古くて新しいアジア・太平洋戦争 吉田 裕さん保阪正康さん

吉田 裕保阪正康歴史とは思い出すもの、と批評家・小林秀雄は言った。真意はいずこにありやと考え続け腑に落ちた実感はまだないが、それでも夏には、いやがおうにも戦争を〝思い出す″。

8月15日の敗戦記念日に前後して放たれるテレビのドキュメンタリー番組や映画、マンガ、アニメ、小説――幼少期から中年になるまで、相当量の戦争コンテンツを浴び、それなりに知識を蓄積した気になっていた。しかしながら、いまだ日本の近現代史・軍事史が緒についたばかりの若い学問で、にもかかわらず研究のための史料は先細る一方という。愕然とした。

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信長がわかれば日本史がわかる 安部龍太郎さん

安部龍太郎日本史の三大謎は何か、と問われた時、「邪馬台国と卑弥呼」「坂本龍馬の暗殺」と並んで挙げられるのが「本能寺の変」であろう。
信長が光秀に討たれた理由については諸説があり、いまだに多くの謎を秘めている。

デビューから30年余り、戦国時代を舞台とする歴史小説を数多く著してきた安部龍太郎氏にとっても、信長は最大の謎である。

信長がわかれば日本史がわかる。
安部氏はそう言う。私なりに注釈させていただければ、信長がわかれば、一般的な歴史理解では捉えられない、大きな視野で戦国時代を捉えられる。そう考えているのかもしれない。

信長、ひいては戦国時代を考えるうえで、一般的な歴史理解では不十分な点として安部氏が指摘するところは下記の2点である。

1.時代の決定要因として外交・貿易問題がきわめて大きかった
2.戦国は、高度経済成長、重商主義の時代であった

まずは、1の外交・貿易問題について。
戦国の合戦を語るうえで鉄砲隊の活躍は欠かせない。鉄砲伝来からまもなくして火縄銃の国産化がはじまり、近江の国友、紀州の根来、和泉の堺など、鉄砲の主要生産地が栄えていた。しかし、鉄砲の主要資材の多くは日本にはなかったという。

砲身の内側に使う軟鋼。引き金のカラクリに不可欠な真ちゅう。火薬の硝石。鉄砲玉の原料となる鉛。いずれも輸入品か、国内ではわずかしか産出できない材料であった。すべて南蛮貿易によって外国から輸入する必要があった。

そこには、イエズス会の介在、キリシタン大名の躍進、堺の豪商の活躍があった。長篠の戦いでは90万発、10トンの鉛が、信長の鉄砲隊から武田軍に放たれたという。戦国最強と言われた武田騎馬軍団は、外国貿易の賜物である鉄砲によって敗れ去った。

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高橋祥子さんに聴く、「パーソナルゲノムが拓く未来」

高橋祥子...自分の運命を知りたい。
というのは古今東西を問わず人類共通の願望だろうか。水晶玉を覗いたり、神の啓示に耳を澄ませたり、占い師のご宣託に一喜一憂したり。自分の運命が書かれた葉っぱを読める場所がインドのどこかにある、という話も聞いたことがある。
しかし、メーテルリンクの「青い鳥」がそうであったように、世界中を探し回っても得られなかったものが思いがけず身近なところに存在していたりする。高橋祥子さんが教えてくれる「あなたの運命」の場合、その元となるデータは、あなたのパーソナルゲノムを解析して得られる遺伝子の情報だ。そう、運命はすでにあなた自身の中に書かれているのだ。それを読み取れていないだけで。

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お金の流れと子どもたちの未来 村上 絢さん

村上 絢「ねえお兄ちゃん、さっきテレビで言ってたんだけど『しきんじゅんかん』てなに?」

「資金循環?お金が流れることだよ」

「お金って流れてるの?まさか、私が夜寝てる間に起き出して動き出すとか!?」

「そういうことじゃないんだよな。いいか。身近な話だと、うちのおばあちゃんはタンスの金庫にお金をしまっているだろ。そうすると、お金はしまったまま使われないで、流れていかないんだ」

「それ、テレビでやってた!!世間では詐欺師みたいに言われてるけど、自分たちが息子のふりしてお年寄りたちの預金をもらって、そのお金でキャバクラに行って、キャバ嬢が儲かれば洋服や靴を買うから、自分たちは滞った経済に流れを作っているんだって、くもりガラス越しでおじさんが喋ってた!!」

「・・・。それオレオレ詐欺だから。流れてるけどそもそも犯罪だし持続性もないから。それよりも日本企業が儲けたお金を使わないで溜め込んでいることが日本経済にマイナスの影響を与えているから、お金をまわす=資金が循環していくようにしていかないといけないんだ」

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ワクワクする「デザイン」で産業を復活させよう 鷲田祐一先生

鷲田祐一「蛇 長すぎる」と断じたのはルナールだが、私は「デザイン 安すぎる」と不満に思っている。それどころかデザインは、そのままでは価値を認めてもらえないことすら、ある。
企業に見積りを出す際、工程にデザインが含まれる場合はいつも悩まされる。「デザイン行為そのものに値段をつけても監査が通らないから、データのファイル数だとか人日(にんにち)だとか、数えられる費目にせよ」と指示されるケースが多いからだ。
著作権の問題もそうだ。写真やイラスト、創作的表現の文章には、作られた時点で自動的に著作権が発生するが、デザインやアイデアには著作権は認められないとされている。
このように長年不当に日陰者扱いに甘んじてきた「デザイン」だが、それこそが日本の産業を復興させる原動力となるのだ!と熱く説くのが本日の講師、鷲田祐一・一橋大学大学院経営管理研究科教授である。

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