相澤孝夫院長に聴く、ビジョン・ミッション・モチベーション

相澤孝夫組織には、求心力と遠心力が働く。

スタートアップに成功し急成長中の企業などは、ほとんど求心力の塊だ。大量の人と金が急速に凝集し、膨張しながら成長していく。その中心にいるのはカリスマ的な創業者か、あるいは磁力の強いビジネスアイデアか。

一方、遠心力が優勢な組織もある。意義不明の仕事、魅力のない上司や同僚、経営破綻の噂。そこから逃げ出したい、という思いが駆動する「ネガティブな遠心力」に満ちた職場。

だがここで論じたいのは「ポジティブな遠心力」だ。高度な専門性が要求される自分の仕事そのものへのモチベーションは高いが、組織としての仕事には関心が薄い。
そんな職場のひとつ「病院」で、懊悩しながら経営改革を進めてきたのが相澤孝夫氏だ。

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動け動け 石山恒貴先生

石山恒貴キャリア問題は幅広い層の関心事であればこそ、会場は年齢性別を超えて賑わっていた。転職が一般的となり、電車でテレビで転職情報やスクール情報の広告を見ない日はない。一見すると、国際的な学びという意味での異文化学習がテーマであるかのような石山恒貴氏の講演タイトル「越境学習のすすめ」は、それとはまた違う意味での「異文化学習」のすすめだった。

大雑把に前半をまとめると、社会の激変により雇用も変化している、働き方は専門性のある人が好きな時に好きな時間だけ集う「オーシャンズ11型」に移行する可能性がある、人生100年時代を迎える不確実な時代に必要なものは既存のものとは異なるが、そのために準備をしている人は驚くほど少ない。多忙は理由でないことがアンケート調査から判明する。「忙しいから」を学ばないことの理由に挙げた人の割合はたったの15.0%で1位ではない。AIに取って代わられる職種のことがよく指摘されるように、環境は急速に変化しているのに大丈夫なのか。大丈夫なはずがない。石山氏は10世紀以前では職業・職種が財産、20世紀は雇用(できれば一社で)が財産、そして21世紀からはキャリアが財産であると主張された。

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今と私を離れて 小林慶一郎先生

小林慶一郎受験勉強でも健康診断でもまず現在の状況と立場を知ることから始まる。前者では模擬試験等で現在の学力を把握することが、後者では血液検査などの詳細な数値を計測し、算出されたデータをチェックした上で必要があれば再検査を行い、生活指導など必要な措置を取る。小林慶一郎氏の話を聞きながらなぜかこうした手順を思い出していた。日本の経済、財政状況についてはどのような話になるのか。小林慶一郎氏の講演は日本経済の現状と趨勢の分析から始まった。

ここで医師ならば「検査結果はこうでした。そこから言えるのは...」などの言い回しで患者に今後について話す訳だが幸先が明るくない場合には当然どう伝えようか考える。暗い話と明るい話のどちらから始めるか。小林氏は全体の構成を日本経済の現状と趨勢、日本の財政問題について、経済成長の状態、フューチャー・デザインの4つに分け、初めの3つは暗いが最後のフューチャー・デザインは明るいと予告する方法を取った。

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希少性で自分の価値を上げる 藤原和博さん

2003年に発売されたSMAPの大ヒット曲『世界に一つだけの花』の歌い出しにいつも違和感があった。

No.1にならなくてもいい
もともと特別なOnly one

いや、待てよ。「Only oneの人こそが、No.1になるんじゃないか?」と引っかかっていたのだ。
藤原和博例えば、フィギュアスケートの羽生結弦選手は類い稀な運動神経と努力によって磨かれた豊かな表現力でオンリーワンかつナンバーワンの選手である。また安い値段で高品質の商品を提供できるユニクロを展開するファストリテイリングは、オンリーワンかつナンバーワンの企業であり、柳井正氏が世界長者番付で上位に名を連ねていても、まあ当然かなと思う。なので、正しくは「もともとかどうかは別として、特別なOnly oneはNo.1を兼ねている」と夢も語呂もない歌詞を考えてしまうのだが、藤原和博先生の提唱する「キャリアの大三角形」は、まさに「Only one の人材がだいたいNo.1の人材になる」ということなのだ。

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小野雅裕氏に聴く、ぼくらが宇宙に出る理由

小野雅裕平成最後のクリスマスの夜。
丸ビルの講演会場に現れたサンタクロースは、オーディエンスの大半よりも若い、1982年生まれの小野雅裕氏だった。
アメリカ航空宇宙研究所(NASA)のジェット推進研究所(JPL)に勤める小野氏は、火星探査機の自動走行システムの開発などを本業とするResearch Technologistの肩書きを持つ。
講演では期待通り、宇宙開発の担い手のひとりとして最先端の話題も披露してくださったのだが、話はそこだけにとどまらなかった。まるで自律走行する火星探査機のように、「宇宙」に関するありとあらゆる領野を縦横無尽に走り回りながら、小野氏は、いわば「いま私たちが味わえる『宇宙』のフルコース」といった趣で数々の話題をプレゼントしてくれた。

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