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古くて新しいアジア・太平洋戦争 吉田 裕さん保阪正康さん

吉田 裕保阪正康歴史とは思い出すもの、と批評家・小林秀雄は言った。真意はいずこにありやと考え続け腑に落ちた実感はまだないが、それでも夏には、いやがおうにも戦争を〝思い出す″。

8月15日の敗戦記念日に前後して放たれるテレビのドキュメンタリー番組や映画、マンガ、アニメ、小説――幼少期から中年になるまで、相当量の戦争コンテンツを浴び、それなりに知識を蓄積した気になっていた。しかしながら、いまだ日本の近現代史・軍事史が緒についたばかりの若い学問で、にもかかわらず研究のための史料は先細る一方という。愕然とした。

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信長がわかれば日本史がわかる 安部龍太郎さん

安部龍太郎日本史の三大謎は何か、と問われた時、「邪馬台国と卑弥呼」「坂本龍馬の暗殺」と並んで挙げられるのが「本能寺の変」であろう。
信長が光秀に討たれた理由については諸説があり、いまだに多くの謎を秘めている。

デビューから30年余り、戦国時代を舞台とする歴史小説を数多く著してきた安部龍太郎氏にとっても、信長は最大の謎である。

信長がわかれば日本史がわかる。
安部氏はそう言う。私なりに注釈させていただければ、信長がわかれば、一般的な歴史理解では捉えられない、大きな視野で戦国時代を捉えられる。そう考えているのかもしれない。

信長、ひいては戦国時代を考えるうえで、一般的な歴史理解では不十分な点として安部氏が指摘するところは下記の2点である。

1.時代の決定要因として外交・貿易問題がきわめて大きかった
2.戦国は、高度経済成長、重商主義の時代であった

まずは、1の外交・貿易問題について。
戦国の合戦を語るうえで鉄砲隊の活躍は欠かせない。鉄砲伝来からまもなくして火縄銃の国産化がはじまり、近江の国友、紀州の根来、和泉の堺など、鉄砲の主要生産地が栄えていた。しかし、鉄砲の主要資材の多くは日本にはなかったという。

砲身の内側に使う軟鋼。引き金のカラクリに不可欠な真ちゅう。火薬の硝石。鉄砲玉の原料となる鉛。いずれも輸入品か、国内ではわずかしか産出できない材料であった。すべて南蛮貿易によって外国から輸入する必要があった。

そこには、イエズス会の介在、キリシタン大名の躍進、堺の豪商の活躍があった。長篠の戦いでは90万発、10トンの鉛が、信長の鉄砲隊から武田軍に放たれたという。戦国最強と言われた武田騎馬軍団は、外国貿易の賜物である鉄砲によって敗れ去った。

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高橋祥子さんに聴く、「パーソナルゲノムが拓く未来」

高橋祥子...自分の運命を知りたい。
というのは古今東西を問わず人類共通の願望だろうか。水晶玉を覗いたり、神の啓示に耳を澄ませたり、占い師のご宣託に一喜一憂したり。自分の運命が書かれた葉っぱを読める場所がインドのどこかにある、という話も聞いたことがある。
しかし、メーテルリンクの「青い鳥」がそうであったように、世界中を探し回っても得られなかったものが思いがけず身近なところに存在していたりする。高橋祥子さんが教えてくれる「あなたの運命」の場合、その元となるデータは、あなたのパーソナルゲノムを解析して得られる遺伝子の情報だ。そう、運命はすでにあなた自身の中に書かれているのだ。それを読み取れていないだけで。

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お金の流れと子どもたちの未来 村上 絢さん

村上 絢「ねえお兄ちゃん、さっきテレビで言ってたんだけど『しきんじゅんかん』てなに?」

「資金循環?お金が流れることだよ」

「お金って流れてるの?まさか、私が夜寝てる間に起き出して動き出すとか!?」

「そういうことじゃないんだよな。いいか。身近な話だと、うちのおばあちゃんはタンスの金庫にお金をしまっているだろ。そうすると、お金はしまったまま使われないで、流れていかないんだ」

「それ、テレビでやってた!!世間では詐欺師みたいに言われてるけど、自分たちが息子のふりしてお年寄りたちの預金をもらって、そのお金でキャバクラに行って、キャバ嬢が儲かれば洋服や靴を買うから、自分たちは滞った経済に流れを作っているんだって、くもりガラス越しでおじさんが喋ってた!!」

「・・・。それオレオレ詐欺だから。流れてるけどそもそも犯罪だし持続性もないから。それよりも日本企業が儲けたお金を使わないで溜め込んでいることが日本経済にマイナスの影響を与えているから、お金をまわす=資金が循環していくようにしていかないといけないんだ」

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ワクワクする「デザイン」で産業を復活させよう 鷲田祐一先生

鷲田祐一「蛇 長すぎる」と断じたのはルナールだが、私は「デザイン 安すぎる」と不満に思っている。それどころかデザインは、そのままでは価値を認めてもらえないことすら、ある。
企業に見積りを出す際、工程にデザインが含まれる場合はいつも悩まされる。「デザイン行為そのものに値段をつけても監査が通らないから、データのファイル数だとか人日(にんにち)だとか、数えられる費目にせよ」と指示されるケースが多いからだ。
著作権の問題もそうだ。写真やイラスト、創作的表現の文章には、作られた時点で自動的に著作権が発生するが、デザインやアイデアには著作権は認められないとされている。
このように長年不当に日陰者扱いに甘んじてきた「デザイン」だが、それこそが日本の産業を復興させる原動力となるのだ!と熱く説くのが本日の講師、鷲田祐一・一橋大学大学院経営管理研究科教授である。

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連鎖の中で 田村次朗先生

田村次朗食物連鎖についてなぜそんなものがあるのか考えたことがあった。海中のプランクトンを小魚が食べ、もう少し大きな魚が小魚を食べ、さらにより大きな魚がそれを食べる。最後は人間が魚を食べる。そこで食物連鎖は終わるが最近はややこしくなっていてマイクロ・プラスチックが人間の体内で悪影響を及ぼすそうで連鎖はまだ続いていた。つまり良くも悪くもすべては関係し合いながら生きているということだ。食物連鎖を考え始めた時はそれがなければもっと気楽なのにと思ったけれど、同時にそれは何かを良くすれば波及することでもあることに気づいた。

田村次朗氏の講演を聞いてなぜこうしたことを思い出したのかというと、紹介されたロジャー・フィッシャー教授の研究目的が素晴らしかったからである。「平和学としての交渉学」。交渉をよく考えられがちな「勝ち負け」や「駆け引きのための作戦」としてではなく、平和学のための方法論としてとらえている。第二次世界大戦での犠牲がなぜ回避できなかったのかという問題意識から研究したそうだ。

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海外の真実をとらえ、日本の針路を決める 堤 未果さん

堤未果「ジャーナリズムは、人々に真実を伝えることで、巨大な権力の悪行を暴くことだけでなく、誇るべき状況を共有できるようにしなくてはいけない。」堤未果さんが、同じくジャーナリストのお父さんから受け継いだ言葉である。堤さんは、医療・農業・水産業等の日本の安全保障や人の命にかかわる重要な産業は、常に平等に且つ安価に人々へ配分されるよう、適切な運営と行政による管理が必要であることを、多くの国や地域の失敗事例から導き出してくれた。まさに、海外で起きている真実を伝えることで、多くの権力がもたらす悪行を教えてくれた。また同様に、日本が誇るべきシステムや社会の在り方を認識させてくれた。

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観光産業で瀕死の日本経済が救える デービッド・アトキンソンさん

デービッド・アトキンソン大阪出張の帰路、余裕があったので京都に寄った。十年ぶりに東山界隈を散策し「産寧坂をのんびり歩き、お香屋さんを冷やかした後は湯豆腐でも...」という目論見。祇園四条駅を降りて清水に向かう道に踏み入れた私の前に、目を疑う光景が広がっていた。まるでラッシュアワーの新宿駅のように道を埋め尽くす人、人、人。道の両側の店を冷やかすのはおろか、歩くことさえままならない。ああ、これがインバウンド政策の威力か、と、圧倒されるばかり。見慣れた京都がまるで別の町のように見える。

マナー違反が目立つだとか"観光公害"が深刻だ、など、一般レベルでは批判的に語られることも多い外国人観光客の急増。だが、日本経済を建て直すためには、これでもまだまだ不足なのだということが、今日のデービッド・アトキンソン氏の講演で分かった。

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本当に健康になれるかつ仕事のパフォーマンスも上がる食事 津川友介さん

津川友介"You are what you eat."とは、「どのようなものを食べたかで、その人の身体は決まる」という意味であるが、多くの人は健康に気をつけたり、気をつけなかったりする日々を繰り返すわけで、日々一貫して食べ物に気をつけている人は少ないだろう。気を付けていたとしても、それが本当に健康に良いのかははっきりとはわかっていないのかもしれない。かくいう私も、大学がラーメンやとんかつの聖地である高田馬場に近いので、ついつい小麦粉系や赤肉系など食べてしまう。津川友介先生の提唱する「科学的エビデンスに基づいた本当に健康になれる食事」からはほど遠い食生活を送っている。

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知性と情熱に彩られた「道」 池田理代子さん

池田理代子この日の客席は圧倒的に女性が多い印象。「ベルばら」世代の40代、50代が目立つ。いつもよりも柔らかな期待感に包まれる中、壇上にあらわれた池田理代子さんはビビッドなピンクのワンピース姿。お年のことに触れるのは無粋と知りつつ、つい言いたくなってしまう。72歳とは到底信じられない華やかさ、美しさだ。

講演タイトルは「私の歩いてきた道」。
「わたしの話を聴きたい人なんて居ないんじゃないかと思って」と、少女漫画の巨匠に似つかわしくない謙虚な第一声から始まった講演は、夕学五十講では珍しいインタビュー形式。漫画家の他に声楽家の顔も持つ池田さんは、人前に立つことには十分に慣れておられるはずだが、両手でマイクを持つ姿からは少しの緊張が伝わってきた。

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多様な専門性を束ねる専門家 白坂成功さん

いまから50年前(1969年)アポロ11号の成功により人類は初めて月面に立った。アポロ計画にどれ位のコストがかかったのかは知らないが、アメリカが国家の威信をかけた一大プロジェクトであった。その当時、人工衛星を1機打ち上げる為に、膨大な人員と時間が投入されたことは間違いない。
ところが、2017年、インドのPSLVロケットの打ち上げでは、一度になんと104機の人工衛星を打ち上げ、軌道に乗せることに成功している。

白坂成功今回の夕学の登壇者 慶應義塾大学大学院SDM研究科で超小型衛星の開発研究を行う白坂成功教授によれば、宇宙開発の常識は大きく変わった。
いまや、第三次宇宙開発ベンチャー時代を迎えつつあるという。ロケットも衛星も小型化・低コスト化が進み、主役は民間企業に移りつつある。宇宙開発の目的も、社会問題の解決や、ビジネスユース、さらにはエンタテイメントにまで及んでいる。

日本でも、宇宙ベンチャーが続々と生まれている。
ロケット系では、ホリエモンがスポンサーになったことで知られるインターステラテクノロジズ社が、MOMOという小型ロケットの打ち上げに取り組んでいる。
MOMO

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ビズリーチからはじまる生産性革命 南壮一郎さん

南壮一郎「どれどれ?経歴も申し分ない」
「へー、そんな経験が!」
「即戦力じゃないか!」
「ぜひ欲しい!」
「おい君、彼はいったいどこで!?」

この後に続くのはもちろん「ビズリーーーチ!」である。ビズリーチのテレビコマーシャルは登場人物が少なく、ほぼセリフだけで物語が進んでいくため、映像の派手さもない。しかし何故かインパクトがある。

株式会社ビズリーチは、代表取締役社長である南壮一郎氏が自身の経験からはじめた求職者課金型の転職サイトである。南氏が楽天イーグルス退職後に転職活動をはじめた際、いくつかの転職エージェントに登録して27社を紹介された。しかしそこに同じ企業はなく、求職者と採用者のマッチングプロセスが不透明であり、違和感をもったのがはじまりであった。

