2008年5月 2日 3分間ラーニング, ニュースの切り口

「ほめる」というトレンド

某大学の准教授が、個人ブログでの暴言でバッシングされています。
彼女の場合は、その発言が他者を「貶す・貶める」表現になっていたのが、所謂“炎上”の要因でしょう。

やはり「貶す」というネガティブな行為は、反発を生みやすいと言えます。

さて、その一方で、どうも最近その反対の「ほめる」ことがトレンドのようです。


(1)首都高「ホメドライブ」キャンペーン  
首都高速道路株式会社は、昨年8月より、コミュニケーションの力で首都高の交通事故削減を目指す「東京スマートドライバー」プロジェクトを展開しており、この度、日産自動車株式会社の協力により、良い運転を見つけて褒める新しい文化の創造を目指した新発想の交通安全キャンペーン「ホメドライブ」を4月21日より開始する。
首都高では、年間12,000件の事故が発生しており、その事故が原因で発生する渋滞距離は年間で25,000km以上となるが、これらの事故が1件減ることにより、2kmの渋滞解消と3トンもの Co2排出量が削減される。「東京スマートドライバー」プロジェクトは、コミュニケーションの力でドライバーの意識を変えることにより、首都高での事故数の削減、およびCo2排出量削減を目指す社会貢献型プロジェクトである。(4月9日 首都高速道路株式会社発表)

(2)おちまさと&OKWave(Q&Aサイト)の『ホメラニアン』プロジェクト
●質問者の方へ
『ホメラニアン』は「とにかく誰かに誉めて欲しい」というとき、その気持ちを質問として投稿できる場所です。
●回答者の方へ
『ホメラニアン』は「誰かに誉めてほしい…」とを訪れる人たちを、とにかく「誉めて、誉めて、誉めまくる」ミッションのもとに運営される場所です。あなたなりの誉め方で、誉められたい人を満足させてください。
『ホメラニアン』では「誉め方の上手い人」が優秀な回答者です。ぜひ、あの手この手で、誉め上手ぶりを競ってください。
(『ホメラニアン』FAQより抜粋)



これ、現代社会がそれだけ殺伐としていることの証のようにも思えます。

私は「勝ち組/負け組」という言葉が大っ嫌いですが、「勝つ(つまり負ける人を作る)ことが美徳」という風潮に、うんざりしている人が私と同様に多いのでしょう。
(とか良いながら、私が“差別化”という言葉が好きなのは…職業病?(笑))

さらに、このようなニュースもありました。
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◆「ほめる」ことは人にとって報酬

自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の定藤規弘教授の研究チームが23日、他人から褒められると、ヒトの脳は現金を受け取った場合と同じ部位が活性化するという研究結果を発表した。(4月23日 ロイター発)
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組織論的に考えれば、ほめることがインセンティブとなり、外発的動機づけとして有効だと考えられます。
また、仕事の成果をほめれば、それは達成動機をさらに強化すると言えるでしょう。


私自身も講師として心がけていることに、「受講生の問題点や課題を指摘する際には、良い点も見つけて、それとセットでコメントする」というのがあります。

その意味として、「指摘を気持ちよく聞いてもらうため」というのは確かにあります。せっかくの指摘も、変に反感を覚えて聞く耳を持ってもらえなくなるのはもったいないからです。

しかしそれ以上に、「自分の良いところを知ってもらうため」に、私はほめています。
人は意外に自分の良いところをわかっていないからです。

問題点や課題を指摘されると、人は反省します。
「次はそれに気をつけよう」と思います。
つまり「失敗を繰り返させない」ことが、この指摘の目的です。

これは誰でもやっていること。

それに対して相手の気づいていない良い点の指摘、つまりほめるという行為には、相手をいい気分にさせる以外に、どのような目的があるのでしょうか。

これは「成功を繰り返させる」ことに他なりません。

あなたも、「なぜかわからないけどうまくいった」経験があるはずです。
その『うまくいった理由』がわかれば、次もうまくやれる確率は高まるはずです。

「ほめる」ことには、その効果があるのです。


しかしながら、「ほめる」ことには副作用があるのも事実。

ほめられたことで安心してしまい、そこから進歩しないリスクもあるでしょう。
また、自分を過大評価して調子に乗ってしまう人もいるでしょう。

ですから、問題点や課題の指摘も同様ですが、「相手の状況やキャラクター」「その場の状況」「組織の方向性や人材開発のコンセプト」などを勘案した上で行わなければなりません。
また、「成果とプロセスのどちらをほめるべきか」も考慮する必要があるでしょうし、今後も成長してもらうために、次のハードル(つまり課題)も併せて設定してあげてください。

ところで余談ですが、私は基本的に

「私はほめられて伸びるタイプです」

と自分で言う人には、あえて厳しめにコメントするようにしています(笑)

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