2011年9月16日 3分間ラーニング, ニュースの切り口

陰謀論が好きな人たちへ

私もやっているtwitter。
ソーシャルメディアとしての注目度はfacebookに抜かれてしまった感はありますが、まだまだユーザー数は増加しており、そこでの情報、およびそれをきっかけとした事件は連日のようにマスメディアでも取り上げられています。

今やメディアとして確固たる地位を築いたと言えるでしょう。

ところがこのtwitter、一方では『バカ発見器』というありがたくないレッテルも貼られています。

目の前(タイムライン)を流れていく情報に対する意見、またはふと思いついたことをヒトリゴトのように140文字以内でつぶやくという手軽さから、深く考えずに不用意あるいは不勉強なままツイートしてしまうことによって実現する、twitterならではの機能(?)と言えるでしょう。




この『バカ発見器』という視点でtwitterに接していると、特に目に余るのが『デマの拡散』です。
ただ、デマに踊らされてしまうのも致し方ない部分はあります。
そう、東日本大震災とそれに伴う福島第1原発の事故に対する対応のまずさから、「国や大企業なんか信用できない」という人を大量に生み出してしまったからです。

そして国や企業のスポークスマンでもあるマスメディアにも不信感は飛び火し、さらに例の韓流偏向報道やセシウムさん事件などが拍車をかけました。

言いしれぬ不安感を抱えると人間は情報を求めます。
しかしマスメディアが信頼できないとなれば頼るのは人しかないわけですが、身近な人だけでは情報は限定的になります。こうして必然的にtwitterに頼る人が増えました。

このように、デマに踊らされてしまう人にも同情すべき点はあります。

しかし、私自身がもっとも驚き、かつウンザリしてしまうのがtwitterに飛び交う『陰謀論』です。

「今回の震災は米国の核兵器による人工地震だ」はあんまりです(笑)
まあ、不謹慎ですがネタとして楽しんでいるだけの人も多いのでしょう。

他にも「twitterは国が監視・管理しており、ツイートやフォローが意図的に削除されている」なども「ハリウッド映画の見過ぎだろう」と突っ込みたくなります。
あの中国政府ですら管理できていないサービスを我が国の政府が管理できるとでも?

この手の人達は「噂だけど」と前置きして、平気でこうした根拠のない陰謀論をつぶやきます。
そして誰かに突っ込まれると「政府が監視していないという証拠を出せ」と言う。これこそ悪魔の証明(※)です。(※「ないことの証明」は世の中の全部を検証できない以上不可能なので、「あることの証明」をするのがスジ、ということを象徴する言葉)



しかしこうした荒唐無稽な陰謀論よりも、もう少し現実的な陰謀論の方が問題だと私は考えます。

最近の例を挙げれば、「世論調査は操作されている」がそれです。

既に2週間前の話題ではありますが、菅総理の辞任に伴い野田新内閣が発足しました。

そしてこの新政権の支持率。新聞の発表では53%(朝日)、56%(毎日)、65%(読売)、67%(日経・テレビ東京)、62.8%(共同)であり、各紙とも10%台にまで落ち込んでいた菅内閣と比べて大幅に回復したと報じました。

これに対して「新聞は政府と癒着して支持率を操作している!」と叫ぶ人が現れました。

彼らがその根拠として挙げたのが、以下のようなネットでの世論調査でした。

◆WSJ日本支社の「次の首相に相応しいのは?」に対し、小沢79%、谷垣6%、前原4%、野田1%。
◆yahooの「内閣に期待する?」に対し、「期待しない:60%」、「期待する40%」

彼らは「リアルタイムで数字が変化するネット調査は小細工ができない!」→「だからこちらの方が正しい」→「やはり新聞の調査は操作されている」というロジックで主張します。

しかしこの支持率(本来は問い方から「期待度」と表現すべきとも思いますが)、答える側は比較論で考える方が圧倒的のはず。

とすれば野田さんの実力が未知数である以上、「菅さんよりはましだろう」と考える人が多くなるのは自明の理。(どのメディアも「菅やめろ」の大合唱でしたよね)
だからWSJの調査は比較対象の観点で単純に新聞社の調査結果とは比較になりません。

「いやでもyahooの調査では支持率は逆転しているではないか」

では、思い出してみてください。
昨年秋の民主党代表選挙。そう菅さんと小沢さんの一騎打ちの選挙です。

あの時も、新聞の世論調査では「菅さん優勢」、そしてネットでの調査では「小沢さん優勢」でした。

その結果はご存じの通り菅さんの圧勝。国会議員票こそ接戦でしたが、党員・サポーターまで合わせた総得票数で1.5倍の差が付きました。

この違いは何を意味しているのでしょう。

そう、新聞とネットの「調査対象層」の違いが、こうした「ねじれた調査結果」を生むのです。

ネットで調査に答える人は、自ら進んで調査サイトに行き、そしてクリックで自分の意志を表します。主体的に調査に参加するということは、そもそも政治への関心も高く、それなりに情報収集をしている人達がほとんどであることは明白です。

それに対して新聞の調査は受け身です。
突然の電話で支持するかしないかを答えなければなりませんし、調査対象はランダムに選ばれていますから、政治に興味がない人の割合もネット調査よりは確実に多くなります。
そういう人達は新聞やテレビでの報道史か判断材料がありませんから、菅バッシングの大合唱から「菅さんよりはましだろう」と考え、「支持します」と答える人がかなり出るであろうことは容易に想像できます。

残念なことですが、「現時点では」ネット世論は日本の世論ではないのです。

「でも菅バッシングの大合唱がやはり影響しているじゃないか」とお考えの方もいるでしょう。

たとえそれが事実だとしても、それと「調査結果の操作(改ざん)」とは別の話です。



しかし、この「新聞は政府と癒着して支持率を操作している!」という主張。
著名なジャーナリストまで公然と言ってるのはいかがなものでしょう。

著名だから、ジャーナリストだからと言って信じてしまうのは危険です。

もうひとつだけ愚痴らせていただくと、国内のマスメディアは信じないのに海外のマスメディアは信じ、「日本のマスゴミは情報を隠蔽している!」というのも困ったものです。

たぶん「海外メディアは政府の手が及ばないし、スポンサーとの利害関係もないから遠慮せずに真実を報道できる」という反論が返ってきそうですが、海外メディアが「他人事だから刺激が強い(要は面白おかしく)ように報道する」という可能性はなぜ無視するのでしょうか?


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