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日本発データガバナンスを通じた多様性への目覚め 山本龍彦さん

山本龍彦日本は、G20の議長国となる2019年というタイミングで、AIやビックデータの活用によって、ビジネスにおける国際競争をリードしようとするのみならず、人々の日常の暮らしへ大いにAIを活用しようとしている。

データやAIの活用により、新たなビジネスが生まれ、企業の国際化が推進されることを高く期待している。しかし、慶應義塾大学法科大学院教授で慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュートの副所長でもある山本龍彦氏から、AIのプロファイリングがプライバシーを侵害する可能性があること、人々をAIが検出するアルゴリズムに基づく恣意的なカテゴリーで分類する危険性を持ち合わせていることを説明いただいた。山本教授はその上で、データを活用した新たなビジネスのチャンスを法的枠組みによって適切に管理する必要性を訴えた。

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「兆し」と「見立て」のデザイン 岩嵜博論さん

人間を理解し、デザインに置き換え、ビジネスに転換する

岩嵜博論それが、きょうの講師 岩嵜博論氏のコアコンピタンスである。
リベラルアーツ大学ICUで社会学を学び、慶應SFCで建築、イリノイ工科大学でデザイン思考の修士を修め、京大MBAで博士号を取得した俊才である。


「価値の源泉がモノからサービス、体験へとシフトしている」
岩嵜さんは、その象徴的事例として、ラスベガスで開催された2018 International CESでトヨタが発表したe-paletteを紹介してくれた。
そこには、移動や物流、物販など様々なサービスに対応し、人々の暮らしを支えるモビリティカンパニーを目指すというトヨタの意思がある。自動車そのものではなく、自動車をツールとしたサービスにこそ価値の源泉がある、と宣言をしているに等しい。

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明石ガクト氏に聴く、実践:VISUAL STORYTELLING

明石ガクトいやこれ無理っしょ、この講演レビューするとか。だって相手は明石ガクトさんよ?ワンメディアの代表取締役で、日本の動画制作の第一人者よ?去年バカ売れした著書のタイトルだってズバリ『動画2.0』なんだから。動画1.0どころか静止画すらない文字だけ2500字かそこらでどうやってこの日の講演内容をまとめて紹介しろっちゅうねん。どこまで竹槍精神なんや。

なんなら今回、文章じゃなく動画でレビューしましょか?こう見えても学生時代には若手映像作家の登竜門と言われたぴあフィルムフェスティバルで予選を突破したこともあるんですよ。本選で落ちたけど。え?映像と動画は違う?そこをわかっていない時点でアウトですか。そうですかわかりましたじゃあ潔くテキストだけで玉砕しますよ。メディアとしてのテキストのダメっぷりを全力で証明することで時代は動画だよ!というのを伝えるのが今回の私の役割ってことで。斬られ役か。

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あまりに人間的な 柴山和久さん

柴山和久「百科事典のセールスマンに百科事典が必要か聞くな」という。けれども投資のアドバイスを欲しい時には投資の専門家、証券会社などに相談しなければならないのがネックである。ファイナンシャル・プランナーもいるけれど色々勧められそうだし...。多くの人はそんなところで悩んでいるのではないだろうか。

医療や法律はテレビでも専門の番組が多数あるのに、どういう訳か投資についてはない。学校でも学ばない。せいぜい経済ニュースがあるくらいだ。そうした背景があるためか柴山和久氏は「本質の流れ」を中心に話すと初めに宣言してくれた。そして「投資」ではなく「資産運用」との言葉を用い続けた。

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ストッパーのはずし方 太田光代さん

太田光代今回の講師である太田光代さんは、爆笑問題などが所属する芸能事務所の社長さん。言わずと知れた太田光さんの奥様である。会場に入ってきた太田さんを見てまず思ったことは、「美しい人だ」ということ。スッと立つ姿も、ゆっくりと歩く姿も自然に視線を持っていかれてしまう。話しはじめると声もゆったりと落ち着いていて素敵だ。

今回のテーマは「タイタンの学校のすすめ」。太田社長が経営されている株式会社タイタンでは、2018年に学校を開設した。この「タイタンの学校」には芸人をめざす「芸人コース」と、一般向けの「一般コース」という二つのコースが用意されている。

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CtoC × デジタルが変える消費行動 小泉文明さん・山本晶さん

小泉文明山本晶メルカリは楽しい。はじめた頃は家にある不要品が売れて、部屋がすっきりすれば満足だったが、やればやるほどはまってしまった。時間があればメルカリを開いて、安くて可愛い洋服が出品されていないか覗いてしまう。メルカリの小泉文明社長兼COOによると、このような行為を「探索」という。「検索」ではなく「探索」。「何かいいものないかなー」とメルカリ内をスクロールするのはまるで「宝探し」のような買い物であり、メルカリが成功した理由でもある。

かつての不要品は捨てるか、友達にあげるか、リサイクルショップに買い取ってもらうぐらいしかできなかった。だけど、捨てるのはもったいないし、リサイクルショップで買い叩かれたうえ、高く販売されるのは嫌であった。しかし、フリマアプリの登場で見知らぬ人とも個人間で取引ができるようになり、不要品の呪縛から解放されるだけでなく社会の経済的厚生が高まった。見知らぬ同士でやりとりするからには、不良品が届くとか、代金が支払われないとかいったような様々なリスクが伴う。そこをメルカリは手数料をとってリスクヘッジしている。匿名配送やユーザー同士の相互評価、商品を受け取るまで代金が支払われないシステムは安心・安全さを与えて、メルカリユーザーを増やした。

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私も考えた 石川善樹さん

石川善樹かつて「2番じゃ駄目ですか?」という言葉が話題となった、あの事業仕分けにおける困難の一つには「考えない人に考えることの重要性を説く」というほぼ不可能に近い点があったのではないかと思う。そういった場合、学者や研究者などの「考える人」は最後の手段として「有用性」を根拠として挙げることとなる。あの時私は学校教育で「考えること」を教えてこなかった長年のツケが回って来たのではないかと思ったものだ。

石川善樹氏も同様の考えらしく、学校教育で「考えるとは何か」が教えられないことを嘆かれていた。私は今回の講演を大変楽しみにしていた。「考える」ことがテーマとして扱われるのだから。また昨年の石川氏の講演も聴いていたので1年後の内容がどのようになっているのか、定点観測のような気持もあった。

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安宅和人氏に聴く、平成日本の彷徨とシン・二ホンの咆哮

安宅和人試しにWEBで「シン・二ホン」と検索してみてほしい。安宅和人氏の講演の資料や動画がいくつも出てくるはずだ。枚数の多寡や時間の長短はあるものの、リンク先の資料の多くは今回使われたものと共通だった(ので、満席だった今回の夕学を聴講できなかった方は、まずそちらで資料を確認してほしい)。

情報満載のスライドの中身に加えて目を引くのは、それら資料類の出所、つまりリンク元だ。映像がTEDなのはともかく、資料PDFの掲載場所は経済産業省・産業構造審議会の「新産業構造部会」であったり、財務省・財務総合政策研究所の「イノベーションを通じた生産性向上に関する研究会」であったり、首相官邸・教育再生実行会議の「技術革新ワーキンググループ」のページであったりする。

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きわめて日本的な「修験道」の世界 田中利典さん

田中利典今回は「修験道の世界~身体を使って心を修める~」と題して、奈良の吉野にある金峯山寺長臈(きんぷせんじ・ちょうろう)田中利典氏による講演が行われた。

「修験道」とは私には耳慣れない言葉であったが、田中氏は「日本古来の山岳信仰に、神道や外来の仏教、道教、陰陽道などが集合して成立した我が国固有の民族宗教」であると説明された。そう言われてもなおピンと来なかったが、修験道の修行をする人は「山伏」であると言われ、「ああ、弁慶なんかのアレのことか」と一応理解はしたものの、ということは山伏が現代にもいるのか?という驚きが今度は頭に浮かんだ。今私の目の前で話をしている田中氏が現代に生きる山伏なのかと思うと、何やら不思議な心持ちがした。

田中氏によると修験道には4つの要諦があるという。

一つ目は、それは「山の宗教・山伏の宗教」であるという点。聖なるものが住まう大自然において、山に伏し、野に伏して修行するのが修験道であるという。

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馬場渉氏に聴く、大企業イノベーションの起こし方

馬場渉2017年の春、日本の典型的かつ伝統的な大企業であるパナソニックで、驚きの人事があった。一つはOBであり日本マイクロソフト社長だった樋口泰行氏の請われての復帰と役員登用。そしてもう一つが、内部昇格でも出戻りでもない全くの外部人材が、こちらも請われて本社ビジネスイノベーション本部長・兼・北米子会社の副社長というポストに抜擢されることだった。
世間の耳目は前者に集中したが、パナソニックの未来に大きく影響するのはむしろ後者の方だったかもしれない。少し前まで同社製品を買ったこともなければ松下幸之助氏の著作を読んだこともなかったという馬場渉氏は、このとき、39歳にして同社の一員となった。

馬場氏は、ERPの世界的企業として有名な独SAPグループでキャリアを積んだ。直近では本社カスタマーエクスペリエンス担当バイスプレジデントとしてシリコンバレーに籍を置き、大手顧客のデジタル・トランスフォーメーションをハンズオンで支援してきた。

だが、ディズニーの放送部門がいくら頑張っても、NETFLIXのスピードには追い付けない。小売業の世界最大手ウォルマートも、amazonのようなデジタルネイティブ企業の動きには追随できない。過去に成功体験を持つ大企業が、それ故に、デジタルに最適化された新興企業に追い抜かれる事態。「イノベーターのジレンマ」そのものだ。

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生き切る 細川晋輔さん

細川photo_instructor_965.jpg「禅とは捨てる修行」だとよく聞くので何を捨てるのかずっと考えていた。断捨離とは違うらしい。では長年の間に培ってしまった思い込みの類だろうか。はたまたつまらぬこだわりのことだろうか。あれこれ考えていたけれど、「これが」というものに確信を持つには至っていなかった。細川晋輔氏の講演で私はこの問いへの答えの一つを見出せたように思う。

「雲水日記」という誠に可愛らしくユーモア溢れる絵を用いながら、私達にはなかなか窺い知ることのできない修行僧の生活が細かく紹介された。故郷を旅立ち修行道場への入門を乞う図、庭詰め、先輩僧への挨拶、托鉢、畑仕事、座禅、禅問答など。絵があまりに可愛らしくて見過ごされそうだが日常生活は当然のことながら大変厳しそうで規則的だ。細川氏がこれでもかというほど微に入り細に入り日常生活の説明をするのを聞いて、私にはそれが「修行僧の生活とは『超人』になるためのものではありません」と言っているように思えてきた。型にはまった同じ生活を繰り返すことで感覚を研ぎ澄まし、自分のなすべきことに集中して、その成果を試される。毎日毎日。それが目的のように思える。

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日本経済の機会とリスク 竹中平蔵先生

タケナカphoto_instructor_991.jpg慶應義塾大学名誉教授であり、東洋大学教授でもある竹中平蔵先生は、開口一番に「日本人は平成の時代に起きてきた海外の出来事について検証を行っていない」と警鐘を鳴らした。令和の時代がしなやかで強い時代であるために、捉えておくべき世界の事象とは何か。グローバルにコネクトされた社会を生き抜くために求められることは何か、考える時間となった。

我々の生きるこの世界では、戦後の世界的復興と同レベルのエネルギーを注いで、World Architectureを再構築することが求められている

スイスで行われている世界経済フォーラムのダボス会議では、各国の経済リーダーが集い、世界の安定的な成長に向けた様々なテーマを討議する。2019年は、ドイツのメルケル首相が提唱した「戦後構築したLiberal World Orderはうまく機能しておらず、我々の生きるこの世界は、戦後の世界的復興と同レベルのエネルギーを注いで、World Architectureを再構築することが求められている」というメッセージが観衆の注目を浴びた。ポピュリズムの台頭や米中対立の最中にある、現在の世界情勢を表すのにふさわしい言葉である。

