2010年7月30日 3分間ラーニング

『戦略的』ってなんだろう?

書店に行くと、『戦略的○○』というタイトルの本を必ず目にします。

そしてそのタイトル数はどんどん増えてきているような気がします。
『戦略的』という言葉の濫用とすら感じるくらいに。

「戦略的交渉術」などはまだイメージできるのですが、「戦略的認知症対策」などを目にすると、「なんか凄く効果がありそうな気はしなくもないけど、いくらなんでも『戦略的』の濫用ではなかろうか」と思ってしまいます。

そこで今回はこの言葉について、具体的に言えば「『戦略的』とうたうためにはどのような条件を満たしているべきなのか?」ということを考えてみました。

結論から言うと、私は『戦略的』とうたうためには、3つの条件を満たす必要があると考えています。




第1の条件は「計画的」であることです。

その場での思いつきだけで戦って勝つことが難しいのは子供でもわかります。
つまり行き当たりばったりでなく、戦う前にしっかり計画(事前準備)をすることが『戦略的』の条件なのです。
仕事のマネジメントでよく使う“PDS”や“PDCA”のP(Plan)そのものです。

あまりにも当然すぎるわけですが、私がこれをわざわざ挙げたのには理由があります。
それは「計画的とは、単に行動を起こす前に考えることではない」からです。

「自分がどう動けば相手はどう動いてどんな成果が得られるかを事前にシミュレートする」ことは確かに戦う前の計画に必要な分析作業ですが、その前に「自らの戦力や敵の弱点、風向きなどを把握する」、つまり情報収集と現状認識を行う必要があります。

要するに、「計画的」であるためには、「情報収集と現状認識、そして分析を行うこと」が条件なのです。



第2の条件は「選択的」であること。

戦争であろうがビジネスであろうが、ヒト・モノ・カネなどの資源は有限です。
だから第1の条件である計画で情報を分析し、そこで見えてきた様々な打ち手の選択肢からどれかを選ばなければならなりません。

やらないこと・諦めることを決めずに手当たり次第にやれば、資源の無駄遣いかつどれも中途半端で終わってしまいます。まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」なのです。

「戦略とは選択である」「戦略とは、やらないことを決めること」とよく言われますが、この「選択と集中」が2つ目の条件なのです。



そして第3の条件が「合目的的」であることです。

「なぜ戦略は必要なのか?」と問われると、多くの方は「戦いに勝つため」と答えます。
それは決して間違ってはいないのですが、戦うこと、そして勝つことそのものは最終目的にはなり得ません。

戦略という言葉の発祥の地である戦争にしても、金品や人手、農地や石油など資源の確保、または思想や宗教といったイデオロギーの統合などが戦うこと、そして勝つことの上位目的であるのは歴史からも明らかです。

これはビジネス上の戦略も同様で、戦略は起業理念や全社ビジョンを実現させるために存在します。またプライベートでゲームで遊ぶ際に戦略を巡らせるのも、勝った後の爽快感や達成感を味わうことが目的のはずです。

戦いに勝ったとしても、目的であった敵の資産が全て燃えて無くなっていたとしたら、その戦いと勝利には何の意味もありません。
いや、こちらも多くの損害が出たとしたら、そんな戦いは「やらなかった方が良かった」はずです。

完全な「計画」ミス。
そして「選択」ミス。

こんなことなら火が出るおそれのある武器なんか使わなければ良かった・・・

そう、第1の条件である「計画」と第2の条件である「選択」を行うためには、「そもそも何を得るために戦い、勝つべきなのか」を最初に明らかにしなければならないのです。

そしてその目的に関する情報を集め、敵と己を知った上でどうすべきかを「計画」する。

計画段階で見えてきた様々な打ち手を、今一度目的に照らし合わせて「選択」する。

こうして常に「合目的的であるか」を自問自答してこそ『戦略的』と言えるのです。




さて、書店に溢れる『戦略的○○』という本は、この3つの条件にきちんと言及しているでしょうか?

などということはさして重要ではありません(笑)

重要なのは、あなたが、そしてあなたの組織がこの3つの条件を満たして動いているか、ということです。

もちろん私も例外ではありません。

何か重要な判断を行い、そこから何らかの行動を起こそうとする場合に、

「計画的か?(情報収集と分析は十分にやったか?)」

「選択的か?(やらないこと・諦めることを明確化し、打ち手を絞り込んだか?)」

「合目的的か?(上位目的を最初に明確化し、全ての判断基準としているか?)」

を自問自答することを心がけたいものです。

それこそが、「俺は戦略的に行動をしている」と胸を張り、人と組織を動かすための条件なのですから。

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