田中康平先生に聴く、「恐竜の残した手がかりに私たちは何を見出すか」

tanaka.jpg世界が変わって見える瞬間、というのがある。
周囲の物理的な構成は同じなのに、自己という鏡面に結ばれるその投影が、唐突に違った像を結びはじめる瞬間。
誰かの教えに導かれて、その新たな世界が見えてくるだけでもじゅうぶん心地よい。今は砂漠にしか見えないその場所に、数千万年前には確かに存在していた巨大生物の営みが、ありありと浮かび上がってくる、それだけでも。
ましてや、その世界像を理論的に創り上げたのが自分自身だとしたら、その喜びの深さは如何ほどか。
今から1億年ほど前、恐竜が跋扈していた時代を舞台に、研究者としてのそのような特権的な愉しみを享受してきたのが、筑波大学生命環境系助教の田中康平先生だ。

続きを読む "田中康平先生に聴く、「恐竜の残した手がかりに私たちは何を見出すか」"

自分で決める「新しい生き方・働き方」 島田由香さん

島田 由香

それまで散らばっていた思考が、ふとしたきっかけで全てがつながるような感覚を覚えることがある。私にとって、今回の島田由香さんのお話は大いなるきっかけとなった。

私はフリーランスのWebデザイナーなのだが、制作だけでなく講師業にも従事している。現在進行中の新入社員研修では、講師として技術を伝える以外に、社会人の先輩として彼らが抱えている悩みや不安に向き合う毎日だ。
新入社員たちのネガティブな感情を少しでも和らげて、将来の希望に変換してあげるにはどうしたら良いのか。なかなか考えがまとまらないこの時期に、島田さんのお話を聴けたのはラッキーだった。

続きを読む "自分で決める「新しい生き方・働き方」 島田由香さん"

五木 寛之「再・学問のすすめ」

五木寛之氏の履歴書

五木寛之

個人的な思い出話、学びや学問と関係のある話をするという。日経の「私の履歴書」を書く約束をしていたものの書けないそうで延期になっていると冒頭で静かに話す五木寛之氏。慶応を意識してからなのか『学問のすすめ』を取り上げた。340万部も売れた画期的な大ベストセラー、現代でも読まれているが五木氏は諭吉の啓蒙的な主張とは反対に本来学問はあまり役に立たないものではないかというのだ。色々な人が同様のことをいうが五木氏はどのような理由からそう思うのだろうと気になる。その理由にこそその人の個性が現れるからだ。

続きを読む "五木 寛之「再・学問のすすめ」"

石川 善樹「これからの日本と地球を考える視点:ウェルビーイング」

「奥の思想」とウェルビーイング

石川 善樹

石川善樹さんには、4年連続で夕学五十講に登壇いただいている。


毎年テーマを変えて、ご自身がその時々に抱いている問題意識を吐露するように語っていただく講演は、聴く側にとっても心地のよいものである。

今回は、家族の教えから講演が始まった。
ご祖父母が、幼い頃から繰り返し説いたのは「社会への奉仕」だった。長年保護司のボランティアをされていて、出所した元受刑囚の面倒を見ていたという。最後には、地元に多額の資産を寄付した。
石川さんは、ご祖父母から、世の為・人の為に生きることの気高さを学んだ。

続きを読む "石川 善樹「これからの日本と地球を考える視点:ウェルビーイング」"

第20回 7/20(火)鴻上尚史さん

photo_instructor_1082.jpg7/20(火)今期最終回にご登壇いただくのは作家・演出家 鴻上尚史さんです。

新型コロナウイルスに絡む差別やいじめ、風評被害につながる言動・・・コロナ禍は改めて、日本社会の同調圧力の強さを見せつけられ、いま「生きにくい」と感じている人が少なくないと言われます。

鴻上さんは、共著『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』にて、日本特有の「世間」から生まれる「同調圧力」は、コロナ禍のなかで凶暴化したとまで記しています。

昨今、多くの企業、組織では「多様性」の大切さが広く言われているにも関わらず、日本社会は「協調性」が強調される帰来は変化していないようです。

そこには、「多様性」を受け止めるのはとても難しいことであり、その時の手がかりとして「シンパシー(同情心)」ではなく、「エンパシー(共感能力)」が大切であると鴻上さんは仰います。

これまで、さまざまな演劇作品を演出し、共感を呼ぶ舞台を創り出してきたからこその鴻上さんの視点は、日本人が持つ社会観を熟知しているからこその作品の数々なのでしょう。

さらに、鴻上さんの雑誌面上で繰り広げられる人生相談は子育て、夫婦の不満、容姿、孤独・・・等々、「えっ、こんなことまで!」の内容に相談者に寄り添った丁寧な回答に、読んでいるだけで穏やかな気持ちにもなります。

個人と社会に寄り添い、時に俯瞰し客観視する鴻上ワールドを通して、日本が持つ世間のルールを解き明かしながら、生きにくさ、息苦しさから解放されるためのヒントを頂きたいと思います。(保谷)

・鴻上 尚史(こうかみ しょうじ)
・作家・演出家
・演題:「同調圧力とエンパシー」
プロフィールはこちらです
※本講演の見逃し配信はありません。