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戦略的意思決定とは、見えない機会損失について考えることである 清水勝彦先生

katsuhiko_shimizu.jpg私たちは何かの機会(opportunity)を得る代わりに、何かの機会を失っている。それは他でもなく、時間やお金、身体等の資源が限られているからだ。その限られた資源を効率的に配分(投入)できる企業や個人が高い利益を生み出すことができる。

寓話『アリとキリギリス』で、アリが成功したのは勤勉で「遊び」という誘惑に打ち勝つ強い心があったからではない。限られた資源(時間、労働力)を効率的に配分(夏の間、遊びではなく食料の備蓄)したからだ。よって、目の前の快楽に気を取られ、まだ見ぬ冬のことまで注意を払えなかったキリギリスも「怠け者」という一言では片づけられず、夏の間に「食料の備蓄」という努力を投入するところを、全ての時間を遊びに投入してしまったというように資源投入に誤ったのである。キリギリスが夏中に遊んで人生を謳歌しないで、冬に備えて働いていれば、生活するに困らない食料を得ることができただろう。

この得られたはずの食料が機会損失、言い換えれば夏のレジャーのコストである。清水勝彦先生によれば、機会損失の問題はこのように「見える」ところばかりに気を取られ、「見えない」ことに注意を払わないから起こるという。

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第25回 7/31(水)吉田裕先生・保阪正康さん

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7/31(水)今期の最終回です。テーマはアジア・太平洋戦争です。


ご講演いただくのは一橋大学大学院社会学研究科 特任教授 吉田裕先生。そして、ノンフィクション作家 保阪正康先生を対談のお相手としてお迎えします。

吉田裕先生の近著『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)が話題となりました。13万部を記録。徹底した第一線の兵士の目線であることと、歴史学者による一冊であったことが本著を特徴づけていました。

吉田先生は日本近現代軍事史、日本近現代政治史をご専門に、長きにわたり一橋大学で教鞭をとられるとともに、アジア・太平洋戦争、日本の軍隊や徴兵制、日本人の戦争観などをテーマに著作をお持ちです。

保阪先生は日本近代史、特に昭和史をご専門とするノンフィクション作家です。前回「昭和天皇実録」をテーマにご登壇いただいた『夕学五十講』にご来場くださった方もたくさんいらっしゃることと思います。研究を重ね、延べ4,000人余の人びとに聞き書きを行ってこられた、といいます。今回はそんな保阪先生だからこそ、との思いからご登壇をお願いしました。

『夕学五十講』ではこれまでにも歴史や戦争をテーマとした講演を開催していますが、中でも私が印象に残っているのが4年前の「戦後70年、『学生と戦争』を考える」です。
軍隊を経験された3名の方々をお招きしました。戦後70年たった今だからこそ、と、初めて語ってくださったお話もありました。実際に目撃し体験したお話を生で伺えた貴重さと同時に、その重みをとても感じました。そして、戦争の記録・記憶の継承の重要さと難しさについても考える機会となりました。今回は、私の中ではその続きの位置づけです。

テーマは「兵士達が見たアジア・太平洋戦争」。研究者とノンフィクション作家の先生方が語り合う"兵士の目線"による戦争の現実。皆さんとじっくり伺うとともに、私たちも新たな角度から戦争について見つめてみることできたらと思っています。(湯川)

・演題「兵士達が見たアジア・太平洋戦争」
※講演60分、対談30分、質疑応答30分の構成です。
・吉田 裕氏 
・一橋大学大学院社会学研究科 特任教授 講師プロフィール
・保阪 正康氏 
・ノンフィクション作家 講師プロフィール

第24回 7/17(水)安部 龍太郎さん

ryutaro_abe.jpg7/17(水)にご登壇いただくのは作家 安部 龍太郎さんです。

安部龍太郎さんは『血の日本史』で1990年にデビュー、2013年には『等伯』で第148回直木賞を受賞。皆さんご存じのとおり現代を代表する人気の歴史小説家のお一人です。私もいつか実現したらいいなと楽しみにしていました。

直木賞受賞作である『等伯』は、日経新聞の連載中から、話題となりました。
長谷川等伯といえば代表作『松林図屏風』。
この絵のことは知っているがそのすごさや描いた画家のことはあまりよく知らない、そんな読者も圧倒的に多かったなか、安部さんによって、躍動的で、力強く、生き生きとした長谷川等伯が描き出されたのでした。
歴史小説の面白さに引き込まれた、私も一読者、一ファンの一人です。

そんな安部さんが、歴史小説家になって三十年、ずっと取り組んできたテーマがある、とおっしゃいます。それが織田信長。『信長はなぜ葬られたのか』『信長になれなかった男たち』など作品もありますが、そこにとどまらない尽きぬ探究心や情熱を言葉に感じます。そしてそれが今回の講演実現にもつながりました。

「彼のことが分かれば日本と日本人が分かる。そう思ったからです。」
と安部さん。しかし追いかけ続け何がわかったか、といえば、なぜ信長がわからないか。そしてそこが面白い、そうに違いない、と今からわくわくするのです。信長を通じて眺める戦国時代、信長をとおして観る日本と日本人、作家 安部 龍太郎が描く "新しい歴史観" 楽しみでなりません。(湯川)

・安部 龍太郎
・作家
・演題は「信長はなぜ葬られたのか」
講師プロフィールはこちら

第23回 7/11(木)高橋 祥子さん

syoko_takahashi.jpg7/11(木)は株式会社ジーンクエスト 代表取締役、株式会社ユーグレナ 執行役員バイオインフォマティクス事業担当 高橋祥子さんにご登壇いただきます。

ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか?

誰もがドキッとするような高橋さんの著書タイトル。テクノロジーの進歩によって、生物学にも大きな変化が生まれているといわれますが、生命科学の根本情報であるゲノムの活用は私たちの生活、世界を大きく変えるとされています。

高橋さんが代表を務める株式会社ジーンクエストは、生活習慣病など疾患のリスクや体質の特徴など約300項目以上におよぶ遺伝子を調べ、病気や形質に関係する遺伝子をチェックできるベンチャービジネスを展開しています。

ゲノム解析はデータ収集から始まる
と、言われるほどに、ゲノム解析では膨大な人々からの膨大なデータが必要です。その一方で、倫理的、法的、社会的問題を生み出すこともあり、その点において、遺伝情報を扱われることに対する私たちの不安や恐怖感が存在することも間違いありません。

今後も加速度的に進歩を続けるテクノロジー。生命科学のテクノロジーにはどのようなメリットとリスクがあり、有効活用するためにはどうすればいいのか、未来に向けた思考はとても大切なことでしょう。

高橋さんは遺伝子解析の研究推進、正しい活用を広めることを目指し、大学院在籍中に日本初の個人向け大規模遺伝子解析サービスを立ち上げ、展開しています。高橋さんだからこそ見えていらっしゃるゲノムの活用の現状と未来についてお話し頂けること楽しみです。(保谷)

・高橋祥子さん
・株式会社ジーンクエスト 代表取締役
株式会社ユーグレナ 執行役員バイオインフォマティクス事業担当
・演題: 「パーソナルゲノムが拓く未来」
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第22回 7/9(火)村上絢さん

aya_murakami.jpg7/9(火)ご登壇いただくのは一般財団法人 村上財団 代表理事の村上絢さんです。

私たちビジネスパーソン一人ひとりが、社会とお金についてじっくり考える、きっかけとなる講演をお願いしたいとの思いから今回のご登壇が実現しました。

「日本の社会がより強く、優しく、しなやかであるように、私たちにできることを探したい」と村上財団のウェブサイトにスローガンが掲げられています。そのためには「日本はお金がもっと循環する社会になるべきである」と村上さんは言い切ります。それはどういうことなのか、それはなぜなのか、それが私たちが社会とお金を考えることにつながると思います。

村上絢さんは、村上ファンド創設者の投資家 村上世彰さんの長女で、モルガンスタンレー証券会社債券部勤務をへて、投資家に。
プロフィールからはつい、羨望も混じり"あの村上さんのお嬢さんならね" とそれがすべてかのように思います。しかしながら村上絢さんのご活躍やメッセージからは、強い指針や思いをたしかに感じます。

高校時代をスイスに留学し、海外における社会貢献活動のあり方に影響を受けたといいます。父である村上世彰さんの意志を継ぎ、チャリティ・プラットフォーム代表に就任。一般社団法人 子ども宅食応援団理事も務め、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんらとともに、子どもの貧困問題にも具体的に取り組まれています。ご自身、お2人のお子さんをもつ母でもいらっしゃいます。

日本の非営利組織の活動を資金面で支援する。投資や資金というと実社会、一般市民から遠い世界とイメージしがちですがそれをしかと結びつけ、活動されている方。そんな村上絢さんだからこそのお金と社会のお話、じっくり伺い、自身に引き寄せ考えたいと思います。(湯川)

・村上 絢
・一般財団法人 村上財団 代表理事
・演題は「資金循環で社会の問題を解決する」
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第21回 7/3(水)鷲田祐一先生

yuichi_washida.jpg7/3(水)は一橋大学大学院経営管理研究科 教授 鷲田 祐一先生のご登壇です。

アップルやダイソンの製品が、優れたデザインで世界的な成功を収めています。これらの企業では、経営の最高意思決定でデザインという要素が重視されていると言われます。

一方で、日本の製造業は技術偏重にて右肩上がりを続けてきたなか、ここ数年で、ものづくり日本としての価値づくりが揺らいでいるとされています。

日本の企業経営の意思決定において、デザインという要素はひどく軽んじられており、企業経営とデザインが結びつくことに着目していない企業もまだまだ多く、大きく出遅れている感があることは否めません。

そこには、日本では「デザイン」という言葉が、色やカタチという狭い意味に封じ込められてしまった歴史ゆえ、本来の「設計」という概念が含まれなくなっているという背景もあるようです。

鷲田先生は、大学卒業後、博報堂に入社し、生活総合研究所、イノベーションラボと消費者研究を続けていらっしゃいました。本来の「デザイン」とは何かを理解されているからこそ、私たちの生活の実態を理解していらっしゃるからこそ、先生のお話には説得力があります。

デザインによる企業経営においての可能性について、事例やさまざまなデータとともに解説いただきます。(保谷)

・鷲田 祐一(わしだ ゆういち)先生
・一橋大学大学院経営管理研究科 教授
・演題:「企業経営とデザインの力」
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第20回 7/2(火) 田村次朗先生

jirou_tamura.jpg 7/2(火)ご登壇いただくのは、慶應義塾大学法学部教授、ハーバード大学国際交渉学プログラム・インターナショナル・アカデミック・アドバイザー 田村次朗先生です。

田村先生は、経済法、国際経済法、交渉学をご専門に、教鞭をとり、研究、教育に携わられています。そしてそれらの実践面の最前線でもご活躍です。日米通商交渉、WTO(世界貿易機関)交渉等に携わってこられ、世界経済フォーラム(ダボス会議)では「交渉と紛争解決」委員会委員を務められています。今回の「対話型リーダーシップ」はまさに、研究・教育・実践の世界の最前線にいらっしゃる田村先生だからこそのテーマ。

交渉学とは「対話(Dialog)」の方法論である

と田村先生はおっしゃいます。前回4年前に「三方よしの対話力~交渉学入門」と題して『夕学五十講』にご登壇いただきました。そのときの大きなメッセージがこの「交渉学とは対話の方法論である」でした。対話は、立場や価値観、文化、利害の"異なる"当事者同士が合意形成をめざす、困難でストレスを伴う営みです。そのときの夕学リフレクションはこちらです。

今回はこのメッセージの応用編ともいえましょう。ここ数年で多様性とは必然で当り前であると認知されてきました。しかし認知は単なるスタート地点、多様性の複雑化、対立や障害の深刻化がすすんでいるのも事実です。ますます求められていくのが対話型リーダーシップです。私たちビジネスパーソン誰もにとって大切な基盤能力ともなりうる、このテーマについて、今回はじっくり講義いただきたいと思います。楽しみです。(湯川)

