワイドのIBMのダイバシティ指標でみると最下位とのこと。

フランス、ドイツ、アメリカ等々、先進国サミットの首脳の半数近くが女性になる日もそう遠くないと言われる世界の趨勢にあって、日本のダイバシティの現実には暗澹たる思いがします。
しかしながら、それをヒューマニズムで理解するのではなく、戦略的な経営視点の欠如として認識する人が少ないことが最も大きな課題であるというのが、内永さんの大きな問題提起であったと思います。

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デジタルメディア産業の創世にむけて 古川享さん

古川さんに夕学にご登壇いただくのは、実に5年半振りになります。最初は「夕学五十講」第一期、まだ新丸ビルの地下大会議室を会場にしていた頃でした。
その時は、講演開始2時間前に、大きなバッグを持参して来られました。バッグの中には携帯スピーカー、アンプ、無線機器などなどが入っていて、その場で独自のPA環境を設置していらっしゃいました。
その当時、古川さんの求めるデジタルプレゼンテーション環境を用意できる会場はほとんどなかったので、講演する際には全ての機器を持参することにしていたそうです。あの頃は、まだOHPやスライドを使ってプレゼンする人もたくさんいらっしゃいましたから「むべなるかな」という感じでした。

かつて、古川さん、成毛さんといったマイクロソフト経営者陣や、インテルの西岡さんが、PPTをつかったプレゼンを浸透させようと行く先々で実演に励んだという話を聞いたことがありますが、彼ら日本のIT世代の創世期を支えた世代は、社会の常識や人々の意識を変えるために自らが先頭になって走るという使命感のようなものをもっていらしたのだと思います。
今回古川さんが持参されたのはPCのみ。プレゼンテーションという小さな世界ではありますが、彼らの啓蒙は間違いなく成功し、世の中の常識が変わったということでしょうか。

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「舟が来たら乗る」 八塩圭子さん

ワタクシゴトで恐縮ですが、土曜日の朝は『めざましどうようび』で八塩さんの顔を拝見することから始まります。
愛犬の散歩から戻ると、八塩さんの修士論文研究通りの計画的・習慣的視聴行動が身についた娘達が、かならず8チャンにスイッチを入れていて、賑やかなメンバーに囲まれて、お姉さん的な仕切りをみせる八塩さんの笑顔を拝見しながら朝食をとるのが毎週の習慣になっています。
とはいえ、きょうの講演を聞くと、爽やかな笑顔の裏では、多忙な一週間乗り切ったうえに、ほぼ徹夜状態で早朝生番組に臨む隠れたご苦労があるということがよく分かりました。きょうの夕学もよくお受けいただいたと感謝しております。
生「八塩圭子」さんは、テレビのままに、いえテレビ以上に素晴らしい女性でした。古い言葉で言えば「八頭身美人」。スラリとした長身に小さな顔がちょんと乗っていて、「さすがテレビの人は違う」という感じです。

さて、そんな八塩さんが「自分で稼いだ金をつぎ込んでつらい思いをするマゾ的生活」を覚悟して、夜間のビジネススクールに進んだ理由は何なのか、そしてそこで得たものは何だったのかをお聞きするのがきょうの夕学でした。

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「相利共生」をめざして チャールズ・レイクさん

7日の日経新聞【春秋】欄は、ロンドンの金融街シティーの話題でした。空前の活況に沸き立ち、日本円で2億円以上のボーナスを受け取る金融マンが4千人以上いるとのこと。しかも英国人だけではなく、米国はもちろん、ロシア、中国など世界中から人材が集まっています。今年の企業買収や株式新規公開の取引額はロンドンがニューヨークに圧勝したそうです。高成長マーケットである中近東、アジアに距離的に近いのが最大の勝因と紹介されていました。

この記事にはありませんが、世界から人材とマネーを引き寄せるシティーの磁力は地政学的な理由だけではなく、そうなるように意図した政策(法整備・インフラ整備・人材配置)の効果だというのが、きょうの講師チャールズ・レイクさんのご指摘のひとつでした。

