提言のプレゼンテーションに必要なこと


3分間ラーニング

ようやく本格的な秋です。
急に涼しく、というか肌寒くなり、我が家も羽毛布団の出番です。
急な温度変化で体調を崩された方もいるでしょう。

そしてこの時期。
私の仕事では、例年「次世代リーダー育成研修」が佳境に入る時期でもあります。

先日もある企業で2回目のグループアウトプットの発表会がありました。
経営トップに対する提言の中間報告兼リハーサルの場です。

その発表にそれぞれコメントしたのですが、そこで全グループに共通するアドバイスとして、「社内外を問わず、組織に対する提言を行う際に留意してほしい」点を語りました。

これはこのブログをご覧の方にも参考になると思いますので、当日述べた内容をさらに補完する形で以下にまとめてみます。




まず、提言のプレゼン資料をまとめる前に考えるべきことがあります。
それは「この提言のターゲットは誰か」ということ。

そもそも提言の目的は「何かを変える」ことであり、そのために「提言のターゲットが自分の望む行動を取ってくれる」ことがそのゴールのはずです。
これは商談であろうが社内の仕組みであろうが変わりません。

であれば、提言は単に「自分の言いたいことを語る」よりも、「相手(ターゲット)の聞きたいことを語る」必要があるはずです。

ターゲットを明確にするからこそ、「この提言で何を語るべきか。そしてどのように語るべきか」が見えてくるのです。



さあ、ターゲットが定まったら次は「何を語るか」を考えるわけですが、組織に対する提言に必ず入れてほしいのが以下の5つです。

1. We Should ~(顧客への提案なら You should )
 →組織として何を実現すべきなのか、進むべき道(課題)を明確に示す。
 →「今と何が違うのか」を述べ、時には何をやめるべきなのかも併せて語る。

2. Because ~
 →"We should ~"に対して抱く"Why?"にここで答える。
 →その道を選ぶ理由を投資対効果、ファクトに基づいた現状分析で明確に示す。
 →ここでターゲットを定めた意味が出てくる。
 →すなわち、「その人が聞きたい(好む)理由」に重点を置くのだ。
 →よってロジックが重要となるが、共感性も必要となる。(後述)

3. The way of ~
 →"We should ~"に対するもうひとつの疑問である"How?"にここで答える。
 →つまり提言を実現させる手段と具体的アクションプランを明確に示す。
 →コストやスケジュール、社内体制等、実現可能性を考慮する。
 →ここでも「ターゲットが気にする点」を必ず入れ、ロジカルに語ること。

4. I'm going to ~
 →提言内容の実現に向けて自分が果たす役割を明確に述べる。
 →「これをやりたいしやらせてほしい」のない提案は無責任に聞こえる。
 →特に社内への提言では、リーダーシップの有無も重要な評価ポイント。

5. I would like you to ~
 →提言のターゲットへの依頼(お願い)事項を明確に述べる。
 →「じゃあ頑張って」で終わらせず、「俺の役目はこれか」と認識してもらう。



いかがでしょうか。
聞く側の立場で考えてみてください。

これらが入っていない提言では「Go!」をかける気にならないはずです。

そして前述の通り「2. Because ~」と「3. The way of ~」ではロジックが重要となりますが、ロジック、つまり理屈「だけ」では人は動いてくれない場合もあります。

そう、本当にこの提言を実現させたいのであれば、プレゼンテーションの戦略として「どう共感してもらうか」も考えたいところ。

以前このブログで語った『アタマとココロの両方で納得させる』です。



では、提言への『共感』の促し方ですが、その方向性は2通りあります。
それは「ポジティブな共感」と「ネガティブな共感」です。

具体的に言えば、前者は、ターゲットに「これは面白い!」とか「なんかワクワクしてきた!」という感情、つまり期待感や高揚感を抱かせるやり方です。
それに対して後者は、「本当にマズいな...」とか「なんか焦ってきた」という感情、危機感や焦燥感を共有させるやり方と言えます。

このどちらで行くべきかは、やはりターゲットしだい。
つまりターゲットが「どちらのやり方の方が動きやすいか」を見極めることが重要です。

そして『共感促進の方向性』が定まったら、その具体的手段を考えましょう。
これもターゲットの特性に応じて様々な工夫の仕方があるはずです。

提言が実現したその日、あるいはその後の情景をリアルに描写してみる手もあります。

「イメージしてみてください。このような光景が見たいと思いませんか?」

そう、以前触れたストーリーテリングの応用です。

物語形式で語ることにより、より提言にリアリティを持たせるわけですが、ターゲットによっては、逆に「提言を実現しなかったばかりに、こんな酷いことになる」ストーリーテリングで、ネガティプな共感を抱かせる方が良い場合もあるでしょう。

そしてストーリーテリングの他にも、ターゲットのよく知る何かに「置き換えて」説明する、つまりメタファーの活用も効果的です。

たとえばターゲットが野球好きであれば、野球の戦術に置き換えて提言の必要性を説明(もちろんそれが可能かどうかは提言の内容に依りますが(笑))すれば、よりわかりやすく、そしてココロでの納得感も違います。



さて、ここまで「提言のプレゼンテーションに必要なこと」を述べてきたわけですが、要するに私が言いたいのは「本当に実現させたいことがあるのなら、伝えるべきコンテンツと伝え方(プロセス)をもっと考えよう」ということです。

職業柄、様々な提案・提言を聞く機会がありますが、本当に「これはやらない手はないだろう!」と思わされた経験は数えるほどしかありません。

それどころか、「この人達は、本当はこれをやりたい、やるべきとは思っていないのでは?」と感じてしまうこともしばしばです。

第三者としてそれらを聞く私ですらそうなのですから、本来のオーディエンスでありターゲットである人達は、もっと疑問に感じているのではないでしょうか。



あなたが、あなたの提言で本当に何かを変えたいのなら...

ぜひ今回の私からの『提言』を活かしてほしいのです。

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパスで専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

2020年7月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

月別 アーカイブ

著書

Twitter