「組織の不条理を克服するために」 菊澤研宗さん
経営学をかじったことがある方ならご存じの名著に『失敗の本質』という本があります。
一橋大の野中郁次郎先生が、防衛大学に籍を置いていた当時の同僚の方々との共同研究がベースになったもので、「日本軍の組織論的研究」という副題が付いています。なぜ、旧日本軍は失敗したのか。その原因を経営学の理論フレームワークを使って分析したものです。
防衛大の後輩筋にあたる菊澤先生は、あたかも『失敗の本質』を発展的・批判的に継承するかのように、「組織の不条理」を研究しています。
『失敗の本質』を含む通説によれば、日本軍の失敗は、無知と非合理性にあるとされています。
戦略のグランドデザインもなければ、戦術として選択できるオプションも少ない。属人的な意思決定構造で批判を許さず、過度な精神主義がはびこっていた。「だから日本は負けた」というものです。
菊澤先生は、この支配的な見方とは違った視点で研究を進めてきました。
旧日本軍上層部には、当時最高の知的エリートが揃っていた。愚かであったはずがない。だとすれば、合理的だったにもかかわらず失敗する別の理由があったのではないか。
それは、現代頻発する企業不祥事のメカニズムを説明することにもつながるはずだ、という問題意識です。