・田村 次朗
・慶應義塾大学法学部教授、ハーバード大学国際交渉学プログラム・インターナショナル・アカデミック・アドバイザー
・演題は「対話型リーダーシップのすすめ~リーダーシップ基礎教育への挑戦~」
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第19回 6/28(金) 堤 未果さん

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6/28(金)は国際ジャーナリスト、堤 未果さんにご登壇いただきます。
堤さんのお名前やご活躍をメディアや著書でご存じの方も多いことと思います。

最新刊 『日本が売られる』は、昨秋、ベストセラーとなり、大きな話題となりました。

安全で安心、水と安全はタダ同然、医療と介護は世界トップ、そんな"日本で今、とんでもないこと"が起きている。いつの間にか"国中に値札がつけられ、叩き売りされている"と言い切る堤さん。衝撃ですがそれらは、私たちが知っているべきこと。これまで、知られてこなかった、知らされてこなかった触れられてこなかったこと、しかし、たしかな事実、対面せねばならない現実です。堤さんは常にそれらに迫る取材・報道を続けられています。

本書の前に米国のシリーズがありました。『貧困大国アメリカ』『沈みゆく大国アメリカ』などタイトルが示すように、米国の"暗部"をえぐり出す、と評されています。

NY州立大学同大学院で国際関係論学を学ばれた後、国連、米国野村證券勤務や9.11の体験をへてジャーナリストに。日本と米国を行き来しながら活躍されています。

徹底した現場取材と、公文書分析による調査報道で、米国の暗部をえぐり、日本の事実を見つめる堤さんに、今回は直に、日本の事実、さらにはどうしたら日本を、未来を守れるのかをじっくり伺います。(湯川)

・堤 未果
・国際ジャーナリスト
・演題:「日本が売られる~次世代の為の宝を守れ~」
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第18回 6/27(木)デービッド・アトキンソンさん

david_atkinson.jpg6/27(木)は小西美術工藝社 代表取締役社長 デービッド・アトキンソンさんにご登壇いただきます。

元ゴールドマン・サックスのパートナー時代は「伝説のアナリスト」と称され、現在は、国宝・重要文化財の補修を手掛ける三百年企業 小西美術工藝社の社長、まさに「国宝の守り人」として活躍を続けるアトキンソンさん。

イギリス オックスフォード大学では「日本学」を専攻し、ゴールドマン・サックス証券では、日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し注目を集めました。当時より、裏千家に入門するなど日本の伝統文化に深く親しんでいらしたそうです。

日本に拠点を移してからこの30年。
経済の低迷、それにともなう子どもの貧困、地方の疲弊、文化の衰退・・・等、様々な出来事を目の当たりにし、見るに耐えなかったというのが正直な気持ち、と今年出版されたばかりの著書『日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義』にて語っていらっしゃいます。

厚かましいと言われても、大好きな日本を何とかしたい。

日本への熱き想いをお持ちのアトキンソンさんだからこそ、「世界から見た日本」と「日本から見た世界」の両面を知るお立場より、日本の魅力を世界にどう伝えていけばよいのか冷静な視点でお話し頂きます。(保谷)

・デービッド・アトキンソンさん
・小西美術工藝社 代表取締役社長
・演題:「日本の魅力~その活かし方と伝え方~」
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第17回 6/21(金)津川 友介先生

yusuke_tsugawa.jpg6/21(金)はカリフォルニア大学ロサンゼルス校 助教授 津川 友介先生です。

食、健康、エビデンス。
ここ数年の注目ワードでもあります。私たち、誰もにとって身近な健康と食、研究がすすんでいます。健康における食事の重要性や効果、具体的な方法がわかってきています。

今回はそんな世界の最前線、カリフォルニアから津川先生をお招きしての講演です。著書『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』も話題となりました。

健康と食事は、ずっと以前から高い関心が寄せられ、大事で、なにかと話題を生んできたテーマです。メディアでは常にとりあげられ、次々流行やヒットも生んできました。けれどもその一方、常についてまわっていたのが "かもしれない"でした。

効果があるかもしれないし、ないかもしれない。良いかもしれないけれど、それほどでもないかもしれないし、さらには良くないこともあるかもしれない。

しょせんよくわからない、しょせんは食べ物。そこにエビデンス、科学的根拠がでてきました。説得力が違います。実践できます。効果もでます。ここまできたことでようやく "万人に万能な" 方法や選択はないのだ、との正しい認識にもつながってきたように感じます。
人はいろいろです。自分の健康は自分のものでしかない。自分で考え、自分でコントロールすることをめざす。そのためにはエビデンスをどう理解し、どう使えばよいのでしょう、エビデンスにもとづく健康と食、津川 友介先生にしっかり学びましょう。楽しみです。(湯川)

・津川 友介
・カリフォルニア大学ロサンゼルス校 助教授
・演題:「エビデンスを使いこなし、食事で健康を維持する」
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※本講演は講演75分・質疑応答30分の構成です。

第16回 6/19(水)池田 理代子さん

riyoko_ikeda.jpg6/19(水)は劇画家・声楽家 池田理代子さんのご登壇です。

私事ですが、私がフランス革命という史実を知り、最後の王妃と言われるマリーアントワネットに関心を持ったのは、小学生の頃に親戚のお姉さんからもらった漫画『ベルサイユのばら』を読んだことがきっかけです。

1972年連載開始された『ベルサイユのばら』は空前のヒットとなり、アニメ化、映画化、さらに宝塚歌劇団による舞台化にいたるまで、"ベルばら"ブームは一種の社会現象となりました。

フランス革命という史上初の市民革命を漫画として劇画化したこと、さらには、オスカルとアンドレといった史実のなかにフィクションを加えることによって物語として大きな厚みが生まれ、"ベルばら"の世界に瞬く間に多くの人が魅了されました。

これらは漫画家、劇画家としての池田理代子さんの手腕に他なりません。

2009年には、『ベルばら』を通して、多くの日本人がフランスの歴史、言葉、文化に関心を持ったという池田さんの功績を称え、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章シュバリエ章が送られています。

その他にも、『オルフェウスの窓』『女帝エカテリーナ』『聖徳太子』...等、数々の大作を描くとともに、45歳で音大受験を決意、1995年には東京音楽大学声楽科に入学し、声楽家としての活動も行っている池田さん。

大作に向き合う創意工夫と熱意、ご自身の人生においても好奇心旺盛にさまざまなことにチャレンジしていらっしゃるその原動力はどこからくるのでしょうか。

作品作りを通して、またこれまでのキャリアより、池田さんのエネルギーの源、生き方についてお伺いできること楽しみです。(保谷)

・池田 理代子(いけだ りよこ)さん
・劇画家・声楽家
・演題:「私の歩いてきた道」
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第15回 6/14(金)白坂成功先生

seikou_shirasaka.jpg6/14(金)は慶應義塾大学大学院SDM研究科教授 白坂成功先生です。

冬休みを米国フロリダ、ケープ・カナベラルの近くで過ごしました。
ここ2年で、街が活気づき、おしゃれになっていて、びっくりしました。スペースXがやって来たから、だそうでした。
産業が活性化し、人が増える、新しいお店や学校、住宅、サービスが生まれ、街が拡大していていく。スペースシャトル中止による失業や治安悪化を心配したことなどすっかり忘れる勢い。宇宙開発は、国の事業から民間のビジネスへと移ったこと、それが時代の流れであること、街で過ごして実感しました。

大学やベンチャー等が超小型衛星を打ち上げられるようになって以来、宇宙開発が通常のビジネスのものとなってきた、と白坂先生もおっしゃいます。

白坂先生は航空宇宙工学、システムエンジニアリングの研究をご専門に、宇宙開発に従事。昨年、ミッション成功で宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)7号機が話題となりましたが、白坂先生は特にこのHTVについて、初期設定から初号機のミッション完了まで、携わられた方です。

"宇宙の宅急便"と呼ばれるこうのとりによって、世界的に日本の技術力や安全性の評価を高めたと聞きます。宅急便という言葉の響きにも、宇宙が私たちのビジネスや生活に近いものになってきている印象をもちます。けれどもその一方で、一生活者としてはまだまだ遠い、宇宙の話。そこで今回です。宇宙開発に従事し、大学院で教鞭をとっておられる白坂先生だからこその解説が伺えそうです。宇宙ビジネスのいまとこれからをじっくり伺いましょう。(湯川)

・白坂 成功先生
・慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授
・演題:「超小型衛星でかわる宇宙ビジネスの潮流」
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第14回 6/11(火)南 壮一郎さん

souichiro_minami.jpg6/11(火)は株式会社ビズリーチ代表取締役社長 南壮一郎さんにご登壇頂きます。

2007年、南さんが仲間とともに創設したビズリーチは日本初の「求職者課金型」転職サイトです。管理職・グローバル人材に特化した会員制転職サイトとして、これまでハイクラス人材の採用は人材紹介会社に任せるしかなかったなか、求職者自ら主体的に活動し次のキャリアを見つけることのできる市場を切りひらいています。

そこには、現在のウェブメディアやSNSなどの進化にともなうテクノロジーの発展があり、ビズリーチは「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」というミッションを掲げ、社会的課題をテクノロジーで解決することをめざし、事業展開をしています。

いま、多くの日本企業の前には、「働き方」と「企業の生産性向上」をいかに連動させながら成長をしていくかという高い壁が立ちはだかっているのは、皆さんが身をもって体験していらっしゃることでしょう。

私たちの生活は、日々生まれるイノベーションによって支えられ、変化し続けていることは歴史上では当然のことであっても、その渦中にいると、変化の波に押しつぶされそうにも感じます。

このような時代において、ビズリーチがどのように社会的課題を捉え、解決に挑んでいらっしゃるのか「日本の働き方と生産性」の視点よりお話しいただきます。

モルガン・スタンレー、スポーツ関連事業の起業、楽天イーグルスの創業参画・・・と南さん自身も多彩な"転職"の末に、現在の会社を設立されたキャリアからの展開、ご自身の体験に裏打ちされた創業者としての想い、ミッションについて熱くお話し頂けることでしょう。(保谷)

・南 壮一郎(みなみ そういちろう)さん
・株式会社ビズリーチ 代表取締役社長
・演題:「日本の働き方と生産性について」

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第13回 6/6(木)山本 龍彦先生

tatsuhiko_yamamoto.jpg6/6(木)は慶應義塾大学法科大学院 教授、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI) 副所長 山本 龍彦先生にご登壇頂きます。

「AI、AIっていうけれど、それって本当に私たちの生活を豊かなものにするのだろうか」
「AIを利用する企業で働いているのだけれど、倫理的にどこまで使ってよいのかわからず不安だ」

人工知能(Artificial Intelligence; AI)が日進月歩の発達を遂げていると言われるなか、皆さんのなかでも、疑問に思っている方、不安に思っている方多いことでしょう。

SF映画でみられる、善良なる市民がAIに「あなたは潜在的犯罪者」などと予測・分類され、社会的に排除される・・・などのストーリーは、今やフィクションからノンフィクションへと変わりつつあるとさえ言われます。

実際、米国の警察や裁判所では、犯罪者予測にAIプロファイリングが使われ、それによる排除や差別が問題になっている。中国では、信用情報機関のAIが算出した個人の信用スコアが社会のいたるところで利用され、スコアの低い人が差別をうける事例が出てきている。・・・など、世界ではAIによって私たちの実生活が変化している事例は日に日に増えているようです。

AIは、うまく実装すれば憲法原理のより良い実現に資する、というのが法学者である山本先生の基本的姿勢です。

今回は、皆さんとともに憲法を読みながら、AIの「使い方」、私たちの幸福、企業のレピュテーション向上に資する「AI化」について、わかりやすく解説頂きます。AIがどんどん進化し私たちの生活に入っているなか、今さら聞けないと思っているあれこれ・・・ぜひ山本先生にお伺いしてみましょう。(保谷)

・山本 龍彦(やまもと たつひこ)先生
・慶應義塾大学法科大学院 教授
 慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)
・演題: 「AI社会と憲法の危機」

