ロジカルに話すためのハードルを設置する


3分間ラーニング

前回のエントリーでは、陸上競技のゴールとハードルというメタファーを使って、適切なKGIとKPIを設定することの重要性、そしてそれらを設定する際のポイントについてお話ししました。

今回はその具体例として、私の専門である思考・コミュニケーションスキルの向上に役立つハードルをご紹介したいと思います。



さて、あなたは「要はどういうこと?」とか「ゴメン、よくわからなかったからもう一度説明して」などと言われたことはありませんか?

私はあります(笑)

これらはつまり「ロジカルな説明ができていない」ことを指摘されているわけですが、このようなことを二度と言わせないためのオススメのハードルがあるのです。




しかしまずはKGI、つまりハードルの前にゴールを設定しなければなりません。

「ロジカルな説明ができる」では抽象的でメジャラブルではありません。
かと言ってロジカルな説明ができている状態を定量的に定義するのは難しいですから、ここは前述の「要はどういうこと?」とか「ゴメン、よくわからなかったからもう一度説明して」などの言葉を「言われないようになる」ことをゴール(KGI)として設定してみましょう。

では、いよいよそのゴールにたどり着くために越えなければならないハードル(KPI)ですが、ここでは2台のハードルを設置したいと思います。



まず第1のハードルが『PREP法で話す』こと。

これは以前このブログでもご紹介したことがありますが、
P:Point(結論)
R:Reason(理由)
E:Example(具体例/具体的事実・データ)
P:Point(結論)
の順で「結論から徐々に具体的に述べる」伝え方のことで、具体的には

「○○すべきです(Point)。なぜならば現状△△という状況だからです(Reason)。具体的には××というデータ、及び□□という多くの声があります(Example)。以上のことから今こそ我々は○○すべきです(Point)。」

という感じです。

まあ至極当然のビジネスコミュニケーションの基本とも言えるわけですが、これができていない人、もっと言うと「PではなくEから話す」、つまり「状況説明から入る」人が多いのが現実です。

状況説明から話し始めると、結論が後回しになって回りくどくなるばかりか、複数の結論が混在した非常にわかりにくい説明になりがちです。

なぜならば、私たちは「話しながら考えることができる」からです。
状況説明をしている内に様々なことを思い出したり思いついたりするため、それも話してしまうわけですね。
これではわかりにくい説明になるのも当たり前です。

だから「まず結論から」話す。
これをハードルとして設定しましょう。

さて、PREP法で話せばロジカルに説明できるかという、実はこれだけでは足りません。
PREPのR、つまり理由を「複数挙げる」ことも併せて必要です。

なぜならば、私たちはある結論の理由(根拠)がひとつだけでは納得しにくいからです。
根拠がひとつしか無いと、「それだけの理由でそう言うの?」と感じてしまうからです。「○○の視点も重要だと思うんだがなあ」と疑問を持たれてしまうのですね。

もちろん根拠がいつも複数必要とは限りません。
科学的に証明可能な場合や、法律などの明確なルールが根拠であれば、それはひとつの理由で充分相手は納得してくれます。

しかし私たちが暮らすビジネスの世界に唯一の正解などありません。
どんなにすぐれたアイデアであっても必ずデメリットがあります。

だから理由を複数挙げる。これが必要になります。

そして、それができるようになるための本日2台目のハードルが、『強制的に2つの根拠を挙げる』ことです。

要するに、ひとつの理由しか頭になくても「○○すべきです。理由は大きく2つあります」と最初に宣言してしまうのです。

何か主張する際に全く理由がないということは無いはずです。(「なんとなく」という場合もあるでしょうが、それではビジネスでは通用しませんしね)

「○○すべきです。理由は大きく2つあります」と宣言し、「まずひとつ目の理由は~」と頭にある理由を話し始める。
そして話しながら2つめの理由を考えるのです。

前述したように、私たちは話しながら考えることができますから、これは不可能ではありません。
そして2つめの理由を思いついたら、おもむろに「で、もうひとつの理由は~」と説明すれば良いのです。

実は私もこれを続けて、今は自然に複数の理由を挙げて説明できるようになりました。
このくらい自分を追い込む、つまり少々高めのハードルを設定するからこそ、私たちは成長することができるのです。
あまり高いハードル、たとえば「理由は大きく3つあります」では厳しいとは思いますが、このくらいのハードルなら挑戦しがいがあるはずです。

ロジカルに説明するための『PREP法で話す』『強制的に2つの根拠を挙げる』こと。このふたつのハードル、あなたも設定してみませんか?





え?

「ふたつめの理由が思いつかなかったらどうするの?」ですか?

もちろんそんな時もあるでしょう。
特に慣れないうちは。

そんな時は・・・誤魔化せばいいのです(笑)

「さて、もうひとつの理由ですが、・・・・・あれ? すいません、ど忘れしちゃいました(てへぺろ)」

といった感じで。

いや、冗談抜きで。

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパスで専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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