現代に生きる赤ひげ 服部匡志先生

photo_instructor_876.jpg服部匡志先生はフリーランスの眼科医だ。フリーランスの○○医と聞いて、"群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い..."そう、あの「ドクターX」米倉涼子を思い浮かべた私は、フリーランスのお医者さんって本当にいるんだ!と驚き、実際どんな生活をしてるの?やっぱり"たたき上げのスキルだけで突き進む"感じ?と想像を巡らせ、ごくミーハーな動機で今回の講演にエントリーした。
しかしその内容は、あまりにも意表を突いたものだった。こんな人がこの世にいたんだな。そんな嬉しい驚きであった。

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関係の中で 佐藤祐輔さん

photo_instructor_875.jpg少し早めに着いたので会場ビル内を歩いていると、日本酒専門の居酒屋の看板で「新政」が他の日本酒よりも高めの値段がつけられているのを偶然発見する。今回講師の佐藤祐輔氏は新政酒造の八代目社長。自分と同世代の人が大活躍しているのを見るとやはりある種の感慨とでもいうようなものを覚える。同世代から社長が出る世代、自分ももうそんな歳になったのだ、とか。そうこうするうちに講演が始まり、想像よりも細身の佐藤氏が現れた。

かつてフリージャーナリストとして活躍されていただけに、講演でも「日本酒の現状」が具体的な数値と共に紹介される。想像はしていたけれど大変に厳しい。売れないけれど(あるいはそのために?)コストダウンの技術で価格を下げてしまっている。そうした中でも純米酒だけは堅調だそうだ。「作り手の預かり知らぬところ」での不思議な人気。
そもそも日本酒とはどうやってできるのだろう。知っているようで知らない世界を佐藤氏は、「リノベーション」という観点から紹介した。
リノベーション?

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「強運」の本質 佐山展生さん

photo_instructor_881.jpg佐山展生氏は、三つの顔を持っている。
ハイブリッド型投資(投資家資金と合わせ自己資金を投じる)を特徴とする独立系投資ファンド インテグラル社代表の顔、一橋大大学院国際企業戦略科教授としてM&Aや企業経営を教える教育者の顔、スカイマーク会長として企業再生に取り組む経営者の顔。
したがって、講演テーマは多岐に渡るが、テーマに関わらず、冒頭の自己紹介にかなりの時間を費やすことは変わらない。そこに、佐山さんのメッセージを理解するための原点があるからである。

今回の夕学では、「きょうは短めにいきます」ということであったが、たっぷり60分。本題の「スカイマークの再生」の話の2倍の所要時間であった。
リーダーシップ研究に「Lesson of Experience(経験を通じた教訓)」という概念がある。神戸大の金井壽宏先生流に言えば、「リーダーシップの持論」ということになる。持論を理解するにあたって、最も効果的なのはたっぷりの自分語りであろう。
佐山さんの60分の自己紹介には、「なぜスカイマークだったのか」 「どうやって再建しているのか」 「どういう思いで経営トップを兼任しているのか」といったきょうのテーマに関わるオーディエンスの関心事に対する回答でもあった。

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人を幸せにする働き方改革~働き方改革を次のステージへ~

photo_instructor_863.jpg 現代では、働き手の価値観は多様化し、同じワークとライフのバランスに関する価値観を共有することは難しい。出社は求めるが、「毎週水曜日は早帰り」というような全社統一の働き方改革により、社員は自律的な労働の管理ができなくなり、仕事のやりがい失うを可能性がある。学習院大学の守島先生は、企業のこのような働き方改革が「働かせ方改革」に陥っているのではないかという疑問を呈し、働く人が意欲を持って仕事に取り組み成長できる働き方改革を推奨した。

 守島先生が必要と考える働き方改革の目的は、働く人の幸せとその結果生まれる持続可能な企業づくりである。その改革は、働く人が意欲と誇りをもって仕事に取組み、仕事を通じて成長し、その結果、人生を豊かにすることを可能にする改革であるべきだと説明した。また、それが結果的に人材の持続可能性向上につながり、長期的に企業を強くするという。

 逆に言えば、うまく働く人の心をマネジメントできず人材が成長しないと、企業の弱体化を生む。近年では、人材の質が低下したことで、倒産する中小企業もあるほどで、企業の弱体化がわが国の深刻な問題となっている。

 企業は、働く人が自律的に働く内容と時間を管理することができるような仕組みを構築し、従業員の心をマネジメントする必要がある。人材不足の中で働き方改革の機運が高まった今だからこそ、日本人が労働を自律的に管理する仕組みの整備を始めるべきだと先生は考えている。

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和食は「下から上に広まった」食文化である。壬生篤さん

photo_instructor_874.jpg江戸・明治期の「食」をテーマにした漫画の原作、シナリオ執筆を専門とする壬生篤氏の夕学。ステレオタイプの和食のイメージを少し変えてくれる講演であった。

この拙文を書くにあたって調べたところ、世界三大料理はフランス料理・中華料理・トルコ料理といわれているようだ。いずれも皇帝を饗するための宮廷料理を淵源に持つ。「上から下に広まった」食文化といえるだろう。
それに対して、われらが和食は違う。むしろ「下から上に広まった」ものだという。
鰻、寿司、天麩羅など、今日では高級な和食の代表とされる料理は、江戸中期に庶民のために生まれた料理であった。当時の支配層である武家は食べなかった。あるいはそっと隠れて嗜むものであった。

壬生氏によれば、和食の定義は「江戸時代に確立された食のスタイル」ということになる。江戸時代は260年の長きに渡った。当然、確立されるまでにはいくつかの変遷を経た。

そもそも、江戸期の支配層(武家)の食文化は、禅宗の影響をうけた精進料理と茶道から生まれた懐石料理の二つの流れがあるという。
共通するのは、質素であることと一汁三菜という基本形式である。
禅も茶道も引き算の思想である。欲を捨てる、虚飾を削ぐ、いらないものを梳くという点で同じである。
講演で紹介いただいたが、将軍の食卓というのは、随分と質素で慎ましかったようだ、

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