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第12回 6/4(火)岩嵜 博論さん

6/4(火)は博報堂 ブランド・イノベーションデザイン局 部長 岩嵜 博論さんです。hironori_iwasaki.jpg

岩嵜さんは、国内外のマーケティング戦略立案やブランドプロジェクトに携わられています。近年特に取り組まれているのが、生活者起点のイノベーション。今回の演題でもあります。

私は慶應MCCで『価値創造のためのマーケティング戦略』というプログラムも担当しています。マーケティング戦略のフレームワークや戦略史、ケース、事例をヒントに、自社の商品サービスの新しい価値創造を検討します。参加者の皆さんと学び、探索するなかで、ここ数年強く感じるのは、インターネットの普及、顧客判断力の向上、それらの商品開発やマーケティングにおける影響の大きさです。創造というとき、新商品や新規事業ばかりではありません。顧客の定義づけ、際立った特徴づけ、提供方法といった"価値"の創造があります。提供する側と消費する側、作る側と使う側、そういった線引きをしていたのはすでに過去なのでしょう。岩嵜さんの演題にはっとします。

生活者起点で、市場を"つくる"。商品開発やマーケティングに限らず、あらゆるビジネスパーソンにヒントがありそうな、現代の思考だなと、私もいまから楽しみです。(湯川)

・岩嵜 博論さん
・株式会社博報堂 ブランド・イノベーションデザイン局 部長
・演題:「未来生活者発想でサービスをデザインする」
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第11回 5/30(木)明石 ガクトさん

gakuto_akashi.jpg5/30(木)はワンメディア株式会社 代表取締役 明石ガクトさんにご登壇いただきます。

明石さんは、話題になった近著『動画2.0』にて「今後5年で世界のあらゆるものが動画化する-。」と断言しています。

Youtubeをはじめとして、Facebook、Twitter、Instagram・・・etcと、誰もがスマホで簡単に動画撮影でき、SNSに投稿できるいま。ここ数年だけでも、私たちを取り巻く動画配信の環境は大きく様変わりをしています。

2014年、明石さんはミレニアル世代をターゲットにした新しい動画表現を追求するべく、ONE MEDIAを創業しました。その時すでに動画のビッグウェーブが始まると確信し、独自の動画論をベースに各SNSプラットフォームのコンテンツパートナーとして動画配信、いまや圧倒的なエンゲージメントを達成しています。

電車内のデジタルサイネージをはじめとして、動画はいまや私たちの日常生活のあらゆるところで目にし、さまざまな情報を得ることができるとともに、エモーショナルにも影響を与える時代。

いま、そしてこれからを見据え、ヴィジュアル化する世界における思考法のみならず、まさに現代のリテラシーとも言うべき動画コミュニケーションを考えるフレームワークについて、明石さんの実体験をもとにお伺いできること楽しみです。(保谷)

・明石ガクトさん
・ワンメディア株式会社 代表取締役
・演題: 「実践:VISUAL STORYTELLING」

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※本講演は明石氏の講演60分・対談30分・質疑応答30分の構成です。
■対談のお相手
佐々木紀彦氏(株式会社ニューズピックス 取締役CCO、NewsPicks Studios CEO)
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第10回 5/28(火)柴山和久さん

kazuhisa_shibayama.jpg5/28(火)はウェルスナビ株式会社 代表取締役CEO 柴山和久さんです。

柴山さんは今最も注目を集めるFinTech起業家。FinTechは金融(Finance)と技術(Technology)の組み合わせ。柴山さんのウェルスナビが提供するAIを活用した資産運用は、まさに最先端、FinTechの代表といえましょう。

"テクノロジーがもたらす資産運用の民主化" だと柴山さんはおっしゃいます。このメッセージにも、私は柴山さんとウェルスナビに新しい時代を感じます。FinTechのことを私は、ビジネスニュースで見聞きはするものの、身近な存在として感じたことはありませんでした。それをふっと身近に感じたのが、ウェルネスナビを知ったこと、正確には柴山さんの<きっかけは日米の"金融格差"だった>という文章を読んだことでした。

東大法学部、ハーバードロースクール、INSEAD卒。財務省、マッキンゼー。柴山さんのキャリアは華やかでグローバル、さすがFinTech起業家、と圧倒されそうになりますが、実はその間には、転職の苦戦あり、日米格差の大ショックがあった、と語られています。私の意識と知識が低さを反省する一方で、素直に、現実を語り、FinTechをはじめて身近に引き寄せてくれたように感じました。私のようなFinTechに疎く、資産運用にほど遠そうな一般人もかかわっていける民主化なのかもしれない。学べることと、柴山さんにお会いできること、ともに楽しみです。(湯川)

・柴山 和久さん
・ウェルスナビ株式会社 代表取締役CEO
・演題:「テクノロジーを活用した資産運用の民主化」
講師プロフィールはこちら、ウェルスナビ(WealthNavi)はこちら

第9回 5/24(金)太田 光代さん

mitsuyo_ota.jpg5/24(金)は株式会社タイタン代表取締役 タイタンの学校 理事長 太田光代さんのご登壇です。

ご存知の通り、太田さんは、ご主人 太田光さんの爆笑問題をはじめ、多くの芸人、タレントを率いる芸能事務所社長であるとともに、昨年2018年には「タイタンの学校」を開校し、理事長もされています。

学校方針・理念には下記の通り記されています。

エンターテイメントは新しい時代へ 面白さや考え方の未来は誰もが予想できない時代に突入しています。 成功する要素は「面白い+α」。 いま社会ではさまざまな個性を持った次世代がエンターテイメント業界に限らず求められています。 その「+α」に注目したのがタイタンの学校。 チャレンジを学ぶことであなたの感性を刺激します。

「+α」とはなんでしょうか。

そこには、幼少期より身体が弱く、病院育ち、運動も禁止、自分の性格に自信を持てず、キラキラと輝く同級生たちを見つめる青春期に「私は変わりたい」と強く思い、さまざまな事に力強く挑戦されてきた太田さんのヒストリーからのヒントが多くあるようです。

当日は、太田さんのこれまでの人生からの数々のエピソードより、学校を設立した想い、さらなる挑戦についてお伺いします。

タイタンの学校はお笑いを目指す方だけでなく、そうでない方にも広く門戸を開いているとのこと。太田さんのお話には、「自分の可能性を探す、見つける、挑戦する」ために、私たちにも数々のヒントがあることでしょう。(保谷)


・太田 光代さん
・株式会社タイタン 代表取締役 タイタンの学校 理事長
・演題:「タイタンの学校のすすめ」

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第8回 5/15(水)小泉文明さん・山本晶先生

humiaki_koizumi.jpghikaru_yamamoto.jpg5/15(水)は株式会社メルカリ取締役社長兼COO 小泉文明さん、慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授 山本晶先生にご登壇いただきます。

メルカリに代表されるフリマアプリは私たちの生活のなかでもこの数年で身近になり、活用している方も多いことと思います。

メルカリを使用してみると、物流のシステム、さらに消費者の意識までも変化させていることに気づきます。

配送の手間を省くための伝票記入不要の仕組みをヤマト運輸とつくり、物流の流れを変えていること。
「こんなものまで売れるの?」というものであっても買い手がつき、リユースを前提とした使い方をし、どう廃棄するのかを考えるようになるという、私たち消費者の意識、行動が変化していること・・・等。

それらはスマホベースの個人間取引にとどまらず、フリマアプリを起爆剤とした物流やリユースサービスの増加など、周辺領域にイノベーションを起こし、消費者行動に大きな変化を起こしていることは間違いありません。

今回は、大和証券、ミクシィのCFOを経てメルカリに入社し、現在のメルカリを担う社長の小泉氏とネット時代の消費者行動論を専門とする山本先生との対談を通して、消費者行動の変化とデジタルの発展が織りなすこれからの社会、新たな経済圏について深堀りして頂きます。

業界を越え、事業領域を越え、多くの企業にとってヒントとなることが多いでしょう。(保谷)

・小泉文明(こいずみ ふみあき)さん 
・株式会社メルカリ 取締役社長兼COO
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・山本晶(やまもと ひかる)先生  
・慶應義塾大学大学院経営管理研究科 准教授
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・演題「C2C×デジタルが生み出す新しい経済圏」
※本講演は小泉氏の講演45分・対談45分・質疑応答30分の構成です。

第7回 5/14(火)石川善樹さん

yoshiki_ishikawa.jpg5/14(火)は予防医学研究者 石川善樹さんのご登壇です。

「考えるとは何か?」
この大きなテーマについて、皆さんはどのように「考える」でしょうか。

予防医学研究者として、「人がよりよく生きるとは何か」をテーマに学際的研究を続けていらっしゃる石川さんによると、人生をよりよく生きていくために、この大きなテーマを避けて通ることはできない、とおっしゃいます。

人間の脳は、物事をすぐにパターン化してとらえる傾向があり、この作用は無意識に行われるため、私たちは普段「考える」ことを行っていないことに気がつかないまま過ごしているそうです。

そう言われて、ドキッとする方多いのではないでしょうか。
人生100年時代を迎えているいま、100年という長い時間をよりよく生きていくためには、直近や目に見えることだけでなく、答えのない大きな問いに、既存の枠組みをいったんはずし、向き合い、考え続けることが大切なのでしょう。

最後に質問です。

では派 「〇〇では・・・」と誇りたがる人たち
とは派 「△△とは何か?」と自問したがる人たち

皆さんは、答えを求める「では派」と、問いを求める「とは派」のどちらでしょうか!

この唐突な問いに考えてしまった方も多いかもしれません・・・。もちろんどちらが良いというわけではないものの、石川さんは「とは派」になると決めたそうです。
さて、その心は。石川さんの問いをめぐる旅より、「考える」ことを意識しながらお話しお伺いしたいと思います。(保谷)


・石川 善樹(いしかわ よしき)さん
・予防医学研究者
・演題「考えるとは何か?」

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第6回 5/10(金)安宅和人さん

kazuto_ataka.jpg5/10(金)は慶應義塾大学 環境情報学部教授、ヤフー株式会社CSO(チーフストラテジーオフィサー)安宅和人さんにご登壇いただきます。

安宅さんは、マッキンゼー入社後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学し3年9か月という短期間で学位取得(Ph.D.)、再びマッキンゼーに戻り、2008年からヤフー、そして2012年より現職という、異色のキャリアをお持ちです。

脳神経学者であり、2016年春より慶應義塾大学SFCにてデータドリブン時代の基礎教養について教鞭を取る他、ビッグデータ、AIの進化と人間社会の未来を語ることのできる識者でいらっしゃるとともに、ビジネス、マネジメントにも精通し、まさに研究・教育・ビジネスと複数の知を横断しながら活躍している方となるのでしょう。

これまでにも数々の執筆があり、「脳科学×マッキンゼー×ヤフー」のトリプルキャリアからのご経験、思考術をもとに知的生産の全体観を描いたベストセラー『イシューからはじめよ』はお読みになっている方も多いことでしょう。

第4次産業革命とも言われるいま、ビッグデータ、AIという言葉は日常的に用いられるようになり、ビジネスにおいても聞かない日はないという状況です。

これからの経営資源は「ヒト・データ・キカイ」となり、データ、キカイをビジネスにどう活かしていくのかが重要とされるなか、日本の再生にむけて何が必要か、人材育成はどう変化していくのか、安宅さんの鋭い切り口にてお話しいただきます。(保谷)


・安宅和人(あたか かずと)さん
・慶應義塾大学 環境情報学部教授、ヤフー株式会社CSO(チーフストラテジーオフィサー)
・演題「シン・ニホン~AI×データ時代における日本の再生と人材育成~」

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第5回 5/9(木)田中利典さん

riten_tanaka.jpg田中利典さんは修験道の実践者、修験者(山伏)です。そして "吉野山人"とも名乗られています。

修験道とは、山へ籠もって厳しい修行を行うことにより、悟りを得る宗教です。実践的で、神仏和合の山の宗教である修験道は、「もっとも日本的な宗教である」と田中さんはおっしゃいます。