3歳~15歳まで日本に在住し、アメリカンスクールではなく、日本の学校で義務教育を修めたレイクさんは日本人以上に日本のことをよく知っている知日派米国人です。
一方で90年代には米国通商代表部特別補佐官として日米貿易摩擦交渉の実務に携わったハードネゴシエイターでもあります。きょうのプレゼンテーションは、随時全体のアジェンダを示すことで、現在の位置取りを確認しながら、分かりやすいデータに裏付けられた論理的な主張を展開する説得力溢れるものでした。米国ビジネスエリートのプレゼンテーション見本を示してくれたような気がします。講演の中でレイクさんが使った言葉をお借りすれば、まさに「ベストプラクティス」でした。

日本と米国の良いところを身につけ、逆に言えば双方の欠点もよく理解したうえで、日本在住の親日派米国人の代表として、日米関係をよりよくしていこうと志をもって活動をされていることがよくわかりました。

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「エンタテイメント(感動)経験をデザインする」 稲蔭正彦さん

「コンテンツは王様である」
これはITやネットワークの世界で語られる有名な言葉だそうです。
CGを駆使したファインアートの創り手として、またプロデューサーとして、ハリウッドを含めて国際的に活躍してきた稲蔭先生の講演は、この言葉で始まりました。

「デジタルエンタテイメント」というワードからすぐに連想されるのは、「通信と放送の融合」問題です。新しいIT技術とネットワーク環境の整備によって、映画・テレビ・ゲームといった既存コンテンツがデジタル化され、自由に流通される。消費者にとっては便利だが、制作者サイドでは知財保護や課金システムなどの課題がある...といった連想が働いてしまいます。
稲蔭先生は、既存コンテンツのメディアチェンジは重要ではあるけれど、本質的な問題ではなく、むしろテクノロジーの進化によってはじめて可能になる新しいコンテンツが生まれるかどうかがこの言葉の含意であると説明しました。
良質なコンテンツには必ず「予測と裏切り」がセットされているそうです。
ヒットするコンテンツには、「この次はきっとこうなる」という予測可能な安心・安定を提供しながら、ポイントで、あっと驚く裏切りや意外性を埋め込まれているもので、その組み合わせの妙が決め手になるとのこと。ハリウッド映画はその典型だと言います。
例えば『マトリックス』は、テクノロジーオリエンテッドの発想で生まれた「予測と裏切り」の最新系で、新たな技術により「まさか、こんなことが」と思えるような世界を表現することで画期的な「予測と裏切り」を提供しました。
しかし、稲蔭先生によれば、テクノロジーオリエンテッドの「意外性」は長続きしないし、むしろ最新テクノロジーを利用はしても、それに頼らず「意外性」をまったく別の方法で表現できるかどうかがキモになるそうです。
このあたりは、高度MPU「セル」を駆使した高解像度をウリにするソニーの『P3S』と『DS』や『Will』でゲームの新領域を開拓することに成功している任天堂の戦略を対比させるとなにやら暗示的ですね。

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M1層のホンネを掴む 藤井大輔さん

“人材輩出企業の雄”と言われるリクルート社からは、多くの起業家や社会イノベーターが産まれています。
夕学にも多くのリクルート出身者・現役社員が登壇してきました。指折り数えてみたら、今期の藤井さん、大久保さんを含めてその数なんと7人。夕学にとっても、リクルートは、実務家講師の最大の供給源です。一民間企業としては特出すべき実績になります。

本日の講師、藤井大輔さんもリクルート遺伝子の伝承者として、その系譜を継ぐ者のお一人です。
リクルートが年に一度行う新事業開発コンテスト「Newリーグ」から生まれたM1層向けのフリーマガジン構想を『R25』という形にして実現し、大成功を収めた若き編集長です。

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奥-井ノ上3rdメモリアルフォーラム 日本の外交戦略への提言

きょうの「夕学五十講」は特別編でした。
3年前の11月29日にイラクで凶弾に倒れた二人の外交官、奥克彦さん・井ノ上正盛さんの遺志を受け継ぐべく、サントリーラグビー部監督の清宮克幸さんをはじめ、生前お二人と親しかった方々が立ち上げたNPO法人「奥-井ノ上イラク子ども基金」の主催する「奥-井ノ上3rdメモリアムフォーラム」を夕学の一環として開催したものです。

