日本経済の機会とリスク 竹中平蔵先生

タケナカphoto_instructor_991.jpg慶應義塾大学名誉教授であり、東洋大学教授でもある竹中平蔵先生は、開口一番に「日本人は平成の時代に起きてきた海外の出来事について検証を行っていない」と警鐘を鳴らした。令和の時代がしなやかで強い時代であるために、捉えておくべき世界の事象とは何か。グローバルにコネクトされた社会を生き抜くために求められることは何か、考える時間となった。

我々の生きるこの世界では、戦後の世界的復興と同レベルのエネルギーを注いで、World Architectureを再構築することが求められている

スイスで行われている世界経済フォーラムのダボス会議では、各国の経済リーダーが集い、世界の安定的な成長に向けた様々なテーマを討議する。2019年は、ドイツのメルケル首相が提唱した「戦後構築したLiberal World Orderはうまく機能しておらず、我々の生きるこの世界は、戦後の世界的復興と同レベルのエネルギーを注いで、World Architectureを再構築することが求められている」というメッセージが観衆の注目を浴びた。ポピュリズムの台頭や米中対立の最中にある、現在の世界情勢を表すのにふさわしい言葉である。

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戦略的意思決定とは、見えない機会損失について考えることである 清水勝彦先生

katsuhiko_shimizu.jpg私たちは何かの機会(opportunity)を得る代わりに、何かの機会を失っている。それは他でもなく、時間やお金、身体等の資源が限られているからだ。その限られた資源を効率的に配分(投入)できる企業や個人が高い利益を生み出すことができる。

寓話『アリとキリギリス』で、アリが成功したのは勤勉で「遊び」という誘惑に打ち勝つ強い心があったからではない。限られた資源(時間、労働力)を効率的に配分(夏の間、遊びではなく食料の備蓄)したからだ。よって、目の前の快楽に気を取られ、まだ見ぬ冬のことまで注意を払えなかったキリギリスも「怠け者」という一言では片づけられず、夏の間に「食料の備蓄」という努力を投入するところを、全ての時間を遊びに投入してしまったというように資源投入に誤ったのである。キリギリスが夏中に遊んで人生を謳歌しないで、冬に備えて働いていれば、生活するに困らない食料を得ることができただろう。

この得られたはずの食料が機会損失、言い換えれば夏のレジャーのコストである。清水勝彦先生によれば、機会損失の問題はこのように「見える」ところばかりに気を取られ、「見えない」ことに注意を払わないから起こるという。

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第25回 7/31(水)吉田裕先生・保阪正康さん

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7/31(水)今期の最終回です。テーマはアジア・太平洋戦争です。


ご講演いただくのは一橋大学大学院社会学研究科 特任教授 吉田裕先生。そして、ノンフィクション作家 保阪正康先生を対談のお相手としてお迎えします。

吉田裕先生の近著『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)が話題となりました。13万部を記録。徹底した第一線の兵士の目線であることと、歴史学者による一冊であったことが本著を特徴づけていました。

吉田先生は日本近現代軍事史、日本近現代政治史をご専門に、長きにわたり一橋大学で教鞭をとられるとともに、アジア・太平洋戦争、日本の軍隊や徴兵制、日本人の戦争観などをテーマに著作をお持ちです。

保阪先生は日本近代史、特に昭和史をご専門とするノンフィクション作家です。前回「昭和天皇実録」をテーマにご登壇いただいた『夕学五十講』にご来場くださった方もたくさんいらっしゃることと思います。研究を重ね、延べ4,000人余の人びとに聞き書きを行ってこられた、といいます。今回はそんな保阪先生だからこそ、との思いからご登壇をお願いしました。

『夕学五十講』ではこれまでにも歴史や戦争をテーマとした講演を開催していますが、中でも私が印象に残っているのが4年前の「戦後70年、『学生と戦争』を考える」です。
軍隊を経験された3名の方々をお招きしました。戦後70年たった今だからこそ、と、初めて語ってくださったお話もありました。実際に目撃し体験したお話を生で伺えた貴重さと同時に、その重みをとても感じました。そして、戦争の記録・記憶の継承の重要さと難しさについても考える機会となりました。今回は、私の中ではその続きの位置づけです。

