地頭力と論理思考力


3分間ラーニング

「地頭力と論理思考力って何が違うんでしょうかね?」

以前受講生の一人から聞かれたことがあります。
ちょうどフェルミ推定で思考力を鍛えることを薦める本が売れている時でした。

また、『質問力』『数字力』『コメント力』など、自己啓発本の世界で『○○力』という表現も流行っていたように思います。

さて、この『地頭力』と『論理思考力』もその類と言えなくもありませんが、あなたならこのふたつの『○○力』の違いをどう説明しますか?




では、まず流行り言葉である『力』という接尾語を外して考えてみましょう(笑)

そして『地頭』『論理思考』が良好なことを表す表現を考えてみると、それは「地頭が良い」と「論理思考ができる」が出てきます。
ここから、「良い」という形容詞が付いた前者がある状態、そして「できる」という動詞が付いた後者がある状態に至るまでのプロセスを表していることがわかります。

そう、少し回りくどい考察になりましたが、『論理思考』は『地頭』が良くなるために必要な手段なのです。

とするとここでまた考えなければならないことが出てきます。
それは・・・

1. どのような状態が「地頭が良い」と言えるのか?
2. 「地頭が良い」状態に必要な手段は、論理思考だけなのか?

という問いです。

かの竹中平蔵氏は、著書『竹中式 イノベーション仕事術』の中で「基本を備えている人が「地頭がいい人」だ」と言っています。
ここに先般の論理を当てはめると、竹中氏の言われる"基本"こそ『論理思考力』と言い換えることができるでしょう。

では、その(考える上での)基本、つまり論理思考力を備えていると、何が可能になるのか。
これが第1の問いです。



ちょっとここで思考力、つまりアタマの話を運動能力、つまりカラダの話に置き換えて考えてみましょう。(またもやメタファーの応用です)

運動において、基本ができているとどのような良いことがあるか。
サッカーや野球など、具体的スポーツで考えてみると・・・

◇エラーなど、とんでもないミスが減る
◇怪我をしにくくなる
◇チームメートに迷惑を掛ける回数が減る
◇とりあえず恥ずかしい思いはしなくて済む
◇試合に出してもらえる可能性が高まる

など色々思いつくはずです。
そしてこれをアタマ(思考力)の話に戻して考えると、たとえばアタマの使いどころである仕事では・・・

◇ケアレスミスが減る
◇仕事上の失敗をしにくくなる
◇上司・同僚に迷惑を掛ける回数が減る
◇とりあえず「こいつ使えない」と言われて恥をかかなくて済む
◇重要に仕事を任される可能性が高まる

などが挙げられます。
とここまで考えると少し見えてきませんか?

1. どのような状態が「地頭が良い」と言えるのか?

この答は、「こいつなら大丈夫だろう」とか「一度こいつに任せてみるか」と、『思考力において他者が一定の評価をしている状態』、もっと短く言うと『思考力で一目置かれた状態』と言えるのではないでしょうか。

やはり一目置かれたいですよね。
「あいつは地頭が良い」と言われたいものです(笑)




では、第2の問いについても同様に運動能力のメタファーを使って考えてみましょう。

さて、運動能力における基本とは?

これはスポーツや芸術でよく使われるフレームワークである、『心技体』で考えることができます。

心:あきらめないこと・怠けようとしないこと
技:そのスポーツに必要な基礎技術
体:筋力・心肺能力などの基礎体力

では、思考力においてこれらに当てはまるものはなんでしょうか。
論理思考はこれらをどこまでカバーしてくれるのでしょうか。

これは『論理思考』の定義によっても違ってくるでしょう。
しかし私自身の定義では、論理思考はこれら全てをカバーするものになります。

実際にロジカルシンキングの研修でも、

●手を抜かず、諦めずに考えよう
 →論理思考の『心』
●ロジックツリーやマトリクスで効果的・効率的に考えよう
 →論理思考の『技』
●決めつけや鵜呑みをせず、自分なりの仮説を数多く立てよう
 →論理思考の『体』

と教えています。ですから・・・

2. 「地頭が良い」状態に必要な手段は、論理思考だけなのか?

に対しては、「YES」と答えたいと思います。

「でも、すっ飛んだアイデアとかは論理思考力だけでは無理なのでは?」

と思われたそこのアナタ。

それは地頭が良いと一目置かれた状態ではありません。
運動能力で言えば、単に試合に出られるだけでなく、スターとして活躍するための必要条件。

「こいつスゲー! バケモノだ!」

と他者が驚愕する状態です。
もちろんできればそうなりたいものですが、まずは「確かにそうだな」「こいつ地頭が良いな」とあなたの答に納得してもらうこと。そして一目置かれる存在になること。

そこから始めるのが現実的だと思うのです。
そしてそのためにもまず基本である『論理思考』が「できる」ようになってほしいと思うのです。

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパスで専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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