伝えられ、引き出され、やがてウットリ 魚住りえさん

photo_instructor_900.jpg「なんと小さくて華奢な人だろう!」

元・日テレの人気アナウンサーである魚住さんのお顔はよくよく知っていたが、壇上にあらわれた「ナマ魚住さん」はまるで少女のような風貌。自分と同い年とは思えないくらい、若々しくてキュートだ。

「みなさん、こんばんは」という第一声には、キリリとした美しさと甘さが同居している。おそらく、この一瞬で会場の男性陣のほとんどは魚住さんに恋してしまったのではないだろうか。

伝えやすく、引き出しやすい空気をつくるプロのわざ

アイスブレイクは自己紹介。ここで知った「魚住さんは関西出身者」という事実は、わたしにとっては意外だった。
しかし、話が進むにつれて「あ、なるほど西の人っぽいな」と感じさせられる場面がチラチラ見え隠れして、それがまた魚住さんの魅力につながっていく。ちょっとドキッとしてしまうような歯に衣着せぬ発言をしてみたり、あえて自虐っぽいことを言って笑いを取りにいったり。あれほどの美人さんにも関わらずサービス精神旺盛なのは、西のDNAがそうさせているのかもしれない。

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浅田次郎氏に聴く、「読むこと 書くこと 生きること」

photo_instructor_899.jpgすべての始まりに「読むこと」があった。
当代きっての小説家である浅田次郎氏だが、幼年時代、育った家には、本が一冊もなかったという。渇望感から学級文庫の本を読み漁り、読書欲を紛らわせた。今では信じられないが、当時は家庭でも学校でも、読書がさほど奨励されていなかった。その中で浅田氏は、現代の子どもたちがゲームに興じるような感覚で、ただ純粋に本を面白いと感じ、背伸びしながら読みまくった。
学級文庫には全五十巻の偉人伝があった。いろんな人生があった。その中で特に伊能忠敬に惹かれた。齢五十を過ぎてから全国をただただ歩き、地図にまとめたその姿に、何かしら感じるものがあった。

「書くこと」で世に出たのは遅かった。
早熟な才能も数多いるこの業界で、小説家になったのは四十歳。焦りはあったが、人生経験の厚みがモノを言い、ネタには困らなかった。「早成も晩成も、全集の厚みはほぼ同じ」。焦りの中で見つけた真理だった。

読む、とはどういうことか。

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。

川端康成『雪国』。その冒頭を、浅田氏は、朗々たる声で諳んじた。

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佐々木宏氏に聴く、いま、ドラえもんの目に映るもの

photo_instructor_898.jpg2016年8月21日、マラカナン・スタジアム。17日間に及んだリオデジャネイロ・オリンピックの閉会式は、次回開催地TOKYOによる8分間のプレゼンテーションで幕を下ろそうとしていた。クリエイティブ・スーパーバイザーを務める佐々木宏氏は、ここまでの道程を思い返していた。

リオは遠かった。東京からはちょうど地球の裏側。飛行機で来るだけで丸一日がかり。
予算もなかった。8万人規模の競技場に、送り込めたダンサーはわずか50人。時間もなかった。そもそも組織委員会が、このショーの企画を佐々木氏に依頼したのが、当日まで1年を優に切った前年の末のことだった。おそらくは、心当たりに悉く断られた挙句の、このタイミング。見渡す限り、逆境だった。

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恋愛問題に効く経済学!? 安田洋祐さん

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経済学は役に立たない?


正直に言おう。講演を聴き始めてすぐに、自分の失敗に気づいた。
テレビでお見かけする安田洋祐という先生は俳優並みの若きイケメンで眼福だし、マーケットデザインってマーケティングか何かの面白い話だろうな〜、くらいの軽い気持ちで受講申し込みをした私。
なのに、どうやら経済学の話だったようだ。そう、あの「憂鬱な科学」とも言われる経済学だ...。

経済学と聞いても、中高時代に習った"需要と供給""景気循環""インフレとデフレ""独占・寡占"や、大学の教養で習った"トレードオフ""インセンティブ""三面等価の原則""見えざる手"といった単語くらいしか思い浮かばない。新聞で"リフレ派"の文字を見れば、足裏マッサージの話かと思うほどのレベルだ。

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自分を育て、人を育てる 金原亭馬生さん、荻野アンナさん

photo_instructor_896.jpgphoto_instructor_895.jpg今回は、私にとって初めての対談形式による講演。しかも講演後に落語が一席設けられるだなんて、なんともスペシャルな回である。
本講演の開催日は10月31日。仮装してあてもなく群れている渋谷の若者たちに自慢してやりたい。

開演時間になり、壇上にあらわれたのは落語家の金原亭馬生さん、そして作家であり大学教授の荻野アンナさん。全く異色の取り合わせに見えるが、おふたりの関係はなんと「師匠と弟子」だそうだ。
「なぜフランス文学者が落語を?」と不思議に思ったが、驚いたことにフランス文学と落語には共通点が多い。
わたしは不勉強で知らなかったが、かのモーパッサンの小説も落語になっている。三遊亭円朝作『名人長二』の原作は、モーパッサンの『親殺し』だとか。原作の登場人物「ジョルジェ」が転じて「長二」になったそうで、ちょっと苦しいが、頑張ればなんとか転じられる(笑)

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