開催の経緯は、7/5のブログ(清宮さん登壇の回)に書かせていただきましたが、二人の外交官が命の代償に残した、平和への願いをこめた「志」を受け継いだ素晴らしい企画だったと思います。
「奥-井ノ上3rdメモリアムフォーラム」は毎年一回、お二人の命日に時を合わせて、日本の外交戦略について議論を深めることを目的に開催されています。
今年は、イラクへの自衛隊の復興支援活動がとりあえずの収束をみたこともあって、イラクが残した課題をどう考えるべきかを主眼に企画されたそうです。
毎回フォーラムでは、一方の意見を声高に主張する場ではなく、できるだけ多面的な議論が展開できるように、さまざまな立場の論客をパネリストに招いています。
今回は、第一部で、現役自衛官の本音の意見もお聞きできましたし、第二部では、市民・財界・政府と異なる三者の立場を代弁するお三方の熱のこもった議論もありました。
司会の黒岩祐治さんのメリハリの効いたプロフェッショナルな進行もあって、聞きにくいこともズバリと聞いていただき、パネリストの方も飾ることなく、本年をぶつけ合っていただいたと思います。
多角的な議論を行うというフォーラムのねらいは十分実現できたのではないでしょうか。

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「五感と実質価値を提供する」 須藤実和さん

東大理学系の大学院でバイオを学んでいた須藤実和さんが、畑違いのマーケティングの世界に飛び込んだ理由は「化学を社会にPRする」という夢を抱いたからだそうです。
博報堂で広告実務を経験した後、外資系コンサルティングファーム、ベンチャーキャピタルで会計や企業投資のキャリアを積み、戦略系コンサルで経営戦略、新事業創造に携わり、今春からは大前研一さんのもとで人材開発支援活動を中心に活躍を始めました。
華麗なキャリアに加えて、相手を優しく包み込むような、柔らかな対人能力はトップコンサルタントに不可欠な要素かもしれません。
控え室でお聞きしたところでは、須藤さんは、個人の活動として、来春オープンを目指して、飲食系の新規ビジネスの立ち上げにもコミットしており、リアルビジネスへの関心も強く持っていらっしゃるようです。

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「投資はマーケティングである」 小幡績さん

1400兆円を越えるとも言われる個人の金融資産を、いかにしてリスクマネー(株式、投資信託等)に振り向けるかということは、いまや国家的な政策課題だと言われています。
団塊世代のリタイアを目前にして、彼らをターゲットにした資産運用・資産管理セミナーも花盛りです。そして、そういう場で、株を始めたい人へのプロのアドバイスとして必ず言われるのが、
・業績の良い会社を選ぶ
・よく知っている会社、応援したい会社を選ぶ
・できるだけ長期で保有する
といった原則論です。
小幡先生は、これらをすべて「それは誤りである」と真っ正面から否定します。それは挑戦的とも言えるほど刺激的なメッセージです。

株価は、様々な要因で激しく上下している。長期保有は、24時間365日間株価下落リスクに晒されていることになるので不健康。「いまは下がっていても、いつかは上がる」というがそれなら国債を買った方がよほど着実のはずだ。

よく知っている会社ほど大局が見えないものだ。お気に入り商品や上得意店舗があったとしても、それが会社の業績を保証するわけではない。ファンであるゆえに眼鏡が曇ることの方が多い。

配当で回収などと言うが、とんでもない。高配当企業(例えば武田薬品)でも配当利回りは1.5%程度、回収に70年はかかる。不動産投資なら5%が確実だ。

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「人の心に届く音楽を」 千住明さん

千住三兄弟のお母様、千住文子さんの著書『千住家の教育白書』には、明さんの「はじめての作曲」にまつわるエピソードが綴られています。

 

