2007年6月アーカイブ

さて、そもそもこの「風が吹けば桶屋が儲かる」、なぜ我々は笑い話として受けとめることができるのでしょうか。

それはこの因果関係が一本道であり、かつ確率の低い道を「わざと」選んでいるからです。

全回のエントリーでもお話ししたように、ひとつの事象が原因となってなんらかの結果をもたらす場合、その結果は複数の事象となって現れる場合がほとんどです。
たとえば「風が吹く」という事象は、当然のことながら「砂埃が舞って人の目に入る」以外にも「木の葉がそよぐ」や「暑さが和らぐ」等、様々な結果(影響)を生み出します。
そしてこれら他の結果も、また原因として別の結果を生み出し、その連鎖は時に絡み合いながら、無限に広がっていくはずなのです。
それなのにこの笑い話では、他の事象をあえて見ないようにして、一本道を下っていってるわけです。

さらにこの一本道、時にわざと「いやまあそういうことが起きないとは言い切れないが」という道を選んでおり、そこが我々の笑いを誘うのです。
ネズミが増えたからといって、町中の桶が使い物にならなくなるとは考えにくいですよね。

しかし逆に考えると、この因果関係という論理構造は、様々な可能性を否定せずに、「広く自由に考える」ツールとして大変有効なのです。

とはいえ、「ブラジルで蝶が羽ばたけば、アメリカで竜巻が起こる」というバタフライ効果を持ちだして、カオス理論について語るつもりはありませんのでご安心ください(笑)


「風が吹けば桶屋が儲かる」

江戸時代から続く笑い話としてご存じの方も多いと思いますが、この話は因果関係という論理構造によって構成されています。


風が吹く
 ↓
砂埃が舞って人の目に入る
 ↓
町中に目が不自由な人が増える
 ↓
角付け(かどづけ:軒先で三味線を弾いて稼ぐこと)を生業とする人が増える
 ↓
三味線の需要が増える
 ↓
三味線には猫の皮を使うので、猫が乱獲されて激減する
 ↓
天敵の猫が減ると、ネズミが増える
 ↓
増えたネズミに桶がかじられて、町中の桶が使い物にならなくなる
 ↓
桶の注文が殺到する
 ↓
桶屋が儲かる


いかがでしょう?
「こじつけだろうそんなの」とか、「それだったら三味線屋の方が儲かるのでは?」など、確かに突っ込みどころ満載です。

ですが、我々は本当にこれを笑い飛ばすことができるのでしょうか。
これに近い論理を、深く考えずに受け入れてしまっていないでしょうか。


「視野をもっと広げないと」

社内でこのようなお小言をもらった経験のある方もいらっしゃるでしょう。

元々「広い/狭い」という対となる形容詞を比較した場合、「狭い」の方がイメージ的にどうしても悪くなってしまうこともあり、「狭い視野=×」と考えがちです。

しかしながら、本当に視野は広ければ広いほど良いのでしょうか。


少し旬は外してしまいましたが、渡辺淳一氏の『鈍感力』、まだまだ売れているようです。
(本日付楽天ブックスの総合ランキングで24位)

筆者としては、「ささいなことで傷つかない、強く前向きに生きていくために必要な力」としてこの鈍感力を位置づけているようです。
また、前首相が現首相に勧めたという逸話も喧伝され、「自信とはある程度の鈍感の上に成り立つ」と勇気づけられた方も多いかもしれません。

しかしながら、私はこの『鈍感力』という言葉には賛同できません。

こういうことを言うと、「ほらほら、すぐそうやって目くじらを立てるのが、鈍感力が足りない証だよ」と言われそうですが(笑)

誤解していただきたくないのですが、私はこの本の内容に異を唱えているのではありません。
『鈍感力』という言葉で、ひとくくりに語ることに問題があると言いたいのです。

その根拠は2つあります。

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパス で専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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