会議の「ラストシーン」を明確に描く


3分間ラーニング, 講師の公私

私は、学生時代は映画研究部(と軽音楽サークル)に在籍していました。
一番の目的は8mmで自主製作の映画を撮ることでしたが、年間100本以上は劇場で(当時はビデオなんてなかったのです・笑)映画を観ていました。

今でも(頻度は当時とは比べるべくもありませんが)劇場で、あるいはブルーレイやDVD、Amazonプライムビデオなどで映画を観るのはひとつの趣味となっています。

そうすると(皆さんも経験あると思いますが)、時に期待していなかった名作に出会えたり、反対に「なんだこれ(笑)」とか「ふざけるな」となってしまう駄作に遭遇します。

特にラストシーン。「えっ? これで終わり?」となる駄作に出会うと、時間の無駄づかいをした自分を責めるしかありません。
もちろん映画はハッピーエンドばかりではありませんし、あえて観客に「考えさせる」ことを狙って、「えっ?」というラストシーンを用意することはあります。しかし明らかに、「時間の無駄だった」と言わざるを得ないラストシーンの駄作があるのも事実。



さて、ここで考えてみてください。
私たちの仕事に不可欠な「会議」を一本の「映画」に置き換えたとき、そのラストシーン、つまり会議のエンディングは、その会議を「名作」と呼べるものになっていますか?
それとも、「駄作」としか言いようのないエンディングですか?


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以前からファシリテーションの研修などでは語っていることですが、私は会議のファシリテーションとは、1本の映画作品を完成させることと同じだと考えています。

実際、会議と映画には共通点が多いのです。

まず、映画制作に関わる「ヒト」であるプロデューサー、監督、脚本家、そして役者たちは、会議における主催者(プロデューサー)、ファシリテーター(監督兼脚本家)、会議の参加者(役者)に置き換えられます。

同様に映画制作に必要な「モノ」という切り口で会議を見れば、カメラ=ホワイトボード、ロケ場所=会議室、小道具=付箋紙やパソコン、という共通点も見えてきます。

ここで考えてみましょう。ヒットする映画のポイントは何か?

「役にあった一流の役者を揃えること」「ドラマチックな脚本」「役者の力を引き出す監督の演出」等々、様々なポイントを挙げることができるでしょう。

では、それを会議に置き換えてみると?

「役者を揃える」、つまりキャスティングは、会議では「本当に必要な人だけを呼ぶ」となりますし、「ドラマチックな脚本」からは、「会議の進め方を事前にしっかり計画する」ことの重要性が見えてきます。



このように、会議を「映画メタファー」で考えると、様々な問題や課題が浮かび上がってきます。

とすると、「映画のラストシーン」から会議を見つめ直してみると、何が浮かび上がってくるのでしょうか。

私が今回お伝えしたいのは、「会議のゴール設定の重要性」です。

映画のラストシーンは、会議におけるゴール、つまり「会議を終わって良い状態」に当たりますが、このゴールが不明確な会議がまだまだ多いと思いませんか?

「本日の議題はA商品の売上低下です。皆さん、ご意見をお願いします」などという始め方をしたら、この時点で駄作会議確定です。
売上低下という問題を解決するための会議であれば、今回はその原因分析までやるのか、それとも原因を特定した上で課題を設定し、その解決策まで決めるのか、はたまたその解決策のアクションプランまで明確にするのか...こうした『ゴール』を明確にせずに会議をスタートするのは、マラソンか100m走か知らされずにかけっこを始めるのと何も変わりません。

ラストシーンの決まっていない映画などないはずですから、会議の冒頭でゴールを明示しないのはとても無責任なのです。

ですから脚本作り、つまり会議の段取りにおいてまず決めなければならないのが、この『会議のゴール』、ラストシーンです。
どこまで議論し、何が決まれば、あるいはどのような状態になれば、この会議を終わることができるのか。それを明確に定義しましょう。

さて、そのゴール設定ですが、具体性がなければ意味がありませんし、理想はやはり定量化です。
「保留となる議案ゼロ」や「アイデアが100個出る」、「報告への質問とアドバイスが10個以上出る」などと定量化したり、それが難しくても、「問題の原因が特定される」や「いつ・誰が・何をやるかまで決まる」など、具体的なゴールを設定するようにしましょう。

「どのように状況が訪れればこの会議を終わって良いのか?」、映画で言えば、「どのようなラストシーンを迎えれば観客は満足してくれるのか」を考えれば、少なくとも「駄作の会議」になるリスクはかなり軽減するはずです。



今回は映画の「ラストシーン」から考えましたが、他にも「映画メタファー」で考えることで、会議の改善策を考えるのは可能です。

また、人材育成を「農業メタファー」で考えたり、こうした「メタファー思考」は今までにない発想をするためにはとても有効です。
ぜひ、活用してみてください。


プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパス で専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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