「(明氏が)小学校の高学年になったある日、私はランドセルの中に投げ込まれていた紙を見つけた。  小さい字で書かれた楽譜のようなものだったが、いつものマンガであろうと見過ごしていた。
 数日後、担任の先生から電話がかかってきた。
 「アキラ君が私の還暦祝いに作曲をしてくれました。いま私の娘にピアノで弾いて聞かせてもらったとこ ろです」
           <中略>
 楽譜といえるかどうか。それでも人間の心を表現する歌、一つの言葉であったのではないか。
 “先生おめでとう。元気でいてね。うれしいよぼくは。心配だよ僕は。先生おじいさんにならないでね”
 このような先生に対するお話であったと思う。
 楽譜に似せた形で語ったアキラは、その時初めて曲を書いた。」

母親だからこそ見届けることができた、いまをときめく作曲家千住明さんの原点です。

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モティべーションの持論アプローチ 金井壽宏さん

金井先生にご面識を得て、折りに触れていろいろなご相談をさせていただくようになってから、もう5年近くになります。
5年の間に、私の方は、肉体的にも、精神的にも「くたびれて来たなァ」と思うことが多いのに、金井先生は、年を取るどころか、どんどん若くなる感じで、どうみても50歳を過ぎていらっしゃるようには見受けられません。
昨夜お聞きしたところによれば、金井先生は「神戸の服地屋の倅(先生談)」だそうで、着るものにはこだわりを持つお母様に育てられ、「子どもの頃は半ズボンも別注品だった」とのこと。
オシャレのセンスは、しっかりと受け継がれて、金井先生の若々しさを一層際だたせているような気がします。

今回の夕学は、「金井先生のお話を聞いて元気になりたいのですが...」とお願いに対して、「城取さんにピッタリの本が出るから、その話でいきましょう」とい快諾いただいたことで実現いたしました。

金井先生は、かねてから「リーダシップ」「キャリア」「モチベーション」の3つの研究テーマを深く追い続けていらっしゃいますが、今回は「モチベーション」を取り上げ、ここ数年、各テーマに横串を差すようにして取り組んでいらっしゃる「持論アプローチ」と結びつけた新しいモチベーション論をお話しいただきました。

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「資産インフレ時代の運用哲学」 藤巻健史さん

藤巻健史さんの弟さんで夕学にも登壇していただいたことがある藤巻幸夫さんが、鈴木敏文会長に請われて、IYグループの衣料品部門大改革に奮闘中であることはよく知られたところです。実は、お兄さんである健史さんが、それに一役買うべく、自らCMモデルに志願したという逸話があるそうです。破れをガムテープで修繕した紙袋を両手に提げて、さえない姿で歩く健史氏が、イトーヨーカ堂の服を着たとたんにファッショナブルに変身していくという案で、モデルのみならず企画も健史氏が考案したものとか。話題沸騰間違いなしであったであろう、このCM案、残念なことに幸夫氏によって「丁重にお断りをされた」とのことですが、そこは仲の良いフジマキ兄弟。CMはかないませんでしたが、健史氏をモデルにするという案は実現しました。
夕学五十講に現れた藤巻健史氏は、ロンドンストライプの紺のスーツに薄紅ストライプのクレリックシャツ。ネクタイも見事にコーディネイトされた鮮やかな赤色というオシャレな装いでした。一式を、幸夫氏がイトーヨーカ堂商品からコーディネイトし「全部で4万800円也!!」とのこと。
会場は一気にリラックスした雰囲気に変わり、「つかみはOK」とばかりに講演ははじまりました。

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「食育の伝道師」 服部幸應さん

服部幸應さんが稀代のTVプロデューサーであることは衆目の一致するところでしょう。
料理番組を“情報番組”から“エンタテイメント”に変えることに成功した方です。
もちろんそれまでにも、グルメ番組や大食い番組はありましたが、どちらかといえば出来上がった料理や食べる行為がメインで、料理を作るプロセスが表にでることは少なかったように思います。調理場面が主役になるのは、NHK「きょうの料理」の流れをくむ奥様向けの献立情報提供番組くらいで、ゴールデンタイムを飾ることはあり得ませんでした。