修験者と聞くと、山伏の様相と厳しい修行の2つをイメージします、がその程度。おおくの皆さんもそうではないでしょうか。修験道とは何か、山伏とは何者か、どんな修行をしているのか。私たちの素朴な問いに答えるように田中さんは、修験道やその教え、日々の修行について著書、講義、ウェブサイトやSNSで発信・紹介されています。

そして、修験道で学んだ教えは、現代社会に生きる私たち、ビジネスパーソンである私たちにとっても意味をもっているのだとはっきりおっしゃっています。その思いから今回の登壇も実現したのだと思います。好奇心をもちつつ背筋を伸ばして、じっくりと、お話をお伺いしたい、そんな気持ちです。皆さんとご一緒に修験道の世界から自身に引き寄せてのヒントを学ぶことができたら、と思っています。(湯川)

・田中 利典(たなか りてん)さん
・金峯山寺長臈、種智院大学客員教授
・演題:「修験道の世界~身体を使って心を修める~」
講師プロフィールはこちら、田中利典(吉野山人)公式サイトはこちら

第4回 4/25(木)馬場 渉さん

wataru_baba.jpg4/25(木)ご登壇いただくのは、パナソニック株式会社 ビジネスイノベーション本部 本部長、パナソニック ノースアメリカ株式会社 副社長 馬場 渉さんです。

「イノベーションの量産」、「タテパナをヨコパナに」など独特のスローガンをかかげ、パナソニックのビジネス改革を主導する馬場さん。

2018年3月に創業100周年を迎えたパナソニック。ご存知の通り、日本を代表する大企業です。

製品・サービスごとの縦割り(タテパナ)をクロスバリューが生まれる組織(ヨコパナ)へと変革し、ヒット商品を一発出すのではなくイノベーションを量産する企業となる、と一口に言ってもそう容易い事柄ではないこと、皆さんもご承知の通りです。

そのようななかにあって、馬場さんは個人や組織が本来持つ力を引き出し次の成長を促すべく、イノベーションのプロセスをモデル化、人を発掘育成、さらには、シリコンバレーにイノベーションを生むための専門手法を導入した『パナソニックβ』という、ご本人曰く"出島"とも言うべき組織を設けるなど、次々と変革を進めていらっしゃいます。

横並び意識が強いと言われる日本企業、しかも日本を代表する大企業パナソニックで何が起こっているのか。
まさに「大企業イノベーションの起こし方」そのプロセスをお話しいただきます。(保谷)

・馬場渉さん(ばば わたる)さん
・パナソニック株式会社 ビジネスイノベーション本部 本部長
 パナソニック ノースアメリカ株式会社 副社長
・演題: 「大企業イノベーションの起こし方」

※本講演は馬場氏の講演60分・対談30分・質疑応答30分の構成です。
■対談のお相手
佐々木紀彦氏(株式会社ニューズピックス 取締役CCO、NewsPicks Studios CEO)

第3回 4/18(木)細川 晋輔さん

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4/18(木)は臨済宗妙心寺派 龍雲寺住職 細川 晋輔さんにご登壇頂きます。

御祖父様は当時 記録的ベストセラーとなり第一次仏教書ブームを牽引した『般若心境入門』(1972年)著者の松原泰道師、御尊父様は臨済宗妙心寺派の宗務総長を務めた細川景一師と、まさに仏教界のエリートとも言うべき家柄。

ご自身も、厳しいことで有名な京都妙心寺修行道場にて大学卒業後22歳から32歳の9年間もの間、禅修行をされていたのですから、臨済宗のなかでも次代を担う僧侶として一目置かれる存在でいらっしゃいます。

ところが、細川さんが僧侶としての修行を積むまでエリート街道まっしぐらの順調な人生ではなかったそうです。受験には失敗し、実家の東京から逃げ出すことばかりを考えていた青春時代。

そのようななかで、光明が差したのは僧堂での経験であったこと語っていらっしゃいます。

現在、細川さんが十二代住職を務めている龍雲寺は、東京都世田谷区野沢にあり、地域の方々は「野沢龍雲寺」と親しみを込めて呼ぶそうです。野沢という地名が頭につくことによって、有力な武将や権力者によるものではなく、地域の方々の想いによって建立されたことから始まる由縁がまさに表れ、いまもなお地域のなかで根付いていることがわかります。

禅の教えを大切にしている臨済宗妙心寺派のなかにあって、細川さんは昨今言われる「坐禅ブーム」は喜ばしいことであるとしながらも、これがブームであることに留まるのではなく、文化としての定着を目指していかなければならない、と静かに将来を見据えていらっしゃいます。

現代を生きる私たちは、とかく何かを吸収しよう、新たなものを得ねばと躍起になってしまいがちです。

何かを得るためではなく、心にあるものを捨てていくためにあるのが坐禅であり、その先に「禅」という心があることを念頭に、細川さんのお話をお伺いしたいと思います。(保谷)

・細川 晋輔(ほそかわ しんすけ)さん
・臨済宗妙心寺派 龍雲寺住職
・演題:「禅の悟りを求めて~柔らかな"心の柱"をみつけよう~」

講師プロフィールはこちらです。


第2回 4/12(金)竹中平蔵先生

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4/12(金) 今期第2回目は 竹中平蔵先生 にご登壇いただきます。

皆さまご存じのとおり経済、政治、政策をご専門にご活躍の竹中平蔵先生、この『夕学五十講』でも日本経済の未来から経済古典からの学びまで、さまざまご講演いただいてきました。いずれも竹中先生ならではの切り口、そして、"今"だからこそのテーマ。今回もまさにです。「日本経済の機会とリスク」。

世界で加速している第4次産業革命の流れ、日本がそのリスクに対峙しつつ機として活かしていくには、大胆な改革を進めねばならないと、竹中先生はおっしゃいます。
平成からの新しい時代と来る東京オリンピック、中国や北朝鮮、東アジア、近い未来や近い動きには、しかと視線を向けている自覚のある私たちですが、さて、その先はどうでしょう。

今年がその方向性を見極め、それに向け変革していけるかが定まる重要な時。そんな今だからこそ竹中平蔵先生に学びます。世界経済の展望、そのなかの日本経済、直面する脅威と機会、とるべき戦略、皆さんと竹中先生よりじっくり伺い考えましょう。(湯川)

・竹中平蔵先生
・慶應義塾大学名誉教授、東洋大学教授
・演題:「日本経済の機会とリスク」
講師プロフィールはこちらです。

2019年度前期スタート!第1回 4/11(木)清水勝彦先生

慶應MCC『夕学五十講』2019年度前期いよいよ始まります。
開講に先立ち、司会を担当いたします保谷・湯川が本日より各回の講師紹介をいたします。

今期も多彩な顔触れの講師陣ご登壇です。講師紹介にてご案内するさまざまなエピソードからも、ぜひ『夕学五十講』をお楽しみください。
今期も会場にて皆さまにお目にかかれますことを楽しみにしております!

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katsuhiko_shimizu.jpg4/11(木)今期トップバッターのご登壇は、慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授 清水勝彦先生です。

組織変革、戦略実行を専門とする清水先生は、近著『機会損失』のなかで、「戦略的とは、"機会損失"を考えることだ」とズバッとおっしゃっています。

本当に重要なことは目に見えないことが多く、特に、「何かをやること」のコストとリターンはよく見えるものの、それによって見えなくなること、「やらなかったこと」や「できなくなったこと」がより重要だったりし、これこそが機会損失であるというのです。

「資源配分は戦略の要」と言われますが、限られたリソースをいかに配分するかは、戦略実行するうえでビジネスパーソン誰しもが悩むことでしょう。

資源配分をし、いかに施策を進めていくか、そのなかで優先順位をつけることが重要なのはよく知られていますが、やらなかった、持ち越した場合、「それらを最優先としたこと」は見落としがちかもしれません。

つまり、意思決定を機会損失という視点から見ることにより、「見えない」イシューへの感度を高めることであり、見えないコストとそこを見直すことで、チャンスが生まれてくると強調されています。

機会損失の概念を持つことは、仕事のみならず人生、日々の事柄にも大きな意味を持つことでしょう。当日は、仮説思考やデータ分析など、多くの事例を挙げながら解説頂けるとのこと、清水先生の解説により「見えない」イシューへの感度を高め、さまざまに役立てていきたいと思います。(保谷)

・清水 勝彦(しみず かつひこ)先生
・慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
・演題:「戦略的意思決定力を鍛える~見えるものと見えないもの~」

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日本人の祖先はチャレンジャーであった 海部陽介先生

photo_instructor_853.jpg海部陽介先生は柳田国男の『海上の道』に対して懐疑的である。つまり、日本人のルーツは黒潮に乗ってやってきたという説は信じがたいと考えている。なぜなら、黒潮にのることは目的地を意識しない漂流であり、これは世界地図を知っている現代人の発想であるというのだ。私たちの祖先はそんなギャンブラーではなく、日本を目指してやってきたはずだ。だが、その方法がわからない。頭を真白にして三万年前に生きていた私たちの祖先と同じように考える。そこがスタート地点だ。

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人生は噛みしめるように生きる 田口佳史先生

photo_instructor_856.jpgかなりドラマチックな転機を迎えた田口佳史先生。25歳の時、ドキュメンタリー映画の撮影のため訪れたバンコク郊外で2頭の水牛に角で刺されてしまう。日本人の青年が入院していることを聞いた在泰邦人からの差し入れられた老子と論語、なかでも老子は田口青年の中にどんどん入っていく。

出でて行き
曰ち逝き
逝けば曰ち遠ざかり
遠ざかれば曰ち返る
入りて死す

「死ぬことはすなわち故郷に帰ること」、そう恐れることではない、その思いが強力な安堵感へとなり、ようやく眠ることができた。そしてこの経験から儒教、仏教、道教、禅仏教、神道を専門として、はや50年も古典を研究する日々を送っている。田口先生はこれらの分野に対して(その転機を考えれば当然かもしれない)、「生きる」というテーマで読む。

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回る大捜査線 清水聰先生

photo_instructor_851.jpg何の商売をしていても集客、とりわけ購買者を得るのは大変だ。日本語ではひと口に「客」というが英語ではこの辺りの区分けが厳しく、「visitor」(訪問者)、「customer」(購入者)と分けて呼んでいる。アメリカのとある店の店内放送で「Good morning, ***(店名) customers!」と流れてきた時には「アメリカではvisitorは挨拶されないの?」と仰天した。日本でなら新聞のコラム欄辺りに何か書かれてしまいそうである。そんなvisitorをcustomerにするためにはどうしたら良いのかのマーケティング提案が今回の清水聰先生の講演「新たな顧客マネジメント~循環型マーケティングの提案~」であった。

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日産はいかにしてV字回復したか  志賀俊之さん

photo_instructor_848.jpg1986年プラザ合意。急激な円高によって、それまで順調だった日産自動車は赤字に転じた。その危機的状況から、いかにしてV字回復を遂げたか。一言で表すなら「レジリエンス(Resilience)」であると、志賀俊之さんは冒頭で力強く述べた。現日産自動車副会長であり、倒産危機に陥ってから復活するまでカルロス・ゴーンのもとでその手腕を発揮してきた。レジリエンスとは「はねかえす力」であり、演題も「変革を支えるレジリエントオーガニゼーション」である。日本語で言うなら「危機的状況をはね返す力のある組織」といったところであろうか。

1990年代のマーケットシェアの恒常的低下、積み上がった負債から、いかにして今の状況まで回復できたのか。志賀さんにはレジリエントの6つの要素を自問自答形式でお話しして頂いたが、ここではその中でも組織だけでなく個人レベルでも重要だと思える3点に焦点をあてて論じてみたいと思う。

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IoTが連れてくる、人間味あふれる世界

photo_instructor_847.jpgアメリカで過ごした中学時代からプログラマーとしてのキャリアをスタートし、大学在学中に起業して生体認証の新技術を開発し成功をおさめた齋藤ウィリアム浩幸さん。この経歴を聞いただけで、間違いなく「天才」 だということがわかる。
現在は日本でアントレプレナーへの支援活動をおこなう傍ら内閣府本府参与としての顔も持つ超エリートだが、壇上では第一声からフレンドリーな雰囲気をかもしだし、自己紹介にはご自分の失敗談も盛り込んで見事にアイスブレイクされていた。