テーマは「兵士達が見たアジア・太平洋戦争」。研究者とノンフィクション作家の先生方が語り合う"兵士の目線"による戦争の現実。皆さんとじっくり伺うとともに、私たちも新たな角度から戦争について見つめてみることできたらと思っています。(湯川)

・演題「兵士達が見たアジア・太平洋戦争」
※講演60分、対談30分、質疑応答30分の構成です。
・吉田 裕氏 
・一橋大学大学院社会学研究科 特任教授 講師プロフィール
・保阪 正康氏 
・ノンフィクション作家 講師プロフィール

第24回 7/17(水)安部 龍太郎さん

ryutaro_abe.jpg7/17(水)にご登壇いただくのは作家 安部 龍太郎さんです。

安部龍太郎さんは『血の日本史』で1990年にデビュー、2013年には『等伯』で第148回直木賞を受賞。皆さんご存じのとおり現代を代表する人気の歴史小説家のお一人です。私もいつか実現したらいいなと楽しみにしていました。

直木賞受賞作である『等伯』は、日経新聞の連載中から、話題となりました。
長谷川等伯といえば代表作『松林図屏風』。
この絵のことは知っているがそのすごさや描いた画家のことはあまりよく知らない、そんな読者も圧倒的に多かったなか、安部さんによって、躍動的で、力強く、生き生きとした長谷川等伯が描き出されたのでした。
歴史小説の面白さに引き込まれた、私も一読者、一ファンの一人です。

そんな安部さんが、歴史小説家になって三十年、ずっと取り組んできたテーマがある、とおっしゃいます。それが織田信長。『信長はなぜ葬られたのか』『信長になれなかった男たち』など作品もありますが、そこにとどまらない尽きぬ探究心や情熱を言葉に感じます。そしてそれが今回の講演実現にもつながりました。

「彼のことが分かれば日本と日本人が分かる。そう思ったからです。」
と安部さん。しかし追いかけ続け何がわかったか、といえば、なぜ信長がわからないか。そしてそこが面白い、そうに違いない、と今からわくわくするのです。信長を通じて眺める戦国時代、信長をとおして観る日本と日本人、作家 安部 龍太郎が描く "新しい歴史観" 楽しみでなりません。(湯川)

・安部 龍太郎
・作家
・演題は「信長はなぜ葬られたのか」
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第23回 7/11(木)高橋 祥子さん

syoko_takahashi.jpg7/11(木)は株式会社ジーンクエスト 代表取締役、株式会社ユーグレナ 執行役員バイオインフォマティクス事業担当 高橋祥子さんにご登壇いただきます。

ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか?

誰もがドキッとするような高橋さんの著書タイトル。テクノロジーの進歩によって、生物学にも大きな変化が生まれているといわれますが、生命科学の根本情報であるゲノムの活用は私たちの生活、世界を大きく変えるとされています。

高橋さんが代表を務める株式会社ジーンクエストは、生活習慣病など疾患のリスクや体質の特徴など約300項目以上におよぶ遺伝子を調べ、病気や形質に関係する遺伝子をチェックできるベンチャービジネスを展開しています。

ゲノム解析はデータ収集から始まる
と、言われるほどに、ゲノム解析では膨大な人々からの膨大なデータが必要です。その一方で、倫理的、法的、社会的問題を生み出すこともあり、その点において、遺伝情報を扱われることに対する私たちの不安や恐怖感が存在することも間違いありません。

今後も加速度的に進歩を続けるテクノロジー。生命科学のテクノロジーにはどのようなメリットとリスクがあり、有効活用するためにはどうすればいいのか、未来に向けた思考はとても大切なことでしょう。

高橋さんは遺伝子解析の研究推進、正しい活用を広めることを目指し、大学院在籍中に日本初の個人向け大規模遺伝子解析サービスを立ち上げ、展開しています。高橋さんだからこそ見えていらっしゃるゲノムの活用の現状と未来についてお話し頂けること楽しみです。(保谷)

・高橋祥子さん
・株式会社ジーンクエスト 代表取締役
株式会社ユーグレナ 執行役員バイオインフォマティクス事業担当
・演題: 「パーソナルゲノムが拓く未来」
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