データ・エコノミーの光と影

Google/Apple/Facebook/Amazon

この4社の頭文字を取った「GAFA」という言葉をご存じの方も多いでしょう。

言うまでもなく、Googleは検索をはじめとした様々なインターネット・サービスの、AppleはiPhoneを中核としたデジタル端末の、FacebookはSNSの、そしてAmazonはネット通販の分野で、それぞれ市場を牽引する「ICT業界の巨人」です。

全世界の時価総額の上位を独占するこの4社ですが、この4社の強さは単に売上高や時価総額が大きい、というだけではありません。

GAFAの強みは、圧倒的なその「データ蓄積量」にあります。

そしてその「圧倒的なデータ量」は、時としてGAFA、さらには社会の根幹を揺るがす「諸刃の剣」でもあるのです。

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GAFAの保有するデータ。私自身を例にお話ししましょう。

Googleは私が検索したサイトやワード、そしてクリックした広告などの「履歴」をデータとして持っています。
履歴以外では私のスケジュール、メール、アップロードした写真などの「個人所有のデータ」も、Googleのクラウドにあります。

同様にAppleは私がダウンロードした曲の、Amazonなら買い物やストリーミング再生した映画や音楽の「履歴」を保有しています。

そしてFacebookのサーバにも私の発言やアップロードした写真といった、「個人所有のデータ」と日々の発言の「履歴」があります。

このように、GAFAに限らず私たちはインターネットのサービスを享受することにより、そのサービスを提供する側に様々な「行動履歴」と「個人所有のデータ」を渡しているわけです。

個人所有のデータは「預けている」と言った方がいいかもしれませんが、その預けているデータは彼らにとっても「資産」となります。
もちろん所有権は私たちユーザーにありますから、それを勝手に公開したり、誰かに売り渡すことはできません。
しかし、ユーザーがアップロードした写真や文章から何らかの傾向を分析したり、またAIの機械学習のデータとして活用するのは可能です。

さらに、「行動履歴」のデータが既に活用されているのは皆さんご存じの通り。
検索履歴を元にユーザー毎に画面に表示させる広告を変えたり、購買履歴を元にオススメ商品のメールを送っています。

「データを制する者がビジネスを制す」

いわゆる『データ・エコノミー』が注目されて数年になりますが、近年の「IoT/ビッグデータ/AI」のブームからもわかるように、その流れは加速しています。

スマート家電やスマートホーム、コネクテッドカーといった名称からもわかるように、全ての「モノ」がインターネットに繋がる、まさにIoT時代が到来しています。
そして全ての「モノ」から画像・音声・数値・テキストなど、様々なデータがクラウドに集まります。これがすなわち「ビッグデータ」です。

集まったデータはAIによって機械学習され、解析・判断の元データとなります。
そして結果的にクルマの自動運転や企業のマーケティングなどに活用される。

まさに「データを制する者がビジネスを制す」時代になっているのです。

ジョギングに便利なウェアラブル端末や、睡眠状態を記録してくれるスマホアプリなどからユーザの情報がクラウドに集められ、スポーツ関連企業や寝具メーカーがそれを新製品開発に活用する。

コンビニやネット通販での購買履歴や、音楽・動画のストリーミング再生の履歴、そして自動改札の通過履歴などは、サービスを提供している企業以外から見ても「宝の山」です。

様々な企業が、この「データ・エコノミー」でインシアティブを握ろうとするのは当然です。

しかしながら、私たちユーザから見れば、それは自分が丸裸にされたり、また監視されているととらえることもできます。

個人情報保護法がありますから、それらのデータを活用する際は個人を特定できる部分はない(はず)。
しかしそれでも「気持ち悪い」と感じる方はいるでしょう。
たとえ自分自身もメリットが大きいとしても。

少なくとも、私たちが気軽に利用している検索サービスやSNS、スマホのアプリやゲームから、私たちの様々な「個人所有のデータ」や「行動履歴」が、日々誰かに吸い上げられ、集められていることは認識すべきでしょう。

もし、その誰かが悪意を持っていたら...
データ・エコノミーの時代には、より高い情報リテラシーや自制心が求められるのです。

また、たとえ悪意がなくとも、データを収集する側に問題があれば、それはその企業だけでなく、業界全体、そして社会にも悪影響をおよぼします。

先日の仮想通貨の不正アクセスによる流失や自動運転車の実験中の死亡事故のニュースは、仮想通貨や自動運転というイノベーションを阻害してしまうリスクがありました。

Facebookをはじめとしたユーザ情報の流出も後を絶ちません。

収集するデータは企業にとって「宝の山」であると同時に、セキュリティ・コストの天文学的増大を引き起こす「金食い虫」でもあるのです。

さて、あなた自身はスマホやSNS、便利で楽しいアプリのユーザとして、このデータ・エコノミーにどう対処しますか?

そしてあなたの組織は、データ・エコノミーの中でどう生き残り、成長する道筋を立てていますか?

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパスで専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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