315円で幸せになろう

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講師の公私

みなさん、慶應MCCメルマガ「てらこや」、読んでいただいていますか?

今週配信された2月号の「今月の“一冊”」では、私が『のだめファンのためのクラシック入門』というタイトルで、クラシック音楽の楽しみ方について書かせていただきました。

私はその中で、「1曲を丸ごと聴こう」「一流の演奏を聴き比べよう」「良い音で聞こう」「コンサートに行こう」という4つの提案をしています。そして具体的な部分では、「全集のCDがお得」とお薦めしました。

しかし、「トータルではお得でも、やっぱり全集は重い」「できれば様々な作曲家の有名曲を、安価で数多く聴いてみたい」という方もいらっしゃるでしょう。

そうした方にお薦めしたいのが、本日ご紹介する『ロイヤル・フィルハーモニック・コレクション』です。

これ、皆さん一度は見かけたことがあるはず。
そう、スーパーやショッピングセンターのワゴンセールで。

一枚なんと税込315円!
お店によっては300円を切るところもあるとか。

「安かろう悪かろう」と思ってはいけません。
100枚を超えるこのシリーズ、実は名盤の宝庫なのです。



演奏者であるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団は、1946年に創設され、英国ではロンドン・フィル、ロンドン響、フィルハーモニア管などと並ぶ著名オケです。クラシックにとどまらず、映画音楽やロック系アーティストとの共演(ディープ・パープル他多数)もこなしています。
日本のアーティストでは、X JAPAN(YOSHIKI)やALFEEといったロック系とともに、なんと美空ひばりとも共演しています。

歴代の主席指揮者は、日本でもおなじみのケンペやドラティ、プレヴィンにアシュケナージといった一流揃い。来年からはこれまたN響の音楽監督だったデュトワが就任予定です。

その特徴をヒトコトで言うと、「堅実、しかし金管が凄い」でしょうか。
正直我が国のオケはこの金管が弱い傾向がありますから、特にそう感じてしまいます。

つまり本来は「315円で聴くのはもったいない」とすら言える一流オケなのです。

とはいえ、前述の通り100枚以上もあるシリーズですから、「全てが名演でお薦め」と言えないのも事実。
買った後で「この曲、あまり良くないなあ」となり、クラシックから離れてしまってはもったいないですから、名盤を選びたいところです。

ということで、私が聴いた30枚程度の中で、「これならお薦め」という4つ星、3つ星クラスのものを、以下に列挙したいと思います。

ワゴンセールで見かけたら、「迷わず買い!」です。

◆マーラー:交響曲第1番《巨人》
 (ユーリ・シモノフ指揮)[☆☆☆☆]
 数あるマーラー1番の録音でも、「爆演ならこれが最高」という人も多い大名盤。
 終楽章は金管大爆発で興奮度は最高級。


◆ホルスト:組曲《惑星》
 (ヴァーノン・ハンドリー指揮)[☆☆☆☆]
 おなじみ《木星》も良いが、特にオープニングの《火星》が凄い。オケを聴いているというより、特撮映画のスペクタクルシーンを見ているよう。やはり金管の力が大きい。


◆ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
 (ギュンター・ヘルビッヒ指揮)[☆☆☆]
 数ある同曲の名盤と比べると厳しいが、堅実でお値段以上の価値は十分。


◆ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》《火の鳥》
 (ユーリ・シモノフ指揮)[☆☆☆☆]
 この手の曲とシモノフはとにかく相性が良いらしく、金管+ティンバニが炸裂している。
 特に《火の鳥》の《カスチェイ王の魔の踊り》の冒頭には度肝を抜かれるはず。


◆チャイコフスキー:幻想序曲《ロミオとジュリエット》 祝典序曲《1812年》他
 (ユーリ・シモノフ指揮)[☆☆☆]
 全ての曲がスケールが大きく、かつ美麗。映画音楽の録音が多いのも一因か?
 聞き物は《1812年》のラスト。ここは大砲の効果音を入れることが多いのだが、この盤はなんと・・・ネタバレは止めておきますが、私は結構笑いました。


◆ワーグナー:《ヴァルキューレの騎行》《タンホイザー》序曲 他
 (ヴァーノン・ハンドリー指揮)[☆☆☆☆]
 金管の力あってこそだが、ハンドリーは本当に「映像の見える」音作りが上手い。
 《ヴァルキューレの騎行》では、米軍の戦闘ヘリ“ヒューイコブラ”の編隊が見えた(笑)

他にもビゼーの組曲版《アルルの女》《カルメン》や、ベートーヴェンの交響曲第6番《田園》、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、ベルリオーズの《幻想交響曲》なども、入門用としては最適です。

私もまだまだ欲しい盤がありますので、これからも集める予定です。

しかし…上記6枚、全部買っても1860円(笑)
2000円以上出して買った新盤がガッカリだと立ち直れないですね。

コメント(1)

タイトルに惹かれて初訪問させて頂きました
私も大のクラシックファンです
特にグスタフ・マーラーの響きに酔いしれます
最近「ロイヤルフィル」の激安CDセット50枚組10500円!そしてベートーベンSym全集1800円/6枚組などを
購入、聴いてみて録音の素晴らしさに驚嘆!演奏の手堅さに
とても嬉しくなりました
現在はベートーベンは半分程度、50枚組は10枚程度聴きました
何せこの金額でこの音楽が楽しめる!
このセットには残念ながら「春祭」は有りません
ベートベンは外れは有りませんでした「田園」第一楽章かなりゆったり系ですが、クレンペラー/ウイーンフィルよりもまだ良かったです(苦笑?)「合唱」も評判はイマイチですが私はマアマアと思いました
色々感想は尽きませんがC/P抜群!意外な楽しみが増えました。

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパスで専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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