服部さんが出演・企画・監修として関わった多くの料理番組は、料理を作るプロセスをメインコンテンツに据えています。
それでいて『料理の鉄人』では、厨房の奥に隠されていたプロの技術を、
『ビストロスマップ』ではアイドルの意外な小器用さを、
『愛のエプロン』では「おいおい、本当かよ~」と嘆息をつきたくなるような芸能人の素の姿を、
それぞれ見事なエンタテイメントに仕上げて披露してくれました。
番組で見せる服部さんの博識や巧みなコメントは、絶妙な調味料として番組の味を引き立たせていました。
そんな服部さんのもう一つの顔が、「食育」の伝道師としての活動にあります。

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「使える会計学」 山根節さん

個性派が多いKBS教授陣の中にあっても、山根先生のキャリアは際だっています。
公認会計士、コンサルタントとして20年近い実務経験を持つ一方で、博士号を修得、現在は日本を代表するMBAで経営を教える。いわば、会計と経営のプロ中のプロと言えるでしょう。
それでいて、Papasのコーデュロイスーツをさらりと着こなし、カーオブザイヤーの選考委員を務めるほどの自他ともに認める「自動車オタク」でもあります。

そんな山根先生が、重要視しているのが「使える会計学」です。
その普遍的必要性を誰もが認識しながらも、専門知識の壁に立ちつくし足がすくんでしまいがちな会計の世界に、「そんな難しく考えないで、どんぶり勘定でもいい。 大局をつかみさえすれば使えるのだよ」という暖かいメッセージを発信してくれます。
会計と経営の専門家から、そう断言してもらえると会計アレルギー罹患経験者の私も勇気づけられる思いがします。

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「意識」が脳を活性化する 池谷裕二さん

池谷祐二先生は今年36歳。
大学の先生というよりは、白衣を着て顕微鏡を覗いている姿の方がしっくりときそうな、爽やかで礼儀正しい青年です。それでいて、脳科学者らしく、聴衆のシータ波(これは後述します)を刺激するための豊富なスライドを用意した素晴らしいプレゼンテーションは、科学者の新しい姿を予見させてくれるのに十分なものでした。

脳を知ることは、我々の「無意識」を知ることに他ならないそうです。 
脳の働きのほとんどは、我々が無意識に行う思考や行動に反映されており、「無意識の大海原にこそ脳の真の活動潜んでいる」とのこと。逆説的にいえば、意識が表に立ちあわれる時にこそ、脳に新たな回路を埋め込むチャンスがあり、無意識の世界に意識を注入することが脳を成長させる唯一絶対の道なのだということを学ぶことができた講演でした。

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トップコンサルタントの仕事術 内田和成さん

内田さんの著書『仮説思考』は20代後半から40代半ばのビジネスパースン層に読まれるであろうという“仮説”に基づいて書かれ、実際にその年代層が多く購入したようですが、予期せぬ読者層として、一括まとめ買いという特異な購入形態をとった人達がいたそうです。企業経営者や役員の方々です。
内田さんによれば、そういう方々が異口同音に発したのが「常々自分が考え、実践してきたやり方を的確に表現してくれた」という言葉だったとか。
このことからも、仮説思考というのが、仕事ができる人・早い人・的確な人が、経験的に身につけてきた発想術だということがわかるかと思います。

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「商人の道」 伊藤雅俊さん&佐山展生さん

日本有数の流通業セブン&アイグループの創業者であり、いまでは数が少なくなった戦後起業家の一人として存在感を放つ伊藤雅俊さんと、M&Aの専門家として、いまをときめく佐山展生さん。一見接点がないように見えるお二人ですが、実は互いを良く知る間柄です。
聞けば、昨今のM&A動向に関心を持った伊藤会長が、佐山先生に連絡をされて、何度か個人レクチャーをお願いしたことがきっかけだったとか。
きょうも開始前の控え室では、メモ帳を片手に、矢継ぎ早に質問を繰り返す伊藤会長の姿がありました。82歳の今も旺盛な知識欲を失わずに勉強を続ける伊藤会長の姿に頭が下がります。
また30歳近くも年齢の違う経営の大先輩に対して、まったく臆することなく自分の考えを述べる佐山先生にも自信が漲っていました。「経営にもっとも大切なのはハートである」という点で両者の意見が一致したところで、対談開始の時間になりました。

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