6/10(木) 中西進さん 「やまとごころを問う」

第13回 6/10(木)の講師は、奈良万葉文化館館長の中西進先生です。
「万葉集」の研究と普及に取り組んできた中西先生。80歳を越えた今も、朝日新聞に「万葉こども塾」という連載を持っています。
子ども向けに万葉集を分かり易く解説するという企画ですが、なかなかどうして、むしろ大人にお奨めしたコーナーです。私も必ず目を通しています。

ちなみ本日(3/19)の連載では、春をテーマにした歌が紹介されています。

うちのぼる佐保の川原の青柳は今は春べとなりにけるかも
                         (大伴坂上郎女)

雪解け水が流れ、まだ肌寒い川辺にあって、凜とした存在感とともに春を告げるネコヤナギの情景を思い浮かべることが出来る子どもが、いったいどれ位いるのか。ちょっと不安になりますが、信州の田舎で育った私には、春を実感できる歌だと思いました。

さて、今回の演題は「やまとごころを問う」でお願いしました。

しきしまのやまと心を人とはば、朝日ににほふやまざくらばな
                             (本居宣長)
万葉集ではありませんが、あまりに有名なこの歌をモチーフにしてお願いをしたものです。

中西先生は講演主旨について、次のように書いています。

つきつめたところ、日本人の心には3つの特徴がある。
(1)バランス感覚 (2)センスのよさ (3)進取の気性
また、アジア文化の中における日本の文化力は感傷力だといえる。
これは、インドの想像力、中国の論理力に対応するものであり、アジア文化の完成だといえる。

アジア文化の中で日本の位相を明らかにすることで、日本らしさが浮かび上がってくるということでしょうか。
日本とは何か、日本文化とは何かを考えたい人には、是非聴いていただきたい講演です。

この講演にご関心をお持ちの方には、下記の講演もお奨めです。
 ・4/22(木)莫 邦富 「中国から見た日本、日本から見た中国」
 ・6/1(火)坂本 光司 「日本でいちばん大切にしたい会社」
 ・7/13(火)柳家 喬太郎 「「落語」の噺」

6/1(火)坂本光司さん 「日本でいちばん大切にしたい会社」

第12回 6/1(火)の講師は、法政大学大学院教授の坂本光司先生です。

いま、書店のビジネス書コーナーで、ド~んと平積みされている本が、坂本先生の『日本でいちばん大切にしたい会社』二部作です。

地方の疲弊、空洞化が叫ばれて久しくなりますが、丹念に地方を見て回ると、数は多くないものの、卓越した技術や組織能力を武器に高業績を続けている企業があります。
坂本先生によれば、そういった優良企業には共通点があるそうです。
独自の経営理念を持っている。
短期の営利を追求しない。
企業を公器と考えている。
地域社会の中で果たすべき役割を認識している.
といったことです。

それらは、グローバル競争を志向している大企業が忘れてきた「日本的な経営」の美点ともいうべき特徴でした。
そういった企業を「日本でいちばん大切にしたい会社」と命名した所以がここにあります。
地域開発・中小企業を研究テーマにして、長年地方経済の現場を歩いてきた坂本先生ならではの慧眼と言えるでしょう。

企業の社会的責任やガバナンスについて盛んに議論が交わされていますが、私たちの周りには、正しい企業経営を行っている企業が数多く存在しているそうです。
その事例を紹介していただきながら「会社は何のために、また誰のためにあるのか…」について考える時間になればと思います。


この講演にご関心をお持ちの方には、下記の講演もお奨めです。
 ・5/18(火)佐々木 常夫 「仕事も家族もあきらめない」
 ・5/19(水)伊丹 敬之 「イノベーションを興す」
 ・6/10(木)中西 進 「やまとごころを問う」

5/25(火) 上野千鶴子さん 「男おひとりさまの生きる道」

第11回 5/25(火)の講師は、東大大学院教授の上野千鶴子先生です。
日本における女性学、ジェンダー研究のパイオニア・第一人者として、論壇で知られた上野先生。
かつては、パネルディスカッションの壇上で上野先生から舌鋒鋭く攻め込まれ、逆上あるいはシドロモドロ状態に追い込まれた男性研究者も少なくなかったと聞いております。
私の書棚には『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』なんていう本もあります。かつては戦闘的なイメージの方でありました。

三年ほど前に、久しぶりの書き下ろしとして発表されたのが『おひとりさまの老後』という本でした。

結婚していようがいまいが、世界一長生きの日本女性は、最後は「おひとりさま」になる(確率が高い)。そこで、元気なうちに、セーフティネットを準備し、予備知識を得ておこう!

