「自分を客観視する」とは


3分間ラーニング

以前ご紹介した知の共有サイト『Quora』。

そこで

「自分を客観視なんてできるの? どうすればできる? 客観視すると何が良いの?」

という質問を見つけました。
その時は時間が無かったので回答はしなかったのですが、私にとってなかなか興味深い問いでした。

◆ そもそも「自分を客観視する」とは?
◆ どうすれば自分を客観視できるのか?
◆ なぜ、自分を客観視する必要があるのか?

私たちはしばしば部下や後輩に対するアドバイスとして「もう少し自分を客観視すると良いよ」と言いますが、そのアドバイスにはどのような意味があるのか。

それを今回は考えてみようと思います。

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◆ そもそも「自分を客観視する」とは?

「客観」の反対語は「主観」で、「客観的」「主観的」という言葉もありますが、「客観視」という言葉はあっても「主観視」という言葉はありません。
※検索すると「主観視」という言葉を使っている人はいるのですが、複数の国語辞典で調べても見つかりません。

「客観的に見る」ことが「客観視」だとしたら、「主観的に見る」も「主観視」と言えそうなのですが、これはどういうことなのでしょう。

個人的な仮説ですが、これは「見る」という行為そのものが「主体である自分の行為」だからではないでしょうか。
そもそも「見る」こと自体が「主観」であり、それをあえて自分以外の誰かの立場から見る行為を「客観視」と呼ぶ。

たとえば上司の立場から、あるいは顧客の立場から自分を見る。
なるほど、「自分を客観視する」とはそういう意味なのかもしれません。



...しかし、個人的にはこれらは「自分を客観視したとは言えない」と考えています。

確かに「相手の立場に立って考える」ことなどを「客観視」と呼ぶ人はいますが、それは単に「他人の主観」であり、「客観視」とは考えにくいのです。

私は、認知心理学で言うところの『メタ認知』が客観視に近いと考えます。
より高次の立場(=メタ)から自分の行動・考え方・性格などを見て認識する活動、それがメタ認知です。

具体的な上司や親といった現実の存在でなく、全く無関係な空高く跳ぶ鳥や、もっと言えば「神の目線」で自分を俯瞰する。

これが「自分を客観視する」ことだと考えます。



◆ どうすれば自分を客観視できるのか?

ここまでの流れから、自分を客観視するには自分だけでなく他人の感情(主観)も入れずに見なくてはなりません。

つまり一切の「良し悪し」の解釈を排し、「事実」をまず挙げることが「自分を客観視する」ことの第一歩です。
自分の身体的、性格的、そして経験的「特徴」は何か、を考えるわけですが、そこで注意すべきは「絶対的な事実」でなく、「相対的な事実」を挙げることです。

「身長は180cm」でなく「一般的な同世代の男性の中では身長が『高い』」。
「10年間の実務経験」でなく「実務経験が周囲より『長い』」。

これらが「自分を客観視する」ことで見えてくることです。
いかがでしょう。少し「神の目線」に近づいていませんか?

ここでオススメの「自分を客観視する方法」をご紹介しましょう。
それは「マトリクス」での「位置づけの可視化」です。


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上のマトリクスは営業部門内での同僚と自分を「コミュニケーション能力」と「専門知識の量」という二軸で比較したものです。
これによって「自分の立ち位置」が可視化された、これぞまさに「自分が客観視できた」状態と言えます。

もちろん軸はこのふたつだけでなく、他にも「経験年数」や「予算達成率」など、様々考えられます。そうした様々な軸を組み合わせることで、多様な切り口で自分を客観視できます。



◆ なぜ、自分を客観視する必要があるのか?

これは先のマトリクスから自ずと見えてきます。
「営業部員」の中での自分のポジショニングを様々な軸で可視化することで、「さあどうしよう」という次の一手が考えやすくなります。

たとえば

「ああ、自分はやはり専門知識はあってもコミュニケーション能力が課題か」
「でもコミュ力ってすぐ身につくものでもないし、自分は口べたでもあるし」
「待てよ、『差別化』を考えると、得意な専門知識をもっと磨けば、自分は他の誰も真似できない営業になれるのでは」

といったことが考えられるようになるわけですね。
企業の『ベンチマーキング』も同じような考え方をしますから、やはり「自分を客観視する」ことは人であれ組織であれ、「勝算の高い戦略を考えやすくする」ことに繋がります。

抽象化すると、自分を客観視することは『明るい未来に進む』ために重要だと言えるでしょう。

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパスで専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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