「言葉の定義」を意識しよう


3分間ラーニング

Twitterでこんなやりとりがありました。

Aさん:「論理的思考力を養うためには、数学を学ぶのが最も合理的」

Bさん:「高校までの数学は、正解を出すには直感やひらめきが求められ、論理を学ぶには最も適さない」

いかがでしょう。
このやり取りを見ていて、私は「話がかみ合っていないなあ」と感じました。
そしてその原因は、「言葉の定義」にあると考えたのです。

word.png





私がまず感じたのは、「論理的思考力を養う」ことと、「論理を学ぶ」ことは、イコールではないのでは、ということでした。

筋道を立てて「ということは」と答を出す「論理的思考」ができるようになる、ということと数字によって世の中の構造、つまり様々な「論理:ロジック」を知る、ことは同じとは思えなかったからです。

お二人とも決して間違ったことは言っていない。
しかしお互いがお互いに反論をしている背景には、「目的の違い」があるのでは?

しかし当然「論理的思考力を養う」と「論理を学ぶ」が、ほぼ同じ意味で使われてことも考えられます。
しかしそうだとしても、お二人の意見のどちらかが正しく、どちらかが間違っているとは言えないのではないか。

そう考えると、「論理的思考」そのものの定義、この場合は「範囲」が異なっているのかもしれません。

主張を見ればわかるように、Bさんは「論理的思考」の対極に「直感・ひらめき」を挙げています。
「これがこう、ということは○○で、ということはここは××で」と、一歩一歩考えを進めていくのではなく、「これがこう...ならここは××かも?」と発想を飛躍させる、こうしたひらめきや直感が数学の問題を解くためには重要だ、と述べているわけです。

それに対してAさんは...?
ひょっとすると、「多少論理の飛躍があっても、それはそこに論理がないのではなく、省略ないし説明できないだけ」と考え、「直感・ひらめきも論理的思考の範疇」と考えているのかもしれません。

実は私自身、「思考に論理的でないものはない」という立場です。
直感やひらめきといっても、その元となっているのは自分の価値観と経験、知識です。
それらに無意識的に照らし合わせて出した答、それが直感です。

斬新なアイデアが「ひらめいた」としても、その元となっているのは昔見たテレビ番組だった、などということは普通に起こりえます。

であれば、直感やひらめきも「論理的思考」と言ってもおかしくはないはずです。



さて、本日はTwitterでの論争(やりとり)を題材にしてきましたが、私が言いたいのは「だから言葉の定義をちゃんとしよう」ということです。

私たちは言葉を使って思考・コミュニケートしている以上、特に今回の「論理的思考」のような概念的・抽象的な言葉はきちんと定義すべきです。
そうでないと、「抽象的なことを漠然と考えてしまう」という思考の問題を引き起こします。
結果悩む時間が長くなったり、抽象的な一般論しか思いつかなかったりします。

また対話や議論というコミュニケーションにおいては「誤解される/話がかみ合わない」という問題を引き起こしてしまいます。
今回の論争がまさにそれではないでしょうか。

他にも、たとえば「顧客」という言葉にしても、「既存顧客だけ」を意味するのか、「見込み客」までも含むのか、それを定義しないと、議論がかみ合わないのは当然です。

ひとりで考える場合には、常に「言葉の定義」を意識しましょう。

そしてコミュニケーションにおいても。
時には「今回は『顧客』は既存顧客に限定して考えましょう」のように、定義を共有してから議論に入りましょう。

言葉を定義する。
この良い習慣をつけましょう。







個人的には、数学と並んで論理的思考力を磨いてくれるのが「国語」、それも物語や評論文の「読解」だと考えています。

文章の中にちりばめられた様々な情報を元に「ということは、筆者が言いたいのは○○では」と考え、答えを出す。

これこそ論理的思考そのものだからです。


プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパス で専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

2018年4月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

月別 アーカイブ

著書

Twitter