2007年1月アーカイブ

「ロジカル・シンキングを実践するために最も重要なことは?」

と問われれば、私はこう即答します。

「思考停止に陥らず、いい意味であきらめ悪く“考え抜く”習慣をつけることです」

そのためには、メディアや他者の言うことを鵜呑みにせず、自分の頭で考え、納得できなければ何度でも問いかけることが重要です。そして自分に対しても(他者に対して以上に)、しつこく何度でも問い続けなければなりません。

そう、“考え抜く”とは、実は“問い続ける”ことなのです。

では、何を“問い続ける”のか?
私は、以下の『4つの疑問符』を問うことをお勧めしたいと思います。

(1) Why?(なぜ?)
(2) True?(ホント?)
(3) So What?(それで?)
(4) Another?(他には?)

今回から4回に渡って、これら『4つの疑問符』を問う意味とそのポイントについて、お話しさせていただきます。
まずは「Why?」から始めましょう。

慶應MCCで先週からスタートした『会議ファシリテーション』のメーリングリストで、ある参加者からとても興味深い課題提起が行われました。

(以下その課題提起の要約)
■グループ演習後の振り返りセッションで、「全員が謙虚な姿勢で臨んだため、『声の大きい人が勝つ』といった現象がなかったことが良かった」という意見と、「初対面のため、互いに遠慮してしまい、違った視点からの意見や反論が出なかったことが反省点」という正反対の気づきがあった。
■これは“謙虚に臨めば、決めつけや過度の説得はなくなるけれど、度が過ぎて遠慮してしまうと、議論が深まらない”ことが実証されたとも言える。
■では、この“謙虚”と“傲慢”のバランスは、どのように取ればよいのか?

いかがでしょうか。
これに対しては様々なアプローチがあり、唯一の正解があるわけではありません。
ちなみにメーリングリストでも、このテーマでの議論は現在進行形で、いろいろなアイデアが出てきています。

さて、それでは私もこの課題について考えてみましょう。

ネット上の巨大掲示板群、“2ちゃんねる(以下“2ch”)”が閉鎖の危機「らしい」です。
この閉鎖騒動、2001年にもありましたが、あの時は膨大なアクセスにネットワーク設備が耐えられなくなり、維持するためには莫大な費用がかかるので閉鎖しか…という経緯でした。その後2chユーザーの有志が負荷軽減のためのcgiを開発し、なんとか閉鎖の危機は免れた(すいません。かなりはしょってます)わけですが、今回はそれとは全く事情が違うようです。

2ch管理人である「ひろゆき」氏が、2ch関連で様々な訴訟を抱えていることは有名ですが、氏が司法からの賠償命令を無視し続けていることに業を煮やしたある債権者が、氏の銀行口座、軽自動車、パソコン、さらに2chのドメイン「2ch.net」までも氏の資産として仮差し押さえを東京地裁に申し立てた、というのが事の発端。

ネット上では「1000万人のネット難民はどこに行けばいいのか?」「ひろゆき氏はどう責任を取るのか」というものから、法律の専門家まで巻き込んだ「ドメインは資産なのか?」「海外のサーバー管理会社にそれが通用するのか?」というものまで、様々な議論が巻き起こっています。

法律論は他の方にお任せするとして、ここでは2chがやり玉に挙げられるときに必ず出てくるキーワードである、“匿名”について考えてみたいと思います。

皆さんあけましておめでとうございます。
今年も慶應MCCでのプログラムや研修でお目にかかるのを楽しみにしております。

さて、2007年のこのブログ最初のエントリーは、この名言からスタートさせていただきたいと思います。


  あらゆる局面において重要となるのは、不安定な勝算に賭け、
  不確定な未来へと自分を投げ込める、自己への信頼・一足の内面的跳躍。
  つまり「わずかな勇気」だ。

   エヴァンジェリン・マクダウェル
   ( 「魔法先生 ネギま!」より 講談社少年マガジン 赤松健 )

小説や映画、そしてマンガは名言の宝庫ですが、この台詞を目にした時、この“勇気”という我々が気安く使っている抽象的な言葉の本質が見えたと思いました。

プロフィール

桑畑 幸博

慶應丸の内シティキャンパスシニアコンサルタント。
大手ITベンダーにてシステムインテグレーションやグループウェアコンサルティング等に携わる。社内プロジェクトでコラボレーション支援の研究を行い、論旨・論点・論脈を図解しながら会議を行う手法「コラジェクタ®」を開発。現在は慶應丸の内シティキャンパスで専任講師を務める。また、ビジネス誌の図解特集におけるコメンテイターや外部セミナーでの講師、シンポジウムにおけるファシリテーター等の活動も積極的に行っている。コンピューター利用教育協議会(CIEC)、日本ファシリテーション協会(FAJ)会員。

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