『ナナメの関係』で壊れにくい自分を作る

最近パソコンのスキルが完全にムスメに追い抜かされて、ちょっとショックな桑畑@慶應MCCです。
しかし我が家に限らず、これはもう普通の光景になっていくのでしょうね。
そうした「物心ついた頃からパソコンを使っていた」人たちが社会人になる頃、それを迎える組織はどうすべきなのでしょうか。

教育のテーマとしても避けては通れないと思います。

さて、若者ネタ繋がりというわけではありませんが、本日のエントリーは前回の『某女子高での公開授業&ワークショップ』で触れなかった件について。

ワークショップのまとめとして、ゲスト講師であった藤原和博さんから女子高生達へ、以下のようなメッセージが伝えられました。

「これからの君達に必要なのは『ナナメの関係』だよ」




以下、藤原さんのお話を私なりに要約してみます。

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親子や先生と生徒という上下のある『タテの関係』は家で言えば柱(はしら)だ。

そして友達や兄弟など上下のない『ヨコの関係』は梁(はり)と言える。

柱と梁で家は構成されているけれども、実はそれだけでは家は倒れやすい。

だから家には筋交い(すじかい)というナナメの構造材が必ずあり、これがあるから倒れない。

人間関係にもこの『ナナメの関係』が必要なんだ。

実は今日ここに来てくれた社会人達との関係こそ、この筋交いにあたる『ナナメの関係』だ。

親や先生、友達からは聞けない話が聞けたはずだし、親や友達には恥ずかしくて話せないことも話せただろう?

そしてそこからいろんな気づきがあったはず。

これからもこうした『ナナメの関係』を大事にしてほしい。

それは地域のコミュニティかもしれないし、これから君達が飛び込むかもしれないバイト先のお店やボランティア団体もそのひとつだ。

これが人間を大きくし、また強くする。

『ナナメの関係』を意識的に作って、壊れにくい自分を作ってほしい。
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さて、これを我々ビジネスパーソンに置き換えて考えてみましょう。
幅広い年代層のビジネスパーソンは上下関係の有無だけでは考えにくいので、仕事とプライベートで分けてみます。

そうすると、土台や梁という『ヨコの関係』がプライベート、家族や友人関係と考えられます。
柱である『タテの関係』は仕事上の同僚や取引先との関係でしょう。

では筋交いとなる『ナナメの関係』は?

私はそれこそがソーシャル・キャピタル(社会関係資本)だと考えます。

広義には「趣味などで繋がった友人関係」もソーシャル・キャピタルに入るのでしょうが、ここではもう少し狭義にとらえてみたいと思います。

・仕事ではない
・遊びでもない
・しかしそこでの活動には目的がある

私は、この「目的の有無」がソーシャル・キャピタルか否かを分けていると考えます。

たとえば「社会貢献」。
たとえば「自分磨き」。

ボランティアのサークルや社会活動のNPO、学会などもその典型でしょう。

しかしそうした「いかにも」なソーシャル・キャピタルだけでなく、従来からある地域コミュニティやPTA、そして少年野球のコーチなども立派なソーシャル・キャピタルです。

そこで得られる仲間と、その繋がりから生まれる気づきは、プライベートであるヨコの関係にも、そして仕事というタテの関係にも好影響を与えます。

仕事じゃないんだから、そこでの失敗もいい経験ととらえて仕事に活かす。
そこでの活動で大活躍すれば、家族からも(仕事ではイマイチでも(笑))一目置かれるかもしれない。

いわゆる『ワークライフバランス』のためにも、このソーシャル・キャピタルを充実させることは重要なのです。
そもそもmixiなどのSNSがヒットした背景には、こうした「現実世界でのソーシャル・キャピタルが作れない人が増えた」からだという意見もあるくらいです。

私自身も、今年度はこのソーシャル・キャピタルの拡充を大きなテーマとして掲げています。

ちょっとご無沙汰気味であったFAJ(日本ファシリテーション協会)のあるプロジェクトにどっぷり浸かっている(いずれお話しできると思います)のもそうですし、前回今回のネタでもあるワークショップに参加したのもその一環です。

そして私自身、その効果は大きいと感じています。

様々な学びがあるのはもちろんのこと、仲間がいるから続けられるし実現できると実感できますし、次に自分がやるべきコトも次々にクリヤーになってきました。

『自分自身が少しずつ頑丈になっていく』感覚があります。

「俺のソーシャル・キャピタルは」なんて肩肘張る必要はありません。
自分のできる分野から、自分がやってみたいことをやればいいのです。

最初は確かに面倒くさい。

でも、そうした築いた『ナナメの関係』は、あなたを確実に強くしてくれます。




慶應MCCも、そうした「ナナメの関係を作る場」でありたいものです。

コメント(2)

今回のお話も自分の体験に即して非常にその通りだなと思いながら拝見しました。
社会人として働いていると職場の人間関係がメインで、アフターファイブ(死語?)まで一緒に飲んで歩いてなんて人もいるくらいで同じグループで同じ人とばかりいるとものの見方も画一的になってきて排他的にもなってきて、仕事や上司の悪口や日々のぐちをいうだけで終わってしまうけれど、やはりそれでは人生つまらないと自分は思うので、仕事以外の時間は他企業の人と交流を持ち、また違う業界の人と年齢を問わず話をしています。
そうすると悶々としていた自分の悩みなどつまらないことに思え、大仰な言い方をすると明日への活力になったりして、言葉で励まされなくても一生懸命はたらいている後輩をみている内に元気になったりします。
自分が否定されたときには非常に落ち込みますが業界の文化から異端児なだけであって自分がまちがっているわけではないんだなあなんて気づいたりします。
このコラムはそんな自分の自己研鑽の大きい糸口であり、大学の勉強以外の気づきと発見の場です。
実際に会う会わないに限らず、自分の所産になる縁を大事にしたいものです

コメントありがとうございます。

この『ナナメの関係』こそ、最近語られる『サードプレイス』だと思います。
家というファーストプレイス、職場というセカンドプレイスだけでは得られない満足感や学びが、こうしたナナメの関係によって得られる。
そしてこのサードプレイスによってワークライフバランスを保つこともできると考えます。

またコメントよろしくお願いします。

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパスで専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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