「ムーアの法則」がもたらすIoT

今回の講演の軸のひとつとなっていたのは、「Moore's Law=ムーアの法則」だ。これはインテル社の創業者のひとりであるゴードン・ムーア氏が提示したもので、「半導体、ストレージ、センサーは、2年ごとにパフォーマンスが2倍になる。もしくは値段が半分になる」というもの。
齋藤さんは、「ムーアの法則に従ってトランジスタ、コミュニケーション、ストレージ、センサーの4つの要素が利用しやすくなったおかげで、IoT(Internet of Things)が実現可能になりました」と説明した。

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人生は感謝を見つける旅である

空前の落語ブームだと言われる。夏にはビジネス誌が落語特集を編むほどである。現在、落語家の人数は800人。過去最大の規模だという。
日本の伝統芸能は世襲制が中心なので、落語界も二世、三世が多いのかと思っていたが、柳家花緑師匠によれば、世襲落語家はせいぜい30人程度。実は実力主義の世界のようだ。
確かに、これまで夕学に登壇いただいた落語家(柳家喬太郎金原亭馬生春風亭一之輔)は世襲落語家ではなかった。

photo_instructor_840.jpgそんな中で、花緑師匠は、落語界初の人間国宝 五代目柳家小さんのお孫さんにあたる。飛びっ切りの血筋である。しかも入門からわずか7年、戦後最年少の22歳で真打ちに昇進したという超実力派でもある。
45歳にして芸歴30年。古典から新作までなんでもこなし、落語界を背負って立つ存在の一人といえるだろう。

講演のタイトルは「笑いと感謝」。それが、花緑師匠がいま思うことだという。
「笑い」というのは落語の効能と言っていいだろう。夕学にも登壇された筑波大名誉教授の村上和雄先生の研究を引き合いにだして話してくれた。
村上先生が吉本興業との共同研究で明らかにした「お笑いを聞くと糖尿病患者の血糖値が改善する」というユニークな研究結果である。
「笑い(落語)は身体に良い」のである。

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雑学が世界に彩りを与える―科学で斬るベースボール 矢内利政さん

photo_instructor_855.jpg私は野球にうとい。野球好きの主人から「カーブ」「シュート」「スライダー」の違いを何度聞いたかわからないが、いまだに覚えられない。

ではなぜ今回、野球をテーマにした矢内利政先生の講演を聞こうと思ったかといえば、過去にこの夕学五十講に出席してきた経験からすると、自分の関心領域から離れている講演は面白い、という実感があるからだ。野球、それも「スポーツ科学」という自分から遠く離れた分野の講演は、「わからなくて当然。発見があればラッキー」とでもいうような安心感があり、私は肩に力を入れることなく丸ビルに足を運んだ。

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好きなことと役立つことを両立する 向谷実さん

photo_instructor_846.jpg 今回は、ジャズフュージョン・バンド「カシオペア」のキーボーディストである向谷実さんのお話を伺った。「好きなことをビジネスに変える」というお話であったが、向谷さんのお話を聞いて思ったのは、その好きなことがきちんと他人の幸せに繋がっているということ。好きなことを追求する姿勢の中にも、自分と社会との繋がりを欠かしていないことに向谷さんの信念が伺えたような気がする。だからこそ、そのビジネスに対価を支払ってくれる人がいるという当たり前の話なのだけれど、この感覚をすべての経営者が持ち合わせているのかと言われると、そうでもない気がする。

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異次元緩和と財政ファイナンス 池尾和人さん

photo_instructor_845.jpg「マネタリーベース(ベースマネー)という言葉は、本来、大学の経済学部で金融論の授業を取った人にしかわからない専門的用語のはずだ。それが、金融・財政政策の焦点として一般的に論じられるようになった・・・」

金融論の第一人者 池尾和人教授はそう言う。まさにその通り。だからこそ12年振りに夕学に登壇いただいた。

今年の6月7日、8日の日経新聞「経済教室」に、「ヘリコプターマネーの是非」と題して、日銀のマネタリーベース(ベースマネー)をテーマにした特集が組まれた。紙面上で、否定的な立場で登場した専門家が池尾先生であった。

マネタリーベース(ベースマネー)とは、日銀の現金と貯金準備高を意味する。これを裏付けに財政出動がなされることを「財政ファイナンス」と呼ぶ。
「財政ファイナンス」は、国債発行による財政出動に限界が見えてきた日本の財政政策の次の一手として、このところ急浮上してきた言葉である。
2013年以来政府・日銀の異次元金融緩和は、「財政ファイナンス」の領域に入っているのではないかという指摘もある。
たしかに「日銀が、輪転機をぐるぐる回して紙幣を発行すればよい(市場にお金が流れ、経済活動が活発になる)」という発言を総理就任前後の安倍首相もしていた。
すでに、日銀は、年80兆円のペースで市場から既発国債を買い上げており、その保有残高は400兆円を越えたといわれている。

今年9月の「総括的な検証」を転換点として、日銀は異次元緩和政策の誤りをはっきりと認めないままに静かに表舞台からフェードアウトした、との池尾先生の弁でもわかるように、6月時点とは金融政策への関心が少し様変わりしているが、基本的な状況は何ひとつ変わっていないであろう。

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ザ・ストーリー・オブ・ムネハル・オザキ

photo_instructor_858.jpg貧しい生活だった。
1億円の借金をして、食肉用の牧場をはじめた親父は借金まみれであった。 
56歳になった尾崎宗春は子どもの頃の記憶を甦らせる。
牛は飼育しているが、高級品である牛肉なんて食べたことがなかった。
情けない。子ども心に「親父のようにはなりたくない」と思い、自分は安定した公務員になるんだと心に誓った。

高校は宮崎ではなく、大阪にあるPL学園に通った。1970年代半ばのことである。これが宗春にとっての転機となった。
大阪の街には、疲れ切った顔で会社に向かうサラリーマンであふれていた。
ふと、故郷の親父の顔が脳裏に浮かんだ。
中卒で借金まみれだが、生き生きと牧場で働く親父の顔が懐かしくなった。
目を閉じて考えた。親父のようになりたいと思った。
目を開けると公務員になる夢は消えていた。
高校卒業後、4年間は親父のもとで畜産の基礎を学んだ。
しかし、それだけでは何かが足りないと感じた。
もっと上を目指したい。自分は世界一になりたい。
「そうだアメリカで勉強しよう」と宗春は思った。

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その極意とは 前田鎌利さん

photo_instructor_839.jpg満員の聴衆の顔触れは様々、しかしやはりビジネスの現場で奮闘する20代から40代が多いのが「日本文化」がテーマの講演では珍しく思った。通常、文化をテーマとした講演だと参加者の大半は女性かあるいは年配の人だからだ。かつては書道や詩歌、茶道を嗜んでおくことが男性でも教養であったはずなのに、いつからか日本男性は文化から遠ざかっている。奇妙な話だ。オペラや美術館に積極的に繰り出す女性との会話のずれもやむなし。「男女の会話のずれはなぜ生じるか」夕学の講演で取り上げて欲しい。

話を前田鎌利氏の講演に戻す。それだけ参加者が詰めかけたのもプレゼンへの関心が高いためで書籍や研修テーマとしても大変人気がある分野だ。前田氏は「書家」、「起業家、プレゼンテーション・クリエーター」、「夫・父」の3分野を挙げ、気持ちの上では7割が書家だという。

5歳の時から書の世界に入り、教職に向け勉強するが故郷ではそのポストの空きがなかった。そんな時に阪神・淡路大震災が起き、「繋がる」ことの重要性を感じて光通信に就職、飛び込み営業を始める。そして携帯電話が固定電話より多くなった2000年にJ-Phoneへの転職からソフトバンクで働くようになった。孫正義氏と柳井正氏の対談の企画(もちろんプレゼンテーション資料作成も)や、ソフトバンク、JAXA、JINSなど多数企業やイベントのロゴやメッセージを揮毫。さらには全国に書道塾15校500人の生徒を持ち、プレゼンテーション・スクールを展開するなど多彩な活動を行っている。

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前田鎌利さんの書「念」を公開!

昨日、ご講演いただいた前田鎌利さんが講演のなかで書かれた"念"の一文字。いつも気にしている強い思いという意味で、"おもい"と読まれていました。ご本人の了解をいただきましたので、アップいたします。

前田鎌利氏の「念」夕学五十講にて.JPG

鎌利さんのFacebookでも公開してくださいました。
https://www.facebook.com/kamarimaeda


田中角栄は「天才」なのか―金権政治と人間的魅力―

photo_instructor_844.jpg日本列島改造論、日中共同声明、ロッキード事件。田中角栄といえば、功績と罪過を残した人物である。しかし、早野透教授が過去の文脈で角栄を語ることはない。現代の政治にIfを付け「もし角栄だったら」という視点で、独自の「田中角栄論」を語る。

元朝日新聞記者で角栄のバンキシャ、そして現在では桜美林大学名誉教授。今回の講演は「体制と政策を考える」というクラスターに分類される。しかし、視点は「人間田中角栄」であった。つまり、金権政治と非難された角栄像だけではなく、人間としての魅力を存分に語って頂いた。それは人間関係を築くにあたって、または強いリーダーシップを発揮するにあたって非常に役立つ内容であったと感じる。また、質疑応答では、石原慎太郎が言うような「天才」だったのかについても言及して頂いた。

とはいっても、何から書いていいのやら...キーボードを打ちながらもまだ悩んでいる。講師には様々な内容を盛りだくさんに話す先生もいる。しかし、早野教授のお話はいくつかのトピックがありながらも「かくして田中角栄という人物は魅力的なのだ」という結論に落ち着いてしまうのだ。つまりは角栄の魅力に抗えない一人なのである。

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小川和久氏に聴く、「国際水準から見た日本の危機管理」

photo_instructor_843.jpg「外交・安全保障・危機管理、この三つは日本の数少ない苦手分野。四方を海に囲まれ、海に守られてきたこの国は、危機に遭遇した経験に乏しい。なのに、その自覚すら不足しているため、ともすれば国内でのみ通用するレベルの危機管理で自己満足しがちである。私が演題にわざわざ『国際水準』と謳ったのは、国際水準をクリアしていなければ、それは危機管理とは言えないからだ」

そう喝破して、小川和久氏は、目覚めの冷水を会場に浴びせながら90分間のマシンガン・トークの口火を切った。

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マネージャーになる・育てる・幸せになる! 松尾睦先生

松尾睦経済規模がなかなか思うように大きくならず、AIのように自分で経験を積み人間の仕事を代替する機械まで現れた。私たちは、昨日していた自分の仕事は明日なくなるかもしれないという不安が多くの人の心の片隅に常に陣取っているような時代で仕事をしている。諸先輩方に至っては、自分がエースだったころの仕事の仕方なんぞは通用せず、どうにかしてこの時代を切り拓く後世を育てたいという熱い思いのやり場を、探しているように見える。会場は、そんな諸先輩方が多く詰め掛け、私のように背伸びをして「マネージャーの育て方・なり方」の講演にお邪魔する若輩者は少数派であった。

だが、北海道大学大学院経済学研究科教授の松尾睦先生のお話はそんな部下の育て方やマネージャー予備軍である自分がどのように道を歩むべきかを教えてくれた。

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個人でもチームでも最大限の力を発揮する方法 井原慶子さん

photo_instructor_838.jpg2014年、バーレーン。サーキットへと向かう井原慶子さん。これで最後のレースにしようと思った。有終の美を飾るために負けられない戦い。しかし、リーダーが連れてきたメカニックは、今日が初めての新人キャサリンである。女性だから力が弱く、シートベルトをつけてもらうのに8秒かかった。男のボブがやれば1秒である。負けると感じた―――。そこに、リーダーがやってきた。

「ケイコ、新人のキャサリンはどう?」
「もう最悪よ」
「そうだろ。でも、キャサリンが来てくれたおかげで、ベルトの締め方から、器具の効率的な並べ方まで、多くの改善点が見つかったじゃないか」

結果、このレースでは初のアジア人女性として表彰台に上がれた。同じ女性なのに、新人の女性メカニックでは勝てないと感じたことを恥じた。レース後のリーダーの言葉が胸に響いた。

「新人は本番で育てる。その決断が出来なければリーダーじゃない」

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宇宙生命は存在する、たぶん 渡部潤一さん

photo_instructor_837.jpg夕学五十講は10回以上聴講しているが、講演の数日前からワクワクしたのは初めてだ。
ワクワクの理由はなんといっても「宇宙生命は存在するか」という本講演のテーマ。
テレビ番組の「宇宙人」特集に親しみ、友達のUFO目撃証言に興味津々な子供時代を過ごした私にとって、地球外生命は長いあいだ畏怖の対象であり、友達であり、フィクションでありノンフィクションだった。いるのか、いないのかーーいよいよその答えが出るかもしれないのだ。ワクワクしないわけにはいかない。

分からないからおもしろい

講演は、2013年にロシアのチェリャビンスク州に隕石が落下したときの、緊迫感ある映像からはじまった。空を切り裂く隕石、落下の衝撃波で割れるガラスの様子など、いま見ても恐ろしい光景だが、この隕石落下事故は世界中の天文学者の誰も予測しない出来事だった。

その一方で、この事故の翌日に小惑星が地球に接近することは予測されていた。
講師の渡部潤一さんは、この小惑星接近に関して事前にニュース番組の取材を受けていた。ところがロシアの隕石落下事故が起こったため、そちらについても急きょインタビューが組まれた。緊急事態ゆえ、カメラに映る渡部さんは普段着姿だ。実際のテレビ画面をスクリーンに映しつつ、「30分のニュース番組に同じ人物が2度、それも衣装を変えて出演したのは相当めずらしいことだそうです」と話して会場をドッとわかせた。

そう。テーマもさることながら、渡部さんのお話は大層おもしろい。映像を交えたりちょっと自虐的なネタを挟んだりして、客席を飽きさせないのだ。講演がはじまって20分ほどで、会場全体が渡部さんのペースに心地良く巻き込まれていくのが分かる。

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廣瀬キャプテンに聴く、「傍に立つ者」の覚悟

廣瀬俊朗2015年9月19日、イングランド・ブライトン。ラグビー日本代表のワールドカップ本大会初戦の相手は世界ランク3位の強豪・南アフリカだった。賭け屋の倍率は日本の34倍に対し南アフリカは1倍というのだから、そもそも賭けにもならない。なにしろ日本がワールドカップの舞台で勝利を収めたのは24年前の一度きり。下馬評はそれほどあからさまだったが、グラウンドに立った代表選手たちの胸には秘めた思いがあった。
そしてその戦列に、グラウンドに立つことを誰よりも熱望していた男の姿はなかった。

元日本代表キャプテン、廣瀬俊朗氏。
高校日本代表、慶應義塾大学、東芝、そして日本代表。その錚々たるキャリアの、いずれのチームでもキャプテンを務めてきた、文字通り「日本ラグビーの牽引者」のひとりだ。
2012年、日本代表の再建を託されたエディー・ジョーンズ氏がヘッドコーチに就いた時、勤勉なハードワーカーとして知られる名匠が「自らの理念を理解しチームへ浸透させる力」を基準に選んだキャプテンが、廣瀬氏だった。

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トランプ躍進の陰に「反知性主義」あり 森本あんり先生

photo_instructor_836.jpgもしトランプが大統領になったら、アメリカはどうなるのか。日本は、世界は――。来る11月8日の米大統領選挙を控え、世界が固唾を呑んで見守っている。10月末の現時点ではヒラリーの圧倒的優勢が見込まれているものの、まさかのどんでん返しがあるのでは、という一抹の不安は消えない。実際、これまでもトランプは思いがけず"いい勝負"をしてきたのだ。
移民の脅威やオバマへの失望、ヒラリー嫌悪の高まりといったトランプ人気の理由をいくつ挙げられても、あそこまで極端な人物を支持するメンタリティはやはり理解し難い。その不可解を、森本あんり氏が少なからず氷塊してくれた。

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細胞からその先は 上田泰己先生

photo_instructor_842.jpg専門外の人に専門性の高い話をするのは大変だ。説明できてもどれだけ理解しているか、全体や詳細を、はたまたその趣旨を本当に理解しているかなどは話し手には本当のところ理解しようがない。研究の必要性や有用性のみを話しても研究する喜びやワクワクする気持ちは伝わらず、それが伝わらなければ「何も伝わらない」。

上田泰己先生の講演は、研究の説明とワクワク感が上手く調和し、表現されたものだった。始まりはジョルジュ・スーラの有名な点描画を紹介し、点のように単純な「要素」によって絵が構成されているように私たちの体も同様ではないかと美しい例えからである。

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坐禅で"型"から解放される 平井正修さん

平井正修平井正修さんが住職をつとめる全生庵は、安倍晋三首相がたびたび訪れたり、中曽根康弘元首相が現職時代に週1ペースで通っていた寺として知られている。

安倍さんや中曽根さんが全生庵に足を向ける目的は、坐禅だ。
坐禅――例のポーズや、お坊さんにうしろからペチンと叩かれるシーンはテレビで見たことがあるが、いったい何のためにやるのか、やるとどうなるのか。
坐禅について知りたいことは多々あるが、平井さんのお話は全生庵を建立した山岡鉄舟の生涯をふりかえるところから始まった。

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リーダーになるのはそれほど難しいことじゃない 日向野幹也さん

日向野幹也あなたの周りでリーダーシップのある人といって思い浮かべるのは誰だろう。同じ会社の直属の上司を挙げる人もいるだろうし、憧れの経営者に思いを馳せる人もいると思う。
早稲田大学大学総合研究センター教授の日向野幹也先生のお話を聞いて、内向的な同僚や影からのサポーター的存在であった先輩だって職場でリーダーシップを発揮していたのだということに気づかされた。 日向野先生が提唱するリーダーシップ像を知った後は、私と同じように隣の席のあの人や、もしかしてあたしだってリーダーであったということに気づいてもらえると思う。

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作られたイメージ 井上章一さん

井上章一講演タイトルからして京都への屈折した思いが語られるのかと思いきや、京都の話はほとんど無かった。講演中、私は心の中で何度も呟いた。「関西の人の話って本当にサービス精神旺盛だ」それほど井上章一氏の講演はたくさんの興味深い話題と笑いで満ちていた。

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第25回 7/29 (火) 阿刀田高さん

takashi_atouda.jpg最終回、第25回7月29日(火)にご登壇いただきますのは、作家の阿刀田高さんです。

阿刀田高さんは、これまで40年以上にわたる執筆活動のなかで、900篇以上の作品を生み出してこられました。第81回直木賞ほか数々の授賞もされてこられました。日本ペンクラブ第15回会長、また、1995年から今年の1月まで、なんと19年間、直木賞選考委員も務められました。間違いなく現代の日本を代表する作家のおひとりでいらっしゃいます。

さて、阿刀田さんといえば、ブラックユーモアの短編小説、そして「知っていますか」シリーズです。

ちょっと不思議で、ちょっと怖くて、思わず笑ってしまう。日常にありそうで、自分にも思い当たりそうで、思わずドキリ。短編小説はそんな独自のブラックユーモアにあふれています。

「知っていますか」は、ギリシャ神話、聖書、古事記、源氏物語と次々、古典を容易に読み解いたシリーズ。それまではちっともわからなかった、わかる気がしなかった、古典はこんなに面白いのか!と次々出会いえた私もその一人です。

「古典を読むには原典をたどるのがいちばんよいが、読むべき古典が多すぎる。質のよいダイジェストにも意味があるのではないか。」

阿刀田さんのそんな思いも込められています。

そんな阿刀田さんご自身の、"創造の井戸を掘り下げてきた"経験をまとめられたのが、『知的創造の作法』です。今回の講演タイトルでもあります。

知的創造の達人がその作法を種明かししてくれているのですから、面白いに違いない、わかりやすいに違いない、そう思われた方きっとご期待にお応えする講演です。「知的創造の作法」、皆さんとご一緒に学んで、ちょっと考えて、おおいに楽しんでみたいと思います。(湯川)

第23回 7/15 (火)  山口晃さん

akira_yamaguchi.jpg7月15日(火)にご登壇いただきますのは、画家の、山口晃さんです。

オートバイに乗った戦国武士。
六本木と江戸が一体になった街。

ふだん日本美術や現代アートにあまり馴染みのない方でも、「ああこの絵の」と山口晃さんの作品をご覧になったことがあるのではないでしょうか。絵画や襖絵、小説の挿絵や装丁などと幅広くご活躍です。

山口さんの絵は、時代が縦横無尽に行き交って、なんとも発想の面白い作品です。そして絵をよく見ると、とても細密で、描写は鋭く、発想と技術の突飛さがまたとても面白いのです。浮世絵のような、大和絵のような、そして、漫画のような。日本の伝統と現代の息づかい、両方を同時に感じさせるところも面白いなあと思います。山口さんのなかでは時空がどんなふうにできているのでしょうか。
そんな山口さんが、画家・絵師の目線から日本美術の有名作品の背景や魅力を解説する著書を出されました。

ヘンな日本美術史』(祥伝社)

2013年の小林秀雄賞を授賞されたことでも話題となりました。

小林秀雄賞は、文芸評論家 小林秀雄の生誕100年を記念して創設された学術賞で、日本語表現の豊かな著書(評論・エッセー)に贈られています。山口さんは、初めて、画家として授賞された方でした。それもすごいことです。
「読んでおもしろい」からだというのが授賞理由でした。読んでみるとたしかに読み物として面白い。それに自分が思いもしなかった突飛な切り口から鑑賞や解説をされるので日本美術を知る、観るのがますます面白くなりました。

面白がり、面白さを伝え、面白さを絵で表現する山口さんが「私見」で語ってくださる「日本の古い絵」。お話も、山口さんにお会いすることも、とても楽しみです。(湯川)

第22回 7/11(金) 松井忠三さん

tadamitsu_matsui.jpg第22回 7月11日(金)にご登壇いただきますのは、株式会社良品計画 代表取締役会長の 松井忠三 さんです。

MUJI」」といえばいまや、誰もが知る、日本が誇る、世界のブランド。
そして誰もに身近な生活ブランドでもありますね。お住まい、通勤途中、オフィスなど皆さんの街にも、1つ2つ店舗があって、お買い物または利用されたことのある方も多いのではないでしょうか。

「無印良品」が提案した、シンプルな暮らしはとても斬新なものでした。その「シンプルさ」に、ぎゅっと、経営とブランド力のエッセンスも圧縮されているに違いありません。そう感じさせる松井さんの著書のタイトル。

無印良品は、仕組みが9割 ―仕事はシンプルにやりなさい(角川書店、2013年)

今回の講演は、本著を入口にしつつ、無印良品V字回復の軌跡、それを実現した松井さんの経営手腕の実績、松井さんの持論や思い、じっくりお伺いしたいと思っています。

無印良品は現在、世界24ヶ国に、258店舗。2014年2月期の連結純利益予想は、前年比56%、予想を35億円上回る、177億円です。しかし常に順調であったわけではありません。

松井さんが社長に就任された2001年当時も、無印良品の業績が低迷していたころでした。大学卒業後、西友ストア(現西友)に入社、1992年に無印良品に移ります。以来12年、"無印良品とともに"仕事をし、経営されてきたのが松井さんです。

「無印良品」の価値、価値観に、たちもどった経営をしてきた、自信をもっているからこそ、「シンプル」というキーワードで振り返り、語ってくださっているのだと思います。仕事もマネジメントも生活も、シンプルにできたらいいなあ、シンプルっていいなあ。憧れも重なり、MUJIのシンプルさへのヒントがあるに違いない、そんな期待いっぱいで私も講演を楽しみにしています。(湯川)