2007年5月アーカイブ

 プロフェッショナルとは?

    「次の依頼が来るってことです」
     (鈴木成一 装丁家)

先週のNHK『プロフェッショナル』は、「この人がデザインすればヒットする」とまで言われている、装丁家の鈴木成一氏が登場しました。

冒頭のヒトコトは番組のラスト、撮影スタッフからの問いに答えたものです。

「次の依頼が来る」ということは、仕事の評判を聞きつけて「ウチもお願いします」という新規オーダーが来るというケースもありますが、それにしてもまずは以前の依頼元から、「またお願いします」というリピートオーダーが来るのが前提となるでしょう。

私はこの「次の依頼」、全ての仕事において“プロ”を定義した、ひとつの真理であると感じましたし、自分自身の仕事をこの言葉で振り返ると、身の引き締まる思いでした。

前回は『問題な問題解決』を行ってしまう原因である“How思考”“is思考”から脱却するための課題を考察し、「AはBでもあるし、CやDとしてとらえても間違いではない」と考える、“as思考”を行うことを提案しました。

そして最終回である本エントリーでは、この“as思考”を習慣化するための方策についてお話ししてみたいと思います。


さて、このas思考が、ロジカルシンキングでよく言われるゼロベース思考と似た概念であることは前回お話ししました。
常識や自分の思いこみといった“思考の枠組み”にとらわれることなく、広く自由に(まさにゼロベースで)考え、多様なモノゴトのとらえ方をする。
これは多様なアイデアを出さなければならないクリエイターや企画職だけでなく、本来全てのビジネスパーソンが行うべき思考のはずです。

しかし残念ながら我々は、「こんなの無理だよなあ」「こんなこと言うと笑われるだろうなあ」という逃げ道を用意して経験則で誰でも考えつきそうな意見のみを述べたり、たとえ突飛な考えが思いついたとしても、「これしかない!」「まあこのくらいでいいか」と、さらに多様な考えを出すことをやめてしまうのです。

その要因を環境に求めることも可能でしょう。
「周りが安全・安定志向で突飛な考えは評価されない」「多くの考えを出す時間を与えられていない」という言い訳は、ある意味正論です。
しかし本当に多様な考えを周囲が期待し、時間が与えられていたらas思考は可能でしょうか。
そんなことはないはずです。やはり根源的には自分の問題でしょう。思考力系の講師として様々な方々と接した経験からも、「多様な考えを出すことをやめてしまう」というよりは、「多様な考えを出せない」方が多い、というのが私の正直な感想です。


前回は『問題な問題解決』を行ってしまう背景として、2つの“思考の癖”があるということをお話ししました。


(1)How思考
 ・問題解決を急ぐあまり、すぐ「どうしよう?」と考えてしまう癖。
 ・「深く考えない」癖とも言える。

(2)is思考
 ・考える際の枠組みが固定化され、「A is B」と短絡的に考えてしまう癖。
 ・「広く考えない」癖とも言える。

今回は、この“How思考”“is思考”から脱却するための課題について考えてみたいと思います。


ほとんど言葉遊びのようなタイトルですが、私は大まじめです。

私は慶應MCCメルマガ「てらこや」2007年7月号“ファカルティズ・コラム”の中で、「『問題な問題解決』していませんか?」と問い、以下の4パターンの『問題な問題解決』が我々の周りで行われていることを指摘させていただきました。

1.モグラ叩き型問題解決
■中長期的な「あるべき(ありたい)姿」に目を向けず、目の前の問題のみ解決しようとする。

2.対症療法型問題解決
■問題の原因(なぜそういう状況になったのか?)を考えずに、拙速に解決策(どうやって問題を解決するか?)を求めようとする。

3.ダボハゼ型問題解決
■問題の原因は分析したが、そこから解決策を広く洗い出さずに、思いつきや経験則で解決策を安易に決め撃ちする。

4.ニワトリタマゴ型問題解決
■状況が「誰からみたらどう問題なのか」を考えずに、手持ちの解決策から問題を規定する。

ただ、その時のコラムでは問題提起にとどめていましたので、今回から3回に渡って再度この問題を考察してみたいと思います。

まず今回は、これら『問題な問題解決』が横行する背景(原因)を考察し、その後そこから見えてくる課題とその解決策をいくつか提案してみたいと思います。

『問題な問題解決』、なかなか無くすことは難しいと思います。ですが、これを読まれた方が少しでも自分自身の仕事(=問題解決)のやり方を見直していただければ、これに優る喜びはありません。ぜひ、最後までおつき合いください。

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパス で専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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