2009年6月 5日 3分間ラーニング, 名言アーカイブ

広義と狭義のマネジメント

  「正しいことをやる」のがリーダーシップ
  「正しくやる」のがマネジメント

   高橋俊介(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)


慶應MCCでも『人事プロフェッショナル養成講座』等いくつかご担当いただいている高橋先生のこの言葉は、全てのマネジャーが心に刻んでおくべき名言だと思います。

そしてリーダーシップとマネジメント、この2つには優先順位も存在します。

はい、もちろん「正しいことをやる」ことが先ですね。
正確に言えば、「我々がやるべきことは何なのか?」を考え、決め、それを伝えることでしょう。
その後にマネジメントとして「ではそれをどうやってやるべきか?」を考え、決め、伝え、やらせ、評価するわけです。

ところが最初のリーダーシップの部分を省き、マネジメントだけに汲々としているマネジャーがいかに多いことか。

私の『本質課題発見セミナー』で最初にお話しする、「How思考からWhat思考への転換」も、「どうやって(How)やるかを考える前に、何(What)をやるかを考えましょう」という意味ですから、個人的にも「我が意を得たり」の思いです。


さて、高橋先生のこの名言、私なりにもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。




高橋先生がここで述べられている“マネジメント”とは、『広義のマネジメント』であろうと思います。
というのも、「正しくやる」とは「効果的にやる」と「効率的にやる」の2つに分解されると考えるからです。

そして、「効率的にやる」ことが『狭義のマネジメント』だと思うのです。

“マネジメント”の伝統的定義は、「経営資源の適正配置」です。
つまり「正しいことをやる」ために、「どの仕事を誰にやらせるのか?」「どの仕事にどのくらいの時間やコストをかけるか?」などを考えるわけですね。
よく言われる『選択と集中』を行って、無駄を省いた効率的な経営資源の運用を行う、これが狭義のマネジメントと考えて良いでしょう。

そうするともうひとつの「効果的にやる」ことは?

それが“ファシリテーション”だと思うのです。

確かに狭義のマネジメントは重要ですが、「短時間で・コストをかけずに」やれれば(広義の)マネジメントがうまくいったとは言えません。

組織で仕事を行う意味は、確かに「役割分担などで効率化がはかれる」側面も大きいのですが、それ以上に「一人ではできない大きなことができる」側面が大きいはずです。
具体的には、商品企画の場面で会議を行うのも、“三人寄れば文殊の知恵”で思いも寄らぬアイデアを生むためです。

つまり“コラボレーション”こそ組織で仕事を行う第一義であり、このコラボレーションを実現させるために必要な機能が、広義のマネジメントの中の「効果的にやる」ための“ファシリテーション”なのです。

“ファシリテーション”とは「支援・促進」を意味する言葉です。
では、広義のマネジメントの一機能としてのファシリテーションは、何を支援・促進するのか。

それは『思考』『コミュニケーション』というのが私の持論です。

コラボレーションを実現するために、

「どうしたら皆が自由な発想ができるようになるか?」
「どうしたら皆が論理的に考えられるようになるか?」
「どうしたら皆が思いついたことを遠慮せずに話せるようになるか?」
「どうしたら皆が他者の意見に真摯に耳を傾けられるようになるか?」

などを考え、実行する。

その結果皆の思考とコミュニケーションが支援・促進されれば、“三人寄れば文殊の知恵”が生まれ、「いやあ、こんな面白いアイデアが出てくるとは」となる。

こうしてコラボレーションが実現するわけですね。

これこそ、広義のマネジメントの一機能である、「効果的にやる」ことだと思いませんか?

もっと言うとこのファシリテーションは、仕事を効果的に行い組織で成果を出す、というアウトプットの面だけでなく、仕事のプロセス面にも“効果的”です。

「どんどん良いアイデアが浮かんできた」「言いたいことが言えた」ことに対する満足が生まれますから、これは「組織で仕事すること自体が面白い」に繋がるからです。

つまり組織の活性化、そしてさらに人材育成という観点でも、ファシリテーションは重要なのです。


ファシリテーションの講師としては・・・今さらながら責任重大ですね(笑)

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