という狙いで書かれたこの本は、発売一年少々で80万部を記録する大ベストセラーになったそうです。
「どうせ最後はひとりになるのだから、楽しく安心して暮らせるように、今から準備しときましょうよ」という上野先生のメッセージでした。女性の生命力を感じさせる文章です。

続編として出されたのが、今回の講演テーマでもある『男おひとりさま道』です。こちらも売れ行き好調と聞いております。

離婚・死別・非婚...理由はどうあれシングルシニアが増えていることは事実のようです。男の場合、女性の「おひとりさま」が直面する問題に加えて、「孤独」というやっかいな問題を抱えることになるとのこと。どうやら男の「おひとりさま」の方が道は厳しいようです。
だからこそ、女性を見習って、男も「おひとりさま」に向けた準備を元気なうちから考える。
そんな機会になればと思います。

この講演にご関心をお持ちの方は、下記の講演もお奨めです。
 ・4/12(月)内田 和成 「異業種競争戦略~事業連鎖で読み解く新しいタイプの競争
                -昨日の友は今日の敵-~」
 ・4/20(火)村上 憲郎 「世界で戦う仕事術」
 ・5/18(火)佐々木 常夫 「仕事も家族もあきらめない」

5/19(水) 伊丹敬之さん 「イノベーションを興す」

第10回 5/19(水)の講師は、東京理科大学 専門職大学院 総合科学技術経営研究科長・教授の伊丹敬之先生です。
伊丹先生は、夕学4度目の登壇です。私は、二年から三年経つと、伊丹先生の話が聞きたくなります。しかも、毎回直近の著書や研究テーマをモチーフにした新しいお話をしていただけるのが伊丹先生のすごいところです。

今回は2年前に東京理科大に移籍されてから取り組んでこられた「イノベーション」に関わるお話になります。
伊丹先生の魅力のひとつに「言葉にこだわる」ことがあります。(詳細はこちら
耳障りのよい経営学用語を使うことで、私達実務家が、「わかったつもりになる」「説明したつもりになる」ことを排し、自社の問題、自分自身の問題として状況に関わり、自分の頭で考え、自分の言葉で語ること、しかも説得力を持ったロジックとして持論を構築することを教戒しているように思えます。

イノベーションにおいても、
「筋のいい技術を育てる」「市場への出口を作る」「社会を動かす」という言葉を使っています。
そこには、イノベーションを興す「主体者」たらんとする人々に向けた力強いメッセージを感じます。
今回の講演でも、技術開発論ではなく、人間力学としてイノベーションを語っていただけるとのこと。 たいへん楽しみです。


この講演にご関心をお持ちの方には、下記の講演もお奨めです。
・6/1(火)坂本 光司 「日本でいちばん大切にしたい会社」
・7/20(火)小倉 紀蔵 「日中韓はひとつになれるか・・・文化・文明論的観点から」
・7/27(火)松本 健一 「日本の青春時代とは、何か~『坂の上の雲』にふれて~」

5/18(火)佐々木常夫さん 「仕事も家族もあきらめない」

第9回 5/18(火)の講師は、東レ経営研究所代表取締役の佐々木常夫さんです。

自閉症の長男に続き年子の次男、年子の長女が誕生。 しばしば問題を起こす自閉症の長男の世話、加えて肝臓病を患った妻がうつ病にも罹り20年の間に43回もの入院、3回の自殺未遂を起こす。 まだ子供が小さいときは、朝5時半に起き3人の子供の朝食と弁当を作り、夕方は会社を6時に出なくてはならない日々を過ごす。 育児、家事、介護に追いかけられる状況の中でも仕事への情熱を捨てず、大阪、東京と6度の転勤をしながら破綻会社の再建やさまざまな事業改革に全力で取り組み、同期のトップで取締役就任する。

これが、プロフィールに紹介されている佐々木さんのビジネスマン人生です。
「もし、あなたが同じ境遇であったとしたら、佐々木さんのように頑張れますか?」
と聞かれて、即答できる人が何人いるでしょうか。
「ワークライフバランス」という美しい言葉を使うことを躊躇してしまうほど、凄まじい人生です。

精神も、肉体も、ギリギリまでストレッチして生きてきた佐々木さんが語る「仕事・家族・人生」。
 自らの非力を嘆く前に、小さな不幸を愚痴る前に、他者の環境を羨む前に、背筋をピンと伸ばして聞きたい講演です。


この講演に関心をお持ちの方には、下記の講演もお奨めです。
・5/25(火)上野 千鶴子 「男おひとりさまの生きる道」
・6/1(火)坂本 光司 「日本でいちばん大切にしたい会社」
・6/16(水)小池 龍之介 「自己洗脳の